BLOOD THE LAST VAMPIRE 上巻/下巻
【ぶらっど ざ らすと ばんぱいあ じょうかん/げかん】
ジャンル
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アドベンチャー
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対応機種
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プレイステーション2
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発売元
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Sony Computer Entertainment
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開発元
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Production I.G
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発売日
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上下巻共に2000年12月21日
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定価
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上下巻共に6,090円
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判定
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なし
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ポイント
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少女と刀とバンパイア やるドラシリーズ最難関
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やるドラシリーズ ダブルキャスト / 季節を抱きしめて / サンパギータ 雪割りの花 / スキャンダル / BLOOD THE LAST VAMPIRE
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やるドラ ポータブル BLOOD THE LAST VAMPIRE
【やるどら ぽーたぶる ぶらっど ざ らすと ばんぱいあ】
対応機種
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プレイステーション・ポータブル
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開発元
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Production I.G ウィル
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発売日
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2006年1月26日
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定価
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5,040円
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レーティング
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CERO:12歳以上対象
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判定
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なし
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ポイント
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PS2版の上下巻を同時に収録
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概要
メディアミックスコンテンツ『BLOOD THE LAST VAMPIRE』の家庭用TVゲーム版。
選択肢によって展開が分岐するインタラクティブアニメ『やるドラ』シリーズの一環として、上下巻の大ボリュームで同時発売された。
同作品はもともと、映画/アニメーション監督である押井守が、アニメスタジオ・プロダクションI.Gで若手育成のために行っていた通称「押井塾」から生まれた企画である。
メディアミックスとして他にもプロダクションI.G製作のアニメーション映画、押井本人が執筆した小説、玉置勉強による漫画などで展開されている。
作品間で直接的な物語のつながりはないが、同一世界観を基盤としている。
PSP版は上下巻同時収録であり、価格面の不満は大幅に解消された他、難易度やシステム面に改善が見られる。
ストーリー
父子家庭に育った主人公は、高校を中退し大検合格を目指して勉強していた。
しかし、その平穏な日々は正体不明の存在に次第に脅かされていく。
頭の中に響く不思議な「声」。現代社会の影に潜み人を襲う怪物「翼手」。
日本刀を携えて怪物を倒す美少女・小夜の周囲で、呪われた「血」に関わる者たちの運命の歯車が回りだす。
システム
基本的には他の『やるドラ』シリーズ同様、アニメを見ながら、要所で表示される選択肢を選ぶ事で物語が分岐するシステムだが、本作独自のシステムも一部存在する。
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BLOODレベル
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主人公の持つ唯一のパラメータ。特定の選択肢を選んだり、後述するBSSを空振りしたりすると上昇し、画面下部に表示されるバーの色が黄緑→黄→赤と変化する。この値に応じてエンディングが変化する事もある。
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これが一体何の値であるのかは、下巻までの物語を見なければ掴めないだろう。
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BLOODサーチシステム(BSS)
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アニメーションの中には、「選択肢ではない分岐ポイント」が時折出現する。プレイヤーが△ボタンを押すと一定時間サーチが発生し、見えない分岐ポイントと一致する事で物語が分岐する。
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サーチ時間は画面下部のバーで表示される。BLOODレベルに対応しており、レベルが高いほどサーチ時間は短くなる。
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一度サーチを行った後、バーが回復するまでにタイムラグがあり、連打はできない。
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分岐ポイントは、画面下に鈴マークが表示されるものと、全くノーヒントの隠しポイントの2種類があるので注意。
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該当部のアニメが再生された時点でBSSは不成立となる。BSSを成功させるには大きく分けて2つ、「空気を読んで直感に頼る」か「1つ手前の展開を覚えておく」といった方法が考えられる。
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下巻は上巻のクリアデータを引き継いで始めるように出来ているが、下巻だけ買った人のために、プレイデータを作成できる簡単な導入編が用意されている。
評価点
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作画、アニメーション、ストーリー、演出、声優の演技など、アニメとして見た場合ほぼ全ての要素がハイレベル。
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BGMは、種類こそ少ないが雰囲気は良く出ていて、音も臨場感に溢れている。ヘッドホン使用もお勧め。
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物語の伏線になっているOPデモの演出も上手い。
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登場人物の心理描写が、話の流れやキャラクターの表情といった細かい部分でも丁寧に描かれている。
賛否両論点
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単なる選択肢制に留まらないBSSは受動的になりがちなADVゲームに独特の緊張感をもたらしたが、少しでも気を抜くとタイミングを逃してしまうため、「判定が厳しい」「どこで分岐するのか判りにくい」と批判もされやすい。
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アニメーションをスキップする事はできても止める事はできず、攻略に詰まった時の打開が難しい。いくら美麗で良質なアニメでも、何度も凝視していたら飽きが早まってしまうだろう。
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最初の内はBLOODレベルがすぐMAXまで溜まってしまい、特に上巻ではいつも同じ結末に至ってしまうという人も多い。
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エンディングコンプリートは攻略本必須、100%クリアに至っては攻略サイト推奨とも言われている。とにかく分岐条件が細かい。
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例えると、「(選択肢)右へ行くか左へ行くか ⇒ 左にしよう ⇒ (BSSで隠し分岐発見)やっぱり右にしよう」みたいな細かさである。バッドエンド確定ルートの救済措置的な隠し分岐も多く、達成率100%を一層困難にしている。
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ちなみにコンプリート特典は、恒例の一枚絵表示と各エンディングルートごとのオートプレイモード解放。
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ストーリーはモチーフこそ古典的だが、面白い。ただし、映像も含めた全体的な雰囲気が暗く、好みは分かれる。
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重いストーリーに対し主人公が気弱なキャラなので、見ていてやきもきする。
問題点
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下巻のアニメーションも良質だが、一部にあからさまな尺稼ぎ(口パクなど)が見受けられる。
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下巻は物語が収束に入るため、上巻と比べると分岐パターンが少なくバリエーションに乏しく感じられる。ほとんど代わり映えのしないエンディングもある。
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上下それぞれを単品で楽しむ事はほぼ無理な上にこの点もあって、上下巻セットで考えた場合のボリュームと12000円強という価格設定に疑問の声が挙がる事もある。
総評
アニメーション作品としての質の高さは誰もが認めるところだろう。そもそもアニメが好きであればなおさらである。
だが、アニメが好きだからといって難しいADVゲームも好きとは限らないため、本作は非常にハードルの高い作品となってしまった。
作品が良質であればあるほど、落ち着いてじっくり眺めていたいという欲求も生まれるもの。
だが、BSSの緊張感から解放されるのは達成が困難な100%クリア以降。
暗い雰囲気の作品なので恐らくコア層向けなのだろうが、本作はそこから更に人を選ぶ。
タイミング重視の覚えゲーADVというデザインは新しかったが、広く受け入れられるものではなかったようだ。
最終更新:2022年07月20日 13:38