激闘プロ野球 水島新司オールスターズ VS プロ野球

【げきとうぷろやきゅう みずしましんじおーるすたーずばーさすぷろやきゅう】

ジャンル 野球アクション

対応機種 プレイステーション2
ニンテンドーゲームキューブ
アーケード(Triforce)
発売元 セガ
開発元 ワウ・エンターテイメント
発売日【PS2/GC】 2003年9月11日
稼動開始日【AC】 2003年
定価 6,800円
判定 良作
ポイント ツボを抑えた原作再現
野球ゲームとしてもなかなかの出来
セガ クロスオーバー関連作品シリーズ


概要

『ドカベン』『野球狂の詩』など有名作をはじめ、数々の野球漫画で知られる水島新司のキャラクターたちが一堂にクロスオーバーする野球ゲーム。実在のプロ野球選手(選手データは2003年開幕時)も実名で収録されており、夢の対決が再現できる。実況は太田真一郎。 後にTriforce基板を採用したアーケード版も稼働した。


特徴・評価点

  • 水島キャラ夢の共演
    • 15作品から総勢35名が登場している。『ドカベン』の山田太郎や岩鬼正美、『野球狂の詩』の水原勇気や岩田鉄五郎などの有名キャラをはじめ、『おはようKジロー』の岡本慶司郎や『光の小次郎』の新田小次郎など比較的マイナーな作品からも選出されている。
    • 水島キャラのグラフィックはトゥーンシェイドで表現されている。絵はなかなか綺麗で、空振り時のモーションなども作り込まれている。
    • 水島キャラ同士の対決やバッテリーの組み合わせによってフルボイスの掛け合いが発生する。アニメ版が存在する作品では、一部を除きアニメと同じ声優が担当。*1
    • 山田を登板させるとキャッチャーの二塁送球のフォームになったり、殿馬がフォークを投げることができるなど、細かいところまで原作のネタが拾われている。
  • 秘打・秘球システム
    • 水島キャラはそれぞれ固有の「秘打」「秘球」という必殺技を持っており、SPというコストを支払うことで使用できる。殿馬であれば「白鳥の湖」「G線上のアリア」、水原勇気であれば「ドリームボール」と言ったように、原作で登場した個性的なプレーを再現することができる。
      • 単に能力がアップするだけのものから、他の野球ゲームではありえないような超個性的な効果まで種類は様々。
    • いずれも単なるお遊び要素ではなく、ゲームとして成立するようにちゃんと調整されている。
    • たとえば殿馬は原作の通りの低頭身であり、ストライクゾーンが非常に狭いため、ミートカーソルの大きさとあいまってとても打ちやすく、殿馬の巧打力の高さを表現できている。
    • また悪球打ちが代名詞の岩鬼は、ミートカーソルをど真ん中においている時はカーソルが米粒のように小さくミートは至難の業だが、カーソルをストライクゾーンの端に移動すると共にカーソルが滑らかに広がり、ボールゾーンに置いている際は極大となる。
      • 移動によってカーソルの大きさが変化するという仕様は『パワプロ』含め他の野球ゲームを見ても珍しく、とても良くできている。ここまで大きくリアルタイムに変化するのは『プロキン』以来だろうか。
  • 純粋な野球ゲームとしての完成度
    • 同時期の他のリアル頭身野球ゲームと比較して遜色ない水準。
    • 実在選手はポリゴンで描写されるが、モーションは今の観点からみてもリアルで出来が良い。
    • 相手の球種を予想することでミートカーソルの形状が変わり、読みが当たると能力が上昇する、リリース時にタイミング良くボタンを押すと球威が上昇するなど独自のシステムもある。

問題点

  • 秘打、秘球を含めた選手の使い勝手にかなりの差があり、弱キャラと強キャラの差が激しい。
    • 岩鬼は長打力が非常に高く、またミートカーソルの下部分でボールを打ってもゴロにならないという特有の仕様もあり、長打を量産できる。
      • 原作ではど真ん中が打てないという致命的欠点があるのだが、本作では少しミートカーソルを外に動かせばカーソルが広がりミートしやすくなるので、ど真ん中でもそこそこ打ててしまったりする*2
      • もっとも、独特の仕様を持つ岩鬼でホームランを打つのは本作最大かつ独自の魅力であり、水島漫画屈指の人気キャラかつ水島本人もお気に入りのキャラでもあるため、多少強すぎるバランスなのも仕方ないところである。
    • 他にも極狭ストライクゾーン・高ミート・高走力に加え強力な秘打を多数用意している殿馬*3、(『ファミスタ』におけるピノを連想させるほどに)脚が非常に速い上に秘打でさらに割り増しできる真田一球、ボールを高く打ちあげる通天閣打法(カメラがボールを追うため落下点が見えず、滞空時間が長いため進塁できる)により長打を量産しやすい坂田三吉あたりは使い勝手が良い。
    • 対して『ドカベン』の主人公である山田太郎は、岩鬼に比べれば長打力に劣り、さらに原作通り脚が致命的に遅いため、外野返球の速い本作では当たりが強くても長打になりづらくやや不遇。外野が水島キャラだとセンターゴロなんてことも。もっとも、盗塁を刺しやすく逆境チャンスに強い隠し能力もあるので、上記の弱点を差し引いても実在選手よりはずば抜けて強いが。
    • 他には『あぶさん』の主人公である景浦安武や、犬飼武蔵あたりも長打力・秘打がイマイチで扱いづらい。
  • キャラ選出にどうしても『ドカベン』キャラが目立つ。
    • ドカベン選手が18人*4、次に多い『野球狂の詩』選手で7人*5。人数バランスだけでなく能力値もドカベン選手がずば抜けている。
  • 水島キャラの数35人は、決して少なくはないが多くもない。
    • また、「ショートを務める主要キャラが全作一貫して非常に少ない」という水島作品の性質により、本作でも本職ショートのキャラは『新・野球狂の詩』の青空晴太しかおらず、水島キャラのみで2チーム作ろうとするとショートが足りなくなる。
      • と言っても、明訓高校でショートを務めた石毛や高代が参戦していたとしたら、それはそれで違和感があったかもしれないが…。
    • エディットモードがあるので根気があれば未参戦のキャラを自作も可能。
    • リアル選手ならある程度自由に作れるが、水島作品風のトゥーンシェイド選手は、体格ごとに数通りの中から選ぶ形となっている。またリアル系野球ゲームでは珍しく(唯一?)設定上ではなく事実女性のキャラを作れる。
      • ただこのエディット選手、せっかく限界能力値を割り振れて特徴的に作れるのに、能力上昇はその割り振りをけっこう無視して越えたり届かなかったりしてしまう。
  • アーケード版と同時開発されたこともあり、GC版は(AC版が互換基板であるTriforceを使っていたことを鑑みても)同年代ソフトと差の少ない快適性を保っているが、PS2版は非常にロードが長い上に各所で頻繁に入るため、快適性が低い。また、画質でもPS2版はかなりぼやけてしまっていてアーケードやGC版と別物。
  • ストーリーモードなどはないため、単に試合をするかペナントを回すぐらいしかゲームとしての目的がない。
    • 隠しキャラややりこみ要素もほとんどない。守備位置や交代状況などで珍しい会話パターンの組み合わせを探すくらいか。
  • 細かいことだが、『激闘プロ野球』というタイトルが地味。
    • メインタイトルだけ見るとよくあるただのプロ野球ゲームにしか見えないのはややもったいない。

総評

トゥーンで描かれた水島キャラのクオリティは高水準で、原作再現度も高い。マンガ的に派手な必殺技も個性的で、野球ゲームとしてもなかなかの出来を誇る、良キャラゲーである。原作ファンはもちろん、原作を知らなくても楽しめ、元になったマンガを読みたくなるだろう。
一方やりこみ要素などはないため、飽きが早いのは難点。


余談

  • 『ドカベン』シリーズをベースにした水島キャラのクロスオーバーは原作でも盛んに行われた。1983年~1987年に連載された『大甲子園』、2005年には『ドカベン スーパースターズ編』の一部の体を取った『野球狂の詩vsドカベン』、更には『スーパースターズ編』の世界観を主軸に水島キャラが総出演し激突する『ドカベン ドリームトーナメント編』が2012年~2018年まで連載した*6
    • 『大甲子園』は1990年にカプコンによりファミコン作品『水島新司の大甲子園』としてゲーム化された。
    • 『ドリームトーナメント編』はドカベンシリーズ、ひいては氏の執筆する野球漫画作品の事実上の最終作*7となった。その『ドリームトーナメント編』にも『あぶさん』の要素は投入されずに完結したため、結果的に本作は、『ドカベン』シリーズなどと景浦安武が共演した点でも稀有な作品となった。
  • 原作では(里中など一部を除き)具体的な設定が不明であった各選手の投球フォーム・打撃フォームが明確に描写されている(上記『水島新司の大甲子園』ではハードの性能上グラフィックの流用が多かった)。
    • 原作はいずれも人気野球漫画ゆえ、パワプロシリーズなどオリジナル選手作成モードを搭載した野球ゲームで各作品の登場人物を作成するプレイヤーも多い。そのためフォーム設定の際、本作が参考になるかもしれない。
  • 1990年代後半あたりから水島作品には実在の外国人選手が登場しなくなったため、外国人選手と水島キャラの共演という点でも珍しい。
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最終更新:2024年02月25日 09:43

*1 例えば神谷明氏が演じていた『ドカベン』の里中智は、氏のスケジュールの都合もあり神谷浩史氏が代役を務めている。

*2 一応、原作でも何の説明もなしにど真ん中を捉えるシーンがごくまれに見られる(通常はど真ん中を打つために何らかの工夫を行うことが多い)。

*3 そもそも原作では「秘打」という概念そのものが殿馬の専売特許であるため、これについても仕方がない側面がある。

*4 『ドカベン』14人、『大甲子園』1人、『ドカベン プロ野球編』3人。

*5 『野球狂の詩』4人、『野球狂の詩 平成編』2人、『新・野球狂の詩』1人。

*6 他に、1995年からの『ドカベン プロ野球編』では中西球道など初出がドカベン以外のキャラも何人かプロ入りしている。

*7 シリーズ完結から2年後の2020年12月1日に漫画家引退を表明。それから約1年後の2022年1月10日に死去。