エンブレム オブ ガンダム

【えんぶれむ おぶ がんだむ】

ジャンル シミュレーション

対応機種 ニンテンドーDS
メディア 512MbitDSカード
発売元 バンダイナムコゲームス
開発元 ベック
発売日 2008年5月1日
定価 通常版/特典付き:5,040円(共に税込)
判定 クソゲー
ポイント 2008年クソゲーオブザイヤー携帯機部門次点
原作無視
この説をとろうと思う→俺設定披露会
日本語崩壊の駄目テキスト
戦略性に欠ける戦闘
糞BGM
クソゲーオブザイヤー関連作品一覧
ガンダムゲームリンク


概要

機動戦士ガンダムを題材にしたシミュレーションゲーム。1stからΖまでのシナリオを歴史小説風の文章でたどるといった内容。
脚本・ゲームデザイン担当は芝村裕吏氏。


問題点

テキスト・シナリオ

  • 芝村節全開の駄目テキスト
    • 全体的に言い回しがまわりくどく、冗長で読みづらい。無理に大仰な文章を書こうとして書けていない。
    • そもそも日本語の文法として間違っている箇所が多い。
    • 無闇矢鱈に使われる指示語と接続詞「一方その頃」。
    • 無意味に同じ文面が繰り返されることも。
    • そして長い。上記のような文章を長々と読まされる。
  • ステージの合間や会話の途中で、何度も状況説明や心理描写を書いた地の文が入るが、芝村氏なりの独自解釈の元に成り立っている文章が多く、「独りよがりの電波」と言われても仕方がない内容になっている。
    • 公式設定には存在しないものや食い違ってる箇所も多数あり、それらをあたかも公式設定のように語っている。
      • 時々「このゲームではこの説をとろうと思う」といった歴史家気取りの言い回しが出てくることもあるが、その視点が必ずしも徹底されていない。それ以前に単なる言い訳にしか聞こえない。
      • 公式設定の改変そのものについては「そういうゲームだから」と大目に見ても、何の資料を読めばこういう文が出てくるのか首を傾げたくなるようなものが多過ぎる。
+ 駄目テキストおよび独自解釈の実例の数々
  • 地球連邦とジオンの合計した人類の総人口の半分が死に至らしめられたのである。
  • シャアが愛の人で愛を追いかける人物なのに対して、アムロは愛がないと思うと逃げる人物だった。
  • (マ・クベは)文人上がりの軍人で、そして、そして変人である。
  • グフというモビルスーツはジオンの被害妄想が生み出した変な兵器である。
  • ジオング。ドムのスケールアップに、スケールアップして余裕が出来た分の武器のあれそれをつけたものである。
+ 驚異の駄目テキスト ~序幕編~

~オープニングセレモニー~

人類が増えすぎた人口を
宇宙に移民させるようになって、
既に半世紀が過ぎていた。

地球の周りの巨大な人口都市は
人類の第二の故郷となり、
人々はそこで子を産み、育て、
そして死んでいった。

宇宙世紀0079
(ダブルオーセブンティーナイン)

地球から最も遠い
宇宙都市サイド3は
ジオン公国を名乗り、
地球連邦政府に
独立戦争を挑んできた。

戦争はすぐ終わるはずだった。

地球の千年単位で
整備されたシステムと
わずか半世紀だけ
生活してきた場所とでは、
最初から
戦争にならないはずだった。

だが、戦局は大方の予想を
完全に裏切った。

原因は、モビルスーツという
ジオンの新兵器にあった。

モビルスーツ、
それは、宇宙世紀を代表する
戦闘兵器である。

そしてそれは、その時まで、
ジオンにしか
存在していなかった。

一月のこの日は、
地球連邦軍の一人の猛将が、
名将となる日として知られる。

太陽風はそれほどでなかったが
折からの
ミノフスキー粒子の散布により、
電子的視界は極めて悪く、
艦船は密集陣形で
命中率の悪さを
どうにかしようとしていた。

これでも、ジオンの
モビルスーツに対しては
抜本的対策とは言えず、
長い宇宙艦船の時代の終わりが、
縮こまった陣形に
見えるようであった。

この戦い。
戦場全域では
200隻を優に数え、
人員では200000人を
軽く越える。

その多くが、
今日、死ぬことになっていた。

彼らは死んでも、
戦わなければならない
理由があった。

彼らの後ろには
地球があったのだ。
もはや、地球を守るものは、
彼ら以外
なにもなかったのである。

ジオンは、今日、この日、
自らの住居である宇宙都市を
地球に落下させようとしていた。

敵の奇襲攻撃が始まった。
圧倒的な戦力差を耐え抜き、
戦線を維持せよ。

  • ご覧のとおり、最初のうちは原作アニメのオープニングナレーションとほとんど同じ文章なのだが、途中からどんどんおかしくなっていく。
    • ちなみに、mk2やAmazonをはじめとしたレビューサイトでは「ガンダムを知らない人でも非常にわかりやすい」などと評されている。ガンダム以前に文章の意味がさっぱりわからないのだが。
  • 他のガンダムゲーでもよくあることではあるが、ストーリーが大幅にはしょられている。
    • 何の演出もなく、地の文でリュウやミハルが死んだと言われる。
    • 08小隊やポケ戦なんかは原作はもちろん、Gジェネとも比べるのが失礼なくらいのはしょり&原作無視っぷり。
      • アプサラスはIIIのみ、試作一号機はFbのみ、ガンダムMk-IIは白色のみ登場とあからさまな手抜き目的でのはしょりが目立つ上、サイド6にアレックスを受け取りに来たホワイトベース隊が核攻撃を阻止するという謎のクロスオーバーがある。
  • 演出の類が軒並みしょぼく、盛り上がらない。

シミュレーション部分

  • 大きなマスで区切られたマップ上で十機一組のチーム(駒)を動かす「プロヴィンスマップ」というシステム。
    機体ごとのHPはなく、同じマスにいる敵味方のチームの戦力値を比べることによって、お互いに何機撃破されるかが決まる。
    • マップが狭く、戦略の自由度がない。
      • 戦略シミュレーションというより、詰め将棋やパズルをやっているような感覚に近い。
    • マップの区切り方が大雑把なため、マスの繋ぎ目や距離感が分かりづらい。
    • ガンタンクで敵の射程外から砲撃するといったことができず、戦闘するには最前線に行かなければならない。
    • 「機動」値が低い機体から順に撃破される仕様のため、ガンダムやジムより先に、本来後方で戦っているはずの戦艦やガンタンク、ボールが堕ちるという事態が生じる。
      • 戦闘画面では、何隻もの戦艦を盾にふんぞりかえっているMSというシュールな光景がたびたび見られる。
    • 当てにならない戦闘予測、完全に運次第の戦闘後の再行動など運の要素が強い。
    • 何の脈絡もなく出現し、即行動する敵増援。
    • 最初のうちは補給など独特のシステムに戸惑うが、結局のところ、単純に強キャラと高性能機を詰め込んだ少数精鋭で圧倒するのが正解。駒の性能の違いが戦力の決定的な差である。シャア涙目。
    • 初期配置の味方名無し部隊は、敵エース部隊に無双されたり、物資(各陣営全体で共有している数値で、不足すると全軍が弱体化する)を食いつぶすだけの永遠に厄介者である。これを配置して故意に難易度を上げているステージもある。
      • 戦闘で圧勝したユニットは高確率で再行動できるため、戦力の高いユニットを1つ作って何度も行動させるのが最良の選択となる。
        しかしこれは敵ユニットにも適用されるので、弱いユニットは囮や壁役としてすら使い物にならず前線から遠ざけておくしかない(マップが狭いためそれすら困難な場合も多いのだが)。
    • 動きが常にカクカクで迫力ゼロの戦闘アニメ。Yボタンで飛ばせるのが救い。
      • ただし、戦闘前後やフェイズ切り替え時などに表示されるテロップのせいでテンポは悪い。
    • ステージクリア後に与えられるポイントを消費してオリジナル部隊を組めるが、一チームしか出せず、自由度をさらに狭めている。

その他

  • 意味も無く無駄にわかりにくいゲーム用語。
    • 「バトン」だの「バスケット」だの、既存の言葉に本作独自の意味を与えて使っている。わかりづらく、腹立たしい。
  • バトン選択システム
    • 各ステージの始めに、二つの選択肢が現れ、文章が変化したりステージが分岐したりする。
      • 要するに、前者は連邦視点、後者はジオン視点というように、選択肢ごとに人物や状況を語る視点が変わるのだが、原作で両方やっていたシーンを分割している部分があり、必要があったのか少々疑問。
  • バスケットシステム
    • ゲームに登場する戦闘キャラたちは、その立場や人間関係を踏まえて四つの「バスケット」に分けられている。そしてバトンを選ぶと、その選択に応じた「バスケット」内のキャラが、全員一斉にレベルが上がる。
      • 経験値などの概念がないため、この選択肢でしかキャラを育成できない。
        脇役をひいきしようとしても、アムロのレベルまで一緒に上げなくてはならなかったり、セイラを育てようとすると、敵として出てくるシャアやララァのレベルも上がってしまったりといった状態で、好きなキャラを重点的に育てるということができず、SLGとしての攻略自由度も低い。
    • 分岐ルートによってはOVAのシナリオに行けない。
  • 一部キャラクターの所属がおかしい。
  • キャラクターが一部隊につき2名まで。黒い三連星涙目。
    • ご存知の通り、ファーストガンダムではモビルスーツは三機一組で行動する場面が多い*1。なぜこれを再現できないシステムにしたのか。
  • オリジナルのBGMは普通だが、原作BGMの音質が酷過ぎる。
  • 2周目引継ぎがしょぼい。

評価点

  • マップが非常に狭く、ユニットのスタックもできず、またどんなに強いユニットも撤退先がないと即全滅というルールがあるため、一種のパズルゲームとして頭をひねる余地はある。

総評

  • テキストの壊滅的な下手さが最初に目に付くが、SLGとしてのシステムやバランスも落第レベル、ガンダムゲー(キャラゲー)としても「原作ファンしかわからないネタだらけ(一見深く突っ込んでいて取っつきづらい語り)」なのに「原作ファンからは失笑を買う(ちっとも深くないどころか電波満載の語り)」という、誰も得をしないゲームである。芝村裕吏氏の名は本作と共に、より強く記憶された。
  • しかし、このよく言えば自由極まりない設定改変がなければ、単なる駄目版権ゲーの域を出なかっただろう。


余談

  • 全く新しいガンダムゲーを作ろうとしたことが良い点。…と、レビューサイトmk2ではよく書かれている(ひとつ以上褒めなければ投稿出来ないため)。
    • 実際ガンダムゲーは似たりよったりで飽きられている空気もあり、門外漢である芝村氏にオファーを出した点にはそういう空気を打破したかった意図も見え隠れする。
      • もっとも、先行したのは意図だけでゲームの中身が伴わなかったのが惜しまれるし、本気でその空気を変えたいのならファーストこと『機動戦士ガンダム』近辺の世代を題材にすべきではないのだが。
  • 芝村氏本人としては司馬遼太郎を気取りたかったらしく、本作を「シバガン(司馬遼太郎のガンダム)」とも呼んでいた。→参考リンク:ITmediaのインタビュー記事
    • なお最初は原作の文体に似せたが、途中で誰かに怒られた結果、独自の文体で書くことになったそうである。
  • 実は本作には『マクロスF』と『ガンダムAGE』のノベライズを手がけた事で知られる作家の小太刀右京氏がシナリオで関わっている。
    • しかし肝心のシナリオとテキストは上述の通り、芝村氏の個性で塗りつぶされている。どこに小太刀氏が関わっているのやら、判別は困難である。
  • クソゲーオブザイヤー2008(携帯機部門)において、次点に選ばれた。
    • 絢爛舞踏*2たる氏の撃墜数がまた伸びた」と選評において皮肉られた。