ドラえもん きみとペットの物語
【どらえもん きみとぺっとのものがたり】
| ジャンル | RPG |  高解像度で見る
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| 対応機種 | ゲームボーイカラー(全GB共通) | 
| メディア | 8MbitROMカートリッジ | 
| 発売元 | エポック社 | 
| 開発元 | オーパーツ | 
| 発売日 | 2001年3月16日 | 
| 定価 | 4,515円(税込) | 
| セーブデータ | 3個 | 
| 判定 | 良作 | 
| ポイント | オーソドックスなRPG 主人公がゲームオリジナルキャラ
 やりこみ要素「カード集め」が楽しい
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| ドラえもんシリーズ | 
 
概要
説明不要の知名度と人気を誇る漫画・アニメ『ドラえもん』のゲーム。
喧嘩をして家を飛び出したペットを救うために、主人公がドラえもんたちと一緒に冒険するというストーリー。
ドラゲーでは『ドラえもん ギガゾンビの逆襲』以来となる、プレイヤーの分身としてのオリジナル主人公を採用。システムも同作に類似している。
ストーリー
(説明書より引用)
ある晴れた日、”きみ”が外を歩いていると、道路の端っこにダンボール箱があり、ダンボール箱からちょこっと顔を出しているとても愛くるしい動物を発見します。
”きみ”「あっ かわいい。おまえ、捨てられてるの?
    うちにおいで。ママに頼んであげるから、うちの子になりなよ」
そう言うと、その愛くるしい動物を家に連れ帰ります。
この日から、”きみ”とペットの生活は始まりました。
それから1年…いろいろなことをして一緒に過ごしました。
そんなある日のこと、”きみ”が家に帰ると、いたずらをするペット。しつけのためにしかると、ペットは家を飛び出してしまいます。
ペットは夜になっても帰ってきません。
ちょうどその頃、巷では、ペット泥棒が話題になっていました。
ペットはペット泥棒に捕まったの?ペット泥棒は誰なの?
”きみ”はペットを探すために、隣町のペットショップへ向かいます。
これから大冒険があることも知らずに…
評価点
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ストーリーが大長編ドラえもんを彷彿とさせるもので、オリジナルにしては出来がいい。
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ジャイアンの性格はまんま映画版準拠。
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他のドラえもんゲーにありがちな原作破壊要素もあまりない。
 
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主人公の性別を「おとこの子」「おんなの子」から選べ、それぞれ顔のパターンも2種類から選択可能。
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男の子はペットが猫、女の子はペットが犬になり、男女でシナリオの細部や覚える技なども微妙に変わってくる。
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デフォルトネームはない。パッケージイラストではドラえもん一行と共に、表に女の子&犬、裏に男の子&猫がそれぞれ描かれている。
 
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原作メインキャラの各家庭の母親が全員登場する。
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いずれもチョイ役で物語に関わらないものの、地味だが嬉しい仕様。
 
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GBの解像度の関係で小さなドット絵ではあるものの、各キャラクターの特徴をよく捉えている。
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また、会話ウィンドウには顔グラフィックも表示され、こちらの絵も原作のイメージを壊していない良い出来。
 
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各キャラクターにそれぞれ個別の技が用意されている。
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ドラえもんは秘密道具、のび太は射撃というように、原作のキャラを尊重した技。
 
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連携技「ゆうじょう」が存在する。
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敵を倒す、ダメージを受けるなどで仲間との会話が発生するとポイントがたまり、それを消費して発動。
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キャラの組み合わせで効果が違い、「キャラA」から「キャラB」、「キャラB」から「キャラA」では会話のパターンが違う。
 
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この作品の特徴、やり込み要素として「カード集め」がある。
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カードは種類がとても豊富であり、200種類もある。
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一定の期間でしか獲得できない隠しキャラやアイテムのカードもある。
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2周目からは性別と難易度を変更してプレイできるため、カードを全部揃えられる。
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また、前述の通り性別によって細かい部分が違うため、再プレイでも1周目との違いを楽しめる。
 
 
賛否両論点
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RPGではあるが、序盤は移動や会話のみのおつかいでストーリーが進み、初戦闘までが非常に長い。
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ただしその後はザコ戦も含め戦闘は多くなる。
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もっとも、序盤は平和な町中だけで話が進むのでむしろ戦闘が無いのが正しいのだが。
 
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主人公がゲームオリジナルキャラ。しかも『ギガゾンビの逆襲』とは違い、ストーリー自体もドラえもんたちではなくオリジナル主人公を主軸にしている。
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ただし主人公は隣町に住んでいる設定でドラえもんたちとは初対面のため、原作に一切登場しない点については矛盾はない。言わば大長編のゲスト主役キャラに近い。
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また、キャラクターは最初から戦闘に参加できる3名として「しずか」「ドラえもん」「のび太」が揃っているので、ほとんど主人公を出さなくてもいい。
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とはいえ、主人公の特技や友情技が使えないわけではない。また終盤のパーティー選択ではドラえもんと主人公とだれか1名(任意)になるので、主人公をメンバーに入れる必要がある。
 
 
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各家庭の母親は全員出てくるくせに父親はのび太の父親ですら出てこない。
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ただし母親たちも話に深く関わるわけではなく、原作メインキャラたちはきちんと活躍しているため、出ないことが多少残念な程度。
 
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ジャイ子に関しては妙に性格が悪く、アニメ・原作双方のファンから見ても違和感が強い(原作初期に近い)。
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ストーリーのプロローグでの主人公の言動。
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女主人公はともかく、男主人公に至っては「俺がお前を拾ったんだから言うこと聞け(要約)」というものである。それでペットが逃げたら困り出すのだからはた迷惑である。
 
問題点
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全体的なストーリーは良いのだが、終盤の展開や伏線の回収は打ち切り漫画の如く駆け足で進む。
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旅に同行する店長や、終盤に出てくるキャラの設定も描写不足。
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ラスボスに至っては「シンジケートのボス」という肩書きしか語られず名前すらついていない。スタッフが途中で力尽きてしまったのだろうか。
 
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バランスが破綻しているというほどでは無いが、特技が若干冷遇気味。「レベルを上げて(ry」というレベルではないにしろ通常攻撃の方が効率が良い。使える特技も多いが……
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技の間の格差もある。たとえばジャイアンは「歌」と「リサイタル」という特技を両方習得しているが、どちらも全体攻撃でダメージはほぼ変わらず、歌の方がコストが低いためリサイタルを使う意味が無い。
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デバフ系はボスにも効果抜群でありとくに主人公男とのび太の友情技とジャイアンの「にらみつける」は相手の攻撃力を大幅に減らすことができ
2回重ね掛けすると相手の攻撃力が大幅に減少するためほぼ負ける要素がなくなる。
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また、一つだけあからさまなバランスブレイカーが存在する。それはスネ夫がレベル23で覚える技「いじわる」。
 
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装備品の数値がまともに機能していない。
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攻撃力の数値はそのまま反映されているのだが素早さは表記上は上がっているのにもかかわらず内部的には一切上がっていない。
そして防御力に関してもなぜか防御力が2倍になるバグが発生している。そして本来魔法防御的な役割の運の数値にいたっては上げれば上げるほど逆にダメージが増えるという逆転現象が発生している。
 
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ミニゲーム(クイズ、早食い競争、シャッフル、記憶力の計4つ)が飽きやすい。
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早食い競争とシャッフルは上位ランキングに入ればカードがもらえるので、ランキングに入る程度に手を抜くと良い。
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クイズはかんたんからカルトまである。主に映画版からの出題だが……
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「難しい」「カルト」は普段アニメしか見ない人にとっては難関。カルト難度に至っては劇場版と大長編の違いまで熟知し、一部原作漫画も知らなければいけないレベルである。
 
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種類はそんなに多くないので、答えを覚えてある程度答えればいいが、出題文と回答欄が同じで右上の「だいちょうへん」と「えいが」で見分けるしかない問題があるためカード回収の難易度と疲労感が増している。
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さらに隠しキャラ「ラムー」をスルーすると、2周目以降ではこれのカードが取れない。
 
 
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音楽の質があまりよろしくない。
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「アタック」と言われる「音が鳴り始めてから最大の音量になるまで」の期間がかなり長く設定されているため、リズムが崩れてしまっている。また、メロディ自体も個性が薄い。
 
総評
下手なドラゲーよりも原作をきちんとリスペクトしており、キャラゲー要素のほか、ストーリーの出来も良く、RPGとしても複雑な要素こそ無いがオーソドックスにまとまっている。
音楽さえ除けばキャラゲーとしてかなりの出来だと言えるだろう。
最終更新:2024年10月14日 20:02