未来少年コナン
【みらいしょうねんこなん】
ジャンル
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アクション
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対応機種
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PCエンジン スーパーCD-ROM2
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メディア
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CD-ROM 1枚
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発売元
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RIOT(日本テレネット)
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発売日
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1992年2月28日
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定価
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7,200円
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判定
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なし
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ポイント
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原作アニメの雰囲気は上々 端折られまくりなイベント アクションとしては可も不可もないレベル
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概要
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1978年にてNHKで放映された同名アニメの初ゲーム化。ジャンルとしてはビジュアルシーン多めの横スクロールアクションゲームである。
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原則として原作アニメのエピソードに忠実で、各キャラの声の担当もほぼ原作アニメ版の声優を起用している。
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一人プレイ専用の全6ステージ構成。裏技にて4段階の難易度調整が可能。
主なルール
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操作系統。
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方向キーにてコナンの移動。ボタンは各自、攻撃ボタンとジャンプボタンに使用する。
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方向キー左右で前後移動。キーを押し続けるとダッシュ移動となり、その最中に移動を止めてもすぐには停止できない。ダッシュ中に移動方向と反対のキーを押すと急ブレーキがかかる。
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方向キー下でしゃがみ動作。
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ステージ内にいる会話キャラの近くで方向キー上で彼らとの会話ができる。ドア近くで同様の操作をするとその中に入れる。
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攻撃ボタンで攻撃を行う。攻撃は主に2種類あり、通常では使用回数無制限の「キック」、下記のSELECTボタンで切り替えている場合は飛び道具の「モリ」が出せる。
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ジャンプボタンでジャンプ動作。ダッシュ中にジャンプすると通常よりも長く飛ぶ事が可能。コナンが高い場所から落下して地面に着地すると、足に痺れが走り隙ができてしまう。
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SELECTボタンを押せば攻撃手段をキックかモリかのどちらかに切り替えられる。モリには使用制限があり、ストックが尽きるとモリでの攻撃ができなくなる。
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アイテムについて。
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一部の破壊物を壊すと以下のアイテムが出現する。
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「木の実」「魚」…ライフ回復の効果で、前者は小回復、後者は中回復する。
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「モリ」…モリのストックを増やす。2種類存在し、それぞれ増えるストック数に違いがある。
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「ブタ」…1UPの効果。
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ミス条件などについて。
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ライフ制と残機制を兼ねており、ライフが0になるか、落とし穴に落ちてしまうと残機を消費しての戻り復活となる。
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但し、裏技による難易度をイージー(最低難易度)でプレイしている場合は、落とし場に落ちてもミスカウントされないままの戻り復活となる。
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ステージクリアしても消費したライフは一切の回復はされない。ミス後の復活に関してはライフ全回復となる(難易度イージーの落とし穴戻りは例外)。
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ゲームオーバーになるか、ゲーム中にゲームリセットをかけると、タイトル画面の「つづき」を選ぶ事で、進んだステージまでのステージセレクトができる。選んだステージは必ず最初からのスタートとなる。
評価点
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原作アニメの雰囲気が十分に再現されている。
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ビジュアルシーンやゲームパートの外見は、まさにアニメ版そのものの世界観である。
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非常にグラフィックに力が入っており、終始アニメ版ファンがニヤリとできる演出が目白押しとなっている。
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やはりテレネット製、いつもの事とはいえ、ビジュアルシーンのクオリティは凄い。ぱっと見はアニメと見違えるような再現率といっても過言ではない程。
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アニメ版のBパート前に挿入される絵合わせアニメやアイキャッチも完全再現されている。さらにはオープニングとエンディングにて、アニメ版のテーマソングが流されるサービスっぷり。
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「ステージ中にコナンが走る・モリを投げる・高い場所から落下して足が痺れる」といったモーションはまさに原作のそれの忠実再現である。
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『プリンス・オブ・ペルシャ』を彷彿とさせるコナンのなめらかな動きや、背景や敵のデザインなどの原作再現もぬかりはなく、ファンなら納得できる仕上がりとなっていると思われる。
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概要でも述べた通り、ほぼアニメ版の声優を起用し、(若干の相違、削除部分はあるが)アニメに忠実なエピソードである点も評価に値する。
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アニメ版の劇伴をアレンジしたBGMのクオリティも良好。編曲を担当したのは『天使の詩』『ワイルドアームズ』で知られるなるけみちこ氏。
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アクションゲームとしての土台も悪くない。
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落とし穴多めのジャンプ重視のアクションゲームではあるが、適度なステージ構造で極端に簡単でも理不尽でもなく、難関も頑張ればクリア可能なバランスとなっている。
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しかし、後半ステージの難易度は落とし穴がかなり多く配置されており、アクションゲームがあまり得意でない人はつまずく恐れもあるかもしれない。
とはいえ、難易度イージーでプレイすると、落とし穴に落下しても前地点に戻されるだけでミスにはならないという救済処置があるのがありがたい。
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それでもクリアできない人には、裏技にてテレネットお約束のビジュアルテストで即エンディングなどを鑑賞する事が可能(但し、ステージ中の会話シーンは聞けない制限あり)。
問題点
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シナリオの端折り具合が激しい。
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原作アニメ版のエピソードを再現しているのはいいが、やはりPCEの容量ではすべての描写を描ききるのは無理があったみたいで、唐突なまでの端折り具合が目立つ。
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次のイベントに進むと不自然な位に話が進行しているなんてザラな程で、アニメ版を知らない人からすれば「???」となってくる可能性高し。
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一例としては、主要敵の一人である女性、モンスリーの心境変化。アニメ版では最初はコナン達を敵対視し、強敵として立ちはだかるが、とあるハプニングをきっかけにコナン達と和解して仲間となる。
しかし、本作ではこの和解のシーンが端折られてしまっている影響で、前まで敵だった彼女が、次に会った時点でいきなりデレデレしているという事態となってしまっている。
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また、この端折り具合のせいでアニメ版では名脇役だった一部キャラが空気にされてしまっている。そのキャラが好きなファンからして見れば納得のいかない事態になるだろう。
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ただ、これはあくまでも端折られ方が目立っているだけであって、極端なまでの電波で汚されている訳ではない。
アニメ版視聴者からすれば「端折られたシーンは脳内で補えばいい」だろうし、非視聴者からしてみても「なんとなくストーリーは理解できる」程度にわかりやすい描写に収まっている。
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アクションパートにも細かな不備がある。
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致命的な酷さというものではないものの、不親切と思える問題も見受けられる。
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コナンの移動操作にクセがあり、穴場による即死が点在するこのゲームにおいては、あまりにも残機不足(初期ストックは3)である。
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コンティニューやステージセレクトで再開できるのはゲームオーバーになったステージの最初からであり、やり直しの負担がかなり大きい。
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とはいえ、評価点でも述べた難易度イージーでプレイするとこの問題は大幅に解消される。
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ステージクリアしてもライフが一切回復しないので、次ステージに進むと厳しい状態でのスタートに陥りやすい。
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コナンのキック攻撃のリーチが短く、スクロールを移動させると敵が無限に沸いてくる仕様上、大量の敵に囲まれると問答無用でダメージをもらう恐れがある。
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ただし、ダメージをもらうと少しの無敵時間が発生するので、鳥かごハメによる理不尽死に陥る恐れは少ない。
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イベントに関する問題。
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ゲーム中に発生する会話シーンが一切飛ばせない。
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その為、場所によってはミス後の復活時に前に見たイベントを再び見せられる煩わしさがある。とはいえ、幸いにも会話シーン自体はそんなに長くない。
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会話シーンにてキャラの口パクが合っていない事が多く、まるで腹話術で話しているような違和感を覚える。
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実はフルボイスではない。
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ステージ中における会話シーンの多くは文章表示による会話に留まっている。
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しかし、上記で示した飛ばせない会話シーンがこれのおかげで緩和されており、テンポが極力阻害されていないという意味では、一概に批判ともいえない。
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敵の種類が少ない。
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本作はあくまで移動やジャンプを駆使する事に重心を置いたゲームではあるが、敵の種類が数える位にしか存在しない。
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といっても、アニメ版自体の敵種類が少なく、そもそも元がバトルアニメじゃないので敵に派手さを求めるのも野暮というものではある。
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ボスに該当する敵は「ステージ1・5・6」の3箇所しかいない。
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しかもステージ1は負け確定(空中戦で必ず落ちてしまう)で倒せる訳ではなく、ステージ6のボスは硬い雑魚程度の弱さなので、実質はステージ5にしかまともなボスはいない。
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まぁ、穴場が多く死にやすい本作において無理やりボスを入れるのも酷だろうし、そもそも元がバトルアニメじゃないので…。
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コナンのキック攻撃の音が何故か金属的。
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モリは割とそれっぽい音なのに、キックはどう聞いても人の出す音じゃない。
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とはいえ、機械の敵も粉砕するキックなので「俺のキックはアイアンレッグ」という意味合いとして納得するしかない様だ。
総評
端折られ具合が激しいイベントや、難易度が厳しいアクションパートの件はともかく、原作再現度は上々でアクションゲームとしての出来も悪くない。
ゲームの難易度は厳しいが、原作アニメファンにとっては是非触れてみて欲しいソフトである。
その後の展開
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本作の後にも未来少年コナンを題材としたソフトは、3DOとプレイステーション2にてリリースされている。
最終更新:2022年08月11日 11:56