宇宙戦艦ゴモラ
【うちゅうせんかんごもら】
| ジャンル | シューティング |  ※画像はMD版
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| 対応機種 | アーケード | 
| 開発・販売元 | UPL | 
| 稼働開始日 | 1990年 | 
| 判定 | なし | 
| ポイント | プレイヤーが侵略者側 自機が巨大戦艦
 典型的なUPLの悪い例
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概要
藤沢勉の手がけたUPLの横スクロールシューティングゲーム。
最強の宇宙戦艦ゴモラの魔の手が新たな文明に忍び寄る!
ストーリーを見るとゴモラの侵略から文明を守るゲームのように見えるが、実際にプレイヤーが操作するのは侵略を行うゴモラの方である。
海外では『BIO-SHIP PALADIN』のタイトル名で発売された。
システム
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8方向レバー+2ボタンで操作。全9ステージの1周エンド。二人同時プレイ可能。
 ライフ+残機制でミス後の復帰はその場復活方式。ただし一人プレイ時にコンティニューをした場合はステージの最初からやり直しとなる。
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レバーで自機移動。ボタン1は攻撃用のボタンで、ボタン2は照準の操作で使用する(後述)。
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自機とは別に照準が表示されており、ボタン2を押している間は照準を動かす事ができる。ボタン2を押したままボタン1を押すと照準の場所へビーム攻撃を行う。
 ただし、ボタン2を押して照準操作を行っている間は自機が一切動かせなくなる制限がある。
 
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攻撃方法は2種類。自機そのものから発射されるごく普通のショットと、照準を操りそこへ発射されるビーム。
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前者は溜め撃ちが可能。ライフアイテムによって自機が巨大化(後述)するとショットも強化され、更に溜め撃ちでチャージに必要な時間が短縮化される。
 溜め撃ちはそこそこ高火力である一方で、通常ショットは高速で連射しても火力が低め。
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後者は自機が動かせなくなるデメリットはあるが、通常ショットよりも連射が速い上に敵弾を相殺することができ、自機と照準の間にある障害物や他の敵を無視して攻撃できると強力な性能であり、事実上本作におけるメイン武装となる。
 また、取得すると一定時間自動照準及び自動攻撃を行う「オートビーム」アイテムが存在し、その効果が発動している間は例外として照準ビームを撃ちながら自機を動かすことができる。
 
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自機は非常に鈍重。ライフアイテム取得で自機の耐久度が増加すると巨大化して攻撃力が大きくなる一方で、当たり判定も同じように大きくなって行く。
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逆に耐久度が下がると縮小化して攻撃力・当たり判定も小さくなる。耐久度がなくなると残機を1機失う。
 なお、ライフ減少によって縮小化した際は無敵時間が発生する。
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アイテムにより自機の周りに支援攻撃と敵弾防御を行うビットを装備できる。自機の上下それぞれ3個ずつの最大6個装備可能。
 ビットそのものの耐久値は高くないが大量に出現するため、自機が巨大な本作では主にバリア的な使い方がメインとなる。ただし、配置の関係上、真正面・後方からの弾は防ぐことはできないため注意が必要。
 
評価点
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現在でも珍しい自機が巨大戦艦のシューティング。
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耐久値に応じて3段階の変形を見せるため、見た目のインパクトはなかなかのもの。
 攻撃手段も戦艦らしく溜め撃ちが可能なショット以外に照準を操作してのビーム攻撃、アイテムで装着できるビットからのショットと多彩。一方で回避力はアイテムによるスピードアップこそあるものの、それでも自機が自機だけに高いとはいえないため、時には照準ビームでの敵弾消去と高い防御力に物を言わせてごり押しする判断も必要となる独自の戦略性は他のゲームではなかなか味わえないだろう。
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照準ビームは弾消し可能で強力だが、使用中は自機の移動ができない大きなデメリットがあり、闇雲に撃ちまくってると却って窮地に陥ってしまうリスクも孕んでいる。
 それ故に一定時間照準攻撃中移動不可の制約から解放されるオートビームは非常に強力。取得時の演出も画面内にデカデカと「AUTO BEAM」の文字が表示されるというUPLらしい派手なもの。
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なお、巨大戦艦が自機のSTGは本作よりも前に『バミューダトライアングル』が存在するため、本作が初めてというわけではない。
 
 
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自機が文明を侵略・破壊する側というこちらもあまり例を見ない設定。
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敵の侵略から文明などを守る設定は数あれど、逆に自機が侵略する側なのはとても珍しい。
    
    
        | + | エンディングについて。ネタバレ注意 | エンディングは本作で登場するボス敵をスペックと共に紹介していくというものだが、その中に搭乗者数の項目がある。 一見なんてことないように見えるが、こちらの攻撃もしくは時間経過による自爆で轟沈させた以上、全員ではないにしろ、大多数は死亡したと推測できる。
 更に後半のステージではボスのサイズに対して搭乗者数が少なくなり、ラスボスに至っては搭乗員数が3人と異様に少ない。こちらが侵略する側の設定といい、何か黒いものを感じざるを得ない。
 なお、元スタッフによるとラスボスの搭乗者数の少なさは「ゴモラの侵略に恐れをなしてみんな逃げたから」とのこと。
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新しい基板を採用したことにより、グラフィックやBGM、SEの表現力がアップした。
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『オメガファイター』までは古臭さが否めなかったが、今作では同時代のACと比べても遜色の無いクオリティとなっている。
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グラフィックの質も向上し、背景が丁寧に描かれている。
 
問題点
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照準ビーム操作のハードルの高さ
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照準ビーム使用中は照準合わせと動かせない自機両方に目を配る必要がある。独自の面白さを築いているとはいえ、慣れるまでは厳しい。
 
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敵の耐久がおかしい。
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元スタッフによると「この頃のUPLは難易度を敵の耐久値で調整していた」ようで、本作の敵はその見本であるかのように耐久が異様に高い。
 後述の仕様と特定のボスで条件を満たすと発動する発狂パターンの存在により、後半面のボスでの最適解がほぼ自爆待ちになってしまうのは疑問符がつく調整といわざるをえないだろう。
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本作では「プレイ開始から3分経過すると自機の攻撃力が無条件で半減し、コンティニューすると元に戻る」という調整が取られている模様。
 
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耐久が高いにも拘らず攻撃は異様に激しい。敵の攻撃を照準で消して、隙を見て敵を攻撃して、また敵の攻撃を消して……と繰り返すので元々冗長になりがちなシステムなのにその事を一切考慮していない。
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槍玉にあげられやすいのは4面中盤で後方から出現する敵大型戦艦。敵本体の上下に回ると相殺可能だが弾速の速いレーザーを大量に連射してくる。
 対策法が分からなければ装備が整ってても成す術もなく圧殺される凶悪さで、それまでの道中と比べて急激に難易度が跳ね上がる。
 更に最終面ではこの戦艦が時間差で複数出現し、本作屈指の難所となっている。
 
 
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ミス後のリカバリーが難しい
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ライフを全て失いミスになると初期装備に戻された上で復帰となるが、このうち自機移動速度リセットのペナルティーがかなり重く、ただでさえ難しい敵攻撃の回避が更に困難になってしまう上に被弾後の無敵時間も短い。
 そのため、激戦区でミスしてしまうと残機数に関係なく事実上ゲームオーバーが確定になる事態が起こりがち。
 
総評
藤沢勉の手がけたゲームは総じて斬新かつ面白いアイデアのシステムを内蔵しており、独特の中毒性と稀なゲーム性を持っている。だが、上記「敵耐久」の面でのバランスの悪さが評価を低くしている。そのため、良くも悪くも藤沢勉、良くも悪くもUPLと言ったゲームである。
しかし独特の世界観とゲーム性は他のゲームではまず味わう事が出来ない。刺さる人にはとことん刺さるゲーム、と言えるだろう。
家庭用移植
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メガドライブ版(UPL、1991年9月30日)
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長らく唯一の家庭用移植であった。UPLの最初で最後のMDリリースソフトでもある。
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1P側で自機の移動とショット・2P側で照準の移動とビームを担当する協力プレイが可能なモードが追加された。
 
 
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Nintendo Switch/PlayStation4版(ハムスター、2021年8月5日)
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『アーケードアーカイブス』シリーズとして配信。アーケード版の忠実移植で上記の海外版も収録。
 
余談
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本作のボスの名称は全て酒の名称・銘柄が由来となっている。
最終更新:2023年12月11日 17:38