モンスターバッグ

【もんすたーばっぐ】

ジャンル パズルアドベンチャー
対応機種 プレイステーション・ヴィータ
メディア ダウンロード専売ソフト
発売元 ソニー・コンピュータエンタテインメント
開発元 IguanaBee
発売日 2015年4月1日
定価 1,296円(税込)
プレイ人数 1人
レーティング CERO:C(15歳以上対象)
判定 なし
ポイント きみだけまもってあげる
海外ゲー特有の強烈なデフォルメ&グロテスク描写
CERO:Cとは何だったのか
ボリュームはやや薄味

概要

PlayStation系列ハードで初となる、チリ産配信タイトル。
命を持った通学カバン「モンスターバッグ」となり、カバンを忘れて学校へ行ってしまった持ち主「ニーア」ちゃんの所へ向かうパズルアドベンチャー。
全体的にポップ系な画面であり、「持ち主のところへ急ぐカバン」という雰囲気もどこか穏やかでアットホームな印象を受ける。
だが、実際は……

操作

  • 移動
    • 基本的なアクションは「人の視線が向いてないタイミングで、隣の人めがけて飛び移る」というもの。
    • 見つからないように町中の人達の背中に隠れながら、その背をピョンピョンと飛び移って移動する。使用するのは左右キーのみ。あとは目視のタイミング頼りに視線を避けて移動するだけ。
      • 黒い目の通行人はモンスターバッグに気付かないので自由に飛び移れるが、黒以外の目の色になっている時の人には見つかってしまう。
      • 周囲を警戒してピンクの目になっている通行人に対しては、視線が向いている間に飛び移ろうとすると跳ね返されて移動できない。
      • 怒っている人に見つかってしまった場合、その場で殺されてしまう。
  • タッチ操作
    • 状況によっては、周囲の物をテレキネシス(タッチ操作)で動かしてやる必要がある。
    • あまり離れているとテレキネシスが届かない。人の背を飛び移り、仕掛けの近くまで近づく必要がある。また、テレキネシス使用中は移動できない。
    • 持ち上げられるアイテムは、指定した人などに向けて投げつけることもできる(相手との距離が離れていてもよい)。
      • その行動が正解であれば様々なリアクションを起こせるが、間違っていた場合、相手によっては警戒させてしまったり怒らせてしまい、難易度が上がる場合も。

特徴

  • ミスペナルティはない
    • 何回ミスしてもステージ中に幾つか有るチェックポイント、もしくはコンティニュータイミングへ戻るだけで、ゲームオーバーはない。
    • ただし仕掛けを動かしている最中にミスすると最初からやり直しになる。
  • セリフやシナリオはまったく出てこない
    • チュートリアル的な文章はたまに出るが、他の文字はステージ毎に表示されるステージ名と、一部英語で書かれた部分があるくらい。
      • 登場人物のセリフは架空言語(だと思われる)や絵入りのフキダシで表現されており、文章的な会話はない。
    • ステージごとにムービーは有るが、そちらも短く、かつ台詞などは一切無い。殆どステージ同士の合間を繋ぐ、長めの操縦不能イベントといった程度。
    • ストーリー性が無いという訳ではなく、それぞれのステージを見てなんとなくどういう事が起きているのかをぼんやり想像できる。
      • ただの日常のはずが、運悪くも立て続けにトンデモなトラブルに見舞われ続け……と思えばいつの間にか世界の危機が始まり、段々ともうどうしようもない絶望的な状況になっていく。そんな中、ただ一人周りを気にせずニコニコしているニーアちゃんだけは守り続けるモンスターバッグの様子は、まさに「きみ"だけ"まもってあげる」。
      • そしてニーアちゃんに会う為の行動でどんどん人を死なせる様子もまた同文。
      • ニーアちゃんの精神世界らしき場所にも入るが、最後は……。
  • ゲームの大半を占めるグロテスク・ブラックジョーク的な描写
    • 間違いなく子供はプレイしない方がいい内容。容赦なくえげつない。
    • 特に軍隊絡みのネタは日本ではダメな域だろう。
    • プレイヤーにとってすら、ただ先に進もうとして自分が働きかけた事の結果を見て「その行動は想定外だった」「まさかこんな事になるとは思わなかった」と呆然とするような出来事が連発する。
      • 女性に対してハートマークを出して口説いている男性を見れば、普通は「なるほど男の思いを成就させてやればいいのか」と思うだろう。しかしプレイヤーが行動してみれば何故か女性は死んでしまい、男は彼女のハートでなく抉り出された彼女の心臓そのものを片手に大喜び、など…。

賛否両論点

  • とにかく人を選びすぎる世界観
    • 可愛らしい世界に見えるが、とにかく人が残虐に死にまくるというギャップの大きすぎる世界観を構築している。
    • テレキネシスで棒を動かしたら人に刺さって串刺しになり、心臓が抉り出されたり、長い仕掛けを解く最後のピースが研究者の一人を殺して首だけにし、網膜スキャンさせて扉を開けるというものであったり、CERO:Cという部分が疑わしく思えるほどに凄惨。
    • 無論モンスターバッグ自身も例外ではなく、虫の居所が悪い人の視界に入ると「キル・ユー!!!!」となり次の瞬間殺されてしまう。斬殺撲殺焼殺レーザーに捕食、とこちらも酷い目に逢い続ける。
      • 因みに怒っている人に殺される理由はどう見ても単なる八つ当たり。
    • このような「デフォルメキャラ+グロテスク描写」は海外ゲームにはしばしば見られるのだが、日本では馴染みの薄い表現である。
      • ネタやギャグ要素としてではなく、かと言って戦闘や世界観のリアルさを表現した結果でもなく、異質な残虐表現を当然のように伴って進んでいく様はある意味『GTA』等以上に人を選ぶ。

問題点

  • ストーリーの謎
    • 上記の通りシナリオの説明がない雰囲気寄りゲーだが、途中から超展開の連続でまったく話が掴めない。
    • 想像や解釈に任せる仕様なのかもしれないが、深く考えるべきでは無さそうなカオス系の世界観の中に、後々から急にシリアスを混ぜ込まれ、少々置いてけぼり感が。特に最後の解釈は難しい。
  • ブラック・グロテクネタを気に入った人間にとっては、終盤以降が少々ネタ不足で退屈になる
    • 終盤になるにつれ人間が登場しなくなり始め、代わりにモンスターの背を渡るようになるのだが、その分ブラックな謎解きギミックやネタが減り、ただの無機質なアクションゲームに近くなっていってしまう。
  • 難易度が高い
    • アクション自体がかなりシビアで、かつ謎解きも終盤以外はブラックネタとして常軌を逸しているぶん、謎解きというより「様々な行動をしてみたら予想外の展開が起きて先へと進めた」というものが殆どであり、総当りのトライアンドエラーになりがち。
      • そしてその総当たりをする為には、いちいち高難易度のタイミングアクションを繰り返さなければならない。
      • ヒントの有る正真正銘の謎解きもそのヒントの意味が判り辛いものもあり難しい。作中でも特に分かり辛い色合成の謎解きは、失敗すれば高い難易度アクションを全て一からやり直しでありながら中盤のステージ。
    • 終盤のボスステージではモンスターの視線移動がランダムなのか、いつまでたっても通行できない場合が多く、運ゲー感が。
  • 通行人の目線を避けなければならないゲームなのに、その視線が分かり辛い。
    • 体全体や顔が向いている場合ならば分かりやすいのだが、他は動かさずに目だけが左右を見回している場合や、体はわずかにしか動かないという場合が多い。
      • デフォルメされているとはいえそこまではっきりしている訳ではないので、目の動きだけでタイミングを計るのは難しい。
    • 何故か隠れる必要の有る人間ほど、どっちを見ているのか目視し辛い配色にされている。
      • 普通の通行人は青肌黒目だが、警戒している人間の目はピンク、怒っている人間は赤い肌にオレンジに近い薄黄色の目。どれも彩度明度が高い一色塗りで、怒っている人間の瞳となると白目や肌と瞳との色差が少な過ぎて殆ど見えない。
      • モンスターの方は更に体が動かず、ピンクや黄色の大きな縦長楕円の中に有る小さな白い点が瞳。もしくは一色だけの円もしくは縦や横長の楕円状の体の中を、同じく大きな縦楕円だけが目としてあちこちに動く。これまた怒った人間ほどではないがかなり分かり辛い。
  • ボリュームが薄味気味
    • 1ステージ辺りがあまり長くない分、全体のボリュームもやや少なめ。携帯機向けの安価なDLゲームなので、こんなものと言えばそうかもしれないが…。

評価点

  • グラフィック/BGMについて
    • 全体的にカートゥーンテイストではあるものの非常に滑らかにヌルヌル動き、安価タイトルにありがちな質の悪い部分はない。
      • ただ、だからこそ残虐さも強く感じられるのだが…。
    • ムービーからBGMへとつながる際にも途切れたりはせず、また使用されているBGM自体も良質。
  • 理不尽にならないレベルで高めの難度
    • 上記通りミス時は即やりなおす事が出来、操作自体も簡単なのであとは目とタイミングでどうにか切り抜ける事が可能。
    • 一回クリアするとハードモードが追加される。こちらは目の色が変わっている人物が増えており、タイミングもまた変わってくる。
  • ブラックユーモア・グロテスクネタが平気な人の場合ならば楽しめる黒さ
    • ギミックや死に方に毎回ネタが盛り込まれている。単にグロい事が起きるというだけで終わるのでなく、更にもう一段頭のおかしい、もしくはひねくれた黒い小ネタを仕込んでいる。その他いちいちリアクションが面白い。
    • どのステージでも、通行人一人ひとりに対していちいちモンスターバッグの殺され方が違っており、力の入れどころがおかしい。
    • ニーアちゃんの為ならば他の人間はどうでもいいモンスターバッグだが、その登場する人間達もどれもろくでもなかったりどこかおかしく、その独特の世界観は好きな人なら楽しめるかもしれない。

総評

色々な意味で日本人には作れないであろうタイトル。
かなり人を選ぶのでなかなか薦め難いが、もしも残虐表現に理解があって洋ゲーも平気ならば試してみてほしい。
もし雰囲気がハマれば値段以上の価値を見出せる…かもしれない。

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最終更新:2022年12月22日 16:31