ライフフォース
【らいふふぉーす】
ジャンル
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横シューティングゲーム
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対応機種
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アーケード
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発売・開発元
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コナミ
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稼働開始日
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1987年6月
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判定
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なし
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ポイント
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逆輸入版と思いきや… グラシリーズきっての友情破壊ゲー
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グラディウスシリーズ
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概要
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本作は、『沙羅曼蛇』の海外版として発売された『LIFE FORCE』をさらに逆輸入……したかのように見せかけて、グラフィックを生物的にして、パワーアップシステムを『グラディウス』方式にし、一部BGMを差し替えた作品。
つまり、本作は『沙羅曼蛇』のマイナーチェンジ版に相当する作品である。
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海外版『LIFE FORCE』にはストーリーデモが挿入され、アイテム名が異なる等の要素があるが、本作ではストーリーデモは削除され、ステージ背景が異なる。
要するに同じ『ライフフォース』でも海外版と国内版の2種類ある事になる。以下、本項では基本的に国内版に準拠して解説する。
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後に『沙羅曼蛇 DELUXE PACK PLUS』で本作が収録された際も「海外版を収録か」と混乱を呼んだ。
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後にPS4及びSwitchでのアーケードアーカイブス版『沙羅曼蛇』にて、原作・海外版・そして国内版の本作の3本が同時収録された。
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本作はマイナーチェンジ版の立場でありながら、当初はグラディウスシリーズ第3弾と扱われたこともある。
オリジナルとの主な違いと主な追加要素
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パワーアップシステムは『グラディウス』と同様のカプセルゲージ方式に変更。
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これに合わせて通常ザコの一部がカプセル持ちに差し替えられたり、カプセル持ちの出現位置が追加されたりしている。
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2人プレイ用ゲージのレイアウトで各3*2段表示。
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ダブルのポジションにリップルレーザー(パルス)が該当する。
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1P側(青:ビックバイパー)と2P側(赤:ロードブリティッシュ)でパワーアップゲージの順番が異なっている。マルチプルとレーザーが最初の方に来る2P側のほうが有利。
ロードブリティッシュのネックと言えばスピードアップが取りづらいくらいだが、『沙羅曼蛇』の時点でスピードアップアイテムの出現数が少なく、その分スピードアップなしでも攻略可能なぐらいに自機の移動速度は速いので問題にはならない。
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装備の名称は海外版に準拠。そのため一部は名称が違っている。
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例:「ミサイル」→「デストラクトミサイル」、「リップルレーザー」→「パルス」
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バリア名も本作から(海外版から?)「シールド」に…。
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スピードアップの効果は『沙羅曼蛇』基準。本作の0速は『グラディウス』での1速相当の移動速度となっているのも同様。
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ストーリーが『巨大生命体「ライフフォース」の体内へ侵入』へと変更。
それに伴い一部の敵・地形・背景グラフィックの差し替えやカラーも変更。主に生物系への変更の為グロテスクである。
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お茶ドゾーでお馴染みのテトランも何故かゴーレムに続いて脳ミソ野郎に(サイラン)、同じく機械のデスもグロテスクな見た目のボス(ガウ)にグラフィックが差し替えられた。
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1面は元が元なので余り変わり映えせず、同様に4、6面も地形のグラフィックが同一な事からあまり変化が無い。
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うち、4面はボスのヴァリスも単にコアのデザインが変わっただけで代わり映え無し。
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2,4,5面のBGMの差し替え。前作の一部の未使用楽曲をアレンジしたものに変更。
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追加された楽曲はどれも名曲との呼び声が高く、各種前作のアレンジ移植版に差し替えで収録された事も。
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新たなボイスの追加。これら新ボイスは一部を除き海外版の物をそのまま流用した物である。
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海外版からそのままボイスを大量に流用したおかげで、只でさえ喋りまくっていた前作以上にしゃべりまくる展開になった。
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スコアエクステンド、クレジット制の実装。一般のアーケードゲームの仕様に戻った。
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一部の安置及びバグの削除。
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イントルーダーの胴体にレーザーやミサイルを当て続けると当たり判定が消滅するバグや、ヴァリスの弾封じ、人にも依るが6面の中ボス「ビッグコア」の安地が無くなり、「完全パターンにはまってそのエリアは空気扱い」という訳でもなくなったものの、敵のパターン自体は劇的に変化が無く、むしろ本作では「判定の有無に関しての凡ミス」が最大の敵と言える。
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但し3面で地形のゴミが出たりと新たなバグも。
評価点
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仕様変更の恩恵。
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パワーアップシステムの変更により、1面からいきなり強力なレーザーを使えるようになったり、前作のインストに書いてあった4方向シールドの実現が可能に。
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ただオリジナル版自体シールドの装備が必須ではない作品の為、4方向シールド自体が「前作のファンサービス止まり」と指摘するプレイヤーもいるとか。
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3面道中で前衛編隊以降もアイテムが出現するようになったので、ミス後の復帰がやりやすくなったのは嬉しい点。
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スコアエクステンドが実装されたことで、1クレジット時にプレッシャーをあまり感じなくなった。
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シリーズおなじみのガウが初登場。
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本作でのガウは、5面ボス「デス」のキャラ替えとしての登場で攻撃パターンもオリジナル版と同一。各々が固有の攻撃パターンを持つようになるのは次回作『グラディウスII』から。
賛否両論点
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クレジットを増やしても残機数が増えなくなった。
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今作でのスコアエクステンド導入は、すなわち「標準のアーケードゲームと同様の仕様に戻った」という点でもある。
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前作ではクレジットを投入しまくって強引に難所を突破するゴリ押しプレイが出来たのだが、今作では形式が変更された事により不可能になった。この点についてはSTG入門者にとっては不評だったようだ。
問題点
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焼き直し
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新規グラフィックは相変わらず美しく新曲も好評だが、ステージや地形に加えて、敵配置はおろかアルゴリズムさえもオリジナル版とほぼ同一。
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装備のラインナップも名称こそ変わっているものの、武器性能自体はオリジナル版から全く変化が無い。ステージの仕様こそ若干変更された部分があるのだが、基本的にオリジナル版で確立した攻略法がほぼ丸々通用出来てしまう。
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この為、周回時のランク上昇も非常に緩い点も相まってか、オリジナル版をやり込んだプレイヤー程本作はヌルく感じ易く、結果多くのプレイヤーからそっぽを向かれてしまう事に。
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様々な波紋をもたらした「プレイヤー席によるゲージ順の変化」
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本作では1Pと2Pでゲージの順番が異なり、レーザー及びマルチプルがゲージの最初に来る2P側が有利という特性。これに加えて装備性能もオリジナル版から全く変化が無いという事も相まってか、2P側を選ぶプレイヤーが多く、プレイスタイルの偏りを引き起こしてしまう結果に。
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「2Pが超有利」という仕様から、プレイヤー間での「操作席の奪い合い」も起こりやすく、最悪友情破壊に繋がってしまう事も。
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稼ぎ面でも不公平な点は健在で、1P側では某攻略ビデオにおける1面で有名な「このようにかせぐのだ」がほぼ不可(というのは、オプションの数は足りていてもレーザー系の装備をしていない時や、その逆。)になってしまう始末。
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上記の不公平さは開発側も問題として受け止めたようで、後に発売されたFC版『沙羅曼蛇』やそれ以降のシリーズ作品では、2P側も1P側と同一のゲージ順に固定されている。
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ただ、この年代のゲームにて「2P側が有利」というのは接待プレイとして導入される事が多々あり、沙羅曼蛇だけの問題ではない。しかし、シューティングゲームは他よりもより「個人競技」に近い為に接待プレイとして相性は良くなかった様だ。
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オリジナル版と比較して出回りが悪い
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その為か、本作はオリジナル版程知名度を得られず、PS/SSにオリジナル版とのカップリングで移植されるまではグラディウスシリーズの中でも比較的マニアックな存在であった。
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他
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ゲームの仕様上仕方がないのだが、パワーアップシステムがアイテム制からゲージ制に変更された事により、メインショットではレーザーのみを使用するプレイヤーが多発。只でさえ出番の無いリップルが完全なる空気装備になってしまった。
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非常に極まったプレイではあるが、スコアエクステンドにより残機が99機になったと同時に強制的にゲームオーバーとなってしまうバグが存在する。
総評
『沙羅曼蛇』をベースに制作された本作は、土台が土台だけあってかゲーム自体は決して悪くは無い。
独特の雰囲気とキャラクター、オリジナルで不可能だったシステムの再現と新たな評価も得てはいる。
しかし一人で腰を据えて遊ぶと(既存の攻略法が通用する関係で)飽きが来やすく、かといって二人でワイワイ遊ぼうとすると不公平な座席仕様からリアルファイトに発展する危険があるという点が、非常にもどかしい。
結果として典型的な「オリジナルを超えられない」作品に。
本作の移植版が、どれもカップリングソフトの一作として扱われているのが全てを物語っていると言えるだろう。
家庭用移植等
本作は単体移植が無くカップリング移植のみ。
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PS/SS 沙羅曼蛇デラックスパックプラス 1997年7月13日発売 5,800円
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初移植。裏技により同時収録の『沙羅曼蛇2』のタイトルを『ライフフォース2』に変更することが可能。
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PSP 沙羅曼蛇ポータブル 2007年1月25日発売 3,980円
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このカップリングの収録作すべてがそうだが、デラックスパックプラスの再移植ではなく、AC版の完全移植となっている。その為デラパの裏技は使えない。
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同作収録版では設定をいじると2P側でもスタートする事が出来るが、本作自体1人プレイ専用の為か流石にリアルファイト発生の危険性は無い。
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PS4 アーケードアーカイブス 沙羅曼蛇 2015年11月27日発売 838円
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DL専用。『沙羅曼蛇』、海外版『LIFE FORCE』、国内版『ライフフォース』の3本のカップリング収録。
余談
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FC・MSX版の『沙羅曼蛇』ではパワーアップ方式が本作同様カプセル方式となっている他、本作のBGMが前者は2面、後者は5面のBGMが使われている。
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ちなみにFC版『沙羅曼蛇』では4面に本作の5面のBGMが使われる予定があったらしく、サンプルロムの解析でその名残が確認されている。詳しくは個人ブログの記事を参照。
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以降のグラディウスシリーズにおいて、本作の1P側の装備がロードブリティッシュの標準装備として定着している。
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厳密に言うと、本来のロードブリティッシュの標準装備は2P側だが、本作のような機体バランスの崩壊を防ぐ目的で1P側に固定されている可能性がある。
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但しミサイルの軌道がグラIIの2WAY準拠だったり、レーザーが差し替えられたりする事もある。
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同時期のコナミ製アクションゲーム『魔獣の王国』には本作と同様のパワーアップゲージによる自キャラ強化法が採られている。1P側と2P側で並び順が異なっているゲージのレイアウトもそのまんま。
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ガウと同様の差し替えボスであるサイランは、元のボスが完成されたデザインであった為か人気が低いらしく、他作での客演はほぼ無い。
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一応『極上パロディウス』1面の背景で、敷き詰められたぬいぐるみの1つとして登場している。
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本作は新作ゲームがリリースされなくなっていたバブルシステムのコンバージョン用として製作されたゲームである。二枚基板の上側の基板を交換することでコンバージョンすることができた。
最終更新:2024年07月23日 17:01