ワルキューレの伝説
【わるきゅーれのでんせつ】
ジャンル
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アクションアドベンチャー
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対応機種
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アーケード(SYSTEM II)
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発売・開発元
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ナムコ
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稼働開始日
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1989年4月
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配信
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バーチャルコンソールアーケード 【Wii】2009年12月8日/800Wiiポイント アーケードアーカイブス 【Switch】2022年4月14日/838円(税10%込) 【PS4】2022年4月14日/837円(税10%込)
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判定
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良作
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ワルキューレシリーズ ワルキューレの冒険 / ワルキューレの伝説 / サンドラの大冒険 ローザの冒険 / ワルキューレの栄光 / ワルキューレの栄光2
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概要
FCで販売された『ワルキューレの冒険 時の鍵伝説』の続編。
成長要素が全面に押し出されていたアクションRPGの前作に対し、本作はアーケードゲームということもあり、純粋なアクションゲームとしての要素が強く押し出されている。
ワルキューレやサンドラをはじめ、ズール、コアクマンなど前作登場のキャラが多数続投しているが、ストーリー上は前作とのつながりはない。
ストーリー
人々に豊かな恵みをもたらしていた天界の至宝・黄金の種が悪魔カムーズに奪われ、人々は飢えと絶望に苦しめられていた。
下界の様子を憂いた大女神は、戦乙女ワルキューレとその相棒サンドラにカムーズ討伐の命を下す。
黄金の種を奪還し世界に平和を取り戻すべく、ワルキューレとサンドラは地上へと降り立つのだった。
ゲーム概要
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見下ろし型トップビューのアクションゲーム。自機は1P「ワルキューレ」、2P「サンドラ」を操作する。性能面に差は無い。
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操作ボタンは攻撃とジャンプ。攻撃アイテムを持っていると自動的にショットが強化される。アイテム毎に回数制限有り。
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攻撃ボタンを長押しする事で魔法を選択し使用できる。魔法はMPを消費する。MPは専用のアイテムを拾うか買う事で回復できる。
また、魔法選択中は無敵(転落を除く)。本作の攻略における重要な要素となっている。
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魔法選択中(プレイヤーの周りにバリアのような表示が出ている)は確かに無敵になるが、選択状態で一定時間を過ぎると暴発したようなグラフィックと同時にMPが0.5消費される。空欄を選んで選択解除しても即当たり判定が戻るので状況の見極めが必要。
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敵は倒す事で金かMP回復アイテムを落す。また道中の宝箱や各種イベントでも金やアイテムを入手できる。
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金は行商からアイテムを購入する場合に必要。行商は一定のポイントに出現し、一回の買物で一つしかアイテムを買う事は出来ない。
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初期ショットは弱いので、本作ではパワーアップアイテムを適宜補充しながら進めていくことになる。
評価点
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人に会って会話しながら次の目的地へ向かうという構成。
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前作と異なりあくまでアクションゲームなのであちこちに移動するような事はないのだが、RPGとして作られた前作の雰囲気を残しており、冒険心を高めてくれる。
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パワーアップアイテムを買うというシステムは、ACTではあまり採用されておらず、珍しいものだった。この点もRPGだった前作の雰囲気を忍ばせてくれる要素となっている。
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ステージは変化に富み、各ステージ毎の世界観をよく表わしつつ全体の統一感を保っている。攻略のアプローチもステージ毎のテーマ性がよく分かるものになっている。
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ゲーム性自体は繰り返しプレイする事で展開を叩き込んでいく覚えゲータイプだが、難易度は極端に高すぎずプレイしやすい。
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隠し魔法や隠しアイテム、完全なエンディング等やりこみ要素も豊富。
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基板の機能を活かした、拡大・縮小による演出の数々。大容量ならではのダイナミズムを醸し出す一方で、ゲームプレイに支障が出ないように配慮されている。
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レベルの高いグラフィック表現
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ハード性能の上昇により、ゲーム中のキャラドット絵が公式絵に忠実なデザインになり、豊富なパターンでよく動く。キャラは非常に丁寧に描かれており表情も細かく変わるなど、キャラの個性を十分に表現しており、キャラボイスもあって愛着が湧きやすい。
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キャラクターだけではなく、その背景も緻密。トップビューの2Dゲームで高さを描写できているのは見事。
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前作ではイラスト自体が後付だったためパッケージイラストと似ても似つかなかったワルキューレだが、今作はイラストに忠実に再現され様々な表情を見せる。
当時のゲーマー達の心をがっちりと捉え、80年代を代表するナムコヒロインの一人として今も数え上げられている。
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一般的なファンタジー作品とは一味違った独特な世界観が緻密なドット絵で描かれており、キャラ達のデザインや背景も絵本から出てきたような、愛嬌と温かみ溢れるものとなっており取っ付き易く親しみやすい世界観が形成されている。
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神秘的かつ壮大なファンタジー世界を表現するBGM。ゲーム基板による音楽とは思えないほどの透明感あふれる音色で奏でられる音楽は世界観と各ステージの個性に非常によくマッチしており、多くのファンを魅了した。
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1面テーマの「メインテーマ」は本作を象徴する曲であり後続の作品や外部出演時にもよく用いられている。
問題点
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ジャンプの挙動にやや癖がある。落下するとダメージを受けてその直前の地面からやり直しになるため、最初のうちは先に進みにくい。
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後半戦の敵の攻撃の激しさは明らかに前述の「魔法選択無敵」の駆使が前提なのだが、インストにもプレイ中にも「魔法選択無敵」の存在と有用性に関する言及が一切無い点は不親切であった。
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PS『ナムコミュージアム Vol.5』では取扱説明書にもTIPSコーナーにもきちんと説明がある。
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BGMに尺をあわせたため、EDのスタッフロールが異常に早い(冗長でないともいえる)。
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「アイテムを6つ持っていると、魔力回復アイテムとお金以外どのアイテムを拾っても消滅する」という仕様があるが、永続パワーアップアイテムで6つ埋めてしまうとそのプレイ中はアイテムが入手できなくなる。
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体力や魔力の上限が上がる「ライフポット」「魔法の本」、初期ショットを永続強化する「永遠の剣」が該当。また、4面でのお使いアイテムである「鍵」を使い忘れてもアイテムスロットを圧迫する。
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スコアを全力で稼ぎ切るとプレイ時間が3時間近くにまでなり、その点においてはスコアラー・オペレーターからの評判が悪かった作品でもある。
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3面以降での逆走稼ぎ、得点源であるザコを無限に吐く2面ボス戦・6面ボス戦での残機潰し稼ぎ、7面でタイムオーバー死直前まで軽く1時間以上繰り返されるZAP稼ぎなど、見ていてもプレイしていても苦痛になりかねない作業の塊という点もマイナス。
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さらに、一部の面での魔力のもとの出現量・回復アイテムの効力がランダムであるなど、「稼ぎ」には全く適していない内容であったといえるだろう。
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2人同時プレイが楽しいゲームなのだが、スクロールが1Pプレイと違う形式で進んでいく都合上、ある程度スクロールを進めた状態で片方がひっかかってしまうとタイムアップ死を待つしかない「ハマリ箇所」がいくつか存在する。
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スタート直後にいきなり該当する地形が存在するため、プレイ時には注意。
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バグが多い。しかもリセットしてしまう、画面が進まない等のシャレにならないものが多い。
総評
プラットフォームをアーケード基板に移したことにより、前作が内包していた独特な雰囲気のファンタジー世界を鮮明な形で描き出し、適度な歯ごたえのあるアクション性と併せることによって、前作とは異なるアクションRPGのテイストを作り上げた。
80年代後半を代表する名作アクションゲームとして今なお根強い人気を誇る作品である。
移植
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『ワルキューレの伝説』(PCエンジン版 発売日:1990年8月9日)
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インカム優先のAC版とは違う方向で様々な仕様変更がなされたアレンジ移植となっている。人気キャラ「ブラックワルキューレ」の初出作品でもある。
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画面の雰囲気など概ね忠実に移植されている。移植そのものは悪くない出来だが、内蔵音源の制約によりBGMの再現性は劣る。
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また、1人プレイ専用のゲームに変更された。そのため、2Pキャラだったサンドラは各地でサポートしてくれるNPCとなった。
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『ワルキューレの伝説』(PS版 発売日:1997年2月28日)
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ナムコの名作アーケードゲームを収録したオムニバスソフト『ナムコミュージアム』シリーズ第5弾に収録。
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こちらは原作に忠実な移植ではあるが、オリジナル版と異なる部分がある。
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それ以外の仕様は、ニューバージョン準拠となっている。
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設定資料が付属しており、メモリーカードを使えばハイスコアやプレイステータスの統計等が登録できる。
余談
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基板の設定を最も厳しい仕様(初期ライフ2、ベリーハード、タイムカウントfast)にすると、もはやデフォルト設定時とは別のゲームと化してしまう。知らずにこの設定になっているゲームセンターでプレイしてしまい、あっという間にやられて仰天したプレイヤーもいるのではないだろうか。
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敵からのダメージは受けないようガンガン進んでいき、武器の調達に必要なお金を回収しながらタイムオーバー死しないよう爆走し続けることを強制される、『メトロクロス』もかくやというパターン化前提かつ食うや食わずのギリギリのゲーム性へ変貌を遂げる。
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パターンを把握し、永続パワーアップアイテム(主にライフポット)を4~5個ほど集めるようにすればノーコンティニュークリアは安定していく。
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本作主人公「ワルキューレ」は本作のヒットを機にナムコを代表する人気キャラクターに出世し、テイルズ オブ シリーズやクロスオーバー作品へ頻繁に登場する。
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だがアーケードではこれ以降のシリーズは展開せず、ワルキューレを主人公とする直接の続編は本作から18年後にリリースされた携帯アプリ版『栄光』シリーズのみとなっている。
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外伝作としてサウンドノベルの手法を取り入れた『ワルキューレの伝説外伝 ローザの冒険』がwindowsでリリースされたが。
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『ナムコアンソロジー2』では前作及び同リメイクが収録されているが、リメイク版が本作に近い内容になっている。しかし、ワルキューレのデザインが変更されており、バランスも大味であるなどあまり出来はよろしくない。
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ただし『アンソロジー2』での設定やデザインは下記コミック作品でも採用されている。
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増刊『ギャルズアイランド』の人気投票では、二位を大きく離してワルキューレが一位に輝いた。ほんのわずかしか出番のなかったコアクマンも10位に入っている。
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このゲームを皮切りにキャラクターをウリとしたゲーム業界のオタク化が進むという非難も一部あった。
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キャラクターデザイナーである冨士宏氏の手によるコミカライズは、実に16年後。人気の絶頂期に実現していれば、と思わざるを得ない。
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なお、冨士宏氏の設定はあくまでも公式ではなく、いち個人の解釈であると本人が言及している(ただし、立場と影響力から、準公式といっても差し支えない)。
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初代作の時点で明確なキャラクター付けがなく、その後もキャラが掘り下げられることがなかったこともあってか、作品ごとにワルキューレの性格が安定しないのも特徴。
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本作以降、国内ではワルキューレ(ヴァルキリー)といえば羽兜という図式が広く浸透した。日本作品のヴァルキリーが武器に剣(と盾)を持っていることが多いのも今作の影響が大きい。
最終更新:2024年07月31日 18:00