世界樹の迷宮IV 伝承の巨神

【せかいじゅのめいきゅうふぉー でんしょうのきょしん】

ジャンル 3DダンジョンRPG
対応機種 ニンテンドー3DS
メディア 1Gbyte3DSカード
発売元 通常版:アトラス(インデックス)
廉価版:セガ
開発元 ランカース、アトラス
発売日 2012年7月5日
定価 5,980円(税別)
セーブデータ 1
レーティング CERO:A(全年齢対象)
廉価版 アトラス・ベストコレクション
2015年11月05日
ROM/DL:2,980円(共に税別)
備考 公式サイト
判定 良作
世界樹の迷宮シリーズ


概要

DSで3作発売された『世界樹の迷宮』シリーズのナンバリング第4作。3DSでは初となるシリーズタイトル。
「3DダンジョンRPGを3DSで作りたい」という考えにより、前作『世界樹の迷宮III 星海の来訪者』の開発の終盤から本作の開発が進められた。(任天堂公式サイト「社長が訊く」より
今作では気球艇に乗って大空を進み、地上に点在する迷宮を冒険しながら世界樹を目指すという形式をとっている。


特徴

マッピングなどの世界樹の迷宮シリーズを通しての特徴は『世界樹の迷宮』を参照。

  • 気球艇による大地の探索
    • 『III』の大航海の流れを汲んだ、迷宮以外の探索要素。大航海はやらなくてもストーリー進行には影響ないおまけ要素であったが、今作では未開の地で新たな迷宮を発見するための必須要素となっている。従来のRPGで言えばフィールドマップに近い扱い。
    • 大地では通常戦闘こそ発生しないが、徘徊するFOEを回避したり、アイテムや食材を入手したりといった探索要素は迷宮と同じく存在する。気球から食材を射出してFOEを誘導しその隙に通り抜ける、といった大地ならではの攻略法も。
  • カジュアルモードの追加により、初心者もプレイしやすくなった。特徴は後述。
  • 小迷宮の追加。
    • 文字通り1フロアしかない小さな迷宮だが、それぞれ独特のギミックが存在していたり、そこでしか手に入らない素材があったりと、冒険のアクセントになっている。一部の小迷宮はストーリー進行上必ず発見・攻略する必要があるが、大半はストーリー進行に関わらない。
    • 小迷宮自体も分かりにくい場所にあったり、FOEが周囲を徘徊しておりこちらが弱いと迂闊に近づけないなど、一種の探索要素になっている。
  • 大地に落ちている食材で料理を作ることができ、HPなどステータスの増加や状態異常への耐性アップなど様々な恩恵がある。中にはマイナス効果をもたらすものもあるが、一部職業のスキルで逆に強力なプラス効果へと転換させることもできる。
    • 大地で手に入れた食材は「降ろす」や「射出」でフィールドにばら撒くこともでき、ばら撒いた食材がFOEの好物だった場合はそれに気を取られるので、その隙にFOEをやり過ごす使い方もできる。
    • またFOEと戦う場合、FOEが食材に夢中で動きが止まっている間に背後を取って先制したり、毒の食材を与えて毒状態にしたりすることで戦いを有利に進められる。
  • NPCとの共闘。
    • ストーリー進行上やサブクエストで、一時的にNPCがパーティに加入する。通常のパーティは最大5人編成であるが、NPCが加入すると6人パーティになる。
    • NPCは装備やスキルのカスタマイズはできないが、戦闘中はプレイヤーが指示を出せる。
  • 『III』のリミットスキルに代わり、バーストスキルが登場。パーティ内で共有するバーストゲージを消費して発動する特殊なスキル。バーストゲージはパーティメンバーが行動するたびに蓄積される。
    • ほぼ確実に逃走できる「全力逃走」、確実に敵をスタン(1ターンだけ行動不能)させる「ジオインパクト」など強力なスキルが揃っている。基本的に強いスキルほど多くのバーストゲージを必要とする。
  • 稀少個体の登場。
    • 今回は稀にモンスターが金色に輝いた状態で登場する事がある。これが稀少個体である。
      稀少個体は最速行動、ターン経過ごとに攻撃力上昇、逃走確率が高い、といった特性を持つため通常個体より倒しにくいが、倒すと通常の5倍の経験値を得られる。
    • FOEの稀少個体は上述の特性から逃げる特性のみなくなる。ただでさえ攻撃力が高いのがさらに上昇し、最速で攻撃してくるので非常に危険であるが、倒せば大量の経験値を得られるというハイリスクハイリターンな存在になっており、倒し甲斐がある。
      FOEの稀少個体はマップ上でも金色に輝いているので、戦闘に入る前から判別できる。
  • 装備関連の仕様変更。
    • 装備品の行動速度補正が『III』より強めになった。また、前シリーズまで複数装備が可能だったアクセサリの装備が1つのみとなった。
  • 属性耐性のバランス変更。
    • アクセサリ装備が1つのみになった関係で特定属性の被ダメージを大幅に抑えるといったことが難しくなり、かつ前作までの属性攻撃を完全に無効化するといったスキルも今作では存在しない為、料理や軽減スキルなどで被ダメージを抑えることが重要になっている。
  • QRコードの活用による追加要素。
    • 後述のギルドカードや秘宝情報の他、雑誌や商品の特典、ネット上の記事など様々な場所でQRコードが公開されており、それを読み込むことでアイテムやクエストを入手可能。
    • あくまでおまけ要素なので、これらを入手しなくてもモンスター図鑑やアイテム辞典のコンプリートには影響しない。性能面も、あると多少便利なものや癖の強い能力の物ばかりで、バランスを崩壊させるような代物はない。

評価点

操作性・グラフィック面での進化

  • インターフェースの向上
    • 3つまでパーティの登録が可能になった。
      • ギルドに登録された冒険者の中からパーティメンバーを選んで冒険に行くのだが、パーティに加えられるのは1度に5人が限度。それ以上の人数をギルドに登録しているとメンバーの入れ替えを行わなければならないが何度もやっていると意外と面倒になってくる。
    • しかし、今回から予めパーティの編成を記録してそれを呼び出すことで、編成の手間を省くことが出来るようになっている。
  • 戦闘中に魔物図鑑を見られるようになった。これより相手の弱点、使ってくるスキル、落とすアイテムがいつでも確認できるようになった。敵の情報をうっかり忘れてしまっても安心。
    • ただし図鑑にデータを登録するには一度対象を倒すか、バーストスキル「アナライズ」を使う必要がある。このため初見の強敵相手には、アナライズの有無が勝負を分けることも。
  • ショップでの纏め売りが素材・武具・消費アイテムと個別に分かれており、素材売却中に誤って武具を売るなどの操作ミスが起こりにくくなった。
    素材の納入が必要なクエストの受領中にショップで売却しようとすると、クエストで必要な素材を売らないよう注意メッセージが出てくれるようになった。
  • 機種がDSから3DSに移行したため、グラフィック面が全体的に進化している。
    • 文字も読みやすく、戦闘中のキャラクター絵の表示が非常に大きくなり、ドット処理された部分のジャギーも目立たなくなった。
    • またダンジョン内でもかなり奥まで描写出来るようになり、スティックで周囲を見回せるようにもなった(DSの頃はだいたい3歩先までしか見えなかった)。
    • 戦闘中の敵は『III』までの一枚絵からフル3D表示になり、特殊技以外にも攻撃アクションなど多彩なモーション・エフェクトが追加された。それでいてテンポは損なわれていない。
      • モーションの追加により、背景と同化して回避率を上げてくる敵・最初は寝ているが起きると強力な攻撃を仕掛ける敵など、これまででは表現できなかったユニークな行動を取る敵も登場する。
    • フィールドを徘徊するFOEもそれぞれ独自のグラフィックで表示されるようになり、どのFOEなのか一目で分かるようになった。移動時のモーションもある。
      FOEの向いている方向など重要な情報も視覚的にわかりやすくなり、目の前の障害物を破壊するなどマップ上でのギミックも多彩になった。
      • ただしこれについては「戦闘に入るまでのワクワク感が楽しみの一つだった」「あのモヤモヤの得体の知れない感が好きだった」という声もあるが…。

戦略の幅の広がり

  • 戦闘中の並び替えにターンを要さなくなり、基本的な戦略性が増している。
    • 一列を回復したり強化したりといったスキルを使うときに適宜並び替えを行うことで、スキルの効果を効率的に受けることができる。
    • 更に本作では敵にも前衛と後衛の概念が追加されている。
      • 前衛と後衛で大きく行動パターンが異なる敵などのギミックもある。
      • 同時に、技の攻撃範囲も前一列や後ろ一列、前後に貫通する攻撃などバリエーションが増えた。
  • スキルツリーの新システム
    • 今までのシリーズでは、強力なスキルには前提スキルを用意して簡単に取れないようにしていたが、本作ではそれだけではなく、ノービス(Lv1~)、ベテラン(Lv20~)、マスター(Lv40~)とキャラクターレベルに応じて取れるスキルに制限がかかるようになった。代わりに過剰な前提スキルを持つスキルは減り、各クラス毎のスキル数も若干増加した。
    • またスキルをリスト状に並べるのではなく、ツリー状に配置したことで前提スキルの確認が容易になったことも地味ながら前作からの改善点と言えるだろう。
  • サブクラスのスキルはメインクラスの半分までしか取得できないなど、サブクラスのバランスが変更された。
    • 過去作経験者はそれだとサブクラスが全く使えないと懸念するだろうが*1、今作はスキルレベルの前半の方が効率よく効果が伸びるようになっているため、最大値の半分でも十分実用に耐えうる。
      • また、これによりメイン・サブに関わらず「低レベルスキルを沢山とる」か「高レベルスキルを1本伸ばしするか」の選択が重要となり、前述のスキルツリー新要素と合わせてキャラ育成の楽しさに一役買っている。

システムの追加・改善

  • 上でも少々述べたが、「カジュアルモード」という難易度が追加された。
    • 「カジュアルモード」は初心者に向けて作られたもので「戦闘が少し楽になる」「戦闘で全滅しても拠点の街から再スタートできる」「一部のアイテムが使ってもなくならなくなる」など、初心者への救済措置となっている。
    • 「ノーマルモード」は今までのシリーズと同じ感覚でプレイできる内容となっている。
    • 難易度はプレイ開始時に選択するが、オプションから変更することもできる。
  • 鍛冶システムの改善
    • 前作で追加された、店売り武器を強化出来る鍛冶システムだが、前作では素材・資金の双方が必要なため、些細な強化よりも次の武器が登場するまで待った方が圧倒的に資金効率がよく、終盤に最強武器を手に入れるまではあまり役に立たないシステムだった。
    • 本作では素材のみで鍛冶を行う事ができるようになり、前作よりは気軽に鍛冶を行えるようになった。
  • 本作ではすれちがい通信によって、前作以上に気軽にギルドカードを送り合うことが出来る。自分の育てた冒険者を一人添付する事が出来、他のギルドのキャラクターと共に冒険する事も可能であるほか、大地に眠る秘宝の情報を送信する事ができる。
    • 冒険者の添付により難敵を切り抜ける為に共闘したり、他の人のスキル構成を参考にしたりと世界樹シリーズをより楽める追加要素であるとして非常に好評。
    • キャラメイクゲームであるためどのギルドカードも個性あふれるものになり、収集して眺めつつ、相手がどんなプレイをしているか想像するだけでも楽しめるだろう。
    • このギルドカードのデータはQRコードとして出力可能なため、ネット上で公開しているプレイヤーのギルドカードを受け取る事も出来る。制作に関わったスタッフの中にも、インターネット上でQRコードを公開している人がいる。

旧シリーズからの改善・リスペクト要素

  • 職業として旧作にも登場していたソードマンとメディックが復活した。
    • 鞄や小盾所持などのアイテムの類似点はあるものの、キャラクターデザインや性能は一新されている。
      職業が全て一新されていた前作を挟み、本作にて再び旧作の職業が復活した事は『I』・『II』のファンを喜ばせた。
  • ゲームの雰囲気にマッチした古代祐三氏による秀逸なBGMも健在。
    • 一部で過去作品のアレンジBGMを使う等のファンサービスも。
  • クリア後にある場所に行くと旧シリーズでは一度しか戦えなかったストーリーラスボスとの再戦ができ、当然ドロップアイテムも手に入る。
    • ただし方法が…(後述)

ストーリー面

  • 冒険を進めていくと未開の地の住人である亜人種との邂逅を果たす、という展開は世界樹シリーズではお馴染となっているが、本作では彼等と本格的な協力関係を結び、苦楽を共にする同胞となっていくという熱い展開となっている。同胞となった彼等は一部がプレイヤーの拠点に移住し、更にはプレイヤーキャラ(職業)として参戦するようになる。
    • 過去作*2を知るシリーズ経験者程、感動は大きいだろう。
  • 本作の拠点の統治者である「辺境伯」は善良な人格者であり、純粋な味方ポジションに位置する。そのため一部の過去作で不満が多かった「上役の都合に振り回される」という展開になる事が全く無いのは大きい。
    • 辺境伯は「悪人面にも見える壮年男性」というビジュアルながら、その人柄の良さからシリーズ屈指の人気キャラクターとなっている。

賛否両論点

  • 旧シリーズは理不尽な難易度やレトロゲームライクな雰囲気を売りにしていた部分もあり、基本難易度の引き下げ、あまりに冒険者にやさしい迷宮の隠し通路の主張、迷宮のフロア数の減少などライトユーザ層の取り入れを全面に押し出した部分については賛否両論となっている。
    • その反面クリア後の隠しダンジョンの難易度は非常に高い。
+ 戦闘・難易度バランス・ボリューム関連
  • 死んで覚える所謂「死にゲー」バランスであって旧シリーズに比べて、初見殺しの罠(『II』の「!!ああっと!!」など)が大幅に減少している。
    • トラップイベントや危険モンスターは存在する。ただ一部のトラップイベントでは「調べてもよろしいですか?」「本当に調べてもよろしいですか?」と分かりやすく何度も聞いてくる。
  • 迷宮一つあたりのフロア数が基本3つと前作からさらに減っている。
    • その分小迷宮である程度補われているが、小迷宮はマップが小さい、また各迷宮は基本的に繋がっていない為ノーエンカウント地帯を移動するなどの間が発生する為、迷宮をひたすら潜っていた前作までとは異なるスタイルである。
  • 迷宮の抜け道(基本はただの壁だが調べるとショートカットが作成される)を探す事も旧シリーズにおいては探索の楽しみの一つとなっていたが、今作では第4迷宮まで壁にヒントオブジェクトがあるため一見で分かってしまう。
  • ミスティックのスキル「抑制ブースト」が強すぎる。
    • 抑制ブーストは状態異常・スタン・封じの成功率を上げるパッシブスキルだが、成功率をn%加算するという仕様。元々ミスティックはバステ成功率に関わるLUCが高い事もあり、最大までレベルを上げると目に見えてバステが通るようになる。
    • 特に鍛冶で即死・石化等のバステを複数詰め込んだ武器(通称:モルボルダガー*3)との相性は抜群で、通常攻撃をしているだけで雑魚やFOEが死に、最終的にはボスモンスターすら石化や即死で倒れるようになる。通じないのは裏ボスくらい。
      • これを2本装備し2回攻撃する(サブクラスをナイトシーカーにし「追影の刃」スキルを習得すれば二刀流可能)と、ただでさえ高いバステ付与率がさらに跳ね上がる。さらにこの武器に、対象と同列の左右の敵にもダメージを与える「拡散」を付与すれば複数の相手でも通常攻撃で殲滅できてしまう。
      • 弱点は、混乱して味方を襲われると逆にこちらが壊滅してしまうこと。もっとも大抵の相手は混乱攻撃を放つ前に全滅させられる。
    • またモルボルダガーを使わなくとも、「方陣*4」や「TPリターン*5」など様々なスキルとのシナジーを成せる強力なスキルである。
  • ボス条件ドロップによる装備品の入手時期がクリア後にまで遅れるようになった。
    • シリーズ恒例の要素として、ボスクラスの敵からの条件ドロップ素材*6によって、その時点では破格の性能の装備品を入手する事が可能といった独特な要素があり、それがクリア前にも達成可能*7という事で装備の揃っていない冒険者達の良い目標にもなっていた。
    • しかし今作からは終盤以外のボスの条件ドロップには組になるもう一つの素材が設けられ、解禁時期を遅らせる措置が施された。そのためほとんどの条件ドロップ装備品の入手がクリア後に限られてしまった。
      • 並のRPGなら最強装備品は物語後半に入手できるようになるのが一般的であるためこれを良しとするユーザーもいるが、努力次第で強い装備品が入手可能になるというバランスの調整が巧みであった旧シリーズ体験者からは物足りなくなったと残念がる声も多い。
  • 収集スキルの大幅な簡略化、一個あたりの必要素材数の増加、帰還系以外の購入数無制限の撤廃、また一部消費アイテム素材のドロップ率が低い等の理由から、消費アイテムの安定した供給が難しくなった。
    • 特に難しくなったのがTPを回復するアムリタ系のアイテムで、1つ作るのにI・IIは採集で取れるレア素材を3つ、最上位のIIIに至っては6層最下層にいるFOEのレアドロップ*8を3つも集めなければならない。どちらも運が絡む上に1日に集められる量が限られているため、量産どころか1つ作るのすら難儀する有様。
    • ただし前作までは潤沢かつ万能な消費アイテムの存在により、一部のスキル・ステータスが個性を失っていた点も否めない*9。本作では、消費アイテムの代わりに問題打破のためのスキル(TP回復スキル等)を多くの職に用意しており、アイテムによる個性喪失を最小限に抑えてバランスをとっているとも言える。
  • 裏ボスについて
    • 前作までの裏ボスは、決まった行動パターンで即死級の技を連発してきたため、防御スキルなどを揃えてパズルのように正解の行動を組み上げる必要がある「極悪パズルボス」と例えられるような存在だったが、今回はある条件を満たすことで弱体化させる事ができ*10、そこまで厳密に取得スキルや行動パターンを考えなくても十分勝てるようになっている(ただし、弱らせて尚裏ボスに相応しい強さはある)。
    • 弱らせなければ前作までと同様「極悪パズルボス」となるが、確実にバーストスキルが必要になる耐性無視の全体即死攻撃がパターンにある為、少数のパーティメンバーで攻略する事は極めて難しく、やや極端なきらいはある。
  • 階層毎などに表示される美麗な背景画も当シリーズの特徴。今作ではジブリ作品などで有名な山本二三氏が招かれ、迷宮突入時の一枚画など、アナログタッチの残る非常にクオリティの高いものとなっているのだが…。
    • 肝心の迷宮の3DクオリティはDS時代とあまり変化が見られない。それどころかマシン性能が向上し遠くまで見渡せるようになった事で壁のパターンが目立ってしまい、3DSの売りである立体視で感動できるグラフィックとは言いがたい。樹木のテクスチャが貼り付けられた板の様に見えるからかカキワリと称される事も。
    • ただし後半の、建物内部を探索する迷宮では、パターン続きも不自然にならずむしろ雰囲気が出ている。
    • 一応、アナログスティックで視点をグリグリ動かした際の光景や、障害物の隙間から向こう側を覗き込める序盤の仕掛けなど、立体視を生かした仕掛けが無い訳ではない。ただし、あくまで「無いわけではない」程度。
  • BGM
    • 作曲は古代祐三が続投、これまではFM音源を使ったどこか懐かしさを感じさせるBGMだったが、今作からは生演奏を取り入れた手法に変更。曲としてのクオリティは高いが、以前のFM音源版でも遊んでみたかったとの声もある。

問題点

  • 3DSになっても、相変わらずセーブデータは一つだけ。
    • データのオールクリアは可能なのだが、すれちがいやQRコードで集めたギルドカードを犠牲にしなければならない。
  • ゲストの実用性
    • 「ギルドが到達した事のある最高Lv以下のみ可・装備変更不可・スキル追加不可・経験値分配無し(=レベルアップ無し)」という制限から、ゲストとの"本格的な"共闘はかなりハードルが高い。
      Lv制限だけは本編クリア後解放されるので、隠しダンジョンでは多少活躍の機会もあるかもしれない
    • 現在は「経験値分配無し」という点を利用し、もっぱらキャラ育成のために使われている模様。この場合、自分のギルドのキャラをQRコードでゲスト化して増殖させるという方法が主流である。
  • バグ
    • 前作までほど致命的なものはないが、そこそこ厄介かつ、事前に情報を得ていなければ遭遇しやすいであろうバグは健在。
    • ソードマンの属性リンク攻撃が武器の属性に変化してしまうバグ、ダンサーの速度ブーストと扇の舞を併用すると正常に機能しないバグなど。
    • 前者のほうは逆に利用することもできるが、後者のほうは単なるデメリットにしかならない。
    • 3DSはインターネット接続により修正パッチの配布が可能だが、修正パッチの配信はされていない。
  • 一部のボス戦のBGMがループせず、ブツ切りになってしまっている。
    • 仕様か設定ミスかは不明だが、続編において同じ曲が使用されるシーンでは修正されているため、設定ミスであった可能性が高い。

総評

シリーズ4作目にしてDSから3DSにハードを移し順当に進化を遂げた快作。
サウンドとグラフィック面など実際にユーザーが触れる部分で大幅な進歩を遂げた。
その他、サブクラスの調整不足など前作までで多かった不満点の多くが解消されている。
それだけでなく、カジュアルモードの搭載などによって初心者への間口も開いた。
ただ、シリーズの売りであった「シビアな難易度」「ストイックな世界観」が少し軟化したという古参ユーザーの声も少なく無かった。
だが、結果として初心者には手の出しづらい雰囲気のあるシリーズ中でも勧めやすい一作となった。
トータルで見れば良作と呼ぶに十分な出来と言えるだろう。


余談

  • ハードが3DSに移行した本作では、シリーズで初めて体験版が配信された。
    • 製品版と比較すると、探索可能エリアやレベルキャップの制限、画質や音質が若干低下しているなどの違いがある。セーブデータは製品版に引継ぎ可能。
    • 序盤限定とはいえ製品版ほぼそのままの内容がプレイでき、制限がある中でもパーティ編成の試行錯誤や強力なFOEに挑むといったやり込み要素があり、好評を博した。
      • 特に大地マップに出現するFOE「うろつく跳獣」は、体験版のレベルキャップでは非常に手強いものの撃破は不可能ではないという絶妙な強さにより、「体験版のラスボス」と呼ばれ存在感を示した。
      • 製品版そのものではないため評価点には記載しないが、この体験版の存在が製品版の売り上げに大きく影響した事は間違いないだろう。世界樹シリーズに興味を示した新規プレイヤーに勧めるにもうってつけである。
    • 本作体験版の好評を受けてか、以降の作品でもセカダンシリーズを除き体験版が配信される事となった。
  • 街の施設の1つ「カーゴ交易場」という場所に「追加データ出力」というコマンドがある。
    • 曰く「将来的な活用を見据えたプレイデータをSDカードに出力します」とのことだが、次回作で使うことになるのだろうか?
  • 従来の「世界樹の迷宮」では、メインストーリーの最終ボス戦は一度きりというのが通例であった*11。しかし本作では先に述べたように、とある場所で「ある方法」を行うことにより再戦が可能となった。
    • …だが、その「ある方法」が問題で、選択肢による再三の注意喚起があるとはいえ「最終ボスとの再戦」に繋がるとは想像しがたいシチュエーションであった事からむしろ初見殺しの意味合いも多分に含まれており、ある意味で世界樹らしい。これ以上は実際にゲームをプレイして確かめていただきたい。
  • 本作はビックタイトルが名を連ねる「ニンテンドー3DS 社長が訊く」でインタビュー記事が公開され、シリーズファンから驚きと喜びの声が上がった。
  • 2015年11月5日に廉価版が発売。本編作品では初めてとなるダウンロード販売がニンテンドーeショップにて開始された。
    • 価格はパッケージ版と同じ2,980円(税別)。
  • 2017年にはアトラスのサイトリニューアルにより世界樹の迷宮4の公式ブログも消滅。配布されていたQRコードなども公開終了となっている。
+ タグ編集
  • タグ:
  • アトラス
  • 世界樹の迷宮シリーズ
  • 3DS
  • 2012年
  • DRPG

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最終更新:2022年08月30日 03:51

*1 過去作はスキルレベルが低いうちは命中や行動順にマイナス補正が掛かったり、効果が低かったりした。

*2 亜人達と殺し合いになったり、協力関係にはなるがその過程などがあっさりしている。

*3 RPG『ファイナルファンタジー』シリーズに登場する、複数の状態異常をばらまく敵「モルボル」に由来する。

*4 発動時と毎ターン終了時に敵全体に確率で異常や封じを付与するスキル

*5 状態異常・封じに成功するとTPが回復するスキル。

*6 「状態異常で倒す」「1ターンで倒す」「一人で倒す」等特殊な条件で撃破したときのみドロップする素材のこと。

*7 ただし、非常に高額なので序盤での購入にはかなりの努力を要する。

*8 前述の条件ドロップと同じだが、その条件が文字通り運次第でしか落とさない。

*9 アムリタ系を大量に買い込む事で、燃費の悪いスキル、TPの少ないクラスも簡単に補えてしまうなど。

*10 一応前作の『III』でも弱体化させることはできるが、弱くなるのは第1形態だけで肝心の第2形態に変化はなく、まともに戦って正攻法で勝つのはほぼ不可能と思われる

*11 周回制が初めて導入された前作『III』では実質再戦可能になったとはいえ、ルート分岐で異なる最終ボスや一からストーリーを進め直す手間が生じるため、改善とは言い難い。