ホーリーストライカー
【ほーりーすとらいかー】
ジャンル
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ピンボール
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対応機種
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スーパーファミコン
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発売元
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ヘクト
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開発元
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アクシズ・アート・アミューズ・ジャパン
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発売日
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1993年12月17日
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定価
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8,800円(税別)
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判定
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ゲームバランスが不安定
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ポイント
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ファンタジーとサッカーを混ぜたピンボールゲーム 発想は面白いがゲーム難易度はかなり高い 対戦ツールとしてはそこそこだがキャラ性能差が激しい
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概要
ヘクトが送り出した、斬新な発想のピンボールゲーム。
フィールド上で反射を続ける「トライアライト」と呼ばれる光の玉を打ち、敵に打ち込んだり、ゴールにシュートして先に進んだりすることを目的とする。
このゲームの特徴は、「ファンタジー世界の勇者がサッカーのようなピンボールゲームを行う世界観」を構築していることにある。
なお、わざわざ玉を打ち出すのは、この世界のモンスターに剣などの武器が通用しないという設定があるためである。
フリッパーで玉を打ち出すピンボールとは違い、このゲームは玉を打ち出すフリッパーの役割を勇者などのキャラに割り振っている。いわばフリッパーを自由に移動出来るピンボールといったところ。
非常に斬新な内容であるが、そのゲーム内容はバランスがかなり安定しておらず、高難易度なゲームである。
特徴
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RPGの世界観で行うサッカーっぽいピンボール
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プレイヤーキャラは剣を使ったり、腕を振るったりするが、敵キャラに向けて行っても一切ダメージ判定はない。戦うためにはトライアライトと呼ばれる光の玉を打ち返さなければならない。
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トライアライトは慣性を持っており、壁や敵に反射したりする。ちなみにトライアライトが自軍の陣地、すなわちゴールとなる穴に入り込むと1機消滅となる。
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プレイヤーには体力があり、敵本体や攻撃に当たるとライフが減少。これが0になってもゲームオーバーになる。
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必殺技的な強烈シュートを発動させることも出来るが、そのためにはアイテムを集める必要がある。
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キャラクター
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キャラクターにはそれぞれ個性が存在する。ストーリーモードではこの点が攻略の鍵となるが、対戦モードでは性能差となる。
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ストーリーモードでは攻略のために必要な一部のオブジェクトを動かすため、各地にいる主人公と同じホーリーストライカーを探して、攻略時に選択する必要がある。
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スレイダー:風の国の勇者。主人公。剣、盾、鎧、兜という分かりやすい騎士系勇者。能力は平均的で取り立ててすごいところはない。
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王の側近:風の国の僧侶的な人。本名不明。2P用のキャラであり、1Pモードでは自陣を守るキーパーとなる。対戦モードでは使用出来ない。能力はスレイダーと同じ。
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イーノ:火の国にいる鳥人。ガルーダと言った方がビジュアルはわかりやすい。移動力最速のキャラで、とても使いやすい。
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ガルム:土の国のゴーレム。攻略面を除けば基本必要のないキャラ。足が遅く、身体が大きいわりに打ち出しアクションのリーチが短い。
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ロア:水の国の人魚。水中ステージでのスリップダメージを消失させる。対戦的にはスレイダーとそれほど変わらない。
問題点
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ゲームシステムの発想が奇抜過ぎて高難易度
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せっかく鋭い剣や剛腕を持っていながら、いくら振っても敵にはダメージが一切ない。この点で最初戸惑うプレイヤーが多数。
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ゲームの冒頭で効果がないと触れられているとはいえ、まさか何の効果もないとは思わないだろう。
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玉の軌道の計算は案外細かいようで、自由に玉の軌道を操作するには相当なスキルを要する。
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おまけにトライアライトは自分のゴールに対して微妙な重力が働いており、これがまたボールの制御を難しくしている。
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特に困るのがボス戦。ボスは弱点となる水晶球のような部分にボールをぶつけなければならないのだが、的が小さいためこれがとにかく難儀。
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もちろんこの点は最初のボスからしてこの仕様である。クリア不能というレベルではないが、攻撃に阻まれたりその決して遅くはない動きで翻弄される。
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当てるまでが大変で弱点部位への無敵判定もしばしば起こる。これにより冗長な形でプレイ時間が伸びがちである。
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当然ボスは攻撃もしてくるため、ただタイミング良く打ち返せば良いわけではない。後半になればなるほど弱点をあまり晒さないボスなども登場する。
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ラスボスは攻撃は激しく弱点には当てづらい…とありとあらゆる意味で鬼畜。どんな上級者でも匙を投げて仕方ないレベルに強すぎる。
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キャラの性能差が激しい
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本作の最強キャラはイーノである。理由は足が早いため、以上。
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実質、攻略に必要な強制的な要素を除けば、移動速度以外に純粋なキャラ性能差はない。
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しかもこのゲーム、ゲームと基本となるスレイダーらの移動速度すらも遅く、ゲーム中かなり野暮ったい。その点を解消してくれるイーノはストーリーでも対戦でも最強である。
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反面、足が遅いだけのガルムは最弱。ストーリーモードでは彼を使うことになるステージがあるが、動きが遅過ぎるためクリアそのものがかなり難しい。
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「身体がデカイから打ち返し判定が広い」「パワーキャラだから普通に打ち返しても壁をいくつか貫通させられる」といった要素は一切ない。
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キーパーを機能させづらい
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1P時は2P用キャラである僧侶をLRボタンで動かせるが、咄嗟に玉が跳ね返ってくるこのゲームではそれに対する反応が難しい。
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1Pモードや対戦で僧侶が使えない。
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スレイダーと同性能とはいえ、見てくれは雰囲気が出ていて格好良いキャラ(台詞はないが)なのに、1Pではキーパー、対戦モードでは審判的な立ち位置でしか登場しない。
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ステージの数に反してBGMのパターンが少ない。
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通常ステージのBGMはほとんど同じうえに単調。音もファミコンレベル。
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対戦モードはところどころが何故か和風でシュール
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勝利すると、ファンタジー風の城が登場、何故か日の丸を背景に「あっぱれ」という文字が表示される。世界観錯誤も甚だしい。
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判定が意外と狭かったりするため、打ち返せるタイミングが意外と短い。玉の制御が難しい主な原因にもなっている。
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プレイヤーはボタン連打を基本強要されるため、指が痛くなりやすい。ゲーム構造を知ってベストタイミングがわかればこうはならないが。
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アイテムにも被ダメージ判定がある
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アイテムに何度か玉が当たると、そのアイテムは破壊されてしまう。アイテムのある場所は奥まったところなども多く、何度も反射して意図せず消えてしまうことも多い。
評価点
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一度やったら忘れられないだろう奇抜な発想
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勇者+サッカー=ピンボールなど誰が考えつくだろう。ちなみに対戦モードにはサッカー場をイメージしたマップがある。
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「敵には既存の武器が通用しない、玉で倒せ!」という理由付けはなかなか上手い言い訳と言えるかもしれない。
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対戦モード、デスマッチの楽しさ
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デスマッチは敵を場外や穴に叩き落とす落とし合いゲーとなっている。この時は通常の振りにも攻撃効果が生まれ、相手を攻撃して少し吹き飛ばせる。
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対戦モードはキャラ差を考慮しなければそこそこ盛り上がれる。
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ハンディキャップと考えれば最弱と最強の存在も一概に悪いとは言えない。
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ゴールにシュートしあうゲームもあるが、そちらは入れるのがまず大変過ぎて疲れるという声も多い。
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グラフィックはそこまで悪くない
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取り上げて美しいと言えるところもないが、ファンタジーの世界観は良く表現出来ている。
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マップ画面は本当にさながらRPGのフィールドマップのようで、次に向かう土地への期待感は膨らませられる。
総評
発想は面白かったが、あと一歩練り込みが足りなかったソフト。
どこに飛んで行くか検討をつけるのがとにかく大変でそれにより自軍ゴールへ入れてしまい、自殺という名の1ミスが起こることがしばしばある。
ボス戦はそれが特に大変で、弱点を狙っても当たりどころが悪く上記のような事態が起こりやすい。
クソゲーに片足を突っ込んでいるが、やはりその面白い発想とそれに見合ったシステムはまるで評価されていないわけではない。
マイナーなため対戦ゲームとしてはあまり有名ではないが、ハンデを考えなければ意外と白熱して楽しめる内容である。
最終更新:2021年08月18日 21:17