トライゴン
【とらいごん】
ジャンル
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縦スクロールシューティング
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対応機種
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アーケード
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発売・開発元
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コナミ
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稼働開始日
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1990年5月23日
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プレイ人数
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1~2人(同時プレイ)
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判定
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なし
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ポイント
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ド迫力なボンバー 見た目そのままの当たり判定 「トライゴン」は補助兵器の名前
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概要
コナミが1990年にリリースした業務用縦スクロールシューティングゲーム。
シューティングとしては至ってシンプルな作りだが、要所要所にオリジナル要素が加わっている作品。
コナミのシューティングでは珍しくボンバー制を採用しており、発売前には多くのユーザーが期待を寄せていたが、同時期に発売された『雷電』に客足が奪われる結果となり、大ヒットには至らなかった。
第4回(90年)ゲーメスト大賞ベストシューティング賞第7位。ベストVGM賞第10位。
ストーリー
「侵略者の魔の手から、秘密工場のある人工島(トーポアイランド)を守れ!」
2020年、異星文明が兵器複製技術を武器に侵略戦争を仕掛けてきた。徐々に圧倒される人類は、切り札としてまだ侵略者に知られていないプラズマ波動兵器を投入した。しかし、この秘密工場の存在が敵に知られ、工場のある人工島(トーポアイランド)に敵の攻撃が向けられた。果たして人類の運命は!?
システム
1レバー+2ボタン(ショット・スペシャルウェポン)で自機である「スーパー戦闘機」を操り、全9面を攻略する。2周エンド。戻り復活制。
2Pプレイ時のみ、どちらかが撃墜された場合「ライトニングソード」を所持した状態でその場復活する。
なお、一人プレイで開始した場合の途中参加および2P側での一人プレイは不可となっている。
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パワーアップアイテムを取得することでショットが強化できる。2種類あり、どちらも同じ武器を取り続けることで最大5段階までパワーアップが可能。アイテムはステージ各所に現れる赤い編隊を全て撃破すると出現する。「V」→「S」→「V」→…と交互に表記されるので好きな方を選択できる。
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バルカン(V):オート連射してくれるが一直線上にしか攻撃できない。パワーアップすると連射スピードが上がる。
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スプレッド(S):広い範囲を攻撃できるのが特徴。パワーアップすると2WAY増える。最大16WAY。画面に表示できる弾の数は決まっているが、後述する技を駆使することで多くの弾を発射することができる。
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スペシャルウェポン(ボンバー)も2種類存在する。こちらは地上物を破壊することで取得でき、武器アイテムと同じく交互に変化する。最大6つまで所持可能。
注意点として、ボンバーは後から取得した方から順に使用していく形式であり、順番を並び替える事は不可能。
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ドラゴンレーザー
:AI化された特殊レーザーで敵を自動追尾してくれるのが特徴。耐久力がある敵にはその場に留まり大ダメージを与える。一部効かない攻撃がある。
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ライトニングソード
:前方直線に自機を覆うほどの極太レーザーを放つ超高密度エネルギー砲。ドラゴンレーザーほどの攻撃力は無いが、発動することで自機を確実に素早く敵や弾から守ってくれる。(一部のビーム攻撃には対処不可。)
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灰色の編隊を全て倒すことで出現する無人補助戦闘ポッド「トライゴン」を取ると、隣接する形で自機を援護してくれる。自機の周りを回転してどこから敵が出現しても自動で攻撃してくれる特性がある。また敵が画面上にいない状態で自機を動かすと、自機が動いた方向とは逆の位置(自機が左に動くと「トライゴン」は自機の右側に動く)に移動するので、ある程度自分の好きな方向に配備させることができる。
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1Pプレイ時だと「トライゴン」は一種類しか登場しないが、二人同時プレイの際には四種類出現する。
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シングル・トライゴン:バルカン砲をフルオート連射する。敵の方向に自動攻撃する。
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ツイン・トライゴン:シングル・トライゴンの改良型で、2方向への射撃が可能。
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ハンティング・トライゴン:AI化されたレーザーで、敵を自動追尾して攻撃する。
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ブラスト・トライゴン:特殊ナパームを発射する。敵に当たる又は一定距離放たれると爆発する。
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また「トライゴン」の配置の仕方も1Pプレイ時と違い、常に互いの自機の間の中央に漂う形になる。
尚、どちらかが被弾すると互いを結んでいた共有線が切れて、「トライゴン」は消滅する。
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「ボーナス」は、地上物を倒すことで出現する。連続して取得することによって「1000→2000→3000→4000→5730」と段階的にアップしていく。一度でも取り損なうと再び「1000」から始まる。
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「1UP」は、残機が0の状態でプレイしていると稀に出現する金色の編隊を倒すことによって現れる。残機0の状態だと何度でも出現する。
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海外版では一人プレイも日本版における二人同時プレイと同じ仕様となっている。その為、一人プレイでも復活時はその場復活&ライトニングソード1発所持状態となっているが、トライゴンは完全に二人同時プレイ専用になっている。
評価点
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インパクト重視のゲーム性と演出力
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スペシャルウェポン(ボンバー)の「ドラゴンレーザー」は他のゲームではあまり見られないボンバーであり、炎の龍が叫びながら画面中を駆け巡るその姿は爽快感があり、迫力満点。
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4面ボス登場時、展開するオプションパーツへ「ドラゴンレーザー」を使用すると、ドラゴンの悲鳴と共に木っ端微塵にされてしまう。
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今まで無類の強さを誇った「ドラゴンレーザー」が悲鳴を上げながら、無残にも引き裂かれてしまう様子に多くのプレイヤーが仰天した。
このボスは上記のボスラッシュの他に、9面の中ボスとしても登場する。しかも前の二体より大幅に強化されているので、ラスボスより手強いという声も。(ラスボスは瞬殺可能)
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もう一方の「ライトニングソード」もギュオォォォ…と言う音と共に放たれる極太レーザーもインパクト十分。
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こちらも前述の4面ボスのオプションパーツに防がれてしまう。極太レーザーを受け止める様は一度見てみる価値はあるかもしれない。
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1面ボスや3面ボス等で見られる拡大縮小を活かした演出が、ドラマチックな展開を生み出している。その他のボスの演出も目を見張るものがある。
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8面では各面で戦ったボス達が再度連続で登場し、最終決戦を予感させる作りになっている。
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中型機以上の敵の殆どに同一の赤い紋様が彫られており、敵の統一感を上手く表現している等細かい点にも注目。
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BGMの質の高さ
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音楽に定評があるコナミだが、このゲームも例に漏れず大変質が高い。オケヒを多用した迫力あるサウンド。新搭載された音源によって可能になったステレオサウンドが、臨場感溢れる楽曲を醸しだしている。
楽曲を担当した松原健一氏はこのゲームを最後にアーケード担当から退いたため、並々ならぬ思いで作曲に臨んだらしい。そのせいか各ボス毎に専用BGMが用意されているという凝りよう。(ステージ曲は2面毎に変わる)
特にエンディング曲である「Nostalgic」はファンの間では大変評価が高い。
問題点
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当たり判定が非常に大きい。
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自機の先端部分はまだ若干甘いものの、両翼から尾翼にかけては見た目通りの判定があるため、避けたと思っていたら死んでいた…ということはよくある話。前年にリリースされた『グラディウスIII』も顔負けの判定の大きさである。また自機の移動速度も決して早くないので、ますます余裕をもった立ち回りが要求される。
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自機破壊音を擬音にすると「バリバリズギャー」というすさまじい物であり、しかも予期しないタイミングで死ぬため、アルカディアのコラムで「心臓に悪い」とまで書かれてしまった。
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復活が厳しい。
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一度死んでしまうと所持していたボンバーが全て無くなる上に戻り復活となるため、復活が非常に厳しい場面がある。特に追尾ミサイルがキツい4面・5面や敵の猛攻が続く9面は難度が高く、2周目の復活はほぼ絶望的。
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但し二人プレイであれば被弾しても、お互いに「ライトニングソード」を一発ずつ所持した状態でその場復活するため、難度は落ちる。
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急激なランク上昇
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同年に発売された『パロディウスだ!』と共通して言えることがランク上昇の凄まじさ。
普通にパワーアップアイテムを取得していくと等比級数的にランクが上がってしまい、敵の攻撃や耐久力が非常に強化されてしまう。よってパワーアップを一段階で止めるのが最も楽に攻略できるとされている。
賛否両論点
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武器チェンジバグの存在
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「バルカン」を取得した後に「スプレッド」を取ると、通常の「スプレッド」より発射数が多くなるバグとも仕様とも取れる技がある。上記で触れた通り、パワーアップによるランク上昇が激しいため、このバグ技に頼ることによって難度を大幅に落とすことが可能。
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が、この技は連射が一度でも途切れてしまうと通常のスプレッドの発射数に戻ってしまうため、常に連射をし続ける必要がある。連射装置が搭載された筐体ならば問題はないが、それが無い場合は手に大変な負担を強いる羽目になる。更にステージ移行画面で連射を止めても戻ってしまうので、ゲーム中は一切ボタンから手を離すことはできない。
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2P時の「トライゴン」の扱いづらさ
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「ツイン・トライゴン」は普通に進行すると、真横にショットを撃つ状態になるため互いがタイミングを取り合って自機を操作する必要がある。「ハンティング・トライゴン」・「ブラスト・トライゴン」に至っては、互いの自機の初期位置が取り替わるとショットが反対方向を向いてしまう。自動攻撃してくれる「シングル・トライゴン」以外の操作は分かっている者同士で無いと難しい。
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逆に言うと盛り上がる要素とも言える。
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ハイスコアに運が絡む
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ハイスコアを叩き出すには「1UP」アイテムが必要不可欠であるが、この出現に運が絡むためどうしてもスコアが変動してしまう。これは当時の「ゲーメスト」でも指摘された。
その他
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本作のステージ間は基本的にシームレスで進行するが、8面クリア時のみデモが発生し9面突入となる。
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このデモ画面である事をすると、いきなり9面の後半からスタートするという裏技が存在する。(しかも強敵である中ボスまでスルーできてしまう)
総評
『フラックアタック』『A-JAX』と共に、三大コナミ地味縦シューとして扱われることが多いこの作品。
とにかく当たり判定の大きさが足かせとなり、ユーザーから敬遠される結果となってしまった。
また移植が稼働から30年間に渡って全く行われず、そういった点でも知名度は落ちる。
だが、独自のボンバーや高品質なBGMといった点は多くのシューターに評価されており、ゲーム自体も決して雑な作りでは無い。一度はプレイしておきたいシューティングと言える。
移植
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Switch/PS4(2020年8月20日、ハムスター)
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アーケードアーカイブスシリーズの一つとして30年越しでようやく移植が実現。移植には全一プレイヤーが監修として参加している。
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海外版も併せて収録されている他、裏表別の連射機能や前述の裏技用のボタン設定に加え、こだわり設定として前述の問題点である自機の当たり判定の縮小化やミス時の爆発音の音量低下が可能となっている。
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こだわり設定については本来、アーケードアーカイブスシリーズではコンセプト上、基本的にオリジナルのゲーム性を大きく変化させる追加要素は盛り込まれないのだが、コナミの要望によって盛り込まれた。
余談
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上で説明した通り、作品名である「トライゴン」というのは自機を援護する補助兵器の名前である。
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よく「ドラゴンレーザー」や自機の名前と勘違いする人が多い。そのせいか同社のカードゲーム『遊戯王OCG』にも「《トライゴン》」のカードが登場するが、このカードは支援兵器の「トライゴン」ではなく「ドラゴンレーザーがキャラクターになったドラゴン族モンスター」という
明らかに勘違いを引き起こすようなデザインになってしまっている。
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その後に「《ドラゴンレーザー》」というにカードも登場。これは「(後述する)《デルタトライ》のカードに装備された《トライゴン》のカードをコストに敵カードを破壊する」というもので、本作の「ドラゴンレーザー」を意識したデザインとなっている。
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ちなみに自機の「スーパー戦闘機」というあまりにも
投げやり直球なネーミングセンスもネタにされる事がある。何がスーパーかって?当たり判定がスーパーなのだ!
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本作以前に1987年12月にMSXで発売された『沙羅曼蛇』では2P協力プレイ限定アイテムとして「オプションチェイン」という物が存在する。
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このアイテムを取得すると通常は自機に追従していたオプションが1Pと2Pの間を繋ぐような物に変更される。本作における2Pトライゴンの仕組みと非常に似ていることから、これが元になった可能性がある。
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『グラディウス外伝』のボスラッシュ面に4番手として登場する「デルタトライ」は、「スーパー戦闘機」がモチーフとなっており、「ドラゴンレーザー」や「ライトニングソード」そのままの攻撃をしてくる。
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この「デルタトライ」だが巨大戦艦という設定でありながら上述の『遊戯王OCG』には戦闘機側の戦力としてデザインされたカードとして登場している。
明らかにスーパー戦闘機と混合しているとしか思えない。
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『ガイアポリス~黄金鷹の剣~』にて、プレイヤーが使用できる魔法に「ライトニングソード」(レベル5)と「ドラゴンレーザー」(レベル6)がある。レベル7の魔法は性能面で微妙なので、実質的にドラゴンレーザーが最強魔法。
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『エアフォースデルタ ブルーウィングナイツ』ではゲスト機として出演。「ライトニングソード」が発射できる。
ただし発射すると、自機前方がやたら見えにくくなる点はご愛敬。
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因みに目玉武器のトライゴンは『博物館入りしてしまったため使用不可能』と言う冗談のような設定がゲーム内の機体説明に記されている。他にも『特殊兵装関連機器(主にプラズマ兵器)の重量過大で運動性が劣る』、『そのためベテランパイロットからは当たり判定が大きいと嫌われたりもした』と言うメタな部分を、ゲーム的にもある程度納得の出来る(であろう)設定として語られている。
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PS4で配信されている同人STG『GUNDEMONIUMS』には今作の「ドラゴンレーザー」と「ライトニングソード」をモチーフにした武器が存在する。
最終更新:2024年05月28日 09:46