GUNHED / BLAZING LAZERS
【がんへっど / ぶれいじんぐれーざーず】
ジャンル
|
STG
|
対応機種
|
PCエンジン
|
発売元
|
ハドソン
|
開発元
|
コンパイル
|
発売日
|
1989年7月7日
|
定価
|
6,200円
|
配信
|
バーチャルコンソール 【Wii】2008年6月17日/600Wiiポイント 【WiiU】2014年6月11日/617円 PCエンジンアーカイブス:2010年7月21日/600円
|
備考
|
海外版および移植版は『ブレイジングレーザーズ』
|
判定
|
良作
|
キャラバンシューティングシリーズ
|
コンパイルSTGシリーズ
|
概要
東宝とサンライズがタッグを組んだ巨大ロボット実写映画『ガンヘッド』のゲーム化である。が、本作と映画の共通点はタイトルロゴしかなく、ゲームには映画内の要素は一切ない。
しかし、それでもPCEの傑作STGと呼ばれるに相応しい出来。
なお、後述するように海外版および後の移植版はタイトルが変更され、完全に映画版とは無関係になった。
特徴とシステム
-
自機にはメイン武器と補助のサブ武器がある。他にジェルというパワーアップアイテムもある。
Iボタンで一定範囲の敵を瞬時に殲滅するボムを撃て、スピードはSELECTボタンで0~4の5段階に調節できる。
-
メイン武器は以下のいずれかを選択できる。
同種の武器を取るか、武器レベルごとに一定数のジェルを取ると攻撃が強化されて、被弾を耐えられるシールドが装備される。しかし被弾するとパワーダウンし、武器レベルが低いとシールド効果がなくミスとなる。
-
サブ武器も同種のアイテムを取るとパワーアップする。こちらはメイン武器と違い、弾を食らっても自機破壊されない限りレベルは下がらないが、同種以外を取ると武器チェンジされレベルが初期段階に戻る。また、ジェルはパワーアップに影響しない。
-
ボムは敵弾も消せるが自機が無敵になる訳ではないので、緊急回避的な意味ではやや弱い。要塞系の敵が弾を撃つ直前に投げる、いわゆる置いておく感じで使用することになるだろう。破壊力は高く、かなり撃ち込まないと破壊できない8面の紫泡も直撃させれば1発で破壊できる。
サブ武器を連続で取ると増え(装備されていればどの種類を取っても増える)基本的に16発持てる。1面ボス(1面と9面で出現)を破壊せずに逃すと隠しボーナスがあり、その場合に限り上限を超えてボムが増える。なお、プレイヤーミスしてもその時に所有していたボムの残数は継続されるので「抱え落ちの心配はしなくて済む」という利点もある。
+
|
メイン武器4種
|
-
メイン武器
-
フォトン・プラクター(I):初期武装で、攻撃判定が一番小さいが連射力のある弾を撃つ。またサブ武器も他のメイン武器より強化される。
最終的に前後5方向へ攻撃できるようになる、キャラバンゲーではおなじみの攻撃。 被弾でのパワーダウン時はどの装備でもこれの最弱段階になり、ジェルを1つでも取ると元の武器の初期に戻る(この武器ではツインショットに上がる)。
-
ディスラプト・ウェーブ(II):高速連射の幅の広い弾を撃つ。最終的に前方三方向+補助の単発弾を発射するようになる。最強状態になるまでは自機の左右移動に合わせて射線が左右に動く。
-
フィールド・サンダー(III):X軸誘導が可能なイナズマ状のレーザーを撃つ攻撃。パワーアップするほど複雑な軌道を描く攻撃になる。
最終的には一度の攻撃で全画面を覆うほどに。ただし連射が効かない。 スピード4速でLV3~4を撃ち、下に移動することでちょっとだけイナズマをその場に留まらせることができる。
-
リング・ブラスター(IV):自機周囲を回る金属球が付く。これは敵の弾を遮断し、空中物に当たるとダメージを与える。
パワーアップするほど数が増え、最大四つとなる。通常弾も撃てるが、フォトン・プラクターの第二段階のものでかなり貧弱。
|
+
|
サブ武器4種
|
サブ武器
-
ホーミング・ミサイル(H):追尾力のあるミサイルを装備する。
最初は頼りないがパワーアップすると速度と追尾力が上がり、LV4ではスプレッド効果も付く。何故か当てているとザコを破壊した時と同様にアイテムキャリアが飛んでくる。 発射数はフォトン・プラクター装備時が8、その他は4。
-
マルチ・ボディー(M):グラディウスシリーズのオプションと似たような、いわゆる分身アイテムを装備できる。
分身の攻撃は基本メイン武器の簡易版。しかしリング・ブラスターは通常弾1発4連射に対し、フォトン・プラクターは通常弾2発8連射と破格。 最大2つまでつけられ、さらに強化すると敵の弾を防ぐようになる、ただし敵弾バリア効果は時間で消える。ちなみにこのアイテムを取得したときの空耳「オッパイパーイ」が一部で有名。
-
シールド(S):攻撃に耐えるシールドを装備する。かなりの被弾に耐える。
ただしシールドで幅が広がり当たり判定も大きくなる、また制限時間があり被弾しなくてもやがて消える。
-
フル・ファイヤー(F):各メイン武器をノーマルのものから特殊なものに強化する。
フォトン・プラクター:前方3方向がなくなり敵に命中すると拡散する波動弾になる、武器レベルが高いと連射数も多いが、破裂前の弾速が遅く弾切れし易い。 ディスラプト・ウェーブ:前方へ飛ぶ単発弾が追加される。最大4発まで増え、5発横一列になる。 フィールド・サンダー:追尾能力を持ったレーザーが発射される、武器レベルが高いと2本になる。 リング・ブラスター:回転する光球を飛ばす、武器レベルごとに発射数と軌道が異なり最強状態では全画面を覆うほどになる。
|
-
緑のアイテムキャリアを撃つと、メイン武器I~IVかサブ武器H~Fのどちらか4種が時間で切り変わるアイテムが出る。
弾を当てると切り変わりが止まるので、比較的狙って武器を入手できる。またそのアイテムに一定ダメージを与えるか画面下に逃すと、虹色のジェルが出現し画面上方向に漂って行く。取ると画面上の敵すべてにダメージを与え、残機表示の部分が金色に代わりその場復活できる回数が1回増える(通常は死ぬと戻り復活)。
-
ボムを使いきり0個にして、その状態でジェルを32個連続で取ると、隠しアイテムとして虹色の自機がアイテムキャリアから出る。取るとフォトン・プラクターとリング・ブラスターに限り8方向にショットが撃てるようになる。その状態でサブ武器を切り替え続けボムを増やすと、8WAYがなくなることがある。
メイン武器・サブ武器とは別扱いなので、リング・ブラスター+フル・ファイヤー+8WAYの同時併用は一見の価値あり。
-
敵は空中物と地上物に分かれるが、どちらも同一の武器で攻撃できる。対空中、対地上攻撃というような面倒な撃ち分けはない。
評価点
-
とにかく派手。
最大までパワーアップするとほぼ全画面を覆うような攻撃が多く、敵をなぎ倒していく爽快感を味わえる。地上の敵も空中の敵もいっしょに破壊できるので、面倒な事なしに派手さを堪能できる。ただ、だからと言って最強状態で適当に撃っていればいいという訳ではもちろんなく、攻撃に耐えたり抜けてくる敵も結構いる。
武器の特性を理解し、面に応じて使い分けるのが重要。
-
多彩なパワーアップの組み合わせが、面白い。
メイン武器が4系統、サブ武器も4系統の組み合わせは多岐に渡る。弾数重視にするも、バリアーに頼って防御重視にするもよしである。特にフル・ファイアーは武器の特性が大きく変わるので、実質武器がさらに4系統増えたのと同じ。
これはノーマルの状態の武器とまた違った戦闘が楽しめる。
-
難易度はそう厳しくない。何度か練習すればクリアできる程度の難しさ。
裏技だが一応難易度設定はある、敵がかなり硬くなり敵弾も増えるがクリアは可能なレベル。
-
各ステージは特徴的に作られている、特に8面の泡ばかりが攻撃してくるステージは泡の表現が面白い。
※基本的にPCEには拡大縮小機能がなく、ソフトウェア技術で再現しているゲームもある。
-
BGMも良質揃い。基本的にテンポの速い曲が多いがSTAGE-2の宇宙基地にぴったりなスペーシーな曲やSTAGE-4のピラミッドやモアイが多数出てくるものに当てはまりそうなミステリアスな曲など雰囲気にあった曲は数多い。
-
サンプリングされたドラムも良い味を出していて全面的に使われている。特にボス戦勝利のファンファーレなどかなり強調されている。STAGE-9のプログレッシブ・ロックな曲にもかなりのテンポで鳴り響く。
問題点
-
一度撃破されると復帰が難しい。
この手のパワーアップ段階が大きいゲームでよくあるが、本作も一度撃破されるとそこからのプレイが格段に厳しくなる。このため、その場復活回数が少ないと残機があまり意味をなさない。特に終盤までくると、撃破された場所によってはかなり厳しい。
-
もっとも終盤になるとボムがかなり大量にあるので、思い切って頼ってしまうと結構挽回できる事もある。
-
コンパイル製STGの多くがそうであるように、本作もステージ道中が長い。特に序盤は難度が低く、敵の数も少なめで爽快感に欠けるため、冗長に感じやすい。
-
サンプリングドラムにメモリを食われたのかBGMやSEはモノラルである。
総評
とにかく多彩で派手な攻撃が特徴のSTG。各攻撃が特徴的で単純に撃つ楽しさがある。難易度もほどほどで、誰でも練習すればクリアできる程度という点がいい。
一応キャラクターゲームなのだが、全く原作を無視した点が逆に良さを引き出した、まさしくPCEを代表するSTGである。
移植
-
版権の問題で移植は絶望的と思われていたが、海外版である『ブレイジングレーザーズ』としてWii/Wii U用バーチャルコンソール(現在は購入不可能)、PS3/PSP用ゲームアーカイブスで配信されているほか、PCエンジンミニにも収録されている。
-
しかし、日本版『ガンヘッド』では可能だった自機無敵の裏技が使用できなくなっているため注意が必要である。
余談
-
本作の自機は、原作映画とはデザインが違っている。
-
OPデモやタイトルなどに自機のロボット形態が出てくるが、原作版ガンヘッドのスタンディングモードとはデザインが違う。
-
そもそも原作のガンヘッドは戦車形態からロボット形態に変形できる陸戦兵器であり、本作のような飛行ロボでは無い。
-
一応、ゲームの設定上では本作の機体は「数十年後の改造型ガンヘッド」となっている。また、原作映画でも極短時間だがバーニアで飛行する場面はある。
-
スタッフロールが終わった後…
+
|
ネタバレの為、収納
|
-
スタッフロールが終わった後の画面でしばらく待つと「SELECT A・B・A・B・A・B・A・B」と謎の表示が出る。
-
これは難易度選択画面へ移動するコマンドで、タイトル画面で「セレクトを押しながらI・II・I・II...」と入力することで行ける。ここでは難易度をデフォルトのNORMAL DOGとHARD HUMANの2つから選択できる。
-
ここで更に先程のコマンドを入力すると、より難しいSUPER MANIAや最高難度のGOD OF GAMEが出現する。
-
難易度を上げるとタイトルロゴの色が変わり敵の耐久力や攻撃の激しさが増す。特にGOD OF GAMEのそれは必見もの。
もっと歯ごたえが欲しいなら挑戦する価値はあるだろう(『ブレイジングレーザーズ』ではタイトルロゴの色は変わらない)。
-
なお、GOD OF GAMEをクリアしたときにエンディングで流れる曲は、「ひょっとして鬱エンドなのか」と思わせるような選曲である。
|
-
本作のプログラムを担当した広野隆行氏は後にtwitterで「先に作りかけのシューティングゲームがあって、そこでガンヘッドのタイトルを使う事になったので「この自機がガンヘッドです!」という事になった。一応は決定後に自機の画像を少し変えて、「何でガンヘッドなのに空飛んで弾撃ってるんだ?」ということで辻褄を合わせる設定にはしたが、そこはあまり気にせず作っていた」旨を述べている。
-
ちなみに、その作りかけのシューティングの仮タイトルは
奇しくも「スーパースターソルジャー」というタイトルであった
。
-
当時のCMでは、映画の一場面が使われていた。
-
なお、原作映画のスタッフは、後に平成ゴジラシリーズを担当するメンバーでもある。
-
その中心人物である特技監督の川北紘一は、1998年に刊行された『ゴジラデイズ』内にて「ゴジラ映画はガンヘッドのようにコンピュータ物にする予定だったが、そのガンヘッドが興行的に失敗したので、新たに怪獣を登場させることにした」と語っている。それが同年公開の『ゴジラVSビオランテ』である。
-
上述通りほぼ映画と無関係の内容なのだが、モアイや脳細胞等世界観は実質『グラディウス』のノリとなっている。
-
海外版『ブレイジングレーザーズ』は『スターソルジャー』のシリーズ作品として数えられている。(参考リンク)
-
公式ページによると、こちらでは自機名が「Gunhed Star Fighter」という名前となっており、ガンヘッドの要素が残っている。
-
本作が作り上げた「多彩な武器による派手で強力な攻撃が爽快なSTG」という方向性はこのあとのキャラバンシューティングの原型ともなっている。
-
ついでに言うと、アーケードSTGリスペクトなどこかで見たことある要素もお約束となった。
最終更新:2024年08月16日 17:00