Age of Empires III
【えいじおぶえんぱいあすりー】
ジャンル
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RTS
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対応機種
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Windows
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発売元
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Microsoft
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開発元
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Ensemble Studio(~ES1.01a) Robot Entertainment(RE1.02~) Tantalus Media Forgotten Empires(DE)
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発売日
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2005年10月18日(オリジナル版) 2006年1月27日(日本語版)
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定価
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9,875円
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プレイ人数
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1~8人
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レーティング
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CERO:B
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判定
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良作
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シリーズファンから不評
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ポイント
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簡略化された内政とホームタウン搬送による逆転要素 拡張パック文明のバランスに違和感あり
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Age of Empiresシリーズ 初代 / II / Mythology / III / Online / IV
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概要
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大人気RTS「エイジオブエンパイア」シリーズの第3弾。中世をモチーフとした前作から更に歴史が進み、本作では「新大陸(アメリカ)を舞台に植民地を広げ、その植民地での争い」がモチーフとなっている。
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2006年10月に最初の拡張パック「The War Chief」(TWC)、2007年10月に「The Asian Dynasties」(TAD)が発売された。
日本語版パッケージはそれぞれ単体版の他、無印+TWCのセット品も存在した。
現在Steamで販売されているのはComplete Editionと呼ばれる無印+TWC+TADの英語版セット。
前作からの変更点
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内政の簡略化
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前作から石資源が無くなり、肉、木、金の3種に。また資源を回収するための伐採所等は無くなり、その場で入手出来るようになった。
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金を採集できる農園が追加され、マップ上の金鉱を彫りきっても生産が可能になった。
ただし木は切り尽くしてしまうと入手する手段に乏しいまま。
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進化時のボーナス「政治家」
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進化ごとにボーナスとして資源やユニットを受け取れるようになっている。
複数の政治家がそれぞれ違うボーナスを持っているため、兵士を貰える政治家で進化し速攻を仕掛ける、資源を貰える政治家で進化し内政を鍛える等、プレイヤーによる戦術の幅が広がった。
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無印の勢力は時代進化ごとにそれぞれ違うボーナスから選択するが、TWC以降の勢力は、ボーナスの基本事項は同じで、質や量がだんだん上がっていく。同じ政治家による進化はそのプレイ中では出来ないので、どの順番で進化するのかという考慮が必要となる。
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TADで追加された文明は、この政治家システムの代わりに、立っているだけでボーナス要素をもたらす「民族の象徴」を建てる事で進化が出来る。町の人を利用して建てるので、進化中に農民の生産が止まらない利点があるが、逆に攻め込まれた時に壊されると、二度とそのボーナスが得られなくなるため、逆転が難しいという欠点もある。
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TWC文明同様に、ボーナスが進化ごとに増強され、同じ建物での進化は不能となっている。
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新システム「搬送」
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各行動により経験値が貯まり、一定まで貯まると「本国(ホームタウン)からの援助物資」を受け取れるようになった。
資源を高速で回収できる「資源箱」。農民の資源回収速度や、兵士の性能を上げるアップグレード。農民や兵士そのものの輸送等、選択肢は豊富。
どのタイミングでどの物資から受け取るかが駆け引きの一つとなっている。
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戦術コマンド
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マスケット銃兵を騎兵に強い接近戦モード(Melee)に切り替え、歩兵を攻撃力は下がるが防御力は上がる援護モード(Cover)に切り替え、砲兵をすぐには攻撃できないが移動速度が早い前車モード(Limber)に切り替え、といった性能変化を伴うモード切り替えがある。
評価点
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内政が簡略化された事による操作量の減少。
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単純に戦闘に集中しやすくなり、戦略より戦術の重要性が増している。
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また序盤が非常に早くなり、ピリオド2の時代に進化するまでの農民数が約半減している。
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RTSの三つ巴の駆け引き要素。
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攻撃を仕掛ける(ラッシュ)、防御する(タートル)、資源を貯める(ブーム)という駆け引きは、ホームタウンからの搬送もあり更に分かりやすくなっている。
「相手がノーガードでピリオド3の時代に行こうとしているのを察知し、ピリオド2の時代でホームタウンからの兵士と自作の兵士を突っ込ませて圧倒」「相手が速攻を仕掛けてくると読んで、ホームタウンから資源ではなく兵士を搬送、タイミングを合わせて生産した兵士と共に返り討ち」「相手が攻めて来ないのを良いことに、ホームタウンから資源を調達、先にピリオド3に入りユニットの性能差で圧倒」というのが基本だが、中には特定の戦術のみに刺さる尖った戦術もある。
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陸上の兵科は大まかに5種類に分別できる。
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歩兵:長射程の銃器もしくは弓矢を持つ歩戦ユニット。
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重歩兵:中射程のマスケット銃とバヨネットを持つものと、各種近接兵器を持つ歩戦ユニット。
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軽騎兵:短射程の銃または弓を持つ騎乗ユニット。
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重騎兵:各種近接兵器を持つ騎乗ユニット。
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砲兵:超長射程の大型の砲撃兵器を運搬し、設置の後初めて砲撃ができるユニット。
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兵科の相性については、「歩兵、重歩兵、軽騎兵、重騎兵、砲兵、歩兵、…」というドラムロールを見立てて、近隣の右の二つに強く、左の二つに弱いと覚えればいい。
偵察で相手の作戦を察知し、相手の兵に強い兵を出していくか。そして戦闘になったらマウス操作で自分の兵士を有利な相手にぶつけていくかが勝敗に直結する。
賛否両論点
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ゲームとしてのとっつきにくさ
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これだけは永遠に解消しない、ジャンル故の問題。
本作も2より簡略化されたとはいえ、序盤からの定石が非常に多い上に、その後の選択肢も非常に多すぎるので正解がほぼ存在しない。
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戦術コマンドもとっつきにくさを増す要素になっている。
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ゲームバランス調整
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拡張パックに入っている文明の方が、最初からの8か国より強いと評判。その8か国の中でも、バランスは結構壊れ気味。また3v3のチームゲームでは、国内大会使用禁止とされるレベルで突出している文明もある。
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日本は野生動物を狩猟できない代わりに社(やしろ)を建てる事で自動的に資源が生産されるという仕様であり、序盤こそ大変だがプレイヤーから内政の手間を無くして戦略に集中できる事と、コストこそ重いがスペックが優秀な歩兵や騎馬ユニットの存在、そしてユニットが高コスト故に数が揃わない序盤が弱かったのを覆す定石が見つかったことで、一時期はマルチで高いピック率となっていた。
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一発勝負のゲーム性
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内政や守りに重きを置く1や2に比べ、その部分が簡略化された分だけゲームの展開がスピーディになり、最終盤まで戦う重厚なゲームになりにくくなった。特に1vs1でその傾向は顕著であり、1試合30分前後かかることが普通だった従来のシリーズと比べると文明やマップにも依るが10~20分程度で終わることが大半である。
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これはゲームの作り的に全軍集中のビッグファイトが起きやすく、そこで軍隊を溶かしてしまうとそのまま立て直せないケースがほとんどであることに起因する。これを短時間で決着しスムーズと捉えるか、一発勝負の大味なゲーム性と捉えるかは人次第だろう。
問題点
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背景そのもの
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1や2が中世だったのに対し、本作は近世まで時代が上がったという点に関しては問題視されている。
その後のシリーズである4で再び中世に時代が戻ったため、3が完全に異端児となっている。
下のホームタウンからの搬送も本作のみの要素となっていて、本作で一部の要素が簡略化されたとはいえ、今のマップと完全に関係ない画面を出して選択を行う必要性から、操作量負担がかなりかかっている。
同じように時代背景を変えた『Age of Mythology』同様に「こんなのAoEじゃねぇ」という声は非常に大きく、『AoC』にとどまるプレイヤーは相当数存在した。
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空気なキャンペーン。
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本作のキャンペーンはシングルプレイ専用のバランス調整となっているのと、マルチプレイが非常に盛り上がった故にチュートリアルとしても放置される傾向があった。
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オフラインでCPUと対戦できるモードの方が、序盤の定石練習として使えるので余計に放置傾向に。
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ホームタウンのレベル制度とそれに伴う弊害。
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ホームタウンからの搬送は最初のうちは一部しか使えず、レベルアップと共にツリー形式で開放されるようになっている。
しかしこれがオフラインとオンラインで独立していて、オフライン側は設定ファイルの一部を書き換えることで無尽蔵にレベル上げが可能だが、オンラインはオンラインで別個にレベル上げする必要がある。
そのため定石的に必要なカードを初心者が使えないという悲しみを背負う事に。また各文明ごとに独立しているので、別の文明に移った場合も辛い。
一部のルールは強さを表すレートに影響が起こらないが、経験値は獲得可能という事が発覚し、経験値効率のいい農園を作っては壊すという農園爆破という手法が考案された。
それでもレベルを上げきるのにはかなり時間がかかる。
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TWC導入に伴う言葉の意味の変化。
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「軽歩兵」というユニットグループがあるが、無印の段階では「弓系ユニット」だったのが、拡張パックを入れると「馬系の性質を持つ歩兵ユニット」に変わってしまう。
今までの軽歩兵は軽が取れて「歩兵」になっている。
ただ、ユーザー間では相変わらず「弓系ユニットが軽歩兵」と言われ続けており、このことを知らないと混乱しやすい。
なおマスケット銃兵とその類似ユニットは「遠距離攻撃も出来る槍系ユニット」。スカーミッシャーとその類似ユニットは「弓の代わりに銃を使う弓系ユニット」であり、これも初心者が間違えやすいポイント。
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範囲攻撃モード(Trample)
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騎兵の戦術コマンド。移動速度と攻撃力が下がり、相手を攻撃すると自身も半分のダメージを受ける、騎兵は死ぬ。
総評
日本語版が出ていた事から、プレイのハードル自体は低かったものの、やはりRTSというゲーム性が最大のネックとなっている。
しかしそれさえ乗り越えれば熾烈なマルチプレイによる興奮が貴方を虜にしてくれるだろう。
余談
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2009年9月にSteam版のAoE3コンプリートエディションが発売済み。しかし古いゲームということで、Windows10ではインストールが上手く行かない等のトラブルが報告されている。
DE版発売に伴い、AoE2HD同様に『Age of Empires III(2007)』という表記に変更されている。
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日本語版ではないものの、ディスク版のパッチが自己解凍機能付きZipだったため、拡張子をZipにして解凍し、手動でファイルをコピーすれば日本語化は可能。ただし吹き替え音声は入っていないので注意。
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英語版日本農民で建物を作る時のボイス「たてる↑んだねぇ」は、当時外国語版や体験版をプレイしていたユーザーにネタにされまくっている。
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2020年10月にAoE1、2に続き、3の『Definitive Edition』が発売された。
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UI周りが大幅に変更になった事に加え、ユーザー間で使われていたバランス変更MODをベースにさらなるバランス調整。3つの文明追加に新規モードの追加と、大幅なアップデートが施された。
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問題点であるホームタウンレベルによるカードアンロックは撤廃され、最初から全カードが使用可能になっている。
ただし翻訳に若干問題点があるのに加え、AoE3日本語版の音声は入っていない。
「たてる↑んだねぇ」再び。
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後には2DEよろしく追加文明「エチオピア+ハウサ」「メキシコ」「マルタ+イタリア」が入るDLCが順次リリースされた。
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まだ日本ではプレイ配信が珍しかった時期から大会の動画配信を行っていた草分け的なゲームでもある。
最終更新:2023年06月03日 22:22