スペクトラルタワーII
【すぺくとらるたわーつー】
| ジャンル | RPG |  |  | 
| 対応機種 | プレイステーション | 
| 発売元 | アイディアファクトリー | 
| 発売日 | 1998年1月29日 | 
| 定価 | 5,800円(税抜) | 
| プレイ人数 | 1人 | 
| レーティング | CERO:A(全年齢対象) ※ゲームアーカイブスで付与されたレーティングで記載
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| 廉価版 | IFコレクション 1999年5月20日/2,800円(税抜)
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| 配信 | ゲームアーカイブス 2007年6月28日/600円(税抜)
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| 判定 | クソゲー | 
| ポイント | ストーリー性が希薄 10,000階もの単調なダンジョン
 無意味な雑魚戦
 無駄に凝っている食後の台詞
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| ネバーランドシリーズ | 
 
概要
スペクトラルシリーズの外伝的作品の前作『スペクトラルタワー』のダンジョンである10,000階の塔を主人公ウェイブが攻略するというもの。
同シリーズは「ネバーランド」と呼ばれる世界を舞台とした群像劇で人気がある作品。
本作の主人公であるウェイブは他作品にも登場しており、逆に他作品のキャラも本作にNPCとして登場している。
特徴
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完全運任せだった前作のサイコロ戦闘は廃止。戦闘システムは近年のRPGのようなターン制・コマンド入力式のオーソドックスなタイプに一新されている。
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ストーリーは、主人公ウェイブとライバルキャラであるブレイクが、塔に眠る「無限の力」と「永遠の命」を求めて登っていく、というもの。
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説明書含めストーリーは最低限(もしくはそれ以下)の事柄しか説明されておらず、あとはゲーム中でのイベントやNPCとの会話で語られるのだが、その内容は極めて希薄。
 
評価点
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『スペクトラルシリーズ』の外伝的作品であり、ネバーランドの登場人物・世界観の構築に一役買っている。
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特に、他作品で寡黙な武将として登場するウェイブの過去と人格形成の要因を知ることができる貴重なゲームである。
 
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様々な建造物(一部には船も)が付着・融合した塔の外壁等のグラフィックはよく描かれており、由来も含め謎の塔としての雰囲気も十分でプレイヤーの好奇心・興味を煽る。
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プレイヤーの操作で選択はできないが、ウェイブは全体攻撃の必殺技を低確率で繰り出す。ウェイブのHPが残り少ないほどに発動しやすい。
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その際、発動時にはそれなりにクオリティの高いムービーが流れる。迫力のあるBGMもあってなかなかかっこ良い。ゲーム進行度によって異なるバリエーションが存在する点もポイント。
 
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全体的にBGMのクオリティは良い。上記のグラフィック同様に雰囲気作りに一役買っている。
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独自の転職システム「ルーツ」
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電卓のようなパネルに任意の8桁の数字を入力することで、その番号に対応する「ルーツ」にチェンジできるというもの。
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就いているルーツによって、能力値の上がり方や習得する特技、使用可能な特技の系統に違いが生じる。『FF』でいう「ジョブ」にあたるものである。
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特技は12系統に分かれており、かなりの種類がある。ゲームの仕様上ほとんど無意味な特技も少なくないが…。
 
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ルーツの数は100以上あり、適当に入力しているだけでも結構な数の職業を発見できる。
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下位ルーツの番号同士を足し算して入力すると上位ルーツの番号になったり、語呂合わせやゾロ目で変なルーツ(ニワトリなど)が得られたりと、なかなか遊び心がある。
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いくつかの強力なルーツの番号については、ゲーム中でヒントが提示される。
 
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上記のような点から、ルーツ探しや特技集めはそこそこ面白い。
 
おバカ要素
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武器・防具含むほぼ全てのアイテムは
「食レベル」を上げれば食べることが出来る。
 しかもアイテムごとに
食後の専用の台詞が用意されている
。
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「さびた剣」…「とても苦くて大人の味がする」
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「エクスカリバー」…「エクスカリバーをかみくだいてしまった!聖なる栄養が身体をめぐる~」
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「アイアンアーマー」…「ウェイブはいっき食いを試みた。ウェイブはヘビのように飲み込んだ」
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「黄色の固形物」…「良く分からないものだったがウェイブの栄養になった!」…他多数。
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ちなみにこの能力「大食尽」は「全てを食い尽くす能力」として後の作品に登場した際にも活かされている。
 
問題点
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あまりにも長く、しかも単純な構造が続く10,000階の塔
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ごく一部のフロアを除き、基本的に上階に進むためにはフロアに落ちている鍵を入手して上階への扉を開ける必要があるが、モンスターも結構な数が徘徊しているため必然的に戦闘に陥りやすく、単調な攻略方法も相まって、100階程度で心が折れそうになる。
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慣れれば1フロアの攻略に掛かる時間はそう多くはなくなるのだが(約1分)、それでも全10,000階をクリアしようとしたら、単純計算でも約160時間掛かることになる。
 
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階数こそ多いが、全体の構造は単純・単調でイベントもほとんどない。
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一定階層進むごとにフロアの雰囲気が変わる・イベントが起こるなどの変化もあるが、1,000階以上の階層になるとそれらもほとんどなくなり、ただ無心で鍵を探して上を目指すだけの作業ゲーになる。
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一応、5階層or30階層を飛ばせる特殊な扉や、ランダムで1~99階層を飛ばせるアイテムも存在しているが、上記の面もあってあまり功を奏していない。
 
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参考クリアタイム80時間(階層飛ばしを多用)。
 
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無意味かつストレスの溜まる戦闘
 経験値の概念がないため、戦闘は「敵の頭数を減らす(=フロアの探索が楽になる)」「アイテムが手に入る」くらいしかメリットがない。
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道中、一部敵キャラやNPCが仲間になる事があるが、
 フィールド移動中に所持している消費アイテムを勝手に食べてしまうばかりか、
 戦闘指示・操作が不可能にも拘らず、「体力全快なのに戦闘終了まで回復術を乱発し続ける」
 「なんの効果もない特殊スキルを使い続ける」「戦闘直後に自分だけ逃走する」などAIが凄まじく貧弱。某ザラキさんが可愛く思えてくる。
 
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戦闘時のエフェクトはPS中期~後期レベルとは到底思えない出来。
 おまけに「モヤモヤした霧の塊みたいなもの」のエフェクトを色替えや重ねるだけというパターンで多数の術で使い回している。
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戦闘中、敵に与えたダメージが数値では表示されない。
 代わりに、体力十分であれば「
青いニコニコ顔
」、体力が減るごとに「
黄色い顔
」、
 「
赤くてげんなりした顔
」と変化する顔のアイコンが表示される。
 顔アイコンでのHP表示は『魔導物語』シリーズなどに類例があり斬新で面白いのだが、
 あと何回攻撃すれば倒せるのか計算しづらいため、地味にストレスが溜まる。
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レベルアップは塔内で入手する専用アイテム「修行の心得」を使用することで行うのだが、そのとき主人公がなっているルーツの能力適性に依存して各種能力値が上下するため、能力によっては前より下がることもある。
 加えて、上げたい能力の適性が高いルーツになってレベルアップをしても運が悪ければ能力値(レベル)は下がる。マイナス要素・不確定要素が多く、非常にストレスが溜まる。
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しかし、武器・防具にはレベルによる装備制限があるため、嫌でもこのレベルアップシステムを使わなければならない。
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修行の心得が溜まったら街に帰還して成長率の良いルーツに変えてから使うのがセオリー。いちいち街に戻る手間はあるものの、「戦士で経験値を稼いだあと、魔法使いでレベルアップして魔法スキルを伸ばす」ということができる点ではプレイヤーに有利な仕様でもある。
 
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NPCとの接触はごく一部を除きマイナス要素を含むため、基本的に非推奨。
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仲間のいる状態でNPCと接触した場合、仲間をNPCに引き抜かれることがある。接触後の引き抜き回避方法はない。
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ライバルキャラ(ブレイク)は接触すると襲ってくる。戦力に余裕がない限り話しかけないほうがいい。
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結果、(状況にもよるが)主人公を回復してくれるNPC以外への不必要な接触はパーティの戦力ダウンに繋がる可能性が高いため、安易に話しかけることができない。
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しかし、シナリオ展開やイベント数が極端に少ないこのゲームでNPCを無視してしまうと、もともと少ないそれらに触れる機会が更に減る事になる。何故こんなシステムにした。
 
 
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プレイ時間の表示は99時間59分でカンストしてしまい、それ以上はゲーム内で測ることは不可能。
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必然的にプレイ時間が長くなるゲームであるため、意外と影響は大きい。
 
総評
全体のバランスから見ると、10,000階と長すぎる上に余り変わり映えのしない単調なダンジョン、メリハリがなく盛り上がりに欠けるイベントに戦闘と、お世辞にもRPGとして褒められた内容ではない。
腐ってもスペクトラルシリーズであることと、ネタにもなる10,000階制覇に心を惹かれた、よく訓練されたゲーマーにのみ薦められるゲームである。
余談
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本作主人公のウェイブは本作のシナリオを経て、スペクトラルシリーズにおいて非常に大きな存在となる
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『SF2』に登場した際には「人を極めし闘神」を名乗っており、ウェイブ放浪警報がネバーランド大陸全土に発令されるほど。
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本作で手に入れた力でもって国を一つ焼き尽くしているので大げさでもなんでもないのだが。
 
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(彼に限った事ではないが)本人が出ていない作品でも息子や孫が出てくる事も多く、ウェイブはその時代においてもいまだに生きている。完全に人間やめてます。
 
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そもそもは『タワー』のほうが『フォース』より先に発売されたのだが、現在もシリーズが続いているのは『フォース』のみである。対して、『タワーIII』が発売される気配はない。
最終更新:2023年11月05日 11:06