ロリポップチェーンソー
【ろりぽっぷちぇーんそー】
ジャンル
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アクション
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対応機種
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プレイステーション3 Xbox 360
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発売元
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角川ゲームス
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開発元
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グラスホッパー・マニファクチュア
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発売日
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2012年6月14日
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定価
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7,980円
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配信
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【PS3】2012年10月9日/3,150円 【360】2013年2月19日/2,940円 (2,000マイクロソフトポイント)※共に通常版のみ
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レーティング
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通常版
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CERO:D(17才以上対象)
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PREMIUM EDITION
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CERO:Z(18才以上のみ対象)
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廉価版
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通常版
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2013年2月14日/3,980円
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VALENTINE EDITION
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同時発売/4,980円
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判定
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バカゲー
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ポイント
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ゾンビゲーだがコメディ豊富 アメリカン+B級映画らしい世界観と設定 アイディアは面白いが一部のQTEでやる気を削ぐ コラボ衣装についてはミスマッチ
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概要
ゾンビハンターの一族である金髪アメリカ人女子高生チアガールがチェーンソーでゾンビをなぎ倒すコメディタッチのホラーアクションゲーム。
シナリオは後に映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』でブレイクしたジェームズ・ガン氏と結城昌弘氏が共同で務めている。
ストーリー
サン・ロメロハイスクールに通う女子高生のジュリエット。
ある日、ジュリエットが登校するといじめられっ子のスワンが腹いせに魔術でゾンビを召喚し、学校と街の人間がほとんどゾンビになってしまっていた。
恋人のニックが無謀にもゾンビに立ち向かっていたが、返り討ちにありゾンビ化間際の状態。
ジュリエットはそれまで秘密にしていたゾンビハンターの家系ということを明かし、ニックの生首だけを生かす秘術を使い、ニックを助ける。
ジュリエットはハンターとしてゾンビの浄化を行うべく、愛用のチェーンソーを振り回す。ニックの生首を腰からぶら下げながら…。
特徴・評価点
徹底したアメリカンテイストとB級映画臭
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須田剛一氏が製作指揮を取る、須田ゲーらしい徹底的にアメリカンテイストで塗り固められたぶっ飛んだ設定と世界観。
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上記の概要・ストーリーを見れば分かるが、全編エログロナンセンスなB級映画のノリ。当然人を選ぶが、それだけに好きな人にはたまらない。
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登場人物はゾンビハンターであるスターリング家、及びその関係者。主人公ジュリエットと相棒のニック以外の登場人物は操作することも共闘することもなく、ムービーのみの登場となっているが、全員一癖も二癖もあるキャラ付けをされている為、印象は強い。
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例えばジュリエットのパパは凄腕ハンターで親バカロックンローラー。ママは戦闘中にどうでもいい内容の電話をかけてくる。姉はこのゲームには似合わない程に硬派なスナイパー。妹はギャルでロリータ趣味のトラブルメーカー。ジュリエットの師匠は日系二世のスシバーマスターで凄腕のゾンビハンターだが、ジュリエットのスカートを捲りたがるエロ爺。
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各ボスは「魔界から呼び出された使徒」だが、この言葉からは連想できないようなパンクでロックンローラーなゾンビ達。例えば1面ボスのゼッドはギタリストでモヒカンを飛ばしてくる。2面ボスのビッケはドラマーでヴァイキング風の外見。
こだわりの感じられるビジュアル
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「ゾンビゲー」というイメージとは裏腹に、本作は徹底的に「明るさ」「可愛さ」「ギャルっぽさ」を押し出している。
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画面はピンク色を基調に作られている他、チアアクション(後述)を当てることで星が舞う。ジュリエットの武器・チェーンソーからして、可愛らしくピンクにデコられている。
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ゾンビゲーにも拘らずほとんど流血描写はない。血しぶきやゾンビを斬った時の切断面もピンク色でキラキラしている。これにより、グロテスクさを多少なりとも和らげている。
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デザインやCGもリアリティを追及し、アメリカ映画かドラマのような端正な顔立ちでスタイルのいいキャラクターばかり。
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やり込んでいくとジュリエットの衣装も手に入る。ジュリエットがアメリカ美人なだけに、衣装収集にも熱が入るというもの。
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BGMもグロいビジュアルからは想像できないほど陽気。チアガールの組体操の時にかかるようなアップテンポで明るい曲ばかり。
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タイトル通り、ザ・コーデッツの「ロリポップ」もショップやメニューを開いている際のBGMとしてかかる。
バージョン商法
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同じタイトルで4バージョンも存在する。CERO:D(17歳以上対象)の通常版がPS3と360で2バージョン、CERO:Z(18歳以上のみ対象)の「ZAKUZAKU Ver」と通常版と同じCERO:Dの「KIRAKIRA Ver」を切り替え可能な『PREMIUM EDITION』がやはりPS3と360で2バージョン。
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何故PS3と360でバージョン違いと見做すかと言うと、これらのバージョンでそれぞれダウンロード出来るコスチュームが違うからである。
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『PREMIUM EDITION』では「ZAKUZAKU Ver」を選択出来る他にも、英語音声を付加させている等の付加要素が存在する。
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細かいようで重要なバージョンの差異として、日本語音声のジュリエットの声優がPS3版(日笠陽子氏)と360版(喜多村英梨氏)で異なるという点が挙げられる。ただし、ゲームをクリアした後は両者を切り替えられる仕様となっている。
多彩なアクション
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チェーンソーアクションとチアアクションを組み合わせた、バリエーションの豊富な攻撃方法。
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チェーンソーアクションは攻撃力が高く、下段攻撃には足を切り動けなくさせる効果が付加されている。
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チアアクションは攻撃力は低いものの、吹き飛ばしや気絶効果がある。気絶させたゾンビは一撃で倒せる。
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チアアクションで気絶させ、チェーンソーで一網打尽にすることで専用演出が入り、評価ポイントであるメダルのランクや入手数が上がる。
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ゾンビ討伐で獲得したメダルはショップスポットにて回復アイテム・アクション・コスチューム・ギャラリーと交換できる。
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ステージが進むと強化チェーンソーが手に入り、更に特殊なアクションが可能となる。
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複数のマフラーが付いたチェーンソーダッシュに、弾倉が付いたチェーンソーブラスター。さらにはニックの生首を飛ばすチェーンソーまで。チェーンソーとは…。
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これらのチェーンソーは通常アクションの延長と言うより、むしろミニゲーム的な使用法をすることになる。
賛否両論点
良い意味でも悪い意味でもB級。
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「須田剛一らしさ」を前面に押し出した、ズレたアメリカンテイスト・エログロナンセンスは人を選ぶ。
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本作にはほとんどストーリーは存在しない。ゾンビが発生、だから倒すという単純明快な構造以上のものを期待してはいけない。ゾンビ映画にストーリーを求めてはいけないのと同じ理由である。
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つまり本作を楽しめるかどうかは「アメリカンチアガールが好きか」「ゾンビをひたすらチェーンソーで切断することを楽しめるか」という点に集約される。もっとも、そういった要素を嫌うような人は本作のパッケージを手に取りはしないだろうが…。
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このアメリカンテイストは欧米では比較的好評のようで、日本の数倍の販売数がある。ゾンビもののホラー映画が日本以上に人気という背景もあるのだろう。
やりこみ必須なゲームバランス
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敵ゾンビがやや硬めに設定してある。
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基本的にチアアクションで削り、チェーンソーで叩き斬るという手順を踏むことを前提として作ってあるので、1つのアクションを連打するだけではなかなか敵を倒せない。それどころか、後半のステージではすぐにやられてしまうだろう。
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このため、無双系アクションを想像していると敵の硬さに戸惑い、ストレスが溜まる。
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誤解の無いように言っておくと本作は爽快感が無い訳ではない。アクションを集め取れる行動を増やしていくことで、それに応じプレイングも上達していき、最後のアクションを取る頃には敵をバッサバッサと倒せるようになっている筈だ。
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つまり、本作はある程度やり込むことを前提としている。これはメダル交換で入手するコレクション要素が非常に多いことからも明らかだ。
生徒救出ポイント
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学校内・街中にゾンビに襲われている生徒が残っており、ステージ内で助けることで評価が上がる。
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しかし中には救出の難易度が高いものもあり、ゾンビをなぎ倒し続けたい側としては爽快感が削がれる。
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生徒全員がゾンビになっているよりは気持ちが楽だが…。
雰囲気を壊している点
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「サン・ロメロ・ハイスクール」という高校名からも分かるように、本作には新旧様々なゾンビ映画のパロディが仕込まれている。
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それだけなら良いのだが、唐突に『北斗の拳』ネタをぶち込んでくるなど、アニメや漫画のパロディ描写もかなり多い。
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B級映画のノリと言ってしまえばそれまでだが、「アメリカのハイスクール」を舞台にした作品として、雰囲気を壊しているとも取れる。
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また、ゲームデザイン上ステージにいくつもの仕掛けがあり、学校内という雰囲気を壊している。
当時話題だったアニメとのコラボ
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当時話題となっていたアニメとコラボレートした衣装がある。
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コラボ作品は『学園黙示録 HIGHSCHOOL OF THE DEAD』『これはゾンビですか?』『魔乳秘剣帖』『デッドマン・ワンダーランド』の4作品。
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アメリカンな体型・顔つきのジュリエットとの相性は正直良くない。
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正確には『HOTD』と『魔乳秘剣帖』はコラボ先のほうが爆乳なのだが日本の学生服にくノ一服とジュリエットに合わない。『デッドマン・ワンダーランド』はジュリエットと合わないこともないがサン・ロメロハイスクールと合わない。『これゾン』が一番悲惨で体型・雰囲気共に合わない。どれも絶妙に噛み合わない悲しい結果となっている。
問題点
頻繁に登場するQTE。
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本作にはQTEがかなりの頻度で登場する。ゾンビアクションである以上、様々な障害物を突破する必要があるのは言うまでもないが、そのほとんどにQTEが必要。
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柱を切断するのにもQTE、壁に穴を開けるのもQTE、ボスにダメージを与えるのもQTE、トドメを刺すのもQTEと言った具合。
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それ以外にも、ステージにはゾンビの胴体にニックの頭を乗せ操作しないと進めない箇所が存在するが、この操作が全てQTEであり、失敗すると即ゲームオーバーである。
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にも拘らずオートセーブポイントが少ないので、ゲームオーバーになったポイントからかなり遡って再開という場面も多い。
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特にラスボス戦で顕著。かなりの数のQTEをこなすことになるのだが、1つでも失敗するとボス戦の最初からやり直し。
面倒なミニゲーム。
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本作には本来のアクションと関係なくミニゲーム的な要素が多数含まれているが、テンポを削ぎ、周回プレイを阻害している。
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通常アクションとは全く異なる操作が要求されるので、そういったものが苦手な人にとっての難易度を上げている。その上、ミニゲームに失敗しても死亡扱いとなる。
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前述したように、本作は何回もプレイしてメダルを稼ぎ、上達していくタイプのゲームである。しかしその度にバスケットボールやら野球やらをやらされていては面倒極まりない。
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しかもこのミニゲームには、展開上の必要性もない。何故入れたのか、意図が不明瞭である。
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例を挙げると、「芝刈り機」のゲームは「牧場でジュリエットがキノコを斬ったことで幻覚を見てしまい、夢の中で芝刈り機でゾンビを倒す」というもの。ちなみに、このミニゲームは同ステージに2回登場する。
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また、チャプター4はゲームセンターが舞台で合計4つのレトロゲーム風ミニゲームが用意されている。特に最後のミニゲームである『クレイジー・クライマー』風ミニゲームは難易度が高く、そのミニゲームを弾を撃たずに攻略すると取れる実績・トロフィーが存在し今作のコンプリート最大の難所との声も高い。
1チャプターが長い。
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前述したように本作は周回前提となっているが、チャプターが細かく分けられておらず、周回しづらい上に冗長。
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1ステージで1人ボスを倒すというつくりで、本作全体でステージ6までしか存在しない、と言えばどの程度の長さか伝わるだろうか。
その他
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『PREMIUM EDITION』が通常版の事実上のアッパーバージョンであり、アンロックコードも存在するので通常版の意味が薄い。
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廉価版が『PREMIUM EDITION』のみというのが如実に語っている。
総評
バージョン違いや下記のE3のコンパニオンで注目は得た。
須田剛一氏らしいズレたアメリカンテイストはキャラクターや世界観設定では良い方向に発揮されている。
だが、多数のアピールポイントがあるにも拘らず、一部がアクションと合わず、著しくテンポを悪くさせプレイヤーのやる気を削ぐ結果となっている点が惜しい。
余談
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E3に当作品を出品した際、ジュリエットのコスプレをしたコンパニオン(ジェシカ・ニグリ氏)を用意したら、コスチュームが際どいとして運営側から着替えor退場を2回も要求された。須田ェ…。
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なお、ジェシカ氏はプライベートで自身のヌードを公開したりもしている。18歳以上で興味のある方は各自で検索されたし。
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ジェシカ氏の件で各方面のエロい人から高評価を受けた一方で、日本版公式レイヤーさんはジュリエットらしさが感じられない(可愛いことは可愛いのだが)。
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ジェシカ氏はアメリカ版イメージガールという触れ込みだったが、コスプレ写真のSNS投稿数とフォロワー数でギネスブックに載るほどの日本のアニメ・ゲーム好きなためか国内の各イベントで来日し参加している。
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後日、『PREMIUM EDITION』のみPS3/360版衣装が共通で使えるパーフェクト・アンロックコードが有料配信された。
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なんと、廉価版にも豪華特典が付属する限定版がある。
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脚本を担当したジェームズ・ガン氏は2021年に公開された同名のアメコミが原作の映画『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』は、本作からインスピレーションを得ていることを公式インタビューで明かしている。
その後の展開
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本作の発売10周年を記念したリメイク版『Lollipop Chainsaw RePOP』が発売。
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開発・発売元は角川ゲームスから分離したドラガミゲームスが担当。対応プラットフォームはSwitch/PS5/XSX/Win(Steam)で、Win(Steam)版が2024年9月12日、Switch/PS5/XSX版が2024年9月26日に発売された。
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後にPS4/One版の発売も発表され、2024年11月中に発売を予定していたが、同年12月2日に変更となった。
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2024年12月20日には、Win(DLsite)版も発売。
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リメイクにあたり、QTEの改善と新チェーンソーの追加が行われた。オリジナル版で使用されていた版権楽曲16曲は差し替えられ、衣装は他社版権は全て削除される代わりに、新規の衣装が追加されている。また、ジュリエット役の声優に新しく田村ゆかり氏が追加するなど、オリジナル版とは異なる要素を収録している。
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なお、原作のスタッフである須田剛一氏やジェームズ・ガン氏は、リメイク版の製作には関わっていない。
最終更新:2025年03月23日 11:03