アグニの石
【あぐにのいし】
ジャンル
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ADV
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対応機種
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PC-8801mkIISR以降、MSX2
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発売・開発元
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ハミングバードソフト
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発売日
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1988年3月
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定価
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7,800円
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配信
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プロジェクトEGG:2002年9月1日/700円
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判定
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良作
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概要
『ラプラスの魔』等で有名なハミングバードソフトのADV。
基本は『MYSTERY HOUSE』に端を発するお宝探索もののADVだが、NPCも含め時間の概念、生活のリズムをゲームシステムに取り込んでいるのが特徴。
ストーリー
俺と相棒は、その道じゃ、ちょっとは名の知れたドロボーだ。
今日は相棒と今度の仕事の打ち合わせなんだ。
「なあ、ピピンよ。今度は何を盗むんだ?」
「相棒。今回の仕事はちょっとキツイかもな。でも、獲物は凄いんだぜ。」
そう。今回の目的は、ある田舎町のお屋敷にあるとウワサされている……真紅のエメラルド<AGNI>だ。
臨時の運転手として屋敷にもぐりこみ、たった一週間で、宝石を頂戴するんだ。
もちろん失敗は許されない。
「さあ、そろそろ行こうか。」
特徴・評価点
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時間の概念
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本作の何よりの特徴。コマンドを選択する毎に時間が経過するのは今までのADVにもあったシステムだが、本作はキャラ毎に各時刻の行動が設定されている。
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例えば、雇い主である主人は決まった時刻に出社するし、決められた時刻に退社する。主人公はそれに合わせて送迎をしなければならない。
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他の登場人物も起床時間や就寝時間、食事をする時刻や自室にいる時刻など、それぞれの時刻ごとの行動が設定されている。会いたければいる時刻と場所に合わせて行く必要があり、部屋に忍び込むなら自室にいない時間をチェックしておく必要がある。
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これにより、ある種の箱庭ゲーのような魅力も出来上がっている。
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その他、生活環境のシステムへの組み込み
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食事をしなければ体力が減少し、なくなってしまえばゲームオーバー。食事の時間も決められている。
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一日一回風呂に入らなければ、「下品な人はいらない。」とクビにされてゲームオーバー。
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これらの要素も上記と同じく、箱庭ゲー的魅力に一役買っている。
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下村家惠子氏によるシナリオ
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ソードワールドなどで有名なグループSNE所属のライターで、本作でも泥棒小説風の軽快な会話などが描かれている。
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小坂明子作曲のBGMも全体的に良好
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ちなみにゲームへの提供は本作と『ラプラスの魔』のみである。
賛否両論点
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ゲームオーバー前提のゲームデザイン
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ゲームクリアの為には屋敷内の探索はもちろん必要だが、それ以上に各人物の行動パターンを把握する必要がある。
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その為、時間切れでのゲームオーバーを繰り返しながら情報を集め、最終的には必要な行動を最適化していく事になる。
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理解が進む事により、前もっての行動(頼まれる前にアイテムを用意する等)で時間の消費を抑えられ、これにより調査の余裕も出てくる等、やり応えのあるゲームシステムではあるが、少々人を選ぶ要素でもある。
問題点
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バグ
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目的の宝石「アグニの石」を、ゲームクリアフラグが立ちきっていない状態でも入手できてしまい、この場合ゲームが止まってしまうバグがある。
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その為、「バグでクリアできないゲーム」と誤解してしまった人もいた。
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メッセージの誤字等も。
総評
とにもかくにも「時間」をゲームシステムに上手く取り込んだ発想の勝利ともいえる秀作ゲーム。
PC88とMSX以外への移植は行われていない為に遊びづらかったが、現在はプロジェクトEGGでPC88版が配信されている。
最終更新:2019年04月28日 11:42