本項目ではプレイステーションソフト『俺の屍を越えてゆけ」と、その移植版の紹介をしています。



俺の屍を越えてゆけ

【おれのしかばねをこえてゆけ】

ジャンル ロールプレイングゲーム
対応機種 プレイステーション
発売元 ソニー・コンピュータエンタテインメント
開発元 アルファ・システム
発売日 1999年6月18日
定価 5,800円
レーティング CERO:B(12才以上対象)
廉価版 PlayStation the Best:2000年7月6日
PS one Books:2004年10月28日
判定 良作
俺の屍を越えてゆけシリーズ
1 (PSP) / 2

概要

天外魔境II 卍MARU』『リンダキューブ』などで知られる桝田省治氏が製作に関わった世代交代型RPG。
平安時代を舞台に、都を荒らす悪鬼「朱点童子」により短命・種絶の呪いを掛けられた一族が、神々と交わりながら子を残すことで悲願である朱点童子打倒を目指す。

能力の高い神と交わって優秀な素質を血筋に組み込み、それを何世代もわたって繰り返すことで優秀な子を作っていく。
『ダービースタリオン』のシステムと類似点があり、「人間ダビスタ」の異名をもつ。

特徴

本作の最も特徴的な点は、主人公一族の基本設定にある「呪い」の存在。これが、キャラクター育成重視RPGとしてのゲームシステムの根底を支えている。
レベルアップによるキャラ強化は早晩限界が訪れ、同じ活動期間内でより強く伸びる素質を持つ子孫を新しく作る事で、総合的な戦力アップを図っていく。

  • 短命の呪い:成長が著しく早い代わりに、短くて1年半・長くても2年ほどで寿命を迎えてしまう。
    • 死亡したキャラクターは生き返らない。キャラには健康度のパラメータがあり、戦いで深く傷ついたりして健康度を消耗しすぎると、一時的に弱体化したり、最悪の場合は寿命より早く命が尽きてしまう。
    • 若い時期(1歳以下)は健康度が回復しやすく、身体能力もよく伸びる。年を取ってくると健康度が回復しにくくなり、身体能力の成長も陰るが、技や知能面は伸びやすい。
  • 種絶の呪い:同種族である人間同士では子供を生むことが出来なくなる。*1それゆえに神々と交わることに。
    • キャラクターのパラメータには心・技・体のカテゴリがあり、それぞれに火・水・土・風の4属性の遺伝情報が設定されている。各パラメータ成長率(素質)は、親の遺伝情報から算出されて出生時点で確定する。
      • 神々にも属性があり*2、それぞれ遺伝的な得手・不得手がある。育成方針に合わせて相手を選ぶ事も大事。
    • 子孫が両親から受け継ぐ遺伝情報のうち、父親・母親どちらのものが素質に反映されるかは運次第だが、基本的には優秀な親から優秀な子孫が生まれる。
    • 親である神とも普通に子作りできる。やろうと思えば下記の氏神システムを使って兄弟姉妹とも子作りができる
      • 血が近い(=似た遺伝情報を持つ)者同士で子孫を残すと、寿命が短くなる代わりに高い素質を持つ「天才」が産まれやすくなる。早い話がインブリードである。
  • ゲームの流れは、一族の屋敷がある京の都を拠点とし、月単位で行動を決めて進行する。
    • 基本的には迷宮(ダンジョン)探索に出かけて経験値やお金を稼ぎキャラクターを強化していくことになるが、都で開催される試合に参加したり、子作りに専念するといった行動でも1ヶ月が経過する。
  • ダンジョン探索にも月当たりの制限時間が設定されていて、寿命によるキャラクターの死を前提とする計画的なプレイが求められる。
    • ダンジョンはクォータービューの3D描画。迷宮に入る度にダンジョンの構造がランダム自動生成される。特定の地点は固定マップになっているが、宝箱の配置はランダム。
    • ダンジョンでの制限時間を表す火時計の中に、一定確率で赤い炎が混じることがある。これは戦闘でのアイテムドロップ確率の高低が逆転するボーナスタイム。
    • シンボルエンカウント制。敵シンボルの背後をとると先制攻撃権を獲得、逆もまた然りである。
  • 戦闘はオーソドックスなターン制。
    ただし、ドラクエのように最初にまとめてコマンド入力・1ターンに必ず1回行動できる、というわけではなく、ターンがきてから初めてコマンドを入力し、素早さの値によっては遅いキャラを抜かして2回行動することもある。
    • 敵味方とも、大将を中心とする複数キャラクターで小隊を編成する。前列・後列の概念があり、攻撃方法ごとに有効射程が異なる。基本的に後列に対しては攻撃が届きにくく、命中精度も落ちる。
    • 戦闘で手に入るドロップアイテムは戦闘開始時のスロットで決まる。
      • 一部のレアアイテムは、スロット目で存在を確認できるものの実際は確率依存ではなく、所定の条件を満たさなければ手に入らない。
    • 敵大将を倒せばその時点で戦闘勝利となる。
      • 敵大将は配下がいなくなると戦利品を持って逃走する可能性が高いので、欲しい戦利品が出た時は敵大将を捕り逃さないような戦いを心がけなければならない。
      • 一方で、敵大将だけを倒しても経験値やお金はあまり得られないので、経験値やお金を稼ぎたい場合は配下の敵を優先的に倒していく必要がある。
    • 戦闘中のターン経過でも時間が経過するため、なるべく少ないターンで勝利することを心がけなければならない。
  • 味方の職業は全8種類。最初に名前をつけた主人公の職業は、主人公の父親と同じ「剣士」である。プレイ開始直後は、この他に「薙刀士(こちらは母親の職業)」と「弓使い」を選択可能。
    • これ以外の職業は、レアアイテムの職業指南書を手に入れる事で、新しく就けるようになる。
    • オープニングをよく見ていると分かることだが、実は弓使いの指南書も、両親が戦いの中で獲得している。
  • 戦闘シーンのグラフィックは山海経のような和風の雰囲気。
    • 戦闘シーンは桝田氏の意向で快適性を優先した結果(参考リンク)、敵キャラのアニメーションなどの無い質素な仕上がりとなっている。
  • 難易度は「あっさり」から「どっぷり」までの4段階が用意されている。これは、戦闘中以外ならいつでも変更可能。
    • 難易度が高いほど、敵の強さが上がる・獲得経験値が少ない・子孫の能力が低いという厳しいバランスになるが、ダンジョンでの滞在可能時間だけは、難易度が高いほど時間経過が遅く、長時間滞在していられる。
    • きつい部分だけ難易度を下げたり、ダンジョン移動中は時間進行が遅くなる「どっぷり」にして、戦闘に入るときや子作りのときのみ「あっさり」にするなどで楽をしたりといったこともできる。
    • ちなみに、後述するPSP「ご新規体験版」はあっさり固定。
  • 獲得したお金を投資に回し、荒廃した京都の町を復興させるという仕組みがある。
    • 復興度合いに従い、ショップの品揃えや各種施設が充実していく。本作はゲーム進行に応じてどんどんキャラロストする忙しいシステムだが、ここに関しては一度ランクアップしたら退行したりしないので安心してよい。
      • ただし「商業」のレベルについては、後述する店のラインナップの問題に関わってくるので注意。
  • BGMは全体的に暗い曲調のものが多いが街や家でのBGMは明るめな曲である。
    • 主題歌は樹原涼子氏の唄う『花』。この作品のために書き下ろした、ではなく桝田氏が樹原氏のライブで聴いた時、ライブ後に「使わせてほしい」と直談判し主題歌に起用された。

波乱万丈の運命

  • 短命の呪いを受けた主人公一族のキャラクターは、次々と容赦なく天寿を全うしていく。初代当主も例外ではなく、一族の者で一番最初に死ぬことになる。
    • しかしその当主の名前は代々の当主が(男女関係なく)受け継いでいく。
    • また職業別の奥義は最初に習得した一族の者の名前が入ったり、高い遺伝情報と素質を残した者は氏神となって昇天したり*3するのでそういう意味でも名を残せる。
    • キャラの臨終の際には、そのキャラの戦歴や子作りなどの経歴が表示されたあとに「遺言」を言う。この遺言も印象深いものが多く、キャラをプレイヤーの記憶に残すのに一役買っている。
      • その遺言の代表的なものが「俺の死を悲しむ暇があるなら、一歩でも前へいけ。決して振り向くな。子供達よ…俺の屍を越えてゆけッ」
+ シナリオ面の特徴(鬱展開・鬱設定について)※ネタバレ注意
  • ゲーム中盤、大江山で朱点童子を倒したあとから本当の意味での鬱展開は始まる。
    • これまで討伐先に突入する前に助言を与えていたキャラが本性を現し、自分が真の「朱点童子」であることを告白する。ここからのその人物は担当声優の演技も相まって非常に印象的。
      • しかし、そのキャラもある意味被害者ともいえる欝設定が大量にある。詳細はここでは語らないが、端的に言えばそのキャラが主人公一族に行ったことは「かつて自分がされたことの意趣返し」。
      • なお、上記の討伐前にくれる助言は上記の事実を知った上で聞くとものすごく含みのある言い回しであったことが分かる。言葉回しが絶妙。
      • もっとも、そのキャラも欝設定を帳消しにして余りあるような非道なことを主人公一族に対して行なったため、同情出来るかどうかは微妙である。恐らくそのキャラに憐憫の情を抱いていたプレイヤーも、そのほとんどがラスボス戦前のイベントで殺意に変わる事だろう。
  • 攻略本や小説に書かれている設定周りに至っては、本編に登場するほとんどのキャラに対して不興を抱くほどのレベル。欝という域を超えている。
  • そもそも、味方が家族や神の使いであるイツ花以外にろくにいないという四面楚歌な展開が最大の欝展開であると言えるかもしれない。
    • 神々は一見味方のようだが、実はある思惑があり…。どちらかというと共犯関係に当たる。純粋に人間に対する善意で協力する神は実質2名のみとされている。
    • その神にも悲惨な経歴を持つ者がいる。
      • 不老長寿の妙薬という言い伝えで、本当はただの迷信なのに人間に捕まり生きたまま肉を刻まれ喰われ続けた人魚の少女。効果がないと分かると売られ、他の人間の手に渡りまた喰われ、最後は飢えた犬の群れの中に放り込まれた。主人公達と戦う時には体中の肉が削ぎ落とされたゾンビになっている。
      • 大昔に飢えや寒さに苦しむ人間達を哀れみ、人間に火と風の使い方を教えた優しい雷神と風神。禁忌に触れる行ないだったために、他の神々によって地上のとある塔に幽閉された。だが、塔の中に飢えや寒さに苦しむ人間の声ではなく、火と風を使って豊かな生活をする人間達の笑い声が聞こえてきたため、2人の神は後悔しなかった。ただ、後悔しなかったのは、人間が火と風を使って互いに殺し合いを始めるまでの、たったの1年だけだった。
  • しかし、これまでの展開に耐えられれば感動のエンディングが待っている。これまで志半ばに散った子孫に、誰一人として無駄死の存在がなかったと分かる描写は必見。
    • ちなみにスタッフロールで流れるBGMは鬱というよりはむしろ躁である。

評価点

  • 異色のゲームシステムと、ストーリーとの調和
    • RPGで親の能力を子に引き継がせる事を次々と繰り返してキャラクターを育成していくという異例・異色のシステムが目を引くものの、そのシステムや世界観設定と調和したシナリオも、本作における見過ごせない魅力の1つである。
      --あまりにも短い命を志半ばに散らしていく主人公一族や、表面上は「子作りのお相手」である神々。そんなキャラクターたちの一人一人も、決して軽々しく扱われてはいない。地味なグラフィックなどの第一印象から受けるそっけないイメージからは意外なほどに、深い味わいを持つ。
    • またRPG多くが中世ファンタジーであるが、本作は和風RPGと独特の世界観である。
  • RPGのお約束にとらわれないゲームデザイン
    • 本作の主人公一族は「短命の呪い」を受けているため、ゲーム中での死は避けられない。そして、死=キャラロストであるため、どんな手塩にかけたキャラも一定時間でいなくなってしまう。また、戦闘で重傷を負った場合、たとえ生還したとしても、死は避けられない。そのため、ゲーム中は常にキャラロストの恐怖が付きまとうことになる。
    • また、死が近づくと老衰により各能力がダウンする(寿命の前月は、後衛として出すのがやっとのレベルまで体力が落ちる)。そのため、他の一般的なRPGのように「死ぬ間際まで全力で活躍できる」わけでなく、「宿に泊まって何事もなかったかのように全回復」というわけにもいかない。
    • しかし、それらに対する安易な救済措置などを与えず、キャラを、というより一族の遺伝子、素質、血を育てるようなゲームデザインにしたことで、上述のシナリオとの調和をしつつ、RPGとしての育成要素を取り込むことに成功している。
  • 主人公一族を見守る神様のキャラクター性
    • 本作では「交神」で子孫を作るが、その際に相手となる神様がバラエティに富んでいる。
      • 神様はほぼ全員、何らかの元ネタがあるのだが、グラフィックは男神・女神ともにバラエティに富んでおり飽きさせない。
      • 男神はイケメンから熱血漢、堅物、爺さん、ケモノ、オカマバーのママ、餅まで。女神は姉御肌やヒロイン属性、肝っ玉母さん、巨乳胸の立派な方、合法ロリ幼い外見の方、黒猫、ウサギ娘、雪だるまなど…。
      • 交神の前に一言ボイス付きメッセージを発するのだが、1つの神様について4種類用意されている力の入れよう。内容も神様によりさまざまで、こちらも一族の強化や子孫誕生とは別の楽しみがある。
    • 「交神」において、神々と交わるのだが、その神々の面々や直前のメッセージにも神様毎の特徴が出ている。
    • 男神はイケメン、熱血漢、ツンデレ、チャラ男等。女神は姉御、ヒロイン属性、合法ロリ、ツンデレ、ヤンデレ等がおり、「乙女ゲー」+「ギャルゲー」+「エロゲー」分ぐらいのレパートリーがある。
    • 神様の性格・特徴は属性毎に大別できる。
      情熱的な炎属性、穏やかなフレンドリーな風属性、一途だが思いが重い土属性、そしてヤンデレ・R-18率が圧倒的に高い水属性
      なお、女神の属性は圧倒的に水属性が多い
  • 交神前のメッセージについても多種多様である。
    • 「交神」とは、平たく言うと異性の神様と子作りする事を指す。人間のそれのための行為とは異なり、ゲーム中には二人の遺伝子情報が融合する表現しか登場しない。
    • しかし、メッセージを本来の目的である子孫について話す神もいるが、明らかに人間の子作りのための行為(を連想させる)としか思えないメッセージ・声色がある。そのため乙女ゲー・ギャルゲーとも言える側面もある。
    • 男神編はこちら女神編はこちら
  • 魅力的なボス
    • ボス達は、どれも人間や主人公達に恨みを持っており、その怒りはどれも同情を引く物で、倒すのが忍びない。
    • しかし、逆にその怨恨を断ち切らせる、という武士の情け的なゲーム意欲が沸いて、他のゲームに味わえない独自性がある。

問題点

  • 知識がないと、装備品・レベル上げ関係できつい目にあう可能性がある。
    • ある程度町の商業レベルが上がると、店のラインナップから軽防具がなくなり入手が困難になる。あらかじめ確保しておかないと、軽防具しか装備できない職業は初期装備(最低防御力)の初陣シリーズで戦場に出る羽目になる。
    • 装備品は全体的に女性が優遇されている。特に防具は女性専用のものは装備制限が緩い軽防具などが多く、男性専用のものは装備制限のきつい重防具が多い。
    • 中盤、朱点童子打倒後は出現する敵が強くなったり、同じ敵でも強化されたり、経験値が減少したりする。一方で寿命システムにより、主人公サイドは場合によっては、朱点童子打倒時より戦力が弱体化することも珍しくない。
      結果、レベル上げに苦戦し、一族全体が弱体化、最悪詰むこともあり得る。
  • 同じ前衛職の槍使い・薙刀士と比べて、剣士が使いにくい。
    • 一般的なRPGよりも「ダメージを負う事」がハイリスクであるゲーム設計上、前列1体にしか攻撃できないという剣士の特性は不利に働く。序盤のつなぎ・奥義埋めに使われて終わり、になりがち。
    • とはいえ、重防具を装備可能な点や優秀な奥義の存在もあるため単純な下位互換というわけでもない。使う気になれば前衛として十分に利用可能。
      • ちなみに、この反動もあってか、PSPのリメイク版では剣士に(相対的に)かなりの上方調整が入り、単体攻撃性能に超特化した性能となっている。
  • 戦闘バランスは悪め。
    • 「術」の効果バランスが非常に悪い。多数の「術」が用意されているが、使うのはごく一部のみである。
      • 攻撃系の術の威力がかなり弱いため、種類・数は豊富だが大半が使用機会がほとんどない。*4
      • 術の併せで威力を倍増させて使う前提になっているのだと思われるが、併せで使うにしても実質述べ3ターン以上使用する価値があるかどうかは微妙。
      • 一方、ターゲットを行動不能にしたり、味方の回避率を上げる術が強い。前者は成功率が能力次第では高くなるうえに継続時間も長く、行動不能→行動不能とできる。後者は攻撃・防御力上昇と同様に重ね掛け可能である。
      • 仲間の能力を上昇させる術・アイテムが異常に強い。はっきりいえば、わざわざ交神(交配)で苦労して強力なキャラを作り上げたりせずとも、全員の攻撃力を上げる術・アイテムを全員で使ってから"複数回攻撃できる奥義"を全員でかますだけで、大半のボスを倒せる。
      • しかし、後半のボス戦は上述の戦術を取ることが前提の火力になっているためか、大味な展開になりがち。
  • 本作のゲームシステムは、時に作業ゲーと批判されることがある。
    • キャラを強くするためには奉納点稼ぎと世代交代のループになる(子作り→子供で奉納点稼ぐ→稼いだ奉納点でさらに上位の神と子作り…)わけだが、子孫を増やして一軍に組み込むには数ヶ月の準備期間がいる。通常のRPGよりも多くの手間をかける分、面倒くささを感じやすいのが要因の一つである。
    • ゲーム中盤以降や、「じっくり」以上の高難度モードで特に顕著である。もっとも、難易度を下げるなどの措置で軽減できる点ではある。
  • 救済措置が乏しく、RPG初心者お断り感が否めない
    • 本作はキャラロストの基準や戦闘不能に対するペナルティ*5が厳しい為、戦闘不能は極力避けるべきなのだが、本作には戦闘中に戦闘不能を回復する手段が無い。
    • また、ゲーム後半のボスは非常に火力が高い*6
    • 更に、これは難易度に関わらず共通事項となっているため、仮にRPG初心者がこのゲームで初めてRPGをプレイしたとしても、上述の基準を強要されてしまう。
      • 難易度で変動するのは敵の体力と報酬、子孫の能力値だけである。さらに上述のボス戦では体力は難易度に関わらず固定となるため、緩和措置は無い。
    • 次作『2』では貴重品ではあるが、戦闘中に戦闘不能を回復させるアイテムが追加された。
  • シンボルエンカウントの接触判定がおかしくなることがある。
    • メニューを閉じた直後や戦闘終了直後に、付近の敵シンボルに対して見た目では接触していないのに、接触したと判定されてしまうことが多々ある。
  • 動きの少ない地味めのグラフィックは、人によっては旧世代機さながらに古臭く感じることも(『リンダキューブ』と同様)。
  • 256人オーバー時の展開
    • 一族の人数が合計256人に達すると、朝起きたら(一族が)朱点童子を倒したことになっていた展開になり、そのままエンディングに突入する。
    • しかし、ゲーム進行状況が「朱点童子討伐後であっても」上記のセリフ・展開は変わらない。
    • 一族の情報を保持する内部メモリが限界値に達しているかららしいが、プレイ時間が有限であるというのは、やり込みをする上で大きな弊害になる。

総評

常に寿命に追い立てられるという本作特有の育成システムは、非常に好みが割れやすいものの、評価点に記載の通り、システムや世界観設定と調和したシナリオも、本作における見過ごせない魅力の1つである。
『ファミ通』のレビューでも指摘されたグラフィックの古臭さやごくベーシックなターン制RPG部分をどの程度重視するか、またキャラクターが死ぬまでの期間を適切と見るか短いと見るか、ここの判断が本作の最終的な評価を大きく左右するだろう。

補足

  • 販売数において、極端な「ジワ売れ」を果たしたことでも有名。
    • 発売日には2万本しか出荷されなかったが、毎年1万本コンスタントに追加販売された。後述のアーカイブスに登録されてからも継続的に売れ続けている。
    • 1月も経てば中古が出回るゲームソフトで、総本数10万本以上の超ロングラン型の売れ方をするなど誰も想像できないだろう。
  • 2007年2月22日、ゲームアーカイブスに収録された。当初はPSPのみ対応だったが後にPS3へも対応し、2014年現在でもこれらの機種でDL購入することができる。
    • PSVitaもPSP同様の条件でアーカイブスは利用可能。
    • ゲームアーカイブス100本突破記念で行われた、ゲームメディア関係者8名によるアーカイブスから1本を推薦するという企画において2名がこの作品をあげた。
      • 複数の人物が推薦した作品はこれのみであり、はまる人間ははまる作品というのは確か。

俺の屍を越えてゆけ (PSP)

【おれのしかばねをこえてゆけ】

対応機種 プレイステーション・ポータブル

発売日 2011年11月10日
定価 UMD通常版:4,980円
UMD限定版:6,980円
DL版:3,800円
レーティング CERO:B(12才以上対象)
備考 UMD初回生産分にはレア神様のプロダクトコードが付属
判定 良作

12年の時を超えて発売したPSP版。
内容は一見してPS版とあまり変わらないが、中身は大幅に調整されている。

PS版との変更点

  • ゲームバランス調整
    • 格闘家が後列からでも攻撃が可能になるなど一部職業や奥義、各種術や術の併せの威力、敵の能力値やドロップアイテム、神様の遺伝情報などが変更。
      • 交神を繰り返すと神様側も成長する(奉納点のコストも上がってしまうが)。
    • 奥義は健康度の消費が緩和され、気軽に出せるようになった。また、術のように併せる事も可能。
    • 赤い火が仕様変更され、ひと月に1つだけでなく3つも出るようになった。
      • ただし、敵が四方に瞬間移動してくるなどデメリットも追加された。これはリメイク前の「赤い火が出るまでリセット→ロードを繰り返す」という戦術への対抗策でもあるらしい。
    • その他にも色々とバランスが調整されている。
      • 代表的なのがラストボスの「阿朱羅」の大幅な強化。PS版は全体術で250~300程度、狂った光(全体攻撃)でも350前後のダメージであった。しかしPSP版では全体術で450~500、狂った光に至っては600前後の大ダメージを受けてしまう*7。そのため、PS版ではイベントバトルとすら言われていたラストボスが一転、PSP版ではトラウマ級の難易度になった。
  • グラフィックの刷新
    • 迷宮のフィールド画面では背景もキャラクターもフルポリゴンになった。フィールド画面・戦闘画面いずれも、全体的に筆で描かれたようなタッチとなった。
    • 全体的に演出が派手になった。戦闘開始時の演出も変更された。
  • 快適性の向上
    • PS版は上下左右斜めの8方向に移動可能だったが、PSP版ではアナログパッドにより、更に細かい角度に移動できるようになったなった。
    • 全体的にロード時間が短縮された。
    • PS版では戦闘中の敵味方の行動開始の度に、この行動内容がメッセージで表示され、いちいちボタン入力でメッセージを飛ばさないといけなかったが、PSP版ではメッセージが表示されるのは併せや戦闘勝利時ぐらいだけになり、戦闘の進行がスムーズになった。
  • 追加要素
    • 剣士のオリジナル武器
      • 復興を進めると登場する刀鍛冶に大金を払うことによって特注の刀を作ることが可能。装備した者の成長に伴って攻撃力が上昇したり、ボスを倒すと様々な特殊効果が付く事もある。また、子孫に形見として継承する事もできる。代を重ねるごとにどんどん強力な武器へと成長していく。
    • 養子・分社などはPS版のメモリーカードからアドホック通信に変更。
      • また、他のプレイヤーの一族と結婚する事により強い子供を残せるモード「結魂」が追加。
    • ダンジョンの天候により、戦闘に影響が出るようになった。
    • リメイク記念画など、美人画が増加。
    • 交神の儀での神様の追加。
      • プロダクトコードを入力する事で手に入る「レア神様」もいる。プロダクトコード有効期限が切れて久しいが、現在無料DLCとして配信中。
      • DLC版はゲーム開始時点から使える上、素質もAKB一部の神様を除き強力である。そのため、討伐時期が限られる朱点童子戦を待つ間に後半を見据えた育成をしたい場合などに大変重宝する。
      • 追加された神様も火・風・土・水属性に分かれている。
        水属性の女神も存在するが、どう見てもド直球のエロゲーです本当にありがとうございました。
    • クリア後のお楽しみ「裏京都」の追加。
      • ここでは、ある意味で本作の黒幕と言えるキャラを存分にボコることが出来る*8。ただし(強化された)ラスボスですら比較にならない程の凶悪な戦闘能力を有しているので、生半可なパーティでなくともあっさり返り討ちに遭う。また不死身という設定なので、何度倒しても息の根を止めることができない。その分好きなだけ痛めつけられる、と言えなくもないが。

評価点(PSP)

  • バランス調整の巧さ
    • PS版では猛威を振るっていた一部の武器や術の存在、剣士と他職とのバランス、物理優遇のバランスなど、PS版で問題となっていた要素をうまく解決している。
    • また、格闘家、奥義の健康度問題など、扱い辛い要素の制限を緩和することで、戦術の幅を広めることにも成功している。
    • それでいて、劣化要素はほぼ見当たらず、安易なヌルゲー化もない。
      • 上述の通り、ラストボスがPS版と比べ物にならない程強くなっているため、寧ろPS版より難易度は上がっているとも言える。
    • ある意味、リメイクの理想形とも言える。

賛否両論点(PSP)

  • 新要素としてフィールドギミックである「環境」が追加されたが、ほとんどデメリットしか受けられない。
    • 火の迷宮で火属性が強化されるのはこちらもあちらもメリットがあり、良バランスと取れるのだが…
      水の迷宮で火属性が弱化する。当然敵は火属性を使ってくるものはほとんど居らず、こちらが弱点を突きにくくなるだけ。
      一切の術が使えなくなる。戦闘中だけとは言え咄嗟の回復を封じられるのは結構辛い。その上 敵は普通に術を使用してくる。
      攻撃力が下がる。こちらは攻撃力がほぼ頭打ちになっているのでモロに弱体を受けるが、敵は弱体化してなお即死級の火力を誇る。

問題点(PSP)

  • 立ち絵などのグラフィックが一新され現在らしいものになっている一方、ムービーシーンのアニメは旧作そのまま使い回しで上下を切りワイド化したように見せかけているだけ。
    • 結果的にムービーシーンと立ち絵などとでキャラのデザインが変わってしまい、かい離が目立つ形となっている。予算の問題で、新規にアニメを委託するのが難しかったのかもしれないが…。
  • 256人オーバー時の展開はそのまま
    • 一族の人数が合計256人に達すると、「朱点童子討伐後であっても」「ラストボス討伐後であっても」朱点童子を倒したことになっていた展開になるエンディングは改善されていない。
    • プレイ時間が有限であるという制約は、裏ボスの追加や継承刀など、やり込み要素が増えた本作では更に大きな弊害になる。

総評(PSP)

  • 個性の強いシステムながら高評価を受けた『俺屍』のリメイク版であるが、見事にバランス調整が施されており、グラフィックやアニメーションもPSPのゲーム風にうまくアレンジされており、他のゲームと見比べても遜色ない。
  • 次作がプレイヤーを選ぶ作品になっていることもあり、今から『俺屍』を初めてプレイする場合には、本作をプレイすることを強く推奨する。

余談

補足(PSP)

  • DL版はPS-VitaでもDL可能で問題なく遊べる。
    • 本作に限った話でないのだが、PSPのDL配信ソフトは本体側からアクセスするDLコーナーですら「PSPでしか遊べません」と記載されており紛らわしい。実際はPS-Vitaも対応している。
    • 『俺屍』目当てに本体の購入を検討している場合、PS-Vitaを選べば間違いない。続編『俺屍2』はVitaでないと遊べないし、アーカイブス配信されているPS版も、PSPリメイクのDL版も、PSP同様にプレイ可能。対応していないのはPS版のCD-ROMと、PSPのUMD版のみ。
  • 当初の発売分に付属していたマニュアルが非常にページ数が多くゲーム説明以外の内容が多い。ベスト版は通常版のマニュアルと同一であるが、PS one Books版は大幅に内容が削られた物が付属された。
    • アーカイブス版ではPS one Books版のものが使われている。
  • 桝田省治氏のライトノベル『鬼切り夜鳥子』『ハルカ』には本作との繋がりを示唆するような描写が散見されている。
    • これを踏まえてか、PSP版には追加の神様にこれらの小説のキャラが登場している。
    • また『2』では『鬼切り夜鳥子』に搭乗した夜鳥子(ぬえこ)が ストーリーに必須のキャラクター として登場したが、『一族』以上に2のシナリオを独占しているため『俺屍2の主人公は夜鳥子』と揶揄も込めて言われているが、それ故に賛否両論となっている。
  • PS版・PSP限定版のパッケージに使用されている子供の写真は桝田氏の子供という噂があるが、氏本人が大っぴらに「違う!」と否定している*9
    • なお、そのパッケージの子供こと倉科一丸さんは、2013年に大学を休学してプロボクサーとしてデビューした。
  • 当時のソニーらしいセンスの、印象的で味わい深いCMが有名。
    • 祖父の葬式を終えた息子に、父(演:岸部一徳)が「俺の屍を越えてゆけ」という祖父の遺言を伝えるというもの。
    • さらに12年越しで発売されたPSP版のCMは、全く同じキャスト&同じ構図で、「俺の屍を越えてゆけ」という言葉を思い出して語りかけるという当時のCMを知るものにとってはとても感慨深いものとなっている。
      • なお、当時息子役をしていた人物は業界を去っていたが、わざわざこのCMのためだけに捜し出して出演交渉をしたという。
    • 『2』のCMでも出演者はPSP版と同じくした寸劇仕立てのものが作られており、既に老境に入った岸部一徳氏の「俺の屍を越えてゆけ」という叫びは感動的であり、まさに『1』のCMの正統な続編と言える出来となっている。
  • 小学館の雑誌『コロコロG(グレート)』にて本作の漫画版が連載された。
    • ストーリーは中盤までだが、原作をクリア済みの人なら狙ってやっているのでは?と邪推してしまう展開となっている。
  • 続編へのキャンペーンとして、2014年5月に『俺の屍を越えてゆけ ご新規体験版』の無料配信が開始された。PSプラス会員でなくとも無料でダウンロード可能。
    • 体験版といいながらゲームクリアまで遊べるが、難易度は「あっさり」固定で、クリア後の裏京都へは行けなくなっている。PSP製品版とセーブデータが共用できるので、興味があるユーザーへのとっかかりである。
    • 「『2』発売までの期間限定配信」とアナウンスされていた。2014年11月現在は配信終了。
    • 続編はシステム・ストーリーとも本作を引き継いだ内容となっている。リメイク版の発売やDL版・体験版の配信には、あらかじめ本作に触れておいてもらう意図もあったのだろう。
最終更新:2019年02月12日 01:06

*1 ただしPSP版では「結魂」により人間同士で子供を産むことができるようになった。そのため、正しい定義は「神の血をひかない人間同士」では子供を産めない、となる

*2 髪色や身なりなどの外見にも属性の特徴が出ている。

*3 氏神となった者は、文字通り神となって交神の儀の相手に選べる上に、「分社」と称して他のメモカにコピーすることができる。他のプレイヤーの優秀な氏神をもらってきたり、2回目以降のプレイに過去のプレイの氏神を引き継いだりすることも可能。

*4 前衛しか攻撃できない職業で、後列に敵大将がいる場合や、範囲攻撃できる職業で、戦勝点の高い敵を優先して個別撃破したい時など

*5 戦闘後に復活するが、技力(MP)が、健康度がゼロになる。そのため、健康度を即座に回復できなければ、事実上の死亡と考えてほぼ間違いない

*6 最大HPの限界値が999で、戦闘不能になると戦闘中の蘇生ができないにも拘わらず、全体攻撃で300前後、範囲攻撃で400近いダメージを与えてくる

*7 更に、PS版では「回避率を上げる術」により回避可能であったが本作では無効。その上、PS版は戦闘前にHP・MPが全回復したが、本作ではHPのみ300程度回復となったため、前戦での消耗が重くのしかかるようになった。

*8 しかもこの展開、PS版経験者から入れて欲しいという要望が非常に多かった。

*9 余談だがこの作品は桝田氏の子供が生まれたその日に企画書を作成し始めたいわゆる「出産祝い」である