ネクストキング 恋の千年王国
【ねくすときんぐ こいのせんねんおうこく】
ジャンル
|
ボードゲーム
|


|

|
対応機種
|
プレイステーション セガサターン
|
発売元
|
バンダイ
|
開発元
|
MARS プレックス アルファ・システム
|
発売日
|
【PS】1997年6月27日 【SS】1997年11月20日
|
定価
|
6,800円
|
判定
|
良作
|
物語(OPムービーより)
「女にもてるヤツが、次に王になるんじゃ!」
それは、王様のこんな言葉から始まった。
運命を握る12人の女の子たちの気持ちをつかみ、目指すはつぎなる王の座。
さあ、愛は惜しみなく奪い合え!
概要
桝田省治がバンダイのもとで『商人よ、大志を抱け!!』に続いて総監督(およびゲームデザイン・シナリオ担当)として世に送り出した恋愛ボードゲーム。
プレイヤーは次期国王候補の王子の一人であり、ゲームの表向きの目的は1年間(マルチプレイの場合1~3ヶ月)の内に有権者である12人のヒロインの心を掴んで票を集め選挙によって次期国王となる事。
しかしそれよりも大事なのは、ゲーム中でも王様から言われるがヒロインと親密になって生涯の伴侶となってもらう事である。
特徴
-
1週間を一区切りとしてゲームが進行し、そのうち月~水曜日はヒロインにプレゼントをしたりその週の冒険(戦闘在り)のパートナーに誘ったりする。
-
ここもボードゲーム形式の進行であり、サイコロを振って街中を移動する。
-
時にはヒロインの方がアイテムをくれたり、パートナーに志願してくる事も。
-
メインとなる木~日曜日はパートナーを伴い、王様が指定したダンジョンに探索に行く。
-
ダンジョンは先の読めないマス開閉式のボードゲームであり、ここでアイテムを手に入れたりモンスターを倒したりしてさらに好感度を得ていく。ちなみに、移動はもちろん戦闘もサイコロの目次第。
-
モンスターを倒していると王子がレベルアップすることもあり、12種類のパラメータ(それぞれが女の子に対応していて、その子の家でも女の子に会わず(会えず)女の子の親に特訓させてもらうことで上げられる)が3~5種類アップする。
-
ここではライバル王子に直接攻撃する事もできてしまう。勝てばアイテムを1つ奪える上にパートナーの好感度が大幅アップ。
-
また時期によってはボス戦やイベントが発生。大抵の場合、これがヒロイン攻略の条件となっている。
-
ダンジョン探索ではなく、とある格闘大会に出場する事もある。ここでは王子(+1)同士のリーグ戦となる。ちなみにここで優勝することが攻略条件のヒロインもいる。
-
ゲーム中のあらゆる場面における好感度の上昇値もまたサイコロの目次第。サイコロ何個分の好感度が上昇するかは場合によるが、当然出目が悪ければあまり上昇しない。
-
1年の期間が終わるとヒロインによる選挙が行われ次期国王が決まるが、その直後に自分に投票したヒロインへの所謂「告白タイム」が設けられている。
-
票の獲得とヒロインの攻略は似て非なることである。票を最多数獲得して次期国王になれても、ヒロインへの告白に成功するとは限らない。
-
とはいえ告白に失敗しても、告白成功の条件を満たしているヒロインが1人でもいればそのヒロインとのグッドエンド(メッセージが変化する娘もいる)を迎える事はできる。
-
告白成功の条件を満たしたヒロインが誰もいないか、条件を満たしたヒロインがいても選挙の得票数が0だった場合はバッドエンドになる。
-
何とプレイヤー同士で対戦も可能。
12人(+1)のヒロイン
+
|
女の子たち。長いので収納
|
-
フェンネル=ナスタチウム 17歳
-
おっとりした性格のシスター。幼い頃に司祭に拾われ教会で育った。ボケ・お笑い好きな通称「ずっこけシスター」。
-
戦闘では弱いが、たまに回復してくれる。また聖職者であるためアンデッドにはやたら強い。
-
サフラン=ジプシーワート 15歳
-
恋占いが得意な占い師。所謂ミーハーな軽い性格。
-
彼女を訪ねるとヒロイン全員の好感度を占いで教えてくれるが、表示方法が独特なため過信は禁物。
-
戦闘力が最低クラスな上その時の好感度の順番によって左右される。その上好きな王子の前ではぶりっ子して力を抜く。移動も苦手。
-
ディル=パースレイン 21歳
-
猛獣使い(魔物使い)の娘。愛用の鞭『ジョン君』としかまともに話せず、王子にも暴言を吐く。
-
最も攻略が難しいヒロイン。他のとあるヒロインの攻略条件を同時に満たさなければならない上に、ほとんどノーヒント。
-
彼女もまた戦闘力がその時の好感度の順番によって左右される(こちらは好感度が高いほど強くなる)が、元から強いため攻撃するとサイコロは殆ど6が出る。何もしない事もあるが。
-
チコリ=ワームウッド 16歳
-
職人の娘。母親の目を覚ますために必要な『七大秘宝』を集めるため盗賊になった。
-
最お役立ちヒロイン。鍵無しで扉を開けられる上、戦闘でも移動でも役に立つ。ただし王子のアイテムを勝手に盗んだり勝手に逃げる事も。
-
中の人が中の人だけあってか、上記のように桝田の贔屓が激しい。イベントも特別にドラマチックである。
-
コリアンダー=ウォータークレス 20歳
-
音楽家の娘。子供の頃の体験から声を出せず、意思疎通は筆談とハープの音色。
-
イベントをクリアして声が出るようになると全体的にパワーアップする(が、7月末の水着イベントに誘いに来た時にとんでもないボケをかましてしまい、天然キャラであることが発覚してしまう)。
-
彼女のエンディングでのみ、エンディングテーマに歌が付く。
-
マレイン=フラックス 19歳
-
強気だが、人格が不安定な武闘家の娘。双子の妹を自らの手で死なせてしまっている(と本人は思い込んでいる)。
-
戦闘力は最も高いといえるが、シナリオ進行上弱体化する期間がある。
-
後述するが、PS版には彼女に関する致命的なバグが存在する。
-
クミン=ケイパーブッシュ 15歳
-
純情で恥ずかしがり屋なくノ一。かつて王子達の祖父に命を救われた……と本人は語っている。
-
そのくせモンスターと戦おうとすると王子を伴って勝手に逃げたり、戦闘中でも一人で逃げたりする。
-
カモミール=アーティチョーク 18歳
-
ぐるぐる眼鏡の化学者娘。大魔導師マジョラムの孫娘。怪しい薬を開発しては他人を実験台にする。
-
と思いきや戦闘で回復してくれたりするし、もらえる薬も普通に役に立つため、どうにも憎めない。
-
ローズマリー=キャットニップ 22歳
-
酒場の娘で、踊り子。男慣れしており、酒場に訪れた男を手玉に取る。
-
「プレゼント鑑定」でアイテムを見せると誰にプレゼントすべきかを教えてくれるが、出鱈目を言う事もあるのであまり有用ではない。そもそもキャラ設定でプレゼントの好みを知る事ができる時点で…。
-
キャラウェイ=ゴールデンロッド 19歳
-
騎士の娘。決してはずれない醜いマスクを付けており、よく自殺未遂をする。
-
戦闘力は非常に高いが、お化けが苦手でアンデッドにはてんで弱い。
-
設定等を知らない人が見れば、「何考えてんだ?」と思うこと請け合いのビジュアルである。必見。
-
アニス=ダンデライオン 16歳
-
貴族の娘で超大金持ち。病弱で無自覚なワガママ娘。
-
プレゼントをしたり冒険に誘ったりすると王子にプレゼントをくれる事がある。
-
冒険中は戦闘力も移動力も低くあまり役には立たない。しかもアイテムを大量に持っていると貴重なアイテムを他のプレイヤーに配るなど凄まじい迷惑行為を働くなど、かなり癖が強い。
-
ジンジャー=ビーバーム 13歳
-
商人の娘で最年少。父親の作った借金に追われている守銭奴。
-
彼女にプレゼントをすると全て金に換えてしまうが、必ず価値に応じた数の「気合のサイコロ(強化アイテム)」をくれる。安い物だと何もくれない。
-
特に好みのアイテムが無いため高価なアイテムなら何でもおねだりするが、その際はサイコロをくれない。
-
選挙に当選して彼女と結婚した場合、14歳(1年経っているので)の王妃が誕生する事になる。幼な妻か。
-
アンゼリカ 14歳
-
王子達の妹。ゲームの進行役を勤めている。
-
実は隣国の姫君であり、ソロプレイで同票だった場合プレイヤーに票を入れてくれる(その場合に限り告白が可能)が、当然これを見る事は非常に困難である。
|
評価点
-
魅力的な12人(+1)の有権者の女の子。
-
女の子たちは年齢や性格は十人十色。好みの子を探すのも楽しい。
-
エンディングではウェディングドレスに身を包んだ女の子の1枚絵が表示され、メッセージと共に足元からゆっくりゆっくりせりあがっていく。
-
ゲームのテンポがよく、サクサク進むのも楽しい。CPU王子の動きも早い。
-
CPU王子の行動時は女の子との会話や戦闘シーンがメッセージのみで表示され、文字送りも早く思考時間もないので長時間待たされることはない。
-
豊富なアイテム
-
冒険先の宝箱から見つけたり、モンスターが落としたり、女の子からプレゼントされることでアイテムが手に入るが、効果も種類も豊富。
-
女の子には集めているアイテムの種類(武器、ドレス、下着など)や色(赤い物、青い物等)の設定があり、基本的には多く当てはまっている物をあげると好感度が大きく上がる仕組み。
-
これらのアイテムの中には女の子と結婚するために必須のものもあり、一部の物は二人の条件にまたがっている物もある。
-
アイテムの中には特殊な効果がある物もあり、武器や防具はもちろん戦闘で攻撃力と防御力に補正が付き、女の子に誘いを断られやすくなる「アニスの色紙」、移動のサイコロを振るたびにダメージを受けてしまう「真綿の首飾り」、防御力は最高(+4)だが戦闘勝利時の好感度アップがなくなってしまう「血まみれの鎧」などなど。
-
個性的なモンスター
-
冒険先では様々なモンスターに遭遇するが、個性的なモンスターがたくさんいる。
-
モンスターは最初から配置されていたり、マスをめくると出てきたり、宝箱に隠れていたり、ボスと同じ格好をしたりと様々。敵もターンごとに移動してくるが、敵によって移動力が違い、中には王子のいる所までワープしてくる奴もいる。倒せばモンスターに応じてアイテムが手に入り連れている女の子の好感度がサイコロ何個分かアップする。
-
特殊な敵としては倒すと冒険に来ている女の子から何故か声援を受け好感度が少しアップする“いたずら妖精”、4人の王子の誰かと同じ姿をしていて倒すとその王子に対する好感度がダウンする“ドッペルくん”、負けるとアイテムを1つ盗まれ逃げられる“シーフ”、体がサイコロで出来ていて倒すと「気合のサイコロ」を大量に落とす“ダイスゴーレム”と“サイコロ大魔王”など。
-
敵のいるマスに進んだ時は戦うかどうかを選択でき(マスをめくって出てきたときはそのままスルーで、宝箱から出てきた場合は強制戦闘)、その敵を倒せればそのまま進めるが、倒せなかった場合はそのマスに留まることになってしまう。
-
敵は戦闘中は常にアニメーションしており、攻撃時にもそれぞれ動きを見せてくれる。また敵によってサイコロの数と出目が違い、2個しか振らないがほぼ6しか出ない奴もいれば、4個振るがほぼ1のゾロ目しか出ないような奴もいる。
-
基本的には負けても敵はその場に残る(ターンで移動はする)ので再戦できるが、1回戦っただけで逃げてしまう敵もいる。ボスの中にも1回戦っただけで逃走する奴がいるほか、倒せないと王子の血を吸って回復するボスまでいる。
問題点
-
PS版にのみ存在するマレインのバグ。
-
好感度が1番高い王子の前でマレインの性格ががらりと変わってしまうイベントをCOM王子が発生させるとフリーズしてしまう。王子の行動パターンはロードし直しても同じなため、セーブしているタイミングによっては状況を改善できず詰んでしまう。
-
実はこのバグ、「テストプレイヤーまでもがマレインを嫌ってあまり検証しなかったせいで発覚しなかった」と言われるが、これはガセである可能性が高い。
-
もし上記の通りマレインを嫌っていたならば、COM王子がイベントを発生させやすくむしろ発覚しやすい状況になっていたはずで、実際はCOM王子が弱すぎて何もしなくてもプレイヤーがマレインのイベントを発生させてしまっていた(COM王子がイベントを発生させられる状況を作れなかった)からであろう。
-
マルチプレイの期間が短い。最長でも3ヶ月間しかプレイできない。
-
長すぎてもプレイヤーが各々の都合で再び集まらない可能性もあるので一概に「悪い」とは言えないが、シナリオがソロプレイ(12ヶ月)用のままなので、完全にぶつ切り状態で終わってしまう。そもそもパーティーゲームで長いイベントシーンを毎回毎回見せられても邪魔なだけなので、マルチプレイ時はストーリー無しにした方が反って良かったのでは?
-
COMのAIがどアホ。少しコツがわかると簡単に満場一致に持ち込める。
まぁシナリオ目的のソロプレイじゃ負けてもリセットするんだけどね。
-
街中ですらサイコロ移動を強いられる週の前半が辛い。
-
出目が悪いと行きたい場所に行けない。家が中央近くにあるカモミールやマレインはいいが、ディルの家(南東端)から1日でキャラウェイの家(北西端)などに行こうとすると、出目を10以上出す必要がある。
-
その上、訪ねたヒロインが他ヒロインの家に遊びに行っていると貴重な1日を費やして肩透かしをくらう。外を歩いている時は姿が見えるのだが。
-
名前を勝手に変えられる。
-
例えば「マスダ」とつけると「マスダマーン」「マスダーニョ」などに変えられてしまう。ふざけてるのだろうか?
-
セーブ確認の台詞が「セーブしないよね?」。どれほど慣れてもついつい「はい」を選んでしまう。
-
PS版ではセーブデータが多くなるほどセーブやロード時に時間がかかる。
-
初回限定版のパッケージ(↑の画像)イラストはうるし原智志氏だが、本編のキャラデザは何故か山根朝郎(山根ともお)氏。パッケージ詐欺では?
-
一応通常版のパッケージは山根氏である。一方でミュージックCDのパッケージはうるし原氏だが。
-
まぁ当時だと良くあることではある。訳分からん。
総評
桝田省治がシナリオも担当したためか一部のヒロインのシナリオは桝田省治らしい(?)壮絶なものであり、ボードゲーム形式なだけの軟派な(実際にコンセプトは軟派の極みだが)ギャルゲーだと思っていたプレイヤーの度肝を抜いた。
『俺の屍を越えてゆけ』等の様な桝田テイストを求めているなら間違いなくその期待を裏切らないゲームである。
ギャルゲーブームも去りPCアダルトゲームからの移植作品が主となった今でも、育成とは違ったゲーム性を盛り込んだ傑作ギャルゲーとして名高い。
余談
-
桝田氏によれば、製作のきっかけは既存の恋愛SLGを「ヌルい」と感じたからだそうである。コンセプトは「奪い合う『ときメモ』」。
-
パッケージ裏等を見ると豪華声優陣を売りにしている声優ゲーなのが一目瞭然なのだが、本作は珍しくそれに因われない良作であった。
最終更新:2023年10月16日 04:06