メトロクロス

【めとろくろす】

ジャンル アクション
対応機種 アーケード
販売・開発元 ナムコ
稼働開始日 1985年5月
配信 プロジェクトEGG
2020年12月18日/880円(税10%込)(2021年9月30日に配信終了)
判定 良作


概要

各ラウンド毎に与えられた制限時間内にゴールを目指して行く横スクロール2Dアクション。 厳密にはアクション要素を含んだ横視点のレースゲームともいうべき作風となっている。主人公は「傷だらけのランナー」(公式名称)。

ゲーム内容

  • 主人公ができることはジャンプと走ることのみ。レバー上下で移動、レバー右で加速、レバー左で減速。停止後は大変遅い上利点はないが、後退もできる。ジャンプボタンで、押した時間等とは無関係に一定の高さでジャンプする。
  • 既存のジャンプアクションとは一線を画しているゲーム性として、独特の障害物やアイテムがある。
    • 緑色のスリップゾーンに乗ると、移動速度が減少してしまう。最大速度でジャンプすると2枚分飛び越せるが、ジャンプ直前にほんの少し左にレバーを入れた後に右に入れることにより3枚分飛び越すことができる。
    • 落とし穴に落ちると這い上がるまでタイムロス。
    • 少し四角くへこんだようなパネルはクラッカーで、普通に乗ってしまうと高く打ち上げられて転んでしまいタイムロスになるが、ジャンプボタンを押しながら乗ると、遥か遠くまで高速でジャンプできる「クラッカージャンプ」という、ハイテクニックと言うか必須テクニック(後述)がある。
    • コースに設置されているハードルやパネル間からせり出す壁は走行中に接触すると転倒する。ジャンプ時に十分な高度が無い状態だとつんのめり状態となり減速および小時間操作不能になる。
    • 転がってくるジャンボ缶や弾んでくるジャンボタイヤに接触するとペチャンコに潰される。ジャンプ中の接触はハードル等と同様。また、ジャンボ缶は転がってくる際の挙動が「前方にまっすぐ転がってくる」ものと「前方に高速で転がってきて途中で1回スクラッチするように後退してから再度前方に転がりだす」ものの2種類ある。
    • 巨大なチェスの駒が邪魔してきて接触すると転倒する。駒は実際のチェスのルール通りパネルを移動をして、桂馬飛びの要領で動くナイトと8方向に1マスずつ動くキングの二種類がある。
    • 四角いキューブがゆっくりと転がってきて、これに触れても潰される。ジャンボ缶やジャンボタイヤとの違いは縦にも転がる事。
    • 途中ネズミがとりつき最大速度が減少する場合があるが、レバーを素早く操作することによって振りほどくことが出来る。
    • 本作に自機へのダメージといった概念は無いため、これらの障害物で転倒しようが潰されようが、制限時間が残っている限りランナーはその場で復帰する。あくまでもタイムロスが問題なのである。
  • プレイヤーを助けるアイテムとして以下のものがある。
    • 道中2種類の缶が登場。
      • 青い缶はジャンプで踏み潰すと2秒タイマーが停止。接触すると蹴って得点になる(後述)。踏み潰した際のタイマー停止は厳密には「最後に青い缶を踏み潰した瞬間から2秒停止」なので、缶を連続で踏んでも停止時間が累積加算されるわけではない。例えば「1個踏んだ1秒後に、更にもう1個踏んだ」場合は合計3秒止まる。
      • 緑色は踏み潰すと青色のものよりも長時間タイマーが停止、接触するとスピードアップする。
    • 「黄色いジャンプ台にジャンプボタンを押したまま突入する」とハイジャンプが可能。このハイジャンプは、かなりのスピードが出る。なおジャンプボタンを押していなくても小ジャンプをするだけでクラッカーのように転倒することはない。スピードに一切影響が無いが。
    • スケートボードに乗ると、ランナーが自力で走るよりも少し早い速度で移動可能な上にスリップゾーンの影響を受けない。ただし、その間はジャンプができない(障害物に接触し転倒するか、ジャンプボタンを押すかジャンプ台に乗りジャンプする、もしくはゴールゲートを通過するとスケートボードを乗り捨ててしまう)。
  • ジャンボ缶を飛び越したり青い缶を蹴ったりすることによって得点が入り、ゴールすると残りタイムに応じて得点が入る。
  • 隠しボーナスとして、「クラッカージャンプを使って枠の上を飛び越してゴールすると5000点」「スケートボードに乗ったまま別のスケートボードに接触すると2000点」「スケートボードに乗ったままゴールすると10000点」と他の要素よりも高得点である。
  • 全32ラウンドで、4ラウンドを区切りに1ステージとなっている。
    • 各ステージの最後(4の倍数ラウンド)は基本タイムが厳しくなっている代わりに前3ラウンドの残りタイムの合計が加算されるようになっている。
    • 32ラウンドをクリアするとゲーム終了となり、ハイスコアランキングのラウンド数には「SIR」の文字が表示される。

評価点

  • 概要で説明した通り、ただ走り、ときにはジャンプし、ゴールを目指すだけというシンプルなシステム。
    • 知りうる限りで、これ以上シンプルかつ単純でわかりやすいシステムを有したゲームは存在しない。
  • パターンを練りこんでいくことにより、自分が上達していることが実感できる。
    • スコアはゲームの進行に直接影響を及ぼさないため、クリアするだけならランダム要素はほぼないと言ってもいい。
  • ゲーム全体のスピード感・リズム感は素晴らしく、32ラウンドもあるのにプレイしているとそれほど長いとは感じさせない。むしろ「もっとやりたいな」の物足りなさすら感じるほど。(クリアするまでは20分後半~30分前半程度である)
  • 音楽が秀逸。作曲者は『ニューラリーX』『ギャラガ』『マッピー』『リブルラブル』等を担当した、ナムコ黎明期の天才・大野木宣幸氏。
    • 軽快でノリのいい節回しながら、どこか哀愁を漂わせたジャズ調のメインBGMは特に有名で、耳に残る。全く異質なベクトル・質を持つ曲を、レースゲームでありながら違和感なく合わせているという点も特筆もの。
    • メインBGM自体は1種類しかなく曲の総数も少ないが、ノリと曲調も統一感があり、ナムコレトロミュージックの代表作の一つに挙げられることもある。

問題点

  • 制限時間はかなりシビア。難易度も非常に高い。ちなみに、競技性の高い完全パターン化可能なゲーム内容故か、難易度設定を変更しても制限時間が変わるだけ(=多少~多々ミスがあっても間に合うようになるだけ)である。
    • それゆえ、見た目より自由度が少なく、後半に進むにつれてほぼ決まりきった攻略をしないとクリアは困難。
    • 制限時間が迫ってくると、フィールド内に火花のようなエフェクトが走り、プレイヤーの焦燥感を煽ってくる。
    • 前述の4の倍数面以外では、制限時間の持ち越しもできないので、他のレースゲームのように序盤で残りタイムを多く貯めて終盤でそれを取り崩すようなプレイはできない。
  • パネルの隙間1ドット(いわゆる線上)に移動すると縦移動をしない障害物の影響を受けずに走れるのだが、終盤はその前提としたバランス構成がなされている。
    • この方法ではスリップゾーンでの減速は防げないのだが、スケートボードに乗ればこれも防げるため、後は(チェス駒やキューブ、ネズミが出ない限り)ゴールするまで眺めるだけになる(ゴールするとスケートボードは無くなる)。
      • ただし、ステージによってはスケートボードよりもスピードが出るジャンプ台やクラッカー等が配置されている場合もある。また、途中で青い缶を踏むなどしてタイマーを一時停止させたければ、スケートボードから降りる必要がある。そういったケースもあるため、スケートボードで安全な軸に軸合わせをしたからといって楽勝とは限らない点に留意。
  • 同様に、本来隠しテクニックであるはずの前述の「クラッカージャンプ」も終盤ではほぼ必須で、使いこなせないと非常に厳しいバランス*1。ちなみに、AC版ではかなり判定が甘くやりやすいが、FC版では判定がシビアになっている。
  • グラフィックは似たような背景が続くため単調。ただし、寡黙で謎の多い舞台設定ゆえ、それもゲームの味のひとつとも言える。
  • ハイスコアを狙うとなると、途端にランダム性の強いゲームになる。
    • 理由は缶を蹴ることにより得られるボーナス点の存在。連続で蹴ることにより最終的に5000点ものボーナスが得られ、非常に大きなウエイトを占める稼ぎなのだが、困ったことにこの缶、蹴った際にどこへ飛ぶかは「ランダム」であり、5000点が入る前に画面外に飛び出してしまい、それ以上蹴れなくなることも。
    • このため、稼ぐためにはタイムと相談しつつ画面外に出ないように祈りながら缶を蹴りまくる必要がある。
    • なお、前述のように難易度設定を変更すると「制限時間が変更される」。残った制限時間はスコアに換算され、また制限時間が変わるとそれだけ缶蹴りに費やすための時間の余裕も変わる。すなわち、難易度設定がスコア効率に直結するため、クリアのための最適パターンは変わらないにもかかわらず、標準設定でない環境でのスコアは意味をなさない。

総評

長所が少なく短所が多いという難点を抱えたゲームに見えるが、そのあまりにも単純明快かつ解りやすいシステムが全てを覆す利点と化しているという稀有な作品である。
ストーリーや世界観よりも、ストイックに最短タイムを突き詰める行為に重きを置き、ひたすら上を目指すことに酔いしれる、純然たる競技用ゲームと言ったところか。

移殖

  • FC・PS・360DLC・Windowsに移殖されている。
  • FC版では主に以下の変更点がある。多岐に渡るが、代表的な点を記載。
    • 緑の缶はパレットの都合か黄色になっている。また、取得してもすぐには効果を発揮せず、ストックすることができる。任意のタイミングでBボタンを押すことにより発動できる。コンティニューするまで持ち越せる。
    • 缶を連続して10個踏むと、地形トラップにも障害物にも8秒間無敵になり、なおかつ移動スピードが増加するお助けアイテム「スペシャルブーツ」が出現する。
    • 同一のラウンドで落とし穴に5回落ちると、制限時間が戻った上でそのステージの最初からやり直しとなる仕様が追加。
    • 隠しボーナスの追加。ラウンド内でジャンプ台で20回ジャンプしたり、スケボーに乗ったまま落とし穴に落ちたり残り時間5秒丁度でクリアすると他作品のナムコキャラが登場しボーナスが入る。
    • 4の倍数のラウンドで基本タイム内でゴールすると女の子が出てきてキスの祝福を受ける、ランナーの休憩を見られる、などのシーンが追加された。
    • AC版には存在しなかったエンディングシーンが追加されている。
    • 全32ステージをクリアしてもゲーム終了とはならなくなり、エンドレスでループする。しかし…
      • 「1周する度に各ステージの制限時間が1秒ずつ短くなっていく」のだが例外事項は無く、際限無く制限時間が短くなっていく苛烈な仕様となっている。それが原因で正規のプレイでは、ノーコンティニューで4周目25面を突破する事が理論上不可能となっている。コンティニューありで「スペシャルドリンクの効果を次のプレイに強引に持ち越す」裏技などを使えば一応この4周目25面を突破出来るのだが、この先に進んでも5周目9面も制限時間が短すぎてクリア不能となっている。5周目9面については裏技を使っても間に合わない。
  • 2020年12月18日からはプロジェクトEGGにてアーケード版が配信開始(2021年9月30日に配信終了)。ただし、タイトルが『エアロクロス』と改題された上での配信となっている*2。奇しくも後述にある「開発中止となったリメイク版のタイトル」がここで拾われたという形となった。

余談

  • ミスした際の「YOU TIME IS UP」は日本人の感覚からすると適正でないようにも見えるが、試験などで「はい、そこまで」といった感じで使われる正しい英語である。
  • ゲーム開発の風景をドキュメントした映像が残っている。
    • 作品の制作風景や開発秘話の他、当時の開発風景や作業現場の状況を垣間見ることのできる、貴重な資料である。
      • ……と思われたが、本作に関わったグラフィックデザイナー・Mr.ドットマンこと小野浩氏によると取材を受けたのは開発後であり、内容含めてすべてテレビ向けにやらせで撮らせた内容だったらしい*3
        + ...
  • PS3/360向けに本作をリメイクした作品『エアロクロス』が発表されていたが、2012年に開発中止となってしまった。
最終更新:2022年03月26日 09:47

*1 一応、AC版では使わなくてもぎりぎりでクリアはできるらしいが…

*2 改題の理由は明らかにされていないが商標上の問題ではないかと思われる。ただ、Nintendo Switchの『ナムコットコレクション』では元のタイトルである『メトロクロス』のままだったので本当に商標上の問題なのかは不明。

*3 ソース:資料系同人誌『Mr.ドットマン小野浩 仕事全集 前編』