Age of Empires 2 The Age of Kings
【えいじおぶえんぱいあつー えいじおぶきんぐす】
| ジャンル | リアルタイムストラテジー |  |  | 
| 対応機種 | Windows Mac OS
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| 開発元 | Ensemble Studios | 
| 発売元 | マイクロソフト | 
| 発売日 | 1999年11月26日 | 
| 定価 | 9,800円(税抜) | 
| 判定 | 良作 | 
| Age of Empiresシリーズ 初代 / II / Mythology / III / Online / IV
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概要
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欧米では特に高い人気を誇るジャンル、リアルタイムストラテジーの傑作。
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前作と同じくGenie Engineを採用し、予定より一年近く遅れて発売された。
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今回は中世を舞台にし13の文明、史実の英雄を主人公にしたキャンペーンが用意されている。
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後に発売された拡張版(『Age of Empires II: The Conquerors』Expansion、通称:AoC)では新たに5つの文明が追加されたほかインターネット対戦も可能に、最高8人ものプレイヤーが同時に覇権を争う。
 拡張版の発売後、無印版についてはサブタイトルから「AOK」と略される事も。
特徴
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マス目のないクォータビュー視点の画面でユニットを生産し、1人1人に指示を出しながら、自分の領地を拡大し、資源を発見・開発しながら文明力を高め、軍隊を作って他の勢力を制することが目的となる。
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RTSには戦略に特化したゲームも多いが、本作は内政=領地の発展にも主眼が置かれている。そのためいかにして効率よく資源を確保するかといった点も重要。
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ユニット一体一体、建物1つ1つがリアルタイムで動きマップを埋めていく様は一種の箱庭のようであり、箱庭を作り込んでいく楽しさ(箱庭ゲー)という側面も持つ。
 
評価点
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高品質なグラフィック
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3Dモデリングを2Dに落とし込んだもの(プリレンダ)で、今時見てもあまり古さを感じない。
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遠投投石器の実装により、バトル時の迫力が大きく向上した。
 
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没入感のある歴史キャンペーンシナリオ
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ジャンヌ・ダルク、アッティラ、サラディンなどの中東・西欧名将の側に立ち、時に勇壮に、時に悲壮に盛り上がる物語を体験できる。
 
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前作から大幅なゲーム性の向上
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明確なアンチユニット(いわゆる三すくみ)の関係性を持つユニットが増え、状況に応じて兵種を選択することの重要性がより高まった。
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暗黒の時代から建造できる簡易的な壁である柵の導入や街の中心が防衛施設を兼ねることで早期の攻撃で一方的に勝負が決まることがほとんどなくなった。
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城(Castle)が新規実装され、街の守備力がアップ。これを攻撃側が破壊する為に、遠投投石機を事前に準備する必要などが出てきた。
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これらにより、とにかく強いユニットをたくさん出す、序盤から攻撃を仕掛けてタコ殴り状態にするといった単調なゲーム性が悪目立ちしていた1と比べてRTSの醍醐味である戦略性が大幅に強化された。
 
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間口の広さ
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基本的な動作はシンプルで、シングルモードをこなすうちにすぐにハマる。
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それでいてユニット一体一体の特徴、コスト、相性などからさまざまな戦術や立ち回りが支えられ、白熱化する試合を生み出すのにゲームバランスが整ってある。
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10年前のタイトルと言うこともあり、低スペックでも軽快に動くことも人気の秘訣となっている。
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対戦マップでも、一番人気なマップのアラビアでも腕がモノを言うが、異なるユニットが彩る展開に発展でき、マンネリさは皆無。
 
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マルチプレイ
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IRCチャットなどを利用した対人バトルができる。
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AOKが発売した時期はマイクロソフトゲーミングゾーンという対戦専用HPが存在し、海外の人達と対戦が手軽にできた。
 
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リプレイ機能
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ゲーム開始直前にリプレイ記録をオンにする事で、ゲーム終了後にリプレイを閲覧する事ができる。
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これにより、リプレイファイルをインターネット上にアップロードし、AOKファンらにAOKゲームのリプレイを閲覧してもらう事ができる。
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AOK世界大会や上手いプレイヤー同士の対戦なども閲覧できる。
 
    
    
        | + | アラビア4v4の場合 | 
序盤・領主時代
前衛の射手と後衛の斥候による合わせ合戦がメジャーだが、前衛の軍兵と塔の押し付けによる先制攻撃も人気である。ここで片方が優勢だとそのまま勝敗が決められる可能性が高い。拮抗だと城主時代戦に移る。
前衛が対面に塔ラッシュを仕掛ければ大体泥沼に発展でき、マッチングスコアの関係上低スコアが高スコア相手にこれをやればいいとHD時代で言われてきたが、DEで塔のコストアップ・スペックダウンにより下火になった。
中盤・城主時代
前衛の石弓射手と後衛の騎士による合わせ合戦がメジャーだが、要所要所で長槍兵、精鋭散兵、弓騎兵、騎兵(領主戦の生き残りがアップグレード)、ラクダ騎兵、破城槌、投石機、聖職者、各種ユニークユニットの活躍の場が決して少なくない。
領主戦をすっ飛ばしてここからスタートのケースも少なくなかったが、2021年現在ではメタから消えかかっている。
終盤・帝王時代
各文明自身が持てる最高のスペックのユニットがぶつかり合うことになる。天然の金鉱が掘りつくされて、金を捻出するための交易路線が構築され、それを妨害もしくは防衛するための攻防が繰り広げられる。
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問題点
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操作が忙しい
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上達するには、キーボードとマウスをフル活用し、アクションゲーム並みかそれ以上アクティブな操作が要求される。
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本作と言うより、RTSというジャンル自体のもつ難点である。そのためじっくり戦略を練りたい人には馴染みづらいゲームとなっている。
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例えば、対戦序盤の基本からして、偵察兵を常に操作して地形を明らかにして行きつつ、「町の中心」周辺では約25秒刻みの計画的かつ効率的な操作で資源採集して次の時代に進化させるような次第。建物やユニットが増えるにつれ操作量はさらに増えて行く。
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この内政にも激烈なアクションを求めるゲームデザインが大いに賛否を起こし、本作以後のRTSは内政が本作より簡略なことから、ライトユーザーにとってのネックではあるようだ。
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それでもRTSの中では要求操作量が少ないほうなのが、RTSというジャンルの魔境っぷりを物語っている。
 
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AoCになって収穫し終わった畑の張り替えを自動で行なうよう予約できる再建キューが追加されるが、全体的に必要な操作量の前では焼け石に水である。
 
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公式の裏ワザである隠しコード(チートコード)が本作のみ少ない。これに関しては1が少々やりすぎた感が強いが。
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西欧側に比べ、ツッコミどころだらけのアジア側シナリオ
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COMの標準AIの粗。ほとんど城門を攻撃しようとしないため城門ばかり並んでるとプレイヤーに手出ししない、等。
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処理速度の限界
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ユニットの数が増えると、ラグのみならず、ユニットの動き自体も渋滞が起こってしまう。
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オリジナルのパッケージ版でも、リメイクのHD版でもマルチコア非対応のゆえ回避困難。
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これはゲームバランスにも影響をもたらし、精強だがラグのせいで攻撃が出来ない近接ユニットよりも、肉壁の後ろに立って攻撃できる間接ユニットのほうが有用。
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後半に行くほど近接ユニットのスペックが間接ユニットを圧倒するのだが…。
 
 
総評
秀逸なグラフィックと直感的な遊び方を持って絶大の人気を誇った、RTS黎明期を代表する伝説の傑作。
移植・リメイク
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PS2移植版
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コナミより2002年2月14日に6800円(税抜)で発売された。
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移植度は高いが、このゲームの楽しみであるAIのカスタム、ネット上のシナリオの導入、8人対戦などはハード的にも不可能である。オフラインかつデフォルトの環境下ならこちらでも十分楽しめる。
 
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DS移植版
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Majesco Salesより2006年02月20日に北米で発売されたが、惜しくも国内未発売。
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DS版のタイトルは『Age of Empires:The Age of Kings』とナンバリングがないので紛らわしいのだがベースとなっているのは本作。
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こちらはRTSではなくターン制に変更されている。採集、研究、建築、進化、戦闘など、簡略化している部分はあるが原作の好評だった部分をしっかりと残しており、原作の雰囲気を楽しめる。
 
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DC移植版
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コナミがE3 2000にて発表したが、その後制作中止がアナウンスされた。
 
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PCリメイク版
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『Age of Empires II HD』。定価は1,980円、2013年4月10日にSteamにて配信開始。
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元のデベロッパーはすでに解散しており、別の開発元の手でSteamでは新たな拡張版(HD版)が販売されている。開発は『Counter-Strike:Global Offensive』の開発にも関わった、アメリカのHidden Path Entertainmentが担当。
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HD版には元スタッフのよる非公式MODを下敷きに新文明・新キャンペーンを追加した拡張パック「The Forgotten Empires」「The Afrikan Kingdoms」「Rise of Rajas」が順次リリースされた。
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UIがパッケージ版に比べて劣化点があるものの、SteamのワークショップからユーザーMODを利用することである程度解決可能。しかし通信プレイにおけるラグが目立つ。国をまたいての対戦はまともなゲームができないレベルに酷い。
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追加キャンペーンシナリオは、「The Forgotten Empires」のものは処理速度問題を無視したサイズ過大のマップと比重が大きすぎるRPGパート(たった一体のユニットで進行するパート)が災して、不評。「The Afrikan Kingdoms」と「Rise of Rajas」のものは、敵が資源無尽蔵なのが賛否両論なものの、マップがコンパクトで軍対決主体であることが好評。
 
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PCリメイク版その2
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『Age of Empires II Definitive Edition』。定価2,530円、Steamにて2019年11月に配信開始。前述のHD版の拡張パックの開発を手掛けたアメリカのForgotten EmpiresとオーストラリアのTantalus Media、Wicked Witchの3社による共同開発。この配信に伴い、HD版は『Age of Empires II(2013)』と表記が変更されている。
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HDベースのアッパーバージョン、追加拡張パックとして「The Last Khans」が入っているほか、AoE2(2013)からバランス調整が大幅に入っており、特に建てかけの壁の耐久力が皆無になったことから戦術レベルで変更を強いられている。
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またAoE3から「Shift+右クリックによる行動予約」が逆輸入された他、畑と簗を自動で作り変えるボタンが追加されて、操作量が緩和された。
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HD版で問題視されたネット対戦におけるラグは大幅に改善された。ランクランダムマッチも整備されている。
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カスタムゲームのリストに部屋主の使用言語・帰属サーバーが表示され、野良プレイヤーでもラグの小さいもの同士で組むように促されるのも大きい。
 
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当初はさらなる新文明の追加予定がなかったものの、2021年1月に二つの文明を追加した拡張パック「Lords of the West」が、8月に「Dawn of the Dukes」が、2022年4月に三つ追加の「Dynasties of India」がリリースされた。
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動作が安定し、バランス調整と新文明追加に積極的な運営は評価が高い。同時接続プレイヤー数が常に2万あたりでキープしていて、たった数千のAOE3や、2021年下半に発売して6万から数千に落ちたAOE4と比べて、いかにプレイヤーに愛されているのがわかる。
 
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One/XSXリメイク版
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上記の『Definitive Edition』の移植として、2023年2月1日にOne/XSXで発売された。
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コントローラーでのプレイを主眼にした最適化調整や、町の人の資源収集を自動化できるAIオートメーションなどの機能が追加されている。また、PC版とのクロスプラットフォームにも対応している。
 
余談
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始め出すとやめ時がみつからず、シヴィライゼーション(Civilization)シリーズとともに気が付くと徹夜してしまう「魔のゲーム」としても名高い。
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続編の3が発売された近年でも本作を愛好するユーザーが多く、完成度の高さを物語っている(3で「収集地点がなくなる」「ホームシティからの搬送システム」等、ゲーム的に大きな変化があったという点も大きい)。
最終更新:2023年05月21日 17:17