サンドラの大冒険 ワルキューレとの出逢い
【さんどらのだいぼうけん わるきゅーれとのであい】
ジャンル
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アクション
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対応機種
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スーパーファミコン
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メディア
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8MbitROMカートリッジ
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発売元
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ナムコ
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開発元
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ノバ
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発売日
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1992年7月23日
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定価
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8,300円(税別)
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書換
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ニンテンドウパワー 1998年8月1日/1,000円/F×2・B×0
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プレイ人数
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1人
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判定
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なし
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ポイント
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かわいらしい世界観にそぐわぬ難易度の高さ
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ワルキューレシリーズ ワルキューレの冒険 / ワルキューレの伝説 / サンドラの大冒険 ローザの冒険 / ワルキューレの栄光 / ワルキューレの栄光2
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概要
ワルキューレシリーズの三作目。
『ワルキューレの冒険 時の鍵伝説』では協力者、『ワルキューレの伝説』では2Pキャラクターとして登場し、後のシリーズや外部出演でも登場する事となる「クリノ・サンドラ」が主人公。
本作は『時の鍵伝説』の前日談であり、これまで設定でしか語られてこなかったサンドラ族の勇者としての一面が描かれる。
ストーリー
マーベルランドの片田舎サンドランドで、サンドラ族は平和に暮らしていました。
しかしある時、アルサンドラ山が大噴火を起こしてサンドランドが地の底に陥没し、村中に死の灰が降り注ぎます。
それは、時の狭間から蘇った悪の化身「ゾウナ」の仕業でした。
灰を浴びた者は風化病という病にかかり、体が石になりやがては死んでしまいます。
サンドラ族最強の戦士、クリノ・サンドラの息子も風化病にかかり、徐々に弱っていきました。
サンドラはわが子を救うため、どんな病でも治せる万能薬「まぼろしのくすり」の手掛かりとなる
「ひかりのかけら」を探し出すために旅立ちの決心をしました……。
ゲームシステム
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サイドビュー2Dアクション。残機制・即死制。コンティニュー回数に制限はなく、パスワードによる保存も可能。
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探索要素と謎解き要素もあるが、強制スクロールのシンプルなステージもある。
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ステージ間にはアドベンチャー要素と言うほどでは無いが、ある程度選択肢があり、それに応じてストーリーが変化する。
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また、特定地点におけるNPCとの会話においてはエンディング分岐が発生し、間違った選択肢を選ぶと即座にバッドエンドとなる。
ただし、不正解の選択肢の内容もストーリーの本来の筋書きを考えれば分かりやすいため、意図的に選ばない限り選択肢によるバッドエンドは起こりにくい。また、中には少々話の展開が変わるだけで済む(つまりゲームオーバーにならない)選択肢もある。
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サンドラの攻撃手段は手に持った三叉の槍。射程は短いが取り回しが利く。
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ジャンプ中かつ下キーを押しながらだと下方向を攻撃する。下降中に当てることで再ジャンプとしても使えるが、地面に刺さるとしばらく動けなくなる。
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特殊アクションは、ボタン長押しの時間に応じて高さが変化する「ハイジャンプ」、走りながら短いジャンプをする「ステップジャンプ」、空中から真横に突撃する「きりもみアタック」の三種類。
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「ハイジャンプ」は空中制御が利かず、僅かに前進しながら飛び上がる。
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「ステップジャンプ」もハイジャンプ同様に空中制御が利かない他、ハイジャンプと操作が近いため、慎重に入力しないと暴発する事もある。
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「きりもみアタック」は通常攻撃8発分と高威力だが、何かにぶつかると目を回して気絶し、しばらく操作出来なくなる。
評価点
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グラフィックは丁寧に描写されており、ステージによってその外見はガラリと変化する。
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一般的なファンタジーものとはやや毛色の異なった、独特なファンタジー世界が温かみのあるドット絵で描写されており、童話のような世界観を形作っている。
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ステージ間には一枚絵でストーリーが表現されるビジュアルシーンが用意されており、バッドエンドにもそれぞれ専用のビジュアルがある。
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後述するような陰惨な雰囲気の絵もあるものの、多くは世界観に合った温かみのあるものやコミカルなものとなっており、見て楽しめる演出になっている。可愛い女性キャラや、美女に囲まれてデレるサンドラなども描かれている。
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横スクロールアクションながらストーリー性が強めで、登場人物も比較的多く、単純にステージをクリアするだけではない楽しみがある。
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オープニングは重い幕開けだが、道中のストーリーはかなりコミカルで明るめ。ステージも豊富なので、タイトルの通り『サンドラの大冒険』が楽しめる。
息子もよく持ったものである。
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分岐要素は上述した通りだが、ステージやエンディングが分岐する以外にも、登場人物の将来に関わるような選択肢も存在する。どれを選んだから正解・不正解という訳では無く、それを選んだなり彼らのその後が描かれる。選択時のサンドラのセリフも見所。
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例えば「姫は美人なんじゃろうな」に「きっとそうだよ!」と返すと美人になり「この世のものとは思えないブスかも…」と返すと半魚人のような顔になるなど、この時代の、それもアクションゲームとしてはなかなか凝った要素もある。
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また、この選択によって姫の恋人の性格も変化する。前者なら正統派キャラになるのだが、後者だとブスな姫から口実を付けて逃げようとしていた事になり、サンドラをハーレムに誘う軟派キャラに変貌する。そしてその誘いに乗れば勿論バッドエンド。
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バッドエンドの種類もそれなりにあり、単純に後味の悪い結末もあれば、ネタに走ったものもある。
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正規エンド以外は『時の鍵伝説』に繋がらないバッドエンド扱いだが、どのエンディングも必ず「ゾウナに操られてブラックサンドラと化し、延々砂漠で暴れまわる」という大筋自体は正規エンドと同じ結末に帰着する。正規エンドはその後でサブタイトル通り『ワルキューレとの出会い』が描かれるのだが、それ以外のバッドエンドはそこで終わり。
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力尽きた所を操られるのはともかく、囚われている人を見捨てたり、ハーレムにうつつを抜かしたり、海賊に転身したりと、少しでも主人公らしからぬ行動を取ったサンドラを何かにつけて悪に落とそうとするゾウナの姿や、何があろうと最後は必ず砂漠に行くオチはなかなかシュール。
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また砂漠で暴れる件も、財宝目当てに暴れたり女を求めて暴れたりワルキューレに倒されるなど、バッドエンドによってテキストが変わる。
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富樫則彦氏の手がけたBGMの数々は評価が高く、特にシリーズでも使われている「メイン・テーマ」のアレンジ「サンドランド」はひときわ人気が高い。
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難易度は初見ではシビアに感じる面も多いものの、パターンや初見殺しなどのギミック対処が多いため、何度かトライする事で乗り越えることが出来る絶妙なバランス。
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操作性も非常に優れており、良質な効果音も相まって、動作ごとの隙に目をつむれば動かしていて気持ちが良い。
賛否両論点
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その可愛らしい見た目とは裏腹に難易度が異様に高い。
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システム部分にもある通り、1回のミスで残機を失ってしまう。コンティニュー回数に制限は無いとはいえ、本作は拠点復活なので、同じ難所を何度もプレイするハメになる。
残機は最初から7機と、アクションゲームとしては多めだが、その代わり1UPアイテムが存在せず、得点によるエクステンドも無いため、
減った残機を増やす方法が無い。
1面あたり1回死んでギリギリクリア出来ない容赦のなさ。そもそも1UPに限らず、通常のアクションゲームには必ずある「お助けアイテム」が
このゲームには一切存在しない。
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またコンティニュー回数にこそ制限は無いものの、コンティニューした回数は記録・加算される。ゲームオーバーになる度にバッドエンドシーンと同様のビジュアルシーンを何度も拝む羽目になる。
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更にそこに加わるのが、サンドラの操作の癖の強さである。「ハイジャンプ」や高いところから落下した時の着地に発生する軽微な隙から、下攻撃を外したり「きりもみアタック」のタイミングを間違えたりした時の長大な隙まで、操作不能になる瞬間が何かと多い。ほぼ全ての特殊アクションに隙があるといっても過言ではなく、そこを突かれて敵やトラップにやられるパターンが非常に多い。
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強制スクロール行き止まりも完備。初見殺しの罠は沢山ある。
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また、本作は並み居る敵を強引になぎ払って進んだり、ステージを手早く駆け抜けるといった行動はできず、むしろ場面場面で適切なアクションを見つけ出すという、パズルゲームに近いプレイスタイルが要求される。
つまるところ昔ながらのトライ&エラーによって「死んで覚える」系のアクションゲームとなっているのである。
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これ自体は一概にマイナスとは言えず、歯ごたえのある難易度を好むプレイヤーにとっては長所と捉えることもできる。ただし、上述の難易度の高さも絡んでくるため、やはり初心者や苦手なプレイヤーには辛い仕様と言えよう。
問題点
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重い設定や後味の悪いバッドエンド
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1ステージ目の背景から「荒れ果てた村に降り積もる灰と石化した住民達」が描かれていたり、コンティニュー画面で一定時間放置すると黒い鎧を身に纏わされたサンドラが何とも言えない笑みを浮かべるなど、コミカルなキャラクターの登場する世界に唐突にシリアスかつ不気味な演出が入る為、凶悪な難易度も相俟ってトラウマになったゲームとして挙げる者も少なくない。
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バッドエンドの際にはサンドラが悪霊に取り付かれて正気を失ってしまうシーンが悲劇的なBGMと共に克明に描かれる。評価点にある通りネタとして笑える部分やコミカルなバッドエンドもあるのだが、後味の悪いエンドは本当に後味が悪い。特に城に盗みに入った際やラスボス戦で屈した際のバッドエンドはキッズにしてみればトラウマもの。
勿論、最後は砂漠で決めポーズだが。
総評
独特な世界観と可愛らしいキャラクター、美しいBGM等で人気のあるワルキューレシリーズの例に漏れず、本作もまたグラフィック、サウンドの完成度は高い。
前二作と異なってキャラクター描写がしっかりとしており世界観の深みも増している。何より、今まではただいるだけだったサンドラやコアクマンと言った人気キャラクター達を掘り下げており、シリーズにおける本作の重要度は大きい。
一方、世界観やビジュアルは親しみやすい反面、その世界観に惹かれたプレイヤーの心をへし折るような高い難易度故に、気軽に楽しみ難い点がネックとなってしまった。
特にこの時代のSFCプレイヤーに多いキッズ層にとっては常軌を逸する難しさであり、上述の後味の悪いバッドエンドの演出も相まってトラウマゲーとなってしまったのは残念である。
余談
『NAMCOxCAPCOM』で本作の主人公クリノと共に参戦したコアクマンのサビーヌは、ゲーム中では便宜上「ワルキューレの伝説」が初出として解説されているが、厳密には本作が初出である。
また、プロローグでのクリノとの会話は、本作においてサビーヌ親子がクリノに救われたエピソードを示唆している。
最終更新:2024年07月31日 23:07