スターソルジャー
【すたーそるじゃー】
| ジャンル | シューティング |  
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| 対応機種 | ファミリーコンピュータ | 
| 発売・開発元 | ハドソン | 
| 発売日 | 1986年6月13日 | 
| 定価 | 4,666円(税別) | 
| 配信 | バーチャルコンソール 【Wii】2007年7月3日/500Wiiポイント
 【3DS】2012年11月14日/500円
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| 移植 | GBA『ファミコンミニシリーズ』第一弾(2004年2月14日発売) | 
| 判定 | 良作 | 
| キャラバンシューティングシリーズ | 
 
概要
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『スターフォース』のファミコン移植を担当したハドソンが、その大ヒットを受けて制作したオリジナルSTG。
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そのため『スターフォース』と同じく1つのショットで空中・地上両方の敵を破壊できる、ひたすら撃ちまくるタイプの縦スクロールSTGとなっている。
 
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全16ステージ。各ステージの最後にはボスキャラが登場する。
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ステージ13以降はバリア装備時に限り敵が誘導弾を撃ってくる様になる。
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16ステージをクリアすると、その後裏面に行けるようになる。裏面はバリアの有無にかかわらず、最初から誘導弾が飛んでくる高難易度。
ストーリー
時空新世紀××.×年。
宇宙を航行する船が正体不明の敵から無差別攻撃を受けるという事件が続発していた。
事態を重くみた惑星連合軍は、原因究明のため大型戦艦を出撃させた。
しかし、帰ってきたのは調査報告を搭載した調査カプセルだけだったのである。
この報告によって、敵は人工頭脳に制御された巨大な浮遊大陸であることが判明。
この浮遊大陸を破壊できるのは、最新小型戦闘機"シーザー"以外には考えられないという結論にたっしたのであった…。
キミの任務は全宇宙から選び出された、ただ1人の宇宙戦士としてシーザーに乗り込み
浮遊大陸をコントロールしている人工頭脳を破壊することである。
(説明書より引用)
評価点
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ファミコンキャラバンで有名なSTG。映画『GAME KING 高橋名人VS毛利名人 激突!大決戦』で扱われた作品でもある。
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それだけに得点に関する要素は豊富で、連隊が画面から消えるまで次の連隊は出現しない、各面に8つ存在し出すごとに得点が多くなる隠しアイテムゼグ、ラザロの合体前撃破8万点、デライラ同時撃破で8万点といった、腕と知識が得点に直結する作りになっている。
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上記の隠しアイテム「ゼグ」以外にも、「野沢さん」「まっとうクジラ」「ミロン」(※後に発売された『迷宮組曲 ミロンの大冒険』の主人公)といった高得点の隠しキャラや、高威力の「レーザー」(後述)、ボタン押しっぱなしでの自弾自動発射が早くなる「高橋名人の指」などさまざま。前作のスターフォースにもあった要素を継承、発展させている。
 
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本作の影響から、多くのプレイヤーが得点を意識するようになり、ファミコンゲーム業界はスコアアタック時代に突入することになった。
 
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パワーアップすると軽快なBGMに変わり、パワーアップの段階によってシーザーの形状が変化する。爽快感とテンションが同時にかきたてられる演出。
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単純ではない、戦略性のあるパワーアップシステム。
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最大パワーアップは広範囲攻撃が可能なだけで、前方への攻撃力が少ない。
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最大パワーアップ時に敵弾に当たると前方2発、後方1発にダウンするが、前方への攻撃力は最大時の2倍。
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この状態になると、デライラ同時撃破ができなくなるいっぽうで、ラザロやスターブレインを破壊しやすくなる。
 
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最大パワーアップ時に張られるバリアは耐久力を回復させる手段がないため、意図的に被弾してバリアを剥がし、再び張り直す戦法もある。
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隠しアイテム「レーザー」の存在。これは連射が効かないかわり、前方のみにラザロなど一部の敵以外を貫通する強力な光線を発射できるようになる。入手後はセレクトボタンで通常弾との切替が可能。
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公式でのアナウンスは、高橋名人の連射力にあやかってか「通常弾の16倍」の威力で、通常弾32発で倒せるボス「スターブレイン」を2発で倒せる。
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実はこのレーザーは当初は普通のパワーアップの流れで装備できるはずだったが、連射がウリのゲームというコンセプトを壊すものだったと実装してから気付いたらしい。しかしプログラムとして実装された後のため手間をかけて消すぐらいならばということでボツにはせず結果的に隠しアイテム扱いとなった。
 
 
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比較的初期の作品ながら、グラフィックの質の高さもFCのSTGとしては上位レベルに入るだろう。
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4の倍数面に出現するボス「ビッグスターブレイン」の存在
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当時高橋名人が攻略ビデオにて「画面の8割を占める巨大ボスで、ギネスにも載るんじゃないかな」というほどの巨大さを誇る。今でこそ珍しくもないが、当時は斬新な設定で、そのインパクトは絶大であった。
 
問題点
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「トラップゾーン」と呼ばれる、一部の地形の裏側に隠れられるシステムがある。敵の攻撃をやり過ごす救済手段として用意されたと思われるが…
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潜っている間はプレイヤーも攻撃できなくなり、自機の姿も見えなくなる(バリアを装備していれば、一応位置はわかるが)ので、ゾーンを抜けた直後、敵の猛攻にさらされるリスクのほうが高く、あまり活用できるものではなかった。
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潜り込むポイントは地形の下側と決まっているが、画面に明示されているわけではないので、活用するなら(もしくはハマらないように)覚えるしかない。
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じつはこの仕様、プロトタイプの段階では存在しなかったのだが、テストプレイを見たハドソン社長の鶴の一声で追加されたという逸話がある。
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トラップゾーン出入り時はパワーカプセル取得時やバリア解除時の無敵状態ような挙動を見せるが、この時は無敵状態ではないのもまぎらわしい。
 
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後半ステージや裏面では敵の攻撃が非常に激しく、トラップゾーンのおかげで難を逃れられる事もある。
 
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誘導弾が凶悪
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後半面になると敵が誘導弾を放ってくるが、どれだけ切り返しても追尾してくるうえ、軌道や速度も不安定だったりと、アルゴリズムが洗練されているとはいいがたい。
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別の敵機や弾が出現すると誘導が切れるので、それまでひたすら逃げまわるか、パワーアップ時の全滅効果や無敵時間で弾を吸収するか、画面外に誘導して消すことでしのぐしかない。
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敵弾をくらってバリアがなくなれば誘導弾を撃ってこないので、意図的に当たる、という攻略法もあった。ただしその場合、当然ながらデライラボーナスは諦めるしかない。
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裏面ではバリアがなくともパワーアップを1つ取得しただけで誘導弾を撃ってくるため、この攻略法は使えない。
 
 
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ひたすら連射。
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ウリであり魅力である反面、ボタン1回あたり弾1発なので、他STGにくらべるとプレイ終了後の疲労感は尋常ではない。当然ながらボタン連打を繰り返せば、コントローラーへの負荷も尋常ではない。
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パワーアップすればボタン押しっぱなしでも連射が可能になるが、それでもラザロやデライラなどの硬い敵にはたいして役に立たない。
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快適にプレイしたいなら連射コントローラーは用意した方がいいだろう(クリアするだけであれば必須ではない)。
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本作の発売日に、ハドソンより連射コントローラー「ジョイカードMk.2」も同時発売されている。
 
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連射がコンセプトのゲームなので上記の問題に目を瞑るとしてもスコアの大部分が8万点ボーナスに集約されすぎている。そのため空中キャラを連射で撃墜しまくっても大した得点にならない。
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実際『GAME KING 高橋名人VS毛利名人 激突!大決戦』でも、8万点ボーナスを相手が逸すミス待ち状態のようになってしまっていた。
 
 
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エンディングが味気ない。
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苦労して全16面をクリアしても、ゲームオーバー時と同じ曲が流れる中「OPERATION COMPLETE CONGRATULATIONS」のメッセージが表示されるだけで、すぐに裏面に突入となる。
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その裏面を苦労してクリアしても、やはりエンディングは上記のみ。
 
総評
グラフィック、BGM、スコアアタックや戦略性と、STGの基礎がしっかりつくられている名作STG。
ゲームの品質といった点以外にも、「高橋名人」の人気を頂点に押し上げ、当時の子供たちを興奮の渦に巻き込んだという点は、日本のゲーム史・玩具史といった観点からも注目すべきソフトである。
現在でも根強い人気があり、本作を異様に神聖視する者も少なくない。
余談
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パッケージに描かれている青年の正体は現在でも謎のままである。
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単純に考えればパイロットだが、具体的に明記されてはいない。
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この青年のイラストはNES版『ヘクター'87』のパッケージにも流用されている。そのかわり本作のNES版には別の男性のイラストが描かれている。
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『ファイナルソルジャー』のサントラブックレットには、スターソルジャーチーム唯一の生き残りであるパイロット「ショウ・クーガ中尉」という似たような見た目の人物が登場するのだが、この設定を書いた原田一記氏いわく「スターソルジャーのこの人ではないと思う。だってショウ・クーガというキャラは僕が設定したから。この人誰?」とのことで、まったくの別人である。
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ちなみにこの青年キャラのデザインを担当したのは、当時アニメーターで後に『コットン』シリーズを手掛ける田村英樹氏。
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だがその田村氏ですら「設定を全く考慮せずにデザイン、執筆した。」と発言しており、青年についてはやはり謎のままとなっている。
 
 
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本作のステージボス「スターブレイン」と同名の中ボスが、同じハドソン製の『高橋名人のBugってハニー』に登場する予定だったが、没になってしまった。もっとも容姿は似ても似つかないブヨブヨのモンスターなのだが。
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本作とテクモが発売した『スーパースターフォース 時空暦の秘密』との関係性については、「ハドソンが自社で制作したFC版スターフォースの続編として『スーパースターフォース』で制作を進めていたが、テクモも同タイトルのソフトを企画していたため、ハドソン側がデザインとタイトルを変更して発売することになった」という説がまかり通っていたが、岩崎啓眞氏が関係各位に確認を取ったところ「ハドソンがテクモに話を通さずに勝手に続編の企画を進めてコロコロコミックで発表したのをテクモの社長が知って「なに勘違いしてんだ! だったらうちで出す!」と激怒して版権が使えなくなったので、しょうがなくオリジナルのシューティングに路線変更した」というのが真相らしい。つまり企画がバッティングしたとかの話ではなく、単にハドソンがやらかしたという話。
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ちなみに元テクモ関係者によると「ちゃんと話を通していれば、おそらく『スーパースターフォース』で発売できていただろう」とのこと。
 
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2006年に『ソルジャーフォース』という同人ゲームがリリースされたが、ゲーム内容が本作に酷似していたためか権利元から発禁を食らった模様。制作は『トラブル☆ウィッチーズ』を開発したスタジオシエスタ。
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このゲームではシーザーの他に『ヘクター'87』のノア、アップデート追加で『スターフォース』のファイナルスターSS、シーザーの強化版ゴールデンハミングが自機として使用可能だった。
 更に裏面では過去のキャラバンシューティングシリーズのアレンジBGMが流れる、ゴールデンハミングのパイロットや機体選択BGMは『ボンバーキング』の要素まで拾っているなど、出来は意外にも良かった…が、上記の通りあまりにもゲーム内容がそのまんますぎたのがいけなかったようである。
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動画サイトを検索すれば今もプレイ動画は出てくるので、興味のある方は調べて参照されたし。
 
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2023年には高橋名人が監修したオマージュ作品『スターガニアン』がリリースされた。
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今作同様連打に拘ったゲーム性はもちろんのこと、BGMも国本剛章氏が担当しており、ステージ1のBGMは今作パワーアップBGMのフレーズが盛り込まれている。
 
移植
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様々な機種にリメイク、および移植されている。
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MSX・SFC・GBA・GC・PS2・PSP・Switch。携帯のiアプリなどにも移植されている。
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MSX版はFC版と同年の発売で、グラフィックがFC版よりも劣るもののハードスペックを考えればまずまずの移植度となっている。ただし裏ステージやスーパーレーザーなどの隠し要素は全てカットされてしまっている。
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GC・PS2版は本作の続編(のひとつ)に位置づけられ、新兵器ブラスターや弾幕色の強いボスなど本作と毛色の異なる要素は多いものの、ボーナス満載&連射命な内容は本作ゆずりである。PSP版はGC・PS2版のリメイク。
 
 
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GBAでは週刊少年ジャンプで連載されていた漫画『ボボボーボ・ボーボボ』のゲームの『ボボボーボ・ボーボボ 9極戦士ギャグ融合』のミニゲームの1つに本作をパロディとした『スターボルジャー』が収録されている。
最終更新:2024年06月06日 14:13