GUILTY GEAR DUST STRIKERS
【ぎるてぃぎあ だすとすとらいかーず】
| ジャンル | アクション |  
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| 対応機種 | ニンテンドーDS | 
| 発売元 | アークシステムワークス | 
| 開発元 | ゼルフレックス | 
| 発売日 | 2006年10月5日 | 
| 定価 | 5,040円 | 
| レーティング | CERO:B(12才以上対象) | 
| 判定 | クソゲー | 
| シリーズファンから不評 | 
| ポイント | 『ギルティギア』で『スマブラ』? しかし実際の内容は劣化『イスカ』
 システム&ビジュアル&バランス全てが雑
 ミニゲームは割と好評
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| GUILTY GEARシリーズ | 
 
概要
2D対戦格闘ゲーム『GUILTY GEAR』シリーズのDSタイトル。
本作は海外で先に発売され、仕様の一部を変更して日本でも発売された。以下日本版について記述する。
特徴
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複雑だった本家シリーズのシステムを簡略化して、上下2画面を使った大乱闘スマッシュブラザーズのような対戦アクションとしている。
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上下画面をさらに足場で区切っておりステージは四段になっている。ステージごとに足場の形が違う。
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最大で4人まで入り乱れての対戦となる。
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ゲージは体力と、後述の特殊行動に用いる「テンションゲージ」の二本。なお、GGシリーズは「テンションゲージ0の状態で試合開始、ラウンド間でゲージを持ち越さない」という仕様だが、本作は「テンションゲージMAXで試合開始、自分がKOされると再び最大になる」という仕様になっている。
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ラウンドが存在せず、各キャラに「ソウル」という残機がある。シリーズ作品の『イスカ』と同様。
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攻撃は弱強の二段階で、それぞれが連打でコンボ「ガトリングコンビネーション(いわゆるチェーンコンボ)」が出せるようになっている。
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その他に必殺技用のボタンとライン攻撃「ダストストライク」にボタンが割り振られているため、ABXYの4ボタンは全部使用することになる。
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必殺技はレバー入力によって変化。また波動コマンド+必殺技と波動コマンド+ダストストライクは、ほとんどのキャラでテンションゲージ50%消費の「覚醒必殺技」のコマンドとなっている。
 
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Lがゲージ消費の食らいぬけとして機能する「サイクバースト」
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『XX』シリーズのサイクバーストと違いバーストゲージが存在せず、テンションゲージの消費による行動となっている。むしろデッドアングルアタック(ガードキャンセル)に近く、ゲージ量次第で2回連続で出すことが可能で、当たってもテンションゲージは回復しない。
 
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Rがゲージ消費で攻撃ヒット後の動作をキャンセルする「ロマンキャンセル」や、『XX』シリーズの「フォースロマンキャンセル」もある。
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本作は上下段の区別がなく、十字ボタンを下に入力してガードする。しゃがみはない。
 
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対戦中にはアイテムが出てきて、これを拾って使える。
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アイテムは各属性の法力(魔力)を宿した魔石という設定。シリーズの設定通り火・雷・水・風・気の属性がある。それに加えて気絶した時に出てくる羽根つき卵を模した混沌がある。
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アイテムは一個だけストック出来、タッチパネルで発動。
 
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使用可能キャラはXXシリーズの『#RELOAD』までに登場した21キャラ。
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ロボカイは『イスカ』に登場したロボカイIIのように、『ロボカイファクトリー』にて必殺技を搭載することで他のキャラの技を使って戦えるエディットキャラになっている。
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必殺技はミニゲームで高スコアを記録すると入手可能。
 
問題点
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ゲーム性を一言で表すと劣化版『イスカ』であり、『XX』シリーズに近い操作性でパーティゲームとなっていたイスカに対して、本作はまるっきり違う仕様なのが仇になっている。
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全ボタンに独自の用途があり、十字ボタン入力によって出る技も変わるため簡略化しているように見せかけて結局は複雑。もともと複雑な『XX』シリーズや『イスカ』と比較すれば簡略化されているのだが、この手の対戦アクションゲームとしてはこれでも複雑な部類に入る。
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そして複雑でありながら、実際の動きのパターンはXXシリーズと比べて少ないので、動きの自由度は『XX』シリーズより明らかに低い。
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しかもボタンの用途の統一性が謎。たとえば波動コマンドで強攻撃でライン移動攻撃。波動コマンドでダストストライクが他のライン関連動作に割り当てられているかと思いきや、覚醒必殺技が出る。普通は逆だろう。
 
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縦二画面をさらに足場で分割している都合上キャラが非常に小さい。『イスカ』のように狭い画面をエフェクトやキャラが飛び交うというハチャメチャっぷりがなく、非常に地味。
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振り向きはボタンではなく十字ボタンを入れた方向に勝手に向かう。このせいでバックステップが出しづらく、後ろを向いてダッシュが暴発しやすい。
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上下段の区別はない代わりにガードクラッシュがあるが、ガードクラッシュの判別をするゲージはない。後述通り投げが出しにくく、アイテムなしだとガードが崩れるまでひたすら適当に殴るだけという駆け引きも何もない状態になる。
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足場の存在が原因でシリーズの特徴である爽快感あるエリアルコンボが決めづらい。一番上の段なら決められなくもないが、すぐに画面上端を飛び出してしまってキャラが見えなくなる。
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投げはYとB同時押し。DSのボタン配置の都合上押しづらい上にキーコンフィグしても変わらない。本当に密着しないと出せず、スカりモーションすらないので入力に成功しているかどうかの判別すらできない。
 
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キャラ性能も『XX』シリーズとはかけ離れている。ただ単にパーティーゲーム向けにしたとは思えないような微妙なところの変化が多い。
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『XX』シリーズでジャンプキャンセルできた技と同じモーションでジャンプキャンセル不可能な技がある。当然、XXシリーズと同じ用途では使えない。
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一部の硬直がおかしく、ジョニーのステップの硬直やカイの空中スタンエッジの着地硬直がほぼないに等しい。
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フォースロマンキャンセルの入力猶予が甘いものや削除されているものが多い。実行しても『XX』シリーズでフォースロマンキャンセルを使ったときと違う挙動をする。
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例を挙げるとカイの空中スタンエッジの着地硬直フォースロマンキャンセルが削除(まあ上の通り硬直はほぼないのだが)、スタンエッジ・チャージアタックはフォースロマンキャンセル後即座にジャンプすると高さをずらして発射できるが本作は発動時の高さのまま飛んでいく。
 
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キャラごとの固有ゲージの類は一切再現されておらず、全員体力ゲージとテンションゲージだけである。
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ジョニーの「グリターイズゴールド」のコイン枚数制限が本作ではない。いや、表示されていないだけで本当は枚数制限があるのかもしれないが、それを確認する方法がない。
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ロボカイの電力ゲージもテンションゲージになっており、温度計がないため熱暴走などのデメリットは皆無。
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ザッパに霊魂がなく、「こんにちは三匹のムカデ」使用時にラオウを含めた霊がランダムで出てくる。ラオウには制限時間もない。ゲームの仕様が原因であまり強くないが。
 
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モーション自体に違和感があるキャラも多数。
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ソルの必殺技「ライオットスタンプ」は背中側の画面端まで飛んで、壁を蹴る勢いで飛び蹴りを見舞う技だが、本作では壁まで飛ばず一定距離飛んでから急に前に飛んで飛び蹴り。どういう動きをしているのか。
 
 
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アイテムの調整が雑すぎる。
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火は自分が向いている方向に火の玉を出し、壁か他のキャラに当たると爆発してその爆風に巻き込んでダメージ。雷は縦一直線に雷を出して攻撃。どちらも発生(火は弾速も)がやたら早く、見てから回避は困難、雷はほぼ回避不可能。おまけに当たれば体力を3割から4割は持っていくほど威力が高い。下手な覚醒必殺技よりこれを適当に拾ってぶっ放す方が強い。
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水は体力回復。のけぞりでない限り任意に発動可能で、これまた4割ぐらい回復する。
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気はテンションゲージが一定時間無限になる。ロマンキャンセルがし放題になるため1ボタンでロマンキャンセル可能な仕様と相まって効果が切れるまでひたすら殴り続けられる。
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誰がどういう種類のアイテムを所持しているかの判別は不可能。このように性能がどれもとがりまくっているのに、アイテム所持者に対する対策を立てることが非常に難しい。
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あまりに強すぎるので、アイテムを取って逃げ、適当なところで発動してまた逃げてアイテムを回収し…という事態を招きがち。
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設定でオフにできるが、各種類を個別にオフはできず、全てのオンオフを切り替えることだけ。
 
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ストーリーモードに該当する「メインモード」はシナリオがあまりにお粗末な上、システム面でも問題あり。
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何故かこのモードだけ「制限時間一杯戦闘を続け、最終的に体力が多かった者(KO数が少ないもの)が勝利」という仕様。相手をKOしても倒したという感じがないので爽快感が削がれる上、時間設定の変更ができないので無駄に長い時間戦わされる。
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先に発売された海外版では通常の戦闘と同じ仕様だったのに、なぜこのように変更したのか。
 
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シナリオでは登場人物のうち操作キャラを含む4人が続々と会話になだれ込んできて、適当な掛け合いの後戦闘になるというパターンばかり。
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登場人物の明確な目的が見えない上に、掛け合いも会話になっていないような言葉のドッジボールや、戦闘になだれ込むには不自然な掛け合いが多い。
 
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そして本作オリジナルキャラである巨大ギア「ギグ」を撃破するのが目的なのだが、このキャラの設定が一切解説されない。主人公のソルやその因縁の相手である「あの男」に仕えているイノ以外のキャラとは接点がないので、大体のキャラは「何となく動いていたら暴れているギアと会って、仕方なく倒した」という展開としか取れない。
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ギグもあまり強いとは言えない。巨大な形態では『イスカ』のレオパルドンのように一部以外への攻撃がガードされる仕様だが、レオパルドンと違い喰らい判定は下側にあるので攻撃が容易。ダメージを与えると球体型に一定時間変化しこのときに攻撃すれば体力を減らせるが、明らかに体力が少ない。
 
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ロボカイはメインモードでは使えない。
 
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システム以外にも全体的にやっつけ仕事の感じが否めない。
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グラフィックの流用が激しい。キャラや背景はともかく、メインモードのED用イラストまで過去作の流用である。
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キャラセレクトのイラストが『XX』のものと『イスカ』のものが混在。統一性がない。
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OPは『XX』シリーズのものをアニメーションさせず、MAD動画のようにところどころ切り取って画面に映し出す。
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BGMの種類が少なく、『XX』シリーズで各キャラごとにあった対戦BGMが本作ではたったの5種類。当然キャラごとに変化するわけではないので、ソルVSカイのBGMが全く関係ない戦闘で流れたりする。
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容量の問題から少なくしたのかもしれない。しかしその少ない選出の中、紗夢のBGM「BABEL NOSE」と『イスカ』の中国ステージBGM「Lady Fascination」が入っており、中国系でダブってしまっている。他のキャラのBGMを入れてバランスを良くした方がいいのでは?
 
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音声パターンも少なく、やっぱり選出がおかしい。例を挙げるとザッパのラオウは何を使ってもダークネスアンセムのボイス。またロボカイは『イスカ』のロボカイIIのもの。
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サウンドテストの類も存在しないため、本作のBGMやキャラ音声も聞くことができない。
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上記の通り『XX』シリーズとのキャラ性能の違いや複雑な操作系統、さらに本作独自の仕様など、覚えることは多いにもかかわらず、トレーニングモードが存在しない。
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CPU戦闘で練習しなければならず、細かい仕様をじっくり確認することは非常に難しい。
 
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対戦はWi-Fi未対応。海外版の頃から未対応なことを指摘されていたが、日本語版でも対応せず。
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『XX』シリーズで隠しキャラとなっていたクリフやジャスティス、『イスカ』で初登場したA.B.Aが使えない。ロボカイはカスタム専用で、通常の仕様のものが使えない。
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EDのスタッフロールが飛ばせない。
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ロボカイのカスタム技はAボタンのコマンドに割り振るのだが、空中と地上の区別がないため分けて搭載することができない。たとえば空中スタンエッジをニュートラルAに搭載すると、地上でニュートラルAを押しても技が出ない。
 
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ロボカイの技の入手にはミニゲームで高スコアを記録する必要があるが、これがまた難易度が高い。特に「イノのノートキャプチャー」と「梅喧の一刀両断」は難易度もゲームバランスもかなり鬼畜。
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前者はイノが落としてくる音符を楽譜の対応する音符にタッチペンのスライドで移動させ当てはめていくものだが、一個でも開いている楽譜の音符があるときに、対応する音符を落とすとミス。複数の音符を落としてくるためタッチペン操作が忙しく、楽譜の音符はランダムで変わるため運にも左右される。
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後者は指定された回数以内の斬撃(タッチペンのスライド操作)で、飛んできた巻き藁を全て切断するというもの。一個でも落とすとミスで、出来るだけ少ない回数で切り落とせば高得点だが、これまた飛んでくる巻き藁の機動がランダムなので「一刀両断」できるかは運次第になっている。
 
評価点
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ガトリングコンビネーションがボタン1つで出せるため、コンボの幅自体は狭いものの初心者でもコンボは決めやすい。
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ダストストライクの応用など本作独自のコンボも存在する。
 
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操作性自体はバックステップが出しづらいぐらいで、DSの格闘ゲームとしては決して悪くなく、むしろ良好。
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覚醒必殺技に必要な波動コマンドも、十字ボタン入力ながら出しやすい。
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また、昇龍拳コマンドのような難しいコマンドは排除されている。
 
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キャラクターのモーションにはいくつか新規のものがある。数は少ないがダストストライクなど本作でしか見られないモーションがいくつか用意されている。
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ポチョムキンの上ライン移動攻撃のアッパーカットはかっこいいと好評。
 
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BGMは過去作の流用が多いが、DSにうまく落とし込めている。
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一部難易度が高いが、ミニゲームはしっかりできており高評価。
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特に「ヴェノムのビリヤード」はDSで割と本格的なビリヤードが楽しめるとして好評であり、「本編よりこっちの方が楽しい」と言われることも。
 
総評
全面的に本作独自の仕様を取り入れたにもかかわらず、その調整を怠った結果、操作はしづらい・爽快感も自由度も低い・バランスは極めて悪いと散々で、単純にゲームとしての完成度が低い代物となってしまった作品。
グラフィックやサウンド、ファンサービスといった外面的要素もあまりに雑な仕上がりとなっており、旧作ファンから見ても強く違和感を感じやすい。
一応『イスカ』の系譜と言える面もあるが、『XX』シリーズの操作性と自由度を保ったままのパーティゲームとして等、光る部分のあったイスカとは比べる事すら困難で、「バカゲー」としての地位も確立できない代物とされている。
シリーズファンでも本作の存在を知らない人も多く、ファンからは満場一致で黒歴史扱いされてしまっている。
本作ならではの魅力は非常に少ないが、現在は中古で非常に安く買えるため、新規モーションを見ることやミニゲームの為にファンアイテムとして購入する分には悪くないかもしれない。
もっとも、流通している数そのものが少ないので中古でも見つけるのは困難だろうが…。
最終更新:2022年03月04日 11:22