レガイア伝説
【れがいあでんせつ】
| ジャンル | RPG |  
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| 対応機種 | プレイステーション | 
| 発売元 | ソニー・コンピュータエンタテインメント | 
| 開発元 | プロキオン | 
| 発売日 | 1998年10月29日 | 
| 定価 | 5,800円(税抜) | 
| 廉価版 | PlayStation the Best 2001年08月23日/2,800円(税抜)
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| 判定 | 良作 | 
| PlayStation Studios作品 | 
 
概要・特徴
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<聖獣(ラ セル)>という生命体と一心同体になった男女3人が、世界を脅かす「霧」を晴らすために冒険するRPG。
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プレイヤーキャラ3人はいずれも接近戦を得意としており、格闘ゲームのコンボのような連続攻撃で戦う。
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当時、テレビCMで宣伝された「この霧を晴らすのは、ボクたち」というキャッチフレーズで話題を呼んだ。
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テレビCMの内容は、天気予報の番組にて日本列島全土が霧に覆われたことが報道され、痺れを切らした子供たちが、自分たちで霧を晴らすために徒党を組んで旅立つという非常に印象的なもの。
 
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原案及びシナリオを担当したのは、隠れた良作RPGとして知られる『レナス 古代機械の記憶』を手がけた柴尾英令(ひでのり)で、本作と『レナス』では、キャラクターの名前や世界観に共通する部分がある。
ストーリー
天を生み、地を生み、海を生み……。
この世の全ての森羅万象を生み出した神は最後に人間と共に獣(セル)を創生した。太古から人間と獣はお互い共存し合っていたが、やがて時代は変貌する。
今からおよそ10年前、レガイア大陸の北部、ソルとコンクラムという大国が戦争を始めた。戦争のさなか、コンクラムの皇族たちは獣を凶暴化させる霧を発生させ、戦争に終止符を打とうと画策していた。
しかし、霧は人間の手に負えるものではなく、人間たちは霧によって凶暴化した獣達に徐々に搾取されていき、やがて文明は崩壊した。
苦しい世界の中、物語の舞台は獣から身を守ろうと大きな壁を作り、身を潜めて生き延びていた辺境の村、リム・エルムから始まる。主人公のヴァンは聖獣(ラ・セル)との出会いにより、世界から霧を晴らすため冒険に出ることになる。
主なゲームシステム
タクティカル・アーツ・システム(TAS)
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敵を攻撃する際に、十字キー四方向(コマンド)の入力の組み合わせにより、様々な攻撃方法を組み立てることができる戦闘システム。
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コマンド入力は、十字キーの右左上下がそれぞれ「右手(聖獣・武器)、左手(武器・聖獣)、上蹴り、下蹴り」の4パターンの通常攻撃に対応しており、それぞれ異なる性質を持っている。
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コマンドは「行動力ゲージ」の長さ分だけ入力できる。コマンドを入力する度にゲージを一定量圧迫する。
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特定の順番でコマンドを入力することでアーツ(必殺技)を発動することもできる。ほとんどのアーツのコマンドはゲーム中で教えてもらえるようなことはなく、プレイヤーが自分でコマンドをあれこれ組み立てて探し出すことになる。
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一度発見したアーツは、いつでもコマンドを確認できるようになる(後述のスーパーアーツ除く)。
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アーツを発動するとAP(アーツポイント)を消費する、APが足りていないと発動することはできない。
 
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アーツにはそれぞれ階級が定められており、上から順にミラクルアーツ、スーパーアーツ、ハイパーアーツ、通常アーツに分かれている。
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通常アーツ
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特定のコマンド入力によって繰り出す必殺技。コマンドの工夫次第で、一度に複数のアーツを連発することもできる。
 
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ハイパーアーツ
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各キャラごとに奥義書を使用することで覚える超必殺技。
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各キャラの<聖獣>の力を利用して繰り出す技であり、演出が比較的派手。
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通常のコマンド入力では発見・習得することはできない。奥義書さえ入手すればコマンドが明らかになる。
 
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スーパーアーツ
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複数の通常アーツを特定のコマンドで組み合わせることで発動するフィニッシュ技。
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ハイパーアーツよりも発見しにくく、必要なコマンドが長く、消費APも大きい。
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覚えてもステータス画面に表示されない。スーパーアーツの後ろにコマンドを入力すると技が正常に発動しない、などの制約が存在する。
 
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ミラクルアーツ
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各キャラに一種類だけ存在する隠し技。
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複数の通常アーツを特定の順番で繰り出し、最後にハイパーアーツでフィニッシュする乱舞技(ノアというキャラのみハイパーアーツではなく、専用のフィニッシュ技を繰り出す)。
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コマンドが長くAP消費量も膨大だが、威力は絶大。
 
 
<獣>
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<聖獣>
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主人公達3人は、それぞれ<聖獣>を腕に宿すことになる。<聖獣>はイベントによってパワーアップしていく。
 
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<獣>の吸収・召喚
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戦闘で倒した<獣>は、一定確率で吸収できる。吸収した<獣>は、召喚してその力を行使できる。この<獣>の召喚が、本作におけるRPGの「魔法」的な要素である。
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召喚する<獣>には個別にレベルが設定されている。<獣>を召喚して使い込むほど、<獣>のレベルが上がっていき、効果がアップしたり何らかの付加効果が発揮されるようになる。
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一定条件を満たすと、<聖獣>などの特殊な<獣>も召喚できるようになる。
 
その他
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戦闘中、敵味方の連続攻撃の際は、ヒット数及びトータルダメージが表示されるという、格闘ゲームさながらの要素がある。
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ミニゲームが豊富で、そこそこ作り込まれている。
評価点
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タクティカル・アーツ・システム
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アーツを探し出す楽しさやコンボの爽快感など、どことなく格闘ゲームのような感覚で戦闘を楽しめる。
 
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霧を晴らすという分かりやすい目的。
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主人公達の活躍により、今まで霧で覆われていた地域が晴れるようになる。この変化はフィールドマップなどで一目瞭然であり、プレイヤーが世界を救っていることを実感しやすい。
 
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グラフィック
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フルポリゴンによる空間表現はよく出来ている。
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『ファイナルファンタジーIX』に先駆けて「霧」の表現を上手く取り入れている。
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戦闘中の敵味方のグラフィックも、PSの中では比較的レベルが高い。
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戦闘中の味方キャラの外見は、装備や聖獣のレベルによって様々に変化し、飽きさせない。
 
問題点
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戦闘の思考性が低く、奥深さはあまり無い。
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基本的に「チャージでポイントを回復しながらゲージを伸ばして攻撃、HPが少なくなったら回復」を繰り返すだけで済む。
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初歩のものはともかく、コマンド数6つ以上のアーツを運だけで見つけるのは至難の業。ミラクルアーツに至っては自力で見つけられたら奇跡に近い。
 
 
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敵や<獣>の固有技は、演出が長めで、戦闘のテンポを悪くしている。
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本作では使い込むほど召喚レベルが上がり敵のステータスダウンなどのボーナスが付随したり、威力が上がったりするのだが獣によってはレベルを上げるのに250回も使わないといけない。
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ピンキリではあるものの消費MPの割に固有技自体があまり強くないことが多く、テンポの悪さも相まって使い辛い。
 
 
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とある隠し<獣>の入手条件が、「全員のレベルを99まで上げる」という廃人仕様。ラスボスがlv40前後、隠しボスがlv50前後で倒せる強さであるため一層難易度を際立てている。
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人によっては、レベル上げ作業自体はやりたくないのに、目的のためにはやらなければいけないというジレンマが生じる。更にこの後には地獄のレベル上げが…
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そもそもそんなタイミングで得られたところで今更感が強く、<獣>の中では強いが、苦労に見合うようなものではない。
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ただし、近年発見されたバグ技を使うことで、Lv99どころかストーリー中に早期入手することも可能となった。特に海外のRTA勢に活用されている。
 
 
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事件が解決し霧が晴れるとそのエリアで一部モンスターが出現しなくなる。その弊害でストーリーの最終段階になるとドーピングアイテムを落とす(盗める)モンスターと殆ど会敵出来なくなる。
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例えば、素早さを上限まで上げたい場合、大空城クリアまでがリミットとなる。
 
総評
良い意味で王道的なRPG。全体的に高水準でまとまっており、丁寧に作り込まれている。
格闘ゲーム的な要素を上手く取り入れたタクティカル・アーツ・システムや、豊富でコミカルなミニゲームなどは独特のセンスを感じさせる。
その後の展開
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続編としてシステムを継承した『レガイア デュエルサーガ』が存在するが、本作とは無関係の世界観、あまりに教科書通り過ぎるストーリーから評価はそれなり。
余談
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主人公ヴァンの喋りについて
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ヴァンは本編では全く喋らず、選択肢のみで会話することになる。
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いわゆるプレイヤーの性格を反映した主人公だが、戦闘ではやたらと熱い台詞を喋りまくり、熱血漢ぶりを発揮する。
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戦闘中の台詞は「余裕だぜ!」「これでも、喰らいやがれっ!」など。裏技により、「おれが主役だ!」とポーズを取って叫んだりもする。
 
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一部の街では、小ネタとして「あんた、無口だね」などと突っ込まれたりもする。
 
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ヴァンの多くのアーツ名は「ヴァンエルボー」「ヴァンサマー」など、自分の名前を冠している。
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ヴァンの名前はプレイヤーが任意で設定でき、アーツの名前もそれに準じる。
 
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PS2でプレイする場合、型番によっては戦闘中に処理落ちが発生してしまう。
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この場合、アーツ使用時の演出は技を当てた時などの音声が先に聞こえて、それから技を当てるといった流れになる。
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薄型PS2では大丈夫な模様。
 
最終更新:2024年11月18日 06:03