注意:本稿では、元であるPC版『三國志11』と、そのパワーアップキット版(以下「PK版」)について紹介する。
PC版(パッチ修正分を含む)は「クソゲー」、PK版は「改善」判定。


三國志11

【さんごくしいれぶん】

ジャンル 歴史シミュレーションゲーム
対応機種 Windows 2000/XP
発売・開発元 コーエー
発売日 無印初期版:2006年3月17日
判定 クソゲー
ポイント フリーズ含むバグまみれ
客を完全に有料デバッガー扱い
糞藝爪覧
三國志シリーズリンク

概要

コーエーの看板とも言える三國志シリーズの第11作目。これまでローマ数字だったタイトルナンバーがアラビア数字になった。
前作は個人武将を選んでプレイするスタイルだったが、本作にて再び君主プレイに戻った。
マップは1枚マップだが、本作では3Dマップとなったため、従来より高性能のビデオカードを要求するスペックとなっている。

システム

  • 内政はいわゆる箱庭形式。全体的に「信長の野望 革新」に近いスタイルで、
    各都市に存在する空き地に農地や市場などを建設することで、その都市の収入を高める。徴兵や武器生産も対応した施設を建設して初めて可能になる。
    • どんな低能力の武将1人でも、時間はかかるが施設は必ず建てられる。武将が多いほど行動力も増すので、まずは在野武将の発掘などを行って武将の頭数を揃えるのが重要になる。
    • 隣接する市場や農場の収入を上げる施設もあるため、施設の並びを考えながら配置していくことになる。基本的に大都市ほど、開発地が多い上に場所も固まっていて隣接効果を得やすい。
    • 施設は敵の攻撃で破壊される事があり、施設が壊されると物資や後述の技巧ポイントが失われる。よって敵の攻撃に晒されやすい開発地は防衛施設を建てて防御したり、重要な施設の建設を避けたりしなければならない。守れそうにない都市は開発自体を最小限に止めなければならない事もある。
      通り一遍の開発は通用しないが、逆に言えば時と場合によって臨機応変に開発を進める楽しみがある。
      • 一方で敵の施設を破壊すれば物資や技巧ポイントを多く奪うことが出来る。拠点を落とせずとも施設さえ破壊すれば、相手の内政を遅らせつつ自分の資源を増やし、戦略を有利に進められる。
  • 戦争や内政によって技巧ポイントを得ることができ、それを消費することで兵科強化や施設強化が可能。これを「技巧研究」という。
    • 技巧研究で開発できる技巧は、強力な投石で攻撃できる「投石開発」など戦略を一変させる物ばかり。技巧ポイントを意識して稼ぎながら技巧研究を進めるのも大事である。
    • 最初から特定の技巧が開発済みの勢力もある。たとえば「白馬義従」の公孫瓚は騎兵系の技巧が非常に充実しており、騎兵の強烈さが目を惹く勢力となっている。
  • 武将には1武将につき1つの「特技」が設定されている(特技を持たない武将もいる)。
    • 内政に役立つ物、戦争に役立つ物と様々。能力値が中途半端な武将でもいぶし銀な特技を持っていることがあり、個性付けがされている。
  • 戦争は、マップ上の自部隊を移動させて敵部隊や敵施設を攻める方式。
    マップ上で取れる主な行動に通常攻撃、計略、戦法、建設がある。
    • 通常攻撃は気力を消費せずに相手部隊に損害を与えるが、付与効果はなく、相手からの反撃も痛い。
    • 計略は複数種類あり、成功率は部隊を率いる武将の知力に依存する。使用時は部隊気力を消費する。
    • 戦法は部隊の兵科によって異なり、それぞれの兵科に複数の戦法が存在する。使用時は部隊気力を消費する。
    • 建設コマンドで、マップ上に攻撃施設や気力回復などの補助施設、さらに火計用の罠などを作れる。
      • 拠点や開発地を守るのに使ったり、逆にこちらが侵攻する際に有利な展開に持ち込んだりするのに使える。上手に使いこなせれば寡兵で大軍を撃退する事も可能。
  • 戦場で戦法を使うのに必要な兵科は「槍兵・戟兵・騎兵・弩兵・兵器・水軍」の6種。
    • 槍兵・戟兵・騎兵・弩兵は兵士1人につき対応する武器(槍、騎馬など)が必要。いくら兵士がいても武器が無ければ非常に弱い剣兵でしか出陣できないため、「鍛冶(騎馬は厩舎)」を建設して対応する武器を作らなければならない。
      兵器、水軍用の艦船は1部隊1つで良いが、開発には専用の施設を必要とし、開発にかかる資金と時間も多い。また、水軍は艦船がないと非常に弱い。
    • 武将によって得意な兵科、苦手な兵科が存在し、兵科適性としてS,A~Cのランクが振り分けられている。使用可能な戦法の数もこれによって決まる。
  • 「部隊」は主将1人、副将2人で編成される。強力な部隊を編成するには率いる武将の組み合わせが肝心となる。
    • 副将は主将の能力や兵科適性を底上げしてくれる。
    • 1部隊は所属する武将全員の特技が使えるため、最大3つの特技を持つことができる。上手く組み合わせれば一騎当千の部隊を作るのも夢ではない。

問題点

  • AIが馬鹿。
    • 金と時間と労力をかけて一生懸命城の周りに防壁を築いても、都市行動を「委任」にした途端、真っ先に自国の防壁を全力で破壊し始める。
    • 委任すると褒美や治安を無視して行動するため、委任軍団の武将が次々と裏切り、都市には賊が次々と発生する。
      • かといって大勢力では委任を活用しないと、ゲームの性質上都市管理に大幅な労力を強いられてしまう。
    • 戦闘委任は特に酷い。圧倒的優勢にもかかわらず行動を停止したり、自軍が仕掛けた罠を壊して回るなど暴走する。
  • 武将の引き抜き条件を「相性」優先にし過ぎたのか、忠誠度100でも引き抜けるor引き抜かれることがある。
    これまでの同シリーズ作品なら、初期を別にすると*1多少差異はあるが忠誠度が94あたりを切らないかぎり引き抜きは出来なかった。
    • 孫堅、孫策、孫権という実の親子軍団で出兵したところ突然孫策の旗の色が変わって何ごととか思ったら、「大変です!孫策様がひきぬかれました!!」
  • ゲームバランスを崩している強力な特技が存在する。
    • 例としては諸葛亮の特殊能力「神算」。この特技は、自分より知力の低い相手に対する計略がクリティカルで必ず成功するというもの。
      諸葛亮の知力は100であり、同知力の三国志武将はいない。そのため、相手が防計系特技を持っていない限り100%計略が成功する。
      • その為に敵が攻めてきても、諸葛亮で偽報を流せばほとんどの敵が必ず撤退。同士討ちのみで敵を撃退することも可能。
    • おまけに蜀には、計略使用時の消費を1にする特技(百出、馬謖)や、隣接している敵将も巻き込める特技(連環、龐統)持ちもいる。この2人と組む事でどんな大軍相手だろうと計略連打で蹂躙できてしまう。
      • 龐統は寿命が短いので史実シナリオではあまり組む機会に恵まれないが、寿命が存在しないIFシナリオ「英雄集結」では最初から最後までこの3人が組める。おかげで「英雄集結」は劉備軍の強さがえらい事になっている。
    • 他の「条件を満たせば100%クリティカル」系の特技もほとんどが自分より武力の低いものを対象にする(所持者は大抵トップクラスの武力)のでバランスブレイカー。その一方で防御系の特技はほぼ全てが存在しないも同然のものであり、同じ一流武将でも(特に蜀とその他の勢力との間に)理不尽な格差が生じてしまっている。
  • 何故か毎年「豊作」になる都市が固定で、その都市さえ押さえておけば兵糧問題が解決する。
  • 数ある書物アイテムの効果が全て同じで、舌戦で全話術が使えるようになると言うもの。
  • 城や港・関(以下拠点)が脆すぎる。拠点への籠城など自殺行為にしかならない。
    • いくら兵士を多数駐屯させていても、敵兵に隣接されるだけで耐久が減って簡単に落とされる。入口を敵部隊で塞がれると中から迎撃部隊を出す事もできなくなる。
    • 拠点を攻撃した部隊へは自動的に反撃がなされるが、威力はたかが知れたもの。そもそも戦法へは反撃不可能なので兵器や弩兵には全くの無力。
    • 港関は特に脆く 「棺桶」 と揶揄されている。そのため あえて敵に取らせて港関ごと撃破する「棺桶作戦」 なる身も蓋も無い戦法も生まれた*2
  • BGMの出来そのものは素晴らしいが、戦線が広がった後半は同じ曲ばかり流れる傾向があり間違いなく聞き飽きる。
  • お約束のフリーズバグ。強制終了も存在。あまりのバグの多さにユーザーが公式サイトの掲示板に突撃し炎上。とんでもない有様となった。
    • そのため2006年4月10日に既存のバグを修正し、バランス調整を図った修正パッチが発表された。
      通常コーエーの出す修正パッチは、中古対策のためにゲームのシリアルナンバーを入力してユーザーズページに登録しなければダウンロードすることができないが、
      今作のVer1.1パッチは登録していなくても修正パッチを落とすことができる(Ver1.2以降のパッチは他作品同様ユーザー登録が必要)。
      • そのパッチだが、敵はとことん攻めてくるわ、武将はとことん引き抜きにくくなるわと、まるでコーエーが逆ギレしたかのような内容だったため、
        ユーザーからは「コーエー逆ギレパッチ」とまんまな呼び名を付けられている。
    • ユーザーからの不評があまりにも大きかったためか、コーエーはバグの修正パッチ配布だけでなくディスク交換も無償で応じるという対策を採った。
      ただ、ディスク交換は後述の糞藝爪覧を隠すためではないかとの見方もある。同年4月17日にはバグを修正したバージョンを再発売した。

賛否両論点

  • それまでの作品では日本語であった「武将の掛け声」などのボイスが、何の断りもなく北京系中国語に置き換わった。
    • それだけならまだしも、日本語音声が一切入っていないため、CV音量を変更しない限り常に空耳同然の謎ボイスを聞かされることになる。
    • 声自体も(顔グラへのこだわりに比べれば)種類が少なく、特にザコ武将では同じようなボイスを聞かされる。
    • とは言え問題点として挙げられている理由はあくまで日本語ボイスが入っていないからであり、中国語ボイスの導入自体に関しては「さながら本場中国の三国志ドラマ・映画を見ている雰囲気になる」等の擁護意見も一部で存在しており、決して不評意見ばかりでは無い。
      • この点は後述のPK版で改善されている。また中国語ボイスは最新作の『13』にて復活し、そちらでは本作PK版同様に無印の段階で最初から日本語ボイス・中国語ボイスの選択が可能になった。

評価点

  • 火種・火球といった火罠のおかげで、工夫すれば寡兵でも大軍を撃退できるようになっている。
  • 罠や攻撃用施設を建てて都市周辺を要塞化すること自体はそれなりに楽しい。
  • 技巧研究の効果が目に見えて優秀。
    • 戦争を重ねると物資を消耗するが、同時に技巧ポイントが得られる為に研究が進み戦力が上がるように調整されている。
      • このため1都市に籠城していると、そのうちに技巧研究の進んだ強力な敵軍に攻められるようになるため、単純な引きこもりプレイは通用しない。
  • 洗練された一騎討ち、舌戦
    • 一騎討ちは攻撃方針を選択して自動で戦わせるタイプ。仲間の救援、アイテムの使用、闘志を使った攻撃など奥が深い。
    • 文官の一騎討ちにあたる舌戦は、武将ごとに定められた性格と所有話術によって歯ごたえのある勝負ができ、こちらも奥が深い。
  • バグやシステム面の問題に隠れがちだが、実は「三国志」を元にしたキャラゲーとしては意外に出来がいい。
    そのため「三国志が好きだから三國志11をやる」ユーザーにとっては、ロマンの面に限れば割と納得できる形となっている。
    本作はパワーアップキットである程度の回復を見せるが、この「キャラゲーとしての優秀さ」が大きな土台となったことは見過ごせないだろう*3
+ その内容
  • ほとんどの武将が持つ「特技」によって、強弱が固定されがちだった武将間に新たなバランスを見出している。
    • 具体的には牛金、傅彤などの脳筋が渋い特技のおかげで活躍できたり、基本能力値の高い趙雲、郭嘉が強力だが決定力のある特技では無かったりする。
      皆ひと癖ありながらイマイチ表現できていなかった朱桓、陳武、蒋欽、徐盛らの呉将も上手く個性付けがなされている。
    • 前述の諸葛亮のように基本能力値が高く特技も強力なバランスブレイカーもいるのだが、逆に考えればそれだけ有名武将の「手強さ」を再現できているとも言える。
    • 特技の中には公式説明以外の隠し効果を持っているものもあり、以前は役に立たなかった特技がその効果が判明したおかげで一躍脚光を浴びる事態も起こっている。
    • 特技の種類自体が非常に多いのも良点。「空気」な特技も多いのだが…。
  • 個々の武将の持つ基本設定が非常に豊富。以下の設定は登場する700人近い武将全てに与えられている。
    • 武将の基本能力値は年齢とともに変化する。その変化の仕方にも各能力ごとに成長期・能力持続期間が定められている。
      • 一般的な武将は壮年時にピークを迎え年を重ねるごとに能力値が劣化してゆくため、世代交代のリアリティを感じつつプレイできる。
      • 一方で黄忠の能力は老齢になるほど高くなったり、虞翻の魅力が能力維持型だったりと、ややシニカルな調整が垣間見える点も面白い。
    • 武将の兵科適性はしっかり全ての兵科についてのS,A~Cが振り分けられている。
      • 兵科による特化型・万能型の武将の個性付けができており、その場その場に合った武将の運用を考慮する戦略性を生んでいる。
      • 兵科適性により、能力が高くても兵を実際に率いるのが苦手な純粋な軍師と、戦術・戦略の両面に優れた将軍型軍師の区別もしっかりなされている。
      • もっともこのように個性あふれる調整をされているのは中堅クラスまでであり、半分近くの武将は適当な設定であるが。
    • 親愛・嫌悪武将が設定されており、それぞれにメリット・デメリットが存在する。
      • いくらか疑問符のつくものもあるものの概ね原典通りに再現されており、張飛と劉巴や袁術と陳矯といった細かな人間関係もしっかりカバーしている。
      • 親愛だと同部隊引率時に部隊能力補正がついたり、嫌悪だと逆の補正がついたりと、しっかりシステム面にも人間関係が反映される仕組みになっている。
    • この他にも前述した性格、話術、さらには口調、在野時の都市移動傾向、出身地(武将推挙に関係)、婚姻、義兄弟、個人イベントなど武将ごとの設定は非常に多い。
  • 有名武将には顔グラフィックが若年・老年の2種類存在する。
    • 史実シナリオだと年代によって顔グラが変化するため、年齢的な顔グラの違和感がある程度解消されている。
    • 特に趙雲、甘寧、姜維といった従来はお決まりのイケメンキャラだった武将が、渋みと威厳のある老将に変化することは非常に好評であった。
    • 一方で、馬超、周瑜、陸遜など、何のために2枠用意されたのか分からないような武将もいる。
  • 有名武将に戦法時、被ダメージ時、死に際、一騎討ち時などの専用セリフがあり、元ネタの分かる三国志ファンはニヤリとする場面も。
    • 具体的には曹操攻撃時の馬超、戦法クリティカル時の賀斉、落雷を受けた時の劉備、処断時の陳寿など。
    • 閻行、華覈、孫皎、張悌、傅僉といった武将にまでしっかり専用セリフが搭載されている点がなかなかニクい。
    • 周泰や楽進のように「無口」という個性付けをされている武将もおり、顔グラや来歴と相まって評判は良い。
    • 夏侯淵vs夏侯惇、孫策vs周瑜、果ては荀彧vs荀攸の一騎討ちにまで、しっかり専用セリフが盛り込まれている。
    • 特に呂布と張飛はほぼ全てが専用セリフ。脳筋2人の舌戦時のセリフは非常に楽しませてくれる。
  • 解りやすく「楽しめる」チュートリアル
    • 劉備でプレイしながら段階を追って本作のプレイ方法を学ぶ事が可能。
      • 登場する武将達の台詞が色々ぶっ飛んでおり見てるだけでも面白い。勿論ただのギャグになっておらず武将の特徴や演義等の設定を活かした上での台詞である。
    • 舌戦と一騎討ち、PKの追加システムの説明は呉の武将たちが行う。こちらも呉の武将の特徴を旨く捉えているが、やや説明調が目立つきらいがある。
  • 英雄集結シナリオに通好みな勢力が追加されている。
    • 具体的には蜀の地で最期を遂げた鍾会と鄧艾や、淮南の三叛をまとめた毌丘倹などがそれに当たる。もちろん君主となるのは初。

総評

一万円を超えるバグゲーをリリースしてユーザーの信頼を大きく失ったコーエー。このような事態が起きた理由として、開発時期が決算間近であったことが挙げられる。
「糞藝爪覧」事件についても、決算期に合わせる形で到底無理な納期を要求され、不本意な形で手放さざるを得なくなった現場の「ささやかな抵抗」であると言われている。

だがしかし、結局のところそういった現場の衝突によって実害を被るのは、他でもないユーザーなのである。
どんな理由があるにせよ、ユーザーを裏切る数多くのバグと企業問題レベルの悪ふざけは決して看過できる問題ではない。

本作の存在がコーエーの企業体質の問題をこれまで以上に表面化したことは紛れも無い事実だろう。
目先の利益に囚われて中途半端な物を売る事は、巡りめぐって自身の首を絞める……コーエーがその事に気付くのは、一体いつになるのだろうか。

余談

  • 糞藝爪覧」事件が起こった。三國志シリーズの凋落と不信を象徴する代表的事件である。
    • あるユーザーによって、武将データベースの中に「糞藝爪覧」という名前の武将が発見されたことが発端。
      • 当然だがゲームには登場せず、データベースを直接見ないと確認できない。
      • この武将は「フンゲイ ソウラン」と仮名振りされているが、「クソゲー つまらん」と読むことができ、武将説明文にも「あーつまらん」と一言だけ記述されていた。
      • 悪ふざけとしては明らかに度が過ぎる。だが、逆に「何らかの理由によって開発陣の士気が大きく下がり、本作の開発が投げやりになっていたのではないか」と憶測を立てることもできる。

三國志11 パワーアップキット

【さんごくしいれぶん ぱわーあっぷきっと】

対応機種 Windows 2000/XP
プレイステーション2
Wii

発売日 【Win】2006年9月8日
【PS2/Wii】2007年3月21日
判定 改善
ポイント 粗も残るが及第点に足る内容
CS版はさらに優秀
廉価版 【PS2/Wii】KOEI the Best:2008年11月13日/3,990円
【PS2】コーエーテクモ定番シリーズ:2010年9月2日/2,079円

概要(PK)

『三國志11』のPK版。
ユーザーからの第一印象こそ芳しくなかったものの、追加要素の充実などもあってまずまずの評判を獲得。
少なくともクソゲーでは無い内容となり、次作『三國志12』までに大きく時間が空いたこともあって多くのやりこみプレイも生まれた。
今ではその評価の回復ぶりは、作品自体の意外な奥の深さもあってシリーズ屈指の充実具合を誇る攻略wikiからも見てとれる。

追加要素

内政要素のパワーアップ

  • 農場や市場などの一部の内政施設に「合併」の概念が加わった。
    • Lv1~3があり、合併することでLvが上がる。Lvが上がると収入が増加するが、その分建設までに時間も要する。
    • 合併の際は同じ施設同士が隣り合うように効率よく配置する必要があるので、限られた建設地をどう使うか、というパズル的要素が加わっている。
    • 主要な内政施設のレベルを全てLv3にすると見栄え的にも美しく、達成感がある。
      • ただし市場・農場は高レベルの施設1つより低レベルの施設2つの方が効果が高く、そもそも敵に破壊されては元も子もない。時には戦略上あえて低いレベルに留めておくことも必要となる。
  • 闇市場・軍屯農・人材府など、10種類の新内政施設が追加された。
    • どれもひと癖ある効果を持ち、一部を除いて有用性の高いものとなっている。
    • 中には既存の内政施設の効果を高める隠し効果を持っているものもあり、建設地の割り振りなどの面で戦略性が増している。

研究システムのパワーアップ

  • 一定期間をかけることで、特定の特技を武将に付加したり、武将の能力を限られた数値・回数まで育成できる「能力研究」が搭載された。
    • 付与できる特技も能力を上昇させることができる回数も限られているため、計画的に使う必要がある。
    • 愛着のある武将を自らの手で文武両道の名将に育てたり、能力の低い武将でも内政や物資輸送で活躍させることができる。
    • 統率・武力・知力・政治のどの分野を重点的に研究するかは自分で選べるため、勢力状況に合わせた研究方針をしたりと、頭を使う場面でもある。
    • ランダムで強力な隠し特技が一定数出現するため、時間をかけて研究する楽しみが増している。
  • 技巧研究に「内政」面に関する研究が追加された。
    • 物資輸送の際の移動力を上昇させたり、使いにくい港関をある程度使いやすくしたりと、地味ながら嬉しいものが加わっている。

キャンペーンモードの搭載

  • 限られたターン数内に決められた目標を達成するキャンペーンモードとして、「決戦制覇モード」が搭載された。
    • 多くは史実を基にしており、全部で20シナリオにも及ぶ。難易度も初級者向けから非常に難易度の高いものまでさまざま。
    • 通常プレイとは違う特殊な戦闘条件や勝敗条件があるため、一風変わったプレイを楽しむことができる。
    • PC版、CS版共に(内容は異なるが)クリア特典があるため、やりがいもある。
    • なお登場する武将たちの会話の中には、思わず笑ってしまうような秀逸なネタも含まれていて大変好評である。
  • CS版は、決戦制覇モードとは別に「ステージシナリオ」というキャンペーンモードも搭載されている。(CS版無印にも搭載)
    • 名称こそ異なるものの、やる内容は決戦制覇モードと同じようなもの。決戦制覇モードの追加シナリオと考えるといいだろう。
    • 全部で8シナリオで、決戦制覇モード以上にニヤリとするメタ色の強い会話が展開されるのが特徴。三国志ファンなら必見。
    • クリアするごとに呂伯奢、孟建といったCS版限定武将が使えるようになる。

追加シナリオ

  • PC版PKはPC版無印に加えて6シナリオ、CS版PKはCS版無印に加えて6シナリオ追加されている。
    • 数は同じだが、追加されたシナリオの内容はPC版PKとCS版PKで異なるので注意。くわしくはこちら
    • このうちCS版PKのみは、全てのバージョンのシナリオ15本+CS版PK限定シナリオ1本が搭載されている。すなわちCS版PKだけが全公式シナリオを遊べる
      • 特にCS版PK限定シナリオである「英雄乱舞」は、シリーズ定番の「英雄集結」シナリオの亜種とも言えるシナリオで、劉備三兄弟や孫家三代や曹家三代がそれぞれ独立していたり、張遼・諸葛亮・鄧艾・羊祜・陸遜といった珍しい君主が数多くいたりと、シリーズでは非常に異彩なシナリオ。
      • 単に君主や配下が特殊なだけでなく、勢力バランス的にも「英雄集結」より優れているおかげで評価は高い。

隠し武将

  • 無印版でも使える隠し武将32人に加え、水滸伝武将49人、CS版限定武将18人が登場する。
    • 水滸伝武将は、PC版ではPKの有無にかかわらずコーエーのユーザーズページ登録をしないと手に入れることはできない。CS版ではPKのみ決戦制覇モードをクリアすることで追加されて行く。各武将の顔グラも好評で、特徴を捉えたものとなっている。水滸伝好きにはたまらない。
      • ただし『三國志12』の戦国武将と同様、「時代と無関係な武将を追加するくらいなら過去作から削除された三国時代の武将を追加しろ」といった意見は当然ある。
    • CS版限定武将は、ステージシナリオのクリアのほか、さまざまな条件を満たして本編をクリアすることで追加されてゆく。張氏、董白など他作品で話題になった武将(?)も含まれている。

その他

  • PC版無印にあった引き抜きや豊作都市の問題は改善されている。
  • 中国語しかなかった無印に加え、日本語のボイスに切り替えることができるようになった。
  • マップ上に隠されている廟・遺跡(特技付与や能力アップが可能)の数が増え、廟によって修得できる特技の制限が無くなっている。
  • 追加シナリオを含めても最も後年のシナリオが227年から始まるものなので、三国志後半を楽しみたいプレイヤーには残念だろう。

未だに残るAIの拙さ

  • 上記のような追加要素やバグ修正により、当初のどうしようもない状態からすると相当な改善を遂げたPK版であるが、未だにAIの拙さは残る。シミュレーションのキモである「戦略性」を害する要因になっている以上は、やはり看過できない問題であろう。
  • 最終版ともいえるCS版PKにまで受け継がれた具体的なAIの拙さとしては、例として以下のことが挙げられる。
    • 合併システムや能力研究を使いこなせておらず、劣悪な並びで内政施設を建設したり、雑魚武将に優秀な能力依存系特技を与えたりする。
    • 委任部隊が味方が作った土塁を壊したり、賊が出るまで徴兵したりする。
    • 戦争に関しては特に稚拙。プレイヤーに不利な、CPUに有利な補正が大きくかけられる難易度・超級にしてようやく歯ごたえを感じられるほど。
      • 他のCOM勢力に本拠地が攻められているにもかかわらず、執拗にプレイヤー勢力の城を狙ってくる。
      • 兵科適性をまともに考えずに部隊を組む。平気で剣兵の部隊を出すわ、 呂布や張飛を衝車に乗せるわ といった、資源や人材の無駄としか思えない行為をやらかす。
      • 下邳~曲阿港間の海上遠征を敢行して兵糧切れで自滅したり、港関に妙に執着して物資や人員を大きく失ったりする。一応、プレイヤーがこれを実際にされると非常にうっとうしいのだが、プレイヤーが求める「手ごたえ」とはなにか違う…。
  • やはり拙さのほうが目立つのだが、逆に以下のような面もあるため、「AIが完全にクソ」というわけではない。
    • 城に優秀な武将が十分にいるときは、それなりに弱点を補完したような主将と副将の組み合わせで攻めてくることが多い。特技面でも同様。
    • こちらが騎兵で攻めると騎兵戦法の利かない地形に逃げたり、弩兵で攻めると森に隠れたりと、地形効果を考慮した部隊移動をしてくる。
    • 意味のない場所に火罠や建設物を建てることもあるが、意味のあるところにもちゃんと建てる。意外に苦労させられることも多い。
    • 火罠の使い方が意外と上手い。

総評(PK)

不満点も残るものの、クソゲーレベルの深刻な問題は解消したと言える。ボリューム的にも充実し、特にCS版PKはなかなかのもの。
内政施設合併システム、能力研究などの追加要素はどれも好評で、戦略ゲームとしての奥行きは無印に比べると格段に上がっている。
キャラゲーとしての優秀な土台もあるため、伝統的なおバカAIを三国志愛(脳内補完)でカバーできるプレイヤーにとっては、十分お勧めできる作品である。

ただ、逆にいえば脳内補完が必要なほどのおバカAIが未だ残っているわけで、PKを含めても「クソゲー」と評するプレイヤーがいることも致し方ない。
良くも悪くもシリーズ屈指のキャラゲーと言えよう。


余談

  • PC版とCS版では、追加要素だけでなく、COM勢力の育成や騎兵の騎射の仕様などの細かい部分が異なる。購入の際は攻略wikiで確認するといい。
  • 本作の発売以降、2011年に『三國志12』が発表されるまで数年間三國志シリーズはDS/3DSやPSPへの過去作のリメイク移植が行われるのみとなっていたが、 これは本作での失態というよりも、『オプーナ』の影響が尾を引いていた可能性のほうが高い。