FOREVER BLUE 海の呼び声

【ふぉーえばーぶるー うみのよびごえ】

ジャンル ダイビングアドベンチャー

対応機種 Wii
発売元 任天堂
開発元 アリカ
発売日 2009年9月17日
定価 5,800円
判定 良作
ポイント 6つの海を巡る壮大な冒険
前作から大幅に進化したゲーム性
FOREVER BLUEシリーズ
無印 / 海の呼び声/ルミナス



世界に散らばる「海の伝説」を求めて・・・



あらすじ


環太平洋を中心とした広範な範囲に「竜の歌」という伝説があった。
この不思議な伝説に興味を抱き、
南太平洋パオウル共和国へと大学を休学して訪れた主人公は、
ひょんなことから世界的海洋冒険家ジャン・エリックが営むRARダイバーズサービスで働くことになった。

そしてその初日……
ジャン・エリックの孫娘であり、
唯一の社員であるオセアンヌとのダイビングの途中、
彼女の持つペンダントが不思議な音を出した。
その途端、ザトウクジラが暴れ出す不可思議な事件が起こる。
(公式サイトから引用)


登場人物紹介


主人公(名前変更可)

  • プレイヤーの分身である民俗伝承を専攻する大学生。そこで知った「竜の歌」をきっかけに大学を休学してRARダイバーズサービスに入社することになる。
    • 進め方次第でガイドに水中写真家、サルベージャー、水族館のプロデューサー、環境保全活動家、イルカ調教師、コスプレダイバーと様々な役職を掛け持つ凄腕ダイバーへと成長を遂げていく。大学は大丈夫なのか?
  • 名前の他に開始時、性別と肌の色、顔の濃さを選択出来る。

ジャン=エリック・ルヴィエ

  • 南太平洋のバオウル共和国にある個人所有の島「ナインボール島」で海に携わる様々なよろず業を請け負う会社「RARダイバーズサービス」を経営する元伝説の海洋冒険家。
    • 若い頃の無理なダイビングが原因で重い潜水病を患い、現在はダイビングが出来ず船の上から無線で主人公達に指示を送る。

オセアンヌ・ルヴィエ

  • ジャン=エリックの孫娘。弱冠15歳にしてRARでツアーガイドや地図販売の業務を請け負う。
    • 彼女が持つ亡き父親の形見のペンダントが「竜の歌」の謎に迫る鍵になることになる。
    • ダイオウグソクムシなど変な生き物が大好き。
  • パートナー時の能力はズームポイントの表示範囲拡大とダイビングスポットのガイド。

ハヤコ・サクライ

  • 日本の京都出身の獣医学と考古学の博士号を持ち、水族館のプロデュースまで請け負う女性研究者。主人公達が見つけた古文書の解読をきっかけにRARの活動に参加することになる。
    • 食べることが趣味。
  • パートナーにして泳ぐとマップを開いた時、周辺の生物の一覧を「ハヤコレーダー」で教えてくれる他、その海域の1度見た生物の生態ムービーを回想させてくれる。

G・G

  • アメリカ出身の派手な活動で度々メディアにも取り上げられる凄腕サルベージャー。本名ガストン・グレイ。
    • G」は幸運のワードらしくテキスト上でもGを強調した発言をする。
    • 一見、陽気なおもしろ黒人なのだが複雑な過去を持っており、彼がメインのサブストーリー「サルベージャーの誇り」は必見。
  • パートナー時の能力はサルベージアイテムの所持数増加と周辺のサルベージアイテムの個数と海域全体に存在する未発見のサルベージ品の数をピッタリ言い当てる勘。(凄腕過ぎる…)

ナンシー・ヤン

  • 自称バオウル随一の商人。無線1本でナインボール島まで水上バイクで駆け付け、どこにしまっているのか大量のダイビング用品や生体サンゴを販売し、ネットで調べるだけでサルベージ品の鑑定を行い散髪までしてくれる。

概要

  • 任天堂が送るダイビングアドベンチャーゲームの2作目。
  • Wiiの特徴を生かした操作で各地の海へ潜り、プレイヤーのスタイルに合わせて様々なダイビングを楽しむことができる。
  • 前作のゲーム性を純粋に強化し、ボリュームを大幅に増加したものとなっている。
  • また前作ではシナリオはほぼ空気であったが、今作では存在感のあるものとなっており特にサブストーリーが非常に充実している。
  • 舞台が大幅に広がったため、それに合わせて淡水魚をはじめ生物の数が大幅に増えた。
    • 熱帯魚、深海魚、イルカやクジラなどの海の生物は勿論、アザラシなどの海獣、ペリカンなどの海鳥といった近海に生息する動物も含めた総勢300種類以上の生き物が登場する。
      • マンタ、ジンベイザメ、マナティ、ホッキョクグマ、シーラカンス、ピラニア、リュウグウノツカイなど海(とアマゾン川)で見られる有名どころの生き物はほぼ揃っている。
      • 前作では寒冷地に住んでいる生き物でも何故か熱帯の島に来ていたりしたが、本作は北極海などのステージがあるため不自然さは減っている。

特徴

  • 主人公はRARダイバーズサービスとして仕事をこなす傍らで、世界中の水域で見られる不思議な伝説「竜の歌」の謎を追っていく。
    • メインストーリーはいわばチュートリアルであり、ストーリーを進めるごとに新たなシステムが使えるようになったり行動範囲が広くなっていく。
    • 今作では南太平洋、エーゲ海、北極海、南極海、アマゾン川、紅海の6つの海域を探索でき、それぞれ住んでいる生き物や環境が異なる。
      • 潜水前に休憩して時間を進めることでナイトダイビングも可能。夜間でしか見られない魚、起きないイベントもある。
      • マップの完成度に応じて報酬を貰えるため、好きに探索していてもお金に困らない。
      • また海底にはサルベージ品が埋まっていることがあり、マルチセンサーで捜索することにより引き上げて報酬に変えることができる。
      • ある程度ストーリーを進めると水族館の展示を任され、来場者数に応じて報酬をもらうことができるようになる。
  • ストーリーを進めたり、拠点であるナインボール島でアクションを起こしたりすることでサブストーリーが展開されることもある。
    • ナインボール島では装備の購入や図鑑の閲覧のほか、称号をつけ変えたり写真をアルバムに登録したり、イルカを訓練したりできる。

システム

  • Wiiリモコンのポインターを用いた操作で海域を探索し、生き物や特定地点を注目し、様々なツールを駆使することで多様なアクションが起こせる。
    • ダイビングにはNPCやイルカのパートナーを連れていくことができ、それぞれ便利な特徴を持っている。
      • 例えばイルカを連れて行けば捕まえて泳ぐことで速度が大幅に上がるなど。サルベージ向きや生き物鑑賞向けの特徴を持つパートナーもいるため目的に応じて使い分けるのがいい。
  • 生き物に注目すると図鑑に載せることができる。種類によってはエサを与えたり写真を撮ったりすることで追加情報が与えられる。
    • 図鑑に載せた生き物は水族館に展示することができる。
  • 生き物だけでなく、珊瑚の隙間や海底の巣穴など注目して拡大できるポイントが設定されているところもある。そう言った場所にはクマノミやオハラエビ、クリオネといった小さな生き物がいたり、収集物の一つである星座コインが落ちていたりする。
  • 餌を与えると魚が集まって来たり、食べるリアクションをしたりする。またその時にリモコンを振ると撫でることができ、撫でるのに適した生き物(イルカや海鳥、海獣類など)ならば鳴き声を返したり首を振ったりとリアクションを返してくれる。
  • PULSARを持つと生き物に向けて電磁波を撃つことができ、さながら3Dシューティングめいたことができる。
    • 電磁波を生き物に撃ち込むと弱った魚を治療したり、興奮している鮫を落ち着かせたりして危険を回避できる。
    • 多くの生き物を治療すると環境団体から報酬を貰えるなどメリットもある。
  • カメラで生き物の画像を撮影することができる。ただ映すだけでなく、明度を調整したりぼかしを入れるなどのカスタマイズが可能で実にプロカメラマン仕様。
    • 出版社などが要求している写真をアルバムから送ることで報酬を貰える。
    • 撮影した写真は現像してアルバムに登録しないとセーブデータに反映されない。アルバムに登録することで写真をSDカードに保存することができパソコンなどに転送可能となる。
  • 海笛はクジラやイルカに対して使うと鳴き声を返してくれる。時にはこれを使ってクジラを誘導するなどの使い方をする場面も。
  • マルチセンサーはいわゆる探知機。海中に埋まっているサルベージ品を探すのが主な用途だが、遺跡の材質を調べるなどの謎解きの助けにも使う。
    • 一定数のサルベージ品を手に入れるとサルベージレベルが上昇し高額になる可能性のあるサルベージ品を見つけた時、カンが働くようになる。
  • 水中ペンはマップに目印をつけることができる。最後に描いた目印はセーブデータに反映される。
  • 一定時間海に潜ると浮上時にプレイヤーのダイビングレベルが上昇し、エアの効率が良くなってより長時間ダイビングが出来るようになる。
  • 報酬は先述の他にも観光客のダイビングのガイドをしたり、パートナーとなったイルカを訓練してショーを披露するなど、様々な手段で得る事が出来る。
    • 報酬で水着やダイビングスーツを買ったり、性能の良いタンクを購入する事で行動範囲が広がったり、ナインボール島の設備を増やしたりする事が可能。章が進むと買える物が増えていく。
  • 現在はWiFiコネクションのサービス終了により正規手段では利用不可だが、前作と同じくインターネットに接続することでフレンドコードを交換した相手と2人でマルチプレイでダイビングをすることが出来た。
    • マルチ中はストーリーを進めたり新種の魚を見つけても図鑑に登録することが出来ないのでこれといった目的はないが、フレンドと海で泳ぎながらテキストチャットや、別売りのWiiスピークを接続することでボイスチャットが楽しめる。

評価点

  • 美しいグラフィック
    • Wiiの中ではかなりレベルが高い。魚ごとの特徴がはっきりとわかる描写や海域ごとの壮観な風景などは見る者を圧倒する。
    • 海中に沈んだ古城や南極海の氷の洞窟などはもはや芸術。沈没船や海底遺跡などの被造物の描写も素晴らしく、海の浪漫をたっぷりと味わえる。
    • 大量の魚を表示しても処理落ちがほとんど発生せず、しかも魚に近付くと逃げて散ったりエサを撒くと集まってくるなど、単に大量の魚を配置しただけではない生物的な表現が出来ていて技術面もハイレベル。
  • 壮大な音楽
    • 美しいコーラスや海の深さ、広さを感じさせる旋律などはグラフィックとの相乗効果もあって非常に聞きごたえがある。
    • 劇中歌としてアイルランドの音楽グループ「ケルティック・ウーマン」の楽曲が13曲も使用されている。OPから壮大な海の世界へ引き込んでくれる「One World」、海底に沈んだ廃城ヴァルカ城で流れる「Nella Fantasia」など、どれもこの作品の為に歌唱されたとしか思えないハマりっぷりでファンからの人気が高い。
  • 雰囲気ゲーとしての良さ。
    • 珊瑚礁の華やかさや暗黒に包まれた深海の恐怖感、遠洋の何もなさによる喪失感、氷の海の冷たさやアマゾン川の濁りや生ぬるさが上記のグラフィック、音楽、演出などからよく伝わってくる。
    • 拠点となるナインボール島ではハンモックで横になったり焚き火を眺めて考え事にふけったり、その他にもギターを演奏する、犬と遊ぶ、謎の像に祈るなど設置物を集めていくことでメインとなる要素以外にも(見るだけではあるが)様々なアクティビティが出来るようになる。海に潜らずこのような過ごし方をして島でゆっくり時間を過ごしてみるのも一興。
  • 破格のボリューム
    • 6つの地域に300種類を超える生き物、200種類ものサルベージ品、全100個の星座コインと数量的な収集要素は前作の比ではない。
    • 一つ一つ説明が丁寧に書かれており文章量だけでも相当なもの。テキスト自体も冗長過ぎず簡潔過ぎず、時には遊び心も交えた質の高いものである。
    • 場所や時間帯、条件によっては異名のついたレアな大物(レジェンド)に出会うことができる。中にはクラーケン、シーサーペントといった伝説の生き物、アノマロカリス、チョッカクガイといった既に絶滅している古生物まで存在するためコレクションも熱い。
      • 自分のプライベートビーチを作ることができ、好みの配置物を置くことで、魚が集まってくる。
      • 更に収集要素の集め具合やストーリー進行などにより称号を手に入れることもでき、これもかなりの数がある。
  • メイン、サブともにシナリオの出来が良い。
    • 地域性や考古学の専門知識を生かした適度なリアリティやしっかりと仕込まれた伏線、システムを生かした謎解きなど先が気になる作りになっている。
    • メインストーリーは短いが、サブストーリーの充実具合が大変なもので、むしろこちらが本編といってもいいほど。
      • 9つあるサブストーリーはそれぞれ「イルカの訓練」「写真」「陸上探索」「サルベージ」「PULSAR」「地図作成」「コイン収集」「水族館」と本作のサブ要素をテーマにしたものになっていて、ストーリーを進めていくことで自然とこれらの要素に触れていく作りになっている。
      • 前作では船に遊びに来たものをスカウトするだけだったイルカのパートナーシステムも、本作ではスカウト自体がサブストーリーに組み込まれ全11種、一匹一匹にイベントが用意されている。
      • メインストーリーをクリアすると入口の崩壊したラストダンジョンへ再調査に向かう為の費用として100万Pを稼ぐという膨大なタスクが課せられるのだが、これらサブストーリーの大半をこなしたくらいの段階で達成可能な調整になっていて、何もイベントが起こらない中で金策だけをするといったことがなくダレずにプレイ出来る。
    • シナリオ進行に応じてRARダイバーズのメンバーのセリフが変化する他、ダイビングで連れ泳いでいる状態で特定の生物を見せると特殊なセリフを返してくれるなど仲間の細かいテキストも凝っておりキャラクターに愛着が湧く。
  • 生物の生態系の表現の巧みさ
    • ジンベイザメにくっついて泳ぐコバンザメ、ギンガハゼと共生するニシキテッポウエビ、魚群になって泳ぐイワシに突っ込むペンギンやウミウなど、ただ配置してるだけではなくきちんとその生物の特徴に基づいた生態の表現がされている。
    • ムービーも豊富に取り入れられており、マンタの群れの回遊やマッコウクジラがダイオウイカを狩る場面など生き物マニアが唸るシチュエーションが多数用意されている。1度見たムービーはハヤコに頼むことで回想出来る。
  • 進化した水族館
    • 前作の水族館は大型水槽に好きな生物を配置して泳げるだけのシステムだったが、本作ではそこに流行に合わせて生物を配置し来場者数を増やして売上を稼ぐちょっとした経営SLGのような遊びが加わった。
    • 前作では展示不可だったズームポイントで出現する小型の生物や陸上の生物も専用エリアで展示可能になっている。
      • 現実の水族館のように水槽を外から眺めることも出来るようになった。
  • 成長要素の追加によるゲーム性の強化
    • 前作では潜水時間は1時間固定だったが、本作では初期段階では15分も潜ることが出来ずダイビングレベルを上げたりナンシーの店でより大容量のタンクや高性能なレギュレータを買うことで徐々に拡張していく。
      • 最終的には1時間どころか2時間以上潜ることも可能。
    • サルベージについても同上で最初は小さなアイテムしか持ち帰れない上に個数も少ないが、上位のリュックを買うことで持ち帰れるアイテムの範囲が広がっていく。
    • 潜って報酬を獲得することがプレイヤー自身の成長に繋がりその成長が行動範囲の拡大に繋がる、前作の単なる癒し系ダイビングゲームとしての魅力だけではなく前身の『EVERBLUE』シリーズの魅力も受け継いだ作品になったと言えるだろう。
  • カスタマイズの楽しさ
    • ナンシーから購入したりサブストーリーを進めることで要所要所で獲得出来るダイビング装備は全93種類。ウェア、ジャケット、グローブ、フィン、タンクの5項目に分けられていてダイビング時の見た目装備を自由に組み替えることが出来る。
      • 一部の装備は自分でカラーを変更することも可能で無限の組み合わせを試せる。
    • 大きく見た目の変わるダイビングウェアは前作はスーツと水着のカラバリのみだったが忍者服悪魔のコスプレサメなどネタに走った特殊なものも多数追加され、これらに身を包んで海に潜れば一風変わったダイビングが楽しめる。
    • 髪型も前作から種類が倍以上用意されゲーム性のみならずファッション要素の充実度も大幅にパワーアップしている。
  • 全体的にユーザーライクな作り。
    • メインストーリーの中にチュートリアルが丁寧に仕込まれており、シチュエーション的な不自然さもなければ不親切さも見当たらない。
    • 周回プレイこそできないが、膨大なやり込み要素は全て選択肢による分岐や取り逃し、ストーリー進行による取得条件喪失などによる取り返しがつかないものが存在しない。
    • インターフェース面も万全で、マップは見やすく、ストーリー進行がわからなくなってもNPCの聞いたりメモを見たりすれば一目瞭然で、潜水中に戻りたくなったらコマンド一つで船に戻れる。
      • 要素が増えたことでダイビング中のツール選択が複雑になっているが、ポインターによる操作オンリーだった前作と異なり十字キーでも選択が出来るようになり配慮されている。
      • ナインボール島は前作の拠点のガッビアーノ号とは比較にならないほど広いが、自分で歩き回らなくても+ボタンを押すだけで各要素にアクセスすることが出来、雰囲気を損なわずに利便性を両立している。
    • 鮫などの危険生物も存在し、主にPULSARで撃退することになるが噛まれても(というより尻尾で叩かれても)空気が減るだけで死んだりはしない。
      • この辺りは普通のゲームだとぬるいという批判になるだろうが、癒しゲー・雰囲気ゲーの側面が強いゲームであるため「気軽に探索できる」というメリットのほうが大きい。そもそも前作では鮫だろうがダイオウイカだろうが無傷で触り放題だった*1
  • 自由度も高い。
    • 多くのやり込み要素や多彩な報酬の獲得手段、サブイベントのお陰で好きなようにプレイしてもシステム的に厳しいといったことはない。
    • RARダイバーズサービスの仕事をこなして業界NO.1を目指すもよし、ひたすら収集要素をコンプリートするもよし、サルベージで一獲千金を狙うもよし、プライベートリーフや水族館を好きにいじくりまわして箱庭作りを楽しむのもよし、サブストーリーをひたすら追ってシナリオを味わうのもよし、気ままに海を泳いで癒されるもよし、とにかく遊び方の幅が広い。
      • ただし、イベントによっては移動の日程や時間帯を考慮しなくてはいけない物もあるためセーブは移動前にしておいた方が無難。

賛否両論点

  • 海パンやビキニ姿で深海や北極圏・南極圏も泳げる。
    • そんな恰好でそんな海に入ったら命に係わりそうな場所でも普段通り長時間の潜水が可能。
    • これら特殊な海域は最初にシナリオで訪れた時は酸素の持ち時間に制限があるのだが、その章が終わった瞬間あっさり解除され以降は普通の海域のように自由に潜れるようになってしまう。
    • 非現実的すぎると否定的な人もいれば、ゲームならではの要素と肯定的な人もいた。
      • このゲームのシリーズの原点となる、PS2の『EVERBLUE』*2まで辿ると、 スーツ で潜ることもできる。 すぐ死ぬ けど*3
  • 海洋ゴミの回収や人が逃がしてしまった外来生物の保護など環境問題を扱ったイベントが度々あり、その都度「人間がこんな勝手な事を…」といったような内容のセリフを登場人物が語るので説教臭く感じる人も。
    • しかしどれもゲーム上でのフィクションではなく現実の海で起きていることである。「海」をテーマにしている以上、避けては通れない話でプレイヤーに環境問題について考えさせる一助にはなるだろう。

問題点

  • 操作性にやや難がある。
    • リモコン操作で常にポインターを進行方向に向けていないといけないため、長時間海に潜っていると手首が疲れてくる。
    • 生き物を撫でるためには一度餌コマンドを選択し、その上でリモコンを振らなければならないため二度手間。
    • クラシックコントローラーには対応しているのでそれを使用すればスティックで移動などが行えるようになる…がこれだとポインターが必要になった時いちいちリモコンに持ち替えなければならない上、ローリングなどWiiリモコンを振る一部操作が使えない。ヌンチャクならリモコンの直感的な操作とスティックを両立出来たと思うのだが何故か非対応である。
    • 陸上の操作は全く走らないため遅い。
      • もっともそんなに陸では活動できないことと、注目したい対象にポイントを合わせるだけでアクションができるのでそれほど気にならないが。
  • 一部サブストーリーの難易度の高さ
    • イルカを全て仲間にする上で進行必須なサブストーリー「目指せ!トップトレーナー」は、5話の進行にイルカショーを20回開催するか訓練を100回行うという条件を課せられるのだが、これはどちらもそのまま称号が取れてしまうくらい高い数値でかなり意識してやらないと達成出来ない。
      • このシナリオは全8話でまだ中盤なのだが、このせいで正攻法でクリアすると他に比べてかなり間が空いてしまう。訓練は何もしなくてもイルカを呼ぶだけで回数が増えるのでこれに気付けばすぐに終わるが…。
    • 水族館のサブストーリー「海と女性と幸せと」はそこに至るまで来場者数が鍵のイベントはなかったのに、最終話でいきなり100万人もの累計来場者数を要求される。ナインボール島と水族館を往復して付きっきりでプロデュースし流行に合わせ続けないと達成出来ない数値なので非常に難易度が高い。
      • 怪我の功名ではあるが水族館の来場者数を簡単に増やせるバグがあるのが救いか。
  • ロードが若干気になる。
    • 舞台が切り替わった時や別のマップへ移動する時、陸地へ上陸する時などにロードが十秒ほど挟まれる。

総評

海に眠る多様な神秘やロマン、生命、そして恐怖を真正面から描いた海洋ゲームの傑作。
特に海に生きるダイバー達の生き様を描いたストーリー群は評価が高く、正に本シリーズのジャンルである「ダイビングアドベンチャー」を象徴するものと言えるだろう。

ストーリーも然る事ながら、様々なロケーションと多彩な生物の生態描写、非常に作り込まれた海洋の表現は、SD画質のWiiながら今見ても美麗で色褪せないものがある。
ゲームとしても前作から一転、目標となる様々な要素が追加され、よりプレイヤーを飽きさせない作品へと進化した。


その後の展開

『Nintendo Direct ソフトメーカーラインナップ 2024.2.21』にてシリーズ最新作である『FOREVER BLUE LUMINOUS』が発表された。
実に前作から約14年半ぶりのまさかの新作である。2024年5月2日に発売。

しかしその内容はあまりにも本作と前作が提示した魅力とはかけ離れたものだった……。

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ADV 任天堂 アリカ
最終更新:2024年08月18日 15:53

*1 ちなみに、FOREVER BLUEシリーズの前作といえるEVER BLUEシリーズ(PS2)では、初代ではサメに触れても無事だったが、2では危険生物に触れるとダメージを受けたり毒をもらったりする。ある場所に固定のウツボや、サメに気を取られて後ろ向きに泳いでいると何の前触れもなく背後にスポーンしていたミノカサゴに刺されてびっくりしたプレイヤーも多いのでは。

*2 海底探索ゲーム。一部の地名などは後の作品に引き継がれている。1と2があり、装備品によって潜れる深度が違う(正確には、深海ほど水温が低くダメージを受けるが、装備で無効化できる。よい装備程深くてもOK)。

*3 一応、おふざけアイテムではなくオークションハウスに入るためのアイテム。因みにスーツで海に飛び込むと…?