風雨来記2
【ふうらいきつー】
ジャンル
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恋愛アドベンチャーゲーム
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対応機種
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プレイステーション2
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発売・開発元
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フォグ
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発売日
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2005年11月10日
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定価
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7,140円(税込)
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レーティング
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CERO:12歳以上対象
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廉価版
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nice price! 2008年4月24日/2,940円
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配信
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ゲームアーカイブス 2015年11月18日/1,200円
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判定
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良作
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風雨来記シリーズ 1 / 2 / 3 / 4
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概要
旅することに徹底的に拘ったシステムと感動的なシナリオ、そしてギャルゲームの常識を打ち破るオチで評価を得た『風雨来記』の続編。
「続編」といってもギャルゲームの場合、世界観は同じでも主人公は別人になるケースが殆どなのだが、今作においてはあの異質なオチ故に前作の主人公が続投している。
主人公の心境の変化、舞台が北海道から沖縄に変わったことによる影響、そして「プロデューサーの交替」といった事情も重なってギャルゲームの方向にシフトしているのをどう見るかで評価が分かれる作品である。
ストーリー
あれから4年。主人公はコンテストで名を上げ旅から旅への日常を過ごしていた。
最高の場所を求めて旅をする日々。けれど見つからないままに手段が目的にすり替わり、いつしか旅に疲れるようになっていた。
そんな彼にある仕事が依頼される。依頼主は沖縄で広告・出版会社を営んでいる先輩にあたる人物。
沖縄PRのためにインターネットコンテストが開かれたが、妻が身重で参加できないので「自分の代役で参加してほしい」という内容だった。
その申し出を前に逡巡する彼であったが、ある日沖縄から一通の手紙が届く。「アイツ」からの手紙に衝撃を受けた彼は、沖縄へと旅立ったのだった。
再び、最高の場所を求める旅が始まる。
システム
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沖縄各地を移動して、ポイントについたら取材して、移動が終わったら取材の内容を記事にしてネットにアップして一日が終了という流れは前作と一緒だが、舞台が沖縄に移ったこともあってか各要素に大幅な改変が加えられている。
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また、前作とは違って主人公とヒロインが一つ屋根の下で暮らしているので、ほとんどの場合が事務所件住居でヒロインを誘ってから取材に出かける流れになっている。
移動
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地図の上で行きたい場所を決めると、道路の上を点が進んでいって、目的地に到着というオーソドックスな物に変えられている。
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このため、処理速度が速くなったと同時に前作のように迷うことがなくなった。
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スタミナゲージは廃止になってコスト制となり、1日につき3ポイント与えられる(貯める事はできない)。
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ポイントは距離によって消費する量が違う。
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1ポイント:那覇近郊
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2ポイント:沖縄南部・沖縄市・伊江島
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3ポイント:名護以北
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ポイントを使い切るか中断するなりして一日の行動を終了するとその場でキャンプ、ではなくベースにしている出版社のスタジオGIAS(ガイアス)に戻ることになる。つまり、北海道のように各地を彷徨うのではなく、1箇所を拠点にして長期滞在といったスタイルになる。居候しているのでこの辺りは従来のギャルゲーに近い。
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主人公の現在位置によって消費するポイント数が変化するので、例えば糸満市に移動した場合には糸満市近郊の場所がコスト:1になるのだが、ヒロインと一緒に取材した場合はヒロインを帰すために一旦、GIASに戻るので結果としてコストの数値が変動しないという事になる。
観光ポイント
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ポイントは周回するのではなく、1方向に進む形になっている。このため、写真を撮り直したくなっても、戻ることができない。
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場所にもよるが周遊できる箇所は前作よりも大幅に増えている。
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スタミナゲージが廃止されたので、普通に撮影枚数になっている。
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前作のようにポイントを自力で探し出すことができず、取材可能なポイントをしらみつぶしに潰していくことによって増えていく形になっている。このため、主人公単独のポイントであってもこなさない限りは、ヒロインとのイベントが発生する場所には行き着けないという事になる。
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ヒロインと一緒に取材ができる場所にはロックがかかって、アンロックするためには以下の条件が必要である。
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ヒロインとのイベントには順番があり、その場所でのイベントを見るためには、そこに至るまでのイベントを全て消化しなくてはならない。
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ヒロインと一緒に取材した場所を記事にしないとヒロインがすねて行けない事もある。
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アンロック判定は一回限り。1度失敗するとその日のうちのチャレンジは不可能となる。
記事
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行った場所について、あらかじめ文章が書かれており、写真を貼って壁紙を決めれば完成。前作のようにセンテンスを決めることができない。
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掲示板から読者からの反応が返ってくるようになり、コメントも格段に増えている。
主要キャラクター
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相馬轍(そうま・てつ)
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引き続きの主人公。
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前作の経験から大きく成長している。
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一方、寒いギャグを飛ばしたり時折おたくっぽい発言を飛ばしたりといい意味でも悪い意味でも暑苦しいキャラになっている。
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芹沢暦(せりざわ・こよみ)
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ヒロイン。
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GIASの社長芹沢修平の妹。社では事務処理とインターネット関連を担当している短大卒の22歳。福岡出身。
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髪型が結構、謎。
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無口できつめ、何かと轍に対して辛く当たるが、その一方で彼を信頼しているのも謎。
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兄嫁の葉子が妊娠中で近々、おばさんになる予定。
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ヒロインの中では一番巨乳。
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上原海琴(うえはら・みこと)
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ヒロイン。
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石垣島出身の17歳。沖縄民謡界の重鎮で、芹沢夫婦の求めに応じた祖母の付き添いでGIASにやってきた。
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その祖母は芹沢夫婦の恩人であり、妖怪ばばぁでもある。
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一応は地元民の筈なのだが、石垣島から出た事があまりないので実は沖縄の事はあまりよく知らない。
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周囲からは祖母の跡を継ぐものだと思われていて、才能もあるのだが自信がなく将来について悩んでいる。
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おっとり系ではあるが、天然で非道なことをしているのでとっても危険。ある意味、冬に玉恵を混ぜたようなキャラか。
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さとうきびジュースとひーじゃーでできている。
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因みに水着はランニング型スクール水着の様なワンピースタイプである。
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他のヒロイン2人と比べると何だか地味。だがそれがいい?
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担当声優の儀武ゆう子氏は沖縄県出身でウチナーグチの方言指導も行っている。本作以降、沖縄関連のアニメでも度々方言指導で関わるように。
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真鶴・天継・テイラー(まづる・あまつぐ・ていらー)
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ヒロイン。
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父がアメリカ人学者、母が沖縄人のハーフ。父の死後母と共に暮らしていたが、2年前に突然日本に帰国したっきり行方不明になった母を捜しにアメリカから沖縄へやって来た。
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日本では小学6年生に値する年頃だが、通学校の学年制度と飛び級によって12歳で中学3年クラスに居る天才児。「恵まれない孤児に募金を!」と言う名目でクラスメートから資金を集め、家出で公的機関の目を掻い潜っての単身渡航なのだからとんでもない子である。
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日本語も喋れるが、事情を聞いた轍が女の子の1人野宿を危惧して強引にGIASに居候させる事に。
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その実体はませがきで、年の割にはスタイルが良く服の露出度が高め。↑のヒロイン2人を飛び越えてエロ担当。
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轍を「にいにい」と呼んで慕っている。
轍さんロリコン
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因みに担当声優は沢野冷果氏。何とアダルト声優である。
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『CONCERTO.』でデビューし主にアダルトゲームで活動している。アダルト声優が一般向け(それもオリジナル)作品に携わった珍しい例である。
評価点
グラフィック
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プラットフォームをPS2に移した事もあって、前作よりも格段に綺麗になっている。ゲームアーカイブス版はより綺麗に(あとロードが早い)。
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特に二次元のキャラクターとアイテム、実写の背景の融合が見事。違和感がない。
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よーく見るとゲーセンに自社作品のポスターが張ってあったりと芸が細かい。
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背景の殆どが実写。前作で知床奥地にまで行ったのは凄いが、今作でも高い山の頂上に登ったり落石や滑落・ハブの危険性があるガレ場にいってまでの写真があるので本当に無茶している。
キャラクター
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岸上大策氏によるデザインも含めて概ね好評。
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ギャルゲームなので当然ヒロインが皆魅力的。沖縄である関係上勿論水着姿も披露してくれる。
エロ可愛い。
記事
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有名なところから穴場まで多数の場所が網羅されている。
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広いだけではなく、深海よりも深く掘り下げられており、主人公と一緒に各観光ポイントを回ることによって、知っているようで知らない沖縄の歴史や文化・風習などを知ることができる。
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ぶっちゃけ沖縄を知るためには最高の素材でもあり「沖縄観光をする予定があるならぜひ本作をやっておけ!」というレベルである。
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ただし本作は『孤独のグルメ』ではないので注意。
シナリオ
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旅を通して成長する主人公とヒロインの感動物語は今作でも健在である。
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ネタバレ要素
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今作でもヒロインと別れてしまう事になるが、再会の余地があるのが前作とは違う。あの轍が救われる話となっている。
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「離れていても心はつながっている」という今作のテーマゆえである。
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賛否両論点
ヒロインの平均年齢が大幅に下がっている
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全員が妹属性を持っている。それが好きな人にはたまらないかもしれないが。
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そのためか前作の様な性行為を暗示する描写が無い。
ランダムイベントがない
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観光スポットでヒロイン以外に会話するのは地元民だけであり、前作のように旅するライダーと歓談したり宴会したりするシーンがない。
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もっとも、北海道ほどに放浪するライダーがいない事情もある。
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北海道とは違って沖縄は無理をすれば一日で一周できるほどに狭く、また愛車を持ち込むのも至難の業である。このため北海道のように周遊するのではなく、拠点を決めてのんびりと過ごす長期滞在型が沖縄旅のメインだろうと思われる。皮肉にも轍が体現してしまっているわけで。
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ライダー達との会話はなくなったが、その代わりにヒロインやヒロイン関係者との歓談や食事などのイベントがあるわけでトレードオフになっているものと思われる。
真鶴シナリオ
+
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ネタバレ要素
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色々あって、最後には神と怨霊の祟りによって大津波が押し寄せて沖縄が滅亡しかけるが真鶴ちゃんの力と轍の頑張りによって救われる。これ何て『久遠の絆』?
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そんな訳で面白いと言えば面白いのだが違和感が強く、評価が分かれるかも知れない。否定的に捉えると、世界観から外れてしまっている。
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ただ、『風雨来記』は意外と超常的でもあるので、真鶴シナリオを否定したら前作のとあるヒロインも否定する事になってしまうのだが。
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問題点
ボイスの少なさ
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フルボイスでないのは仕方ないとしても、本当に極稀にしか音声が無い。何のための声優なのか。
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話を進めているといきなり音声付きで喋るので初見だとびっくりするかも。PS2の恋愛アドベンチャーでパートボイスは痛い。
撮影枚数
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その数、僅か24枚。
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デジカメ黎明期の頃ならば、記憶媒体の容量が少なかったので高解像度で撮ればそれくらいの枚数はあり得たかも知れないのだが…。
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おそらく、予算がないのにプロだからとの理由で価格よりも性能重視で記憶媒体を選んだのと、JPGではなくRAWで撮影している。…と思おう。
移動モード
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便利になったのと引き替えに臨場感がなくなった。
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画面の片隅に小さく走行風景が出ては切り替わるのだが、実際に走っている風景と適合しているようには見えないのでやっつけ感が漂っている。
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更に一人旅エンドもなくなった。
総評
前作を知らない人間がプレイするには良作。
前作を知っている人間がプレイすると旅の部分が弱まってギャル成分が強まっている事に不満を覚えるかも知れないが、絵・シナリオ・音楽どれも高い水準でまとまっている点を考えれば充分に良作だろう。
また、沖縄を知る、沖縄を旅するには絶好のゲームである。
余談
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『4』にて何と真鶴ちゃんが「真鶴・A・テイラー」と言う名で再登場した。
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本作から数年経っているため成長してすっかり大人になっている。
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肝心の轍との関係は暈されているが、相変わらず彼の事は「にいにい」と呼び慕っている。
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ヒロインではなくゲストである。つまり当主人公に寝取られたりはしないので御安心を。
最終更新:2024年05月12日 16:34