Age of Empires
【えいじ おぶ えんぱいあ】
ジャンル
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リアルタイムストラテジー
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対応機種
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Windows 95
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発売元
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マイクロソフト
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開発元
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Ensemble Studios
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発売日
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1997年10月15日
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判定
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良作
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ポイント
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RTSの金字塔 美麗グラフィックで表現された古代世界 異様に耳に残る聖職者の声
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Age of Empiresシリーズ 初代 / II / Mythology / III / Online / IV
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概要
1997年にマイクロソフトから発売された古代を舞台としたリアルタイムストラテジーゲーム。タイトルの頭文字をとって「AoE」と略される。
同ジャンルでは草分け的な存在であり、世界的に大ヒットし多くの中毒プレイヤーを生んだ。
内容
ゲームの目的・大まかな流れ
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プレイヤーは操作する古代文明を一つ選択し、自国を発展させ他国に対する勝利を目指す。
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文明によってユニット生産コストや生産可能ユニットなどに差異があり、どの文明が何を得意とするか把握するのが第一歩となる。
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クォータービューのマップ上で自ユニット一体一体に指示を出し、ゲームを進めることになる。
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ゲーム開始時は内政ユニット「町の人」のみが与えられている。彼らで資源を収集し、その資源を使って更なるユニット生産、施設建築、技術研究を行い勢力を拡大していく。
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最終的には戦争によって敵を滅ぼすか、「民族の象徴」を建築し一定時間守り切ることでゲームに勝利することができる。
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開始直後のマップは自陣周辺以外は真っ暗で、近くに何があるかや相手がどこにいるかが一切わからず、ユニットを移動させることでユニットの周囲のマップがオープンになっていく。
使用可能な文明
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12の文明から選択できる。
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長くなるので格納
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アッシリア
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町の人の移動速度や射手系ユニットの攻撃速度が高い。
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エジプト
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戦車ユニットのHPが高く、聖職者の転向範囲が広い。
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シュメール
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投石器の攻撃速度および町の人のHP、畑の生産量が高い。
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フェニキア
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木材の収穫速度が高く、象系ユニットのコストが安い。
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ヒッタイト
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投石器系ユニットのHPが高く、一部軍艦の射程が長い。
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ペルシア
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狩猟時の町の人や象系ユニットの移動速度が高い。歩兵育成所を建設できない。
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朝鮮
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戦士系ユニットのHPが高く、聖職者ユニットの生産コストが安い。
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大和
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町の人の移動速度が高く、射手系ユニットのコストが安い。
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時代進化
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ゲーム中に時代を進化させることで、新たな施設、テクノロジー、ユニットが解禁される。本作だけでなくAOEシリーズ自体の特徴といえるシステム。
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「石の時代」から始まり、「道具の時代」→「青銅の時代」→「鉄の時代」の順に4段階の時代がある。
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時代を進化させる条件として、その時代の建物2種+ある程度まとまった量の資源が必要。また、完了まである程度の時間がかかるほか、進化の実行中は町の人が生産できなくなる。
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リアルタイムで内政や戦闘が続くなか、この時代進化をどうこなしていくかが勝利の大きなカギとなる。
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中でも戦闘系ユニットが大幅に充実する青銅の時代に入ることを「青銅入り」と呼び、どれだけ早く青銅の時代に入るかが腕の見せ所とされた。
主なゲームモード
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シングルプレイヤー
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ランダムマップ
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対CPU戦。CPU人数やマップの種類・大きさなどの設定が可能。
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キャンペーン
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民族の歴史を辿っていくシナリオモード。エジプト、ギリシア、大和、バビロニアの全4編。
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デスマッチ
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各プレイヤーが大量の資源を持った状態から対戦開始するモード。
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マルチプレイヤー
評価点
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美しいグラフィック
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1997年当時としては非常に美麗かつ色鮮やかなグラフィックで、ロマンティックな古代世界を表現している。
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基本的には対戦ゲームだが、グラフィックのレベルの高さもあって育っていく自分の王国を眺めるだけでも満足感があり、観賞的な楽しみもできる。
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また、テクノロジーの進化に合わせて建物のグラフィックも豪華になっていく。開始直後は原始的な掘っ立て小屋ばかりだった自陣がローマ帝国ばりの文明都市に変貌する様は非常に壮観。
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ユニットの描写が秀逸
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アニメーションが非常に丁寧に作られており、移動、攻撃といった各動作は非常に滑らか。
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特に町の人は制作者の力の入れようが感じられる。採集、採掘、建築、狩猟と彼らの仕事は多岐にわたるが、どれも巧緻なアニメパターンが作られている。
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ボイスも力を入れて作られている。
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命令時の応答、死亡時の断末魔などのボイスは妙にリアル感があり、臨場感を演出している。
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聖職者が相手ユニットを転向させる際の「ウォロロ~」というボイスは非常に耳に残り、プレイヤーの間では半分ネタ扱いである。
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馬のひづめの音や投石機が移動する時のカタカタ音など、効果音も出来が良い。
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ダイナミックなゲーム展開
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時代が進むにつれて戦闘ユニットや要塞が次第に整っていき、小競り合いも増えゲームが段々と盛り上がっていく。まさしく人類の歴史そのものである。
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鉄の時代の最終局面ともなると精鋭歩兵や戦象、重戦車や包囲兵器、投石器やバリスタといった強力なユニットが多数生産され、その戦いは壮観。
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有利な展開であっても油断はできず、突如建てられた民族の象徴で逆転を狙われることも。こうなると制限時間がある故の凄まじい総力戦は避けられない。
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「リアルタイムストラテジー」の名に恥じず、高い自由度とどう転ぶかわからないゲーム展開を以ってプレイヤーを満足させてくれる。
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オンラインマルチプレイ
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1997年のゲームとしてはかなり珍しく、ネットやPC同士のLAN接続によるマルチプレイが可能。
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相手が人間ということで、CPU戦では味わえない緊張感や駆け引きを楽しめる。
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幅広い内容のキャンペーンモード
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シナリオは開始時の状況や勝利条件が多彩で、通常のゲームとは違う展開を楽しめる。
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エジプト編は実質的なチュートリアルであり、ごく基本的な操作及びゲームの流れを学ぶことができる。
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第1話→食料を集めて町の人を作成する、第2話→木を集めて施設を立てる。といった具合にかなり基本的なことから始まるので始めたばかりの人にも優しい。
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また、各話開始前に実際の歴史的背景のそれなりに詳しい説明を読むことも可能。古代史の勉強にもなる。
問題点
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操作が忙しい
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ゲーム中は間を置かず、ひたすらマウスを動かしキーを押しクリックする。後の作品でも解決しない、ジャンルゆえの問題。
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今作は後述の畑の仕様があるため作業感も比較的強い。
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畑の仕様が不便
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マップ上の肉や魚を一通り獲った序盤以降は畑を大量に建設し食料を確保することになるが、枯れた後の貼り直しが自動で行われないため管理が大変煩わしい。
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ユニットが畑の上を歩けないのも不便。ギッシリ敷き詰めると町の人の移動が詰まるため配置に気を使う。
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ゲームバランスがやや大味
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明らかに強い文明の存在。
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歩兵が安いうえに移動速度が速く当時最強クラスと言われたギリシア、長射程の軍船と非常にタフな投石機を擁するヒッタイト、低コストな町の人による内政力が強い漢など。
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ギリシアは射手が乏しい、ヒッタイトは船と聖職者が弱く、漢は鉄の時代に研究できるテクノロジーが非常に少なく長期戦に向かない(いわゆる青銅文明で、ほかにはミノアが該当)という欠点もある。
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ゲームの醍醐味が失われるような戦術もある。
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特に槍玉に挙がるのは、町の人の頭数が揃ったら全員で敵陣に殴り込む通称農民ラッシュ。強い弱い以前にゲームとしてつまらないという理由で対人では禁止されること多し。
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敵陣の裏にこっそり育成所を立てる「裏小屋」、序盤から敵陣地に塔を建てていく「タワーラッシュ」といった戦法もゲーム的に賛否あり、こちらもコミュニティによっては禁止されていた。
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時代差が甚大過ぎる
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一つ時代が進むとテクノロジーやユニット性能が大幅に強化されるため、相手に先に時代進化されてしまうと全く太刀打ち出来ない状態になることが多い。
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具体的には石壁が無く防衛手段がない石の時代に対する道具の時代の鎧付き軍隊、農民の動きを高速化する「車輪」がまだない道具の時代の農民に対して一方的に攻撃出来てしまう青銅の時代の騎馬ユニット等。
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もっとも、大量のコストを費やして時代を進化しているのでメリットが有るのは当然であるが、以降のシリーズ作と比べても先に進化することによるアドバンテージがやたらに大きい。
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大和キャンペーンが色々適当
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主要人物ユニットが他キャンペーンの使い回しで、徐福が英雄ペルセウス、出雲の長が英雄クセルクセスとして登場する。
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ユニットを使い回すにしてもせめて表示名くらいは替えられなかったのだろうか。ここまで適当だと流石に興ざめと言わざるをえない。
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また細かいところだが、獅子が動物ユニットとして出現したりする。日本とは…。
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研究施設とテクノロジーの組み合わせが一部違和感あり
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穀倉で壁・塔、貯蔵庫で鎧・盾関連のテクノロジーが研究可能だが、必然性のある組み合わせでないので最初は戸惑うかもしれない。
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史実から大きく外れた文明特性
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テクノロジーやユニットの性能などが史実と即していないように見受けられる点がいくつかある。
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後述の拡張版での話になるが、「戦車兵」のアップグレードユニットである「重装戦車兵」は説明書にはペルシア発祥の軍隊であると記述されているのにもかかわらずゲーム内でのペルシアには戦車兵はおろか戦車ユニットに必要な車輪すらないというツッコミどころしかない仕様になっている。
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ペルシアは強烈な狩猟ボーナスによる速攻文明として位置づけられている分バランス調整のためにそのようなことになったのだと思われるが、もう少し何とかならなかったのだろうか……
総評
美しいグラフィックと中毒性のあるゲーム性で多くのプレイヤーを虜にしたRTSの名作。
初期作ゆえの作りの粗さも所々見られるが全体的な完成度は高く、AOEシリーズの特長の多くは本作から確立されている。
リアルタイムストラテジーというジャンルの発展に大きく貢献した、ゲーム史に残る一作である。
その後の展開
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翌年の1998年11月13日に、拡張版となる『Age of Empires Expansion : The Rise of Rome』が発売された。
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タイトル通りローマ、カルタゴ、パルミュラ、マケドニアの4文明および新規ユニットが追加されている。
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2019年8月20日に、およそ20年ぶりのリメイクとなる『Age of Empires: Definitive Edition』が発売された。
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グラフィックの4Kリマスター、最大8人のマルチプレイ対応など現代の環境に合わせた変更が施されている。
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なお本作は上記『Rise of Rome』をベースにしたリメイクであり、ゲームバランスも一部調整されているため、オリジナルとはプレイ感覚が若干異なる。とはいえオリジナルは最早OS側が対応していないので、今からプレイするのであれば本作一択となる。
最終更新:2023年05月21日 03:28