描いて・作って・遊べる デザエモン

【かいて つくって あそべる でざえもん】

ジャンル シューティングゲーム作成ソフト
対応機種 スーパーファミコン
メディア 4MbitROM+1MbitRAMカートリッジ
発売・開発元 アテナ
発売日 1994年9月30日
定価 12,900円(税別)
周辺機器 スーパーファミコンマウス対応
判定 良作

概要

ファミコンで発売されたシューティングゲームコンストラクションソフト『絵描衛門(デザエモン)』の続編。
前作の時点でグラフィックの製作、音楽の作曲が可能で家庭用コンストラクションとしては一歩抜きん出ていたが、プラットフォームがSFCとなった事で容量などが大幅に増加。
商業STGと遜色ないゲームを作れるようになった。

特徴

STGとしての内容

  • ゲームシステムは、同社のアーケード作品『大王 DAIOH』をベースにした縦スクロールSTGとなっており、外伝的位置付けのサンプルゲーム『DAIOH GALE』も収録されている。
    • ワイドバルカン・ホーミングレーザー・ストレート&ホーミングミサイルの3種類のショットと、ショットの種類によってボムの種類も変わる、という特徴も一緒。
    • アイテムのバリュエーションは「スピードUP」「パワーUP」「ショット変更3種」「ボム補給」「シールド」。
      • 「1UP」と「特殊P」は未登場。
  • 残機+スコアエクステンド制で、前作『絵描衛門』の倍の全6ステージ。
    • オプションで難易度とエクステンドスコアの変更も可能。

コンストラクションソフトとしての内容

  • EDITモードは「グラフィック」「くみたて」「ミュージック」の3つあり、「グラフィック」は全部で22(&FREE2つ)のパレットを指定してから製作し、「くみたて」は1ステージごとの編集となり、「ミュージック」では全16曲が作曲可能。
    • また、メインメニューの「ETC.」からキーコンフィグ、エディット中のBGMの変更が可能な他、ステージデータのコピーや削除ができる。
      • ゲームプレイ中以外の全ての画面でスーパーファミコンマウスでの操作に対応している。
  • グラフィックは29791色が使用可能で、1パレットにつき全16色(うち1色は透明色)。
    • 登場する全てのグラフィックを製作可能。セーブ領域は1マス16×16ピクセルの全512マス。描画中にアニメーションの確認もできる。
      • パレットの分類は「自機」「ショットとアイテム」「敵弾と爆発」「作品のタイトル」「ザコキャラクター&ボスキャラクター&背景がそれぞれ×6ステージ分」の全22。
    • 自機なら2×2マス、ショットやアイテムなら1マス、と種類ごとにサイズが固定されているため、その範囲内で描く必要がある。
  • くみたては前述の通りステージごとに編集するが「自機」「ショットとアイテム」「敵弾と爆発」「タイトル」の全ステージ共通の部分はどのステージを編集中でも編集可能。
    • ここではグラフィックエディターでセーブした画像を登録し、ザコキャラクターとボスキャラクターの中身と配置、背景を設定する。
      • ザコキャラクターは4×4マスサイズを除きアニメーションさせる事が可能で、アニメーションスピードも設定できる。
    • 移動の仕方や、弾の発射の仕方と発射頻度、耐久力やスコア、アイテムの出現の有無、無敵設定や当たり判定の有無などを設定可能。
      • ボスキャラクターはアイテムの出現や無敵は設定できないが、ローテーションする3種類の移動の仕方を選び、弾の発射位置を3箇所、ピクセル単位で選び、個別に設定する事ができる。
    • マップエディターでは背景の画像を貼り付ける他、スクロール速度を縦4マス単位で設定したり、敵を1マス単位で配置可能。
      • 他に、1ステージごとの戻り復活かその場復活かの選択や、道中とボス戦中のBGMを設定できる。
  • ミュージックは前作同様、五線譜を使って作曲する。
    • 全2トラック、全16小節と少ないが伴奏機能付き。
      • 音色は32種類。音符を置いていくのではなく『マリオペイント』のように楽器のアイコンを置き、波線を伸ばして直感的に作曲する仕組み。
    • そのため1小節内で多数の楽器を鳴らせる。最も短い音で16分音符相当。
      • テンポやエコーの効きの調整や、小節単位で任意の範囲のループが可能。
    • 伴奏機能「リズム君」にはロックやポップス、オーケストラ等のジャンルがあり、1小節ごとに設定する仕様。
      • リズム君の音階は1音階、コードをメジャー・Sus4・マイナー・メジャー7th・ディムの中から選ぶ「ニッコリ君」と、1ジャンルにつき4つの伴奏パターンがある。

評価点

  • 当時のコンシューマ用コンストラクションソフトとしては群を抜いた出来。
    • RPGツクール2』が、別売りのソフト『音楽ツクール かなでーる』を併用する事でようやく自作曲の使用が可能だったのに対し、1本のソフトでグラフィックも音楽もゲームも全て製作できるのは画期的だった。これをFC時代からやっていたのだから脱帽である。
      • 「グラフィック」で描ける画像の数や「ミュージック」で作れる曲数も多く、サンプルとして用意されている曲もサンプルゲームの曲からバッハの「小フーガト短調」、隠し要素だが「さくらさくら」などの有名曲のアレンジも収録されておりこれだけでも十分遊べる出来である。
    • 同じく隠し要素だが『大王 DAIOH』のアレンジBGMも4曲収録されている。もちろん自分の作品に使用可能。隠しBGMは合計19曲。
      • マウスに対応している点や、スッキリしていて直感的なUI、「くみたて」の各種エディタから「グラフィック」に飛べるなど快適性も高く、作業しやすい。
    • SRAM容量はSFCソフト最大の1Mbit。『RPGツクール SUPER DANTE』の256Kbitの4倍、『RPGツクール2』の512Kbitの2倍もある。
  • 自由度も非常に高い。
    • もちろん容量などの制限は存在するが、それでもかなり作りこむ事が可能で市販ゲーム並の作品の製作も可能。
    • ザコキャラクターは1ステージにつき、1マス、横2マス、縦2マスのサイズをそれぞれ16種類まで、2×2マスのサイズを8種類まで、4×4マスのサイズを4種類まで製作可能。
      • ザコキャラクターの画像の登録枚数には制限があり、同じ画像を複数使わない限り全てを使う事はできないが十分な量と言える。
    • ザコキャラクターやボスキャラクターからザコキャラクターを発生させる事もできるので、設定次第で面白い攻撃やギミックを作成できる。
      • ザコキャラクターの当たり判定を無くす事で背景演出などを製作できる。サンプルゲームでは1面ボス出現時の飛び立つ鳥の群れなどに利用している。
    • ボスキャラクターは横長サイズを選ぶと4×8マス、縦長サイズを選ぶと8×4マスと十分なサイズで、画像の登録枚数制限が無い。
    • また、背景の画像登録枚数も余裕があるため、背景に台詞を書くといった荒業も可能。
      • 後に開催されたコンテストでは会話シーンを挿入した作品など、凝った作品も受賞した。
      • もちろん、ゲームバランスを重視した硬派なタイトルも製作されており、中には市販タイトルに勝るとも劣らない作品も存在する。
      • これらの一部は、後に発売された『デザエモン プラス』にサンプルとして収録された。
      • 著名なプレイヤーの中には『ごきんじょ冒険隊』でキャラクターデザイン担当だった漫画家・須藤真澄氏といったプロのクリエイターもいる。
  • ゲーム性も当時のSTGやコンストラクション系として見ると良好。
    • 無茶な作り方をしなければ処理落ちもしないため、処理落ちするタイトルの多いSFCのSTGの中では貴重なタイトル。
    • 処理の軽さやシンプルさ、撃墜時の小気味良さを活かせば爽快感も得られる。
    • 敵弾のランダム性が高く、駆け引きを生むための材料も十分あるので、飽きにくくアドリブ性の問われる内容。
      • 後のコンシューマー版RPGツクールシリーズがゲーム性の充実に苦労する(ファミコン時代のドラゴンクエストシリーズに一歩及ばない)のと比べると、この時点でもゲームコンストラクションソフトとしての完成度は高かった。

問題点

セーブ周り

  • オートセーブ仕様のため、煩わしさはないものの失敗すると取り返しがつかない事が多い。
    • アンドゥ機能は備わっているが、パレットの色を変更した時に限り何故か機能しないため、間違えて大きく変えてしまうと面倒。
  • 容量が大きいためかセーブデータが消えやすい。ターボファイルツインなどの外部機器への保存ができないのも致命的。
    • 保存できるゲームは1本分なので、尚更問題になりやすい。
      • デザエモンのセーブデータが1Mbitの大容量だったのがこの点では逆に仇となったといえる。管理するのに1Mbit+αの容量が必要になるため、容量1Mbitのターボファイルツインでは力不足であった。
      • なお対応する機器がなかっただけで、ソフトには外部機器への保存機能が存在していた。(余談を参照)
    • セーブデータが破損した際のNGの表示や警告メッセージの出方はトラウマ級の怖さで、流れるBGMも意図した不気味な作風、かつプログラマー自身によるアマチュア作品(本人談)。
      • これのせいで印象が非常に悪く、セーブデータと一緒に思い出も破損しかねないものとなっている。

ゲームシステム

  • 出現するアイテムが変更不可。
    • そのため、ショットはワイドバルカン・ホーミングレーザー・ストレート&ホーミングミサイルの3種類固定。
      • この仕様が、後述のショットの性能面による問題を引き起こしている。

ゲームバランス

  • ホーミングレーザーの性能が、高速・貫通・高追尾という極端な長所を持ち、低威力・低連射・癖強過ぎという極端な短所を持つものになっている。
    • このため、耐久力を8段階中の1や2に設定したザコが画面中に出るような場面では一瞬で殲滅できるほど強力で、逆に耐久力を6やそれ以上に設定したザコが1機でも出るような場面では途端に他のショットとの差を見せつけられ、場合によっては弱いなどというレベルではなくなるほどの酷い状況に追い込まれる。
      • レーザー装備時のボムも耐久力の高い敵に弱く、似た者同士で弱点の補強とは正反対の性能のため、頼りにならない場合がほとんど。
      • これのせいでサンプルゲームの5面にすら、ボスが耐久力4・移動速度8の追尾弾を撃つところ、他のショットなら難なく破壊できてもレーザーでは破壊できず、難易度が歪に上がってしまうという欠陥がある。
    • 出現するアイテムの変更が不能な仕様との最悪の調和であり、好きにゲームを作れない大きな原因となっている。
      • 取れる対策も、アイテムそのものを出現させない 、チートを使う 等のネガティブなもの。
    • 自機の移動速度もスピードUPを取らない限り遅いので、アイテムを出現させないようにしたところで不満は出る。
      • そのスピードUPも複数取ると速過ぎて逆に危険な場合も多く、速度の変更を可能にして欲しかったところ。
  • ショットが弾切れを起こしやすい。
    • バルカンとミサイルを撃てるのは4連射までで弾速も遅い(特に後者の初速)ので、画面最下から敵のいない所に撃ってしまうと、バルカンでもボタンを押している間の4分の1ほどの間は弾が出ず、ミサイルに至っては2分の1ほどの間、弾が出ない。
      • 弾が出ない間に、ザコに体当たりされたり、敵弾を発射される前にザコを撃墜できなかったりしがちで、ストレスが大きく爽快感も損なう。
    • そしてバルカンは最初こそ2WAYストレートだが1度でもパワーUPするとワイドバルカンになり、パワーUPするごとに弾が広がって飛ぶようになるので非常に弾切れを起こしやすく、連射が効かなくなって逆に弱くなるという拍子抜けの状況に陥りやすい。
      • ミサイルも2回パワーUPすると3WAY化するので弾切れしやすくなるが、かと言って弱いかというとそうとも限らず、初速は極端に遅いが1回の発射ごとの威力そのものはバルカンの倍ほどあり、地上物や無敵時間中に張り付いて連射が全く途切れない状況を作れば極端な高威力を出せるため、パワーUPした時のゴリ押しが非常に強力でゲームバランスを壊しやすい。
      • 悪い事に、ミサイル装備時のボムの特徴もゴリ押しに非常に有効。
      • バルカンも1度もパワーUPしない方が無難かと言うとそうでもなく、3WAY化で威力が大きく上がり、画面下中央で左右に小さく往復しているだけで多くのザコを殲滅できてしまい、弾切れしやすい以外の難点もないため、これを装備しただけで難易度が大きく下がる場面が非常に多く、強力。
    • 以上から、初期装備の2WAYストレートバルカン以外のどのショットを選んでも、遊びづらくなったり、ゲームバランスが壊れたり、ストレスを抱えやすくなったりしやすい。
  • ショットのパワーUPの罠。
    • ショットを1回パワーUPするごとにランクが大きく上がる仕様。その上、説明書でもランクの事そのものに触れていない。
      • ステージが進む事でもランクが少しずつ上がっていくのだが、なんとパワーUPを1回取るごとに1面と5面の差ほどのランクが上がってしまう。
    • 3つも取ればEASYとNORMALの差ほどにまでランクが上がるので、パワーUPを出来るだけ少なく留める方が難易度を抑えられる場合も多いという、本末転倒の仕様となっており、前述のホーミングレーザーの性能やワイドバルカンによる弾切れやミサイルでごり押し可能になってしまう点や取り過ぎると危険なスピードUP然り、このゲームではアイテムが問題になるケースが多い。
      • システムの元となった『大王 DAIOH』はこれ以上の露骨なランクゲーであり、それと比べれば随分抑えられたとはいえその弊害と言える。
    • 因みに本作ではパワーUP以外のアイテムではランクアップしない。
  • 難易度をHARDにすると、敵弾の弾速と発射頻度が体感で2倍ほどになるまでにランクが上がり、極端。
    • 裏技で選択できるDIFFICULTも、ランクそのものはNORMALと同じだがあまりにも大量の弾を打ち返してくるので、まともにプレイできる作品が非常に限られている。(サンプルゲームですら、まともに遊べるとは言い難い内容になる。)
      • 一方でEASYは敵弾の弾速や発射頻度が体感で4分の3ほどになる、比較的まともな変化。
    • このため、せっかく存在する難易度の選択肢があまり活きているとは言えず、DIFFICULTなどではなくNORMALとHARDの中間の難易度が欲しかったところ。

総評

高機能のエディタで自由自在にSTGを製作できる、STGファンにとってはまさに夢のようなソフト。
後のシリーズも本作をほぼそのまま受け継いだエディタを搭載しており、この時点で完成度は非常に高かった。本作でゲーム制作の楽しさに目覚めたプレイヤーも多い。
もちろん、それなりに根気は必要だが、市販並のSTGを手軽に製作できるのは非常に魅力的である。
自分でSTGを作りたい人は手を出してみてはいかがだろうか。

余談

  • その後、プレイステーション用に機能をプラスした『デザエモン +』、機能を簡略化して初心者向けに特化した『デザエモン Kids!』が、セガサターンでは横スクロールSTGを制作可能になった『デザエモン2』が、ニンテンドウ64ではハード性能を生かし3Dモデルを作成できる『デザエモン3D』が発売された。
    • PS版は2作品共にゲームアーカイブスで配信され、配信元のアテナの倒産により一旦配信終了し、その後トリニティが版権を引き継いで配信再開されたが、その後ハムスターが旧アテナの権利を取得し、ゲームアーカイブスでの配信は再び終了した。
  • 発売から22年経った2016年、新しい裏技が発見された。
    • スタッフからのメッセージなどが表示されるというもの。
    • それだけではなく、そこにはあるやばい「ひみつ」が掲載されていた。
+ 「ひみつ」

おしらせ
 
ここでデザエモン3っつのひみつをこうかいします
 
1 どこだかわからないけどソースリストのいちぶこうかい。
2 バックアップデータのアドレス
3 つうしんきのう
 
のやばいひみつをだいこうかいします。
かなりやばいところはふせてあります。
おといあわせにはいっさいおこたえできません。
 
(中略)
 
ひみつ3
ジョイパッドポート1をつかって、データのやりとりができる。
つまり、じぶんでつくったゲームをコンピューターですいだしたり、
カセットにてんそうしたりできます。
 
よういするもの。
せつぞくケーブル つうしんソフト があればなんこでもゲームを
つくることができるし、データのほぞんもかのうである。
 
しかし、せつぞくケーブル、つうしんソフトはじさくしなければ
ならないし、しりょうのこうかいはやばすぎて、できません。
アセンブラのちしきとかんたんなハードのちしきとこんきが
あればつくれるでしょう。
 
ここにかかれたひみつにかんしてのといあわせは、いっさい
いたしておりません。でんわれんらくなどはごえんりょください。

  • そう、データ保存できるジョイパッドポート1接続の外部機器を自作するための資料である。対応する機器がないなら作っちゃえば良いというわけだ。
  • ゲーム雑誌などで裏技を公表していたら任天堂の知る所となり怒られていたと思われる。仕込んだものの発表するわけには行かず世間に知られぬままになってしまったのだろう。
  • 2021年7月に上記の「ひみつ」を実践・成功させ、その内容を動画化した人物が現れた。

デザエモン+

【でざえもん ぷらす】

ジャンル シューティングゲーム作成ソフト
対応機種 プレイステーション
発売・開発元 アテナ
発売日 1996年5月24日
価格 5,800円(税抜)
配信 ゲームアーカイブス:2008年1月30日/600円
周辺機器 マウス対応
判定 良作

概要(プラス)

『描いて・作って・遊べる デザエモン』をPSに移植した作品。
基本的な内容に違いはないが、いくつかの部分で変更や改良が加えられている。

特徴・評価点

  • 敵の動作に拡大・縮小や回転が加わり、回転させたグラフィックを個別に用意する必要がなくなった。
    • 自機が撃つホーミングミサイルの場合、回転した際に見た目を変えるといった小技は使えなくなったが、登録する画像が1マスで済むようになった。
  • 最後のステージを任意で決められるようになったため、全てのステージを作る必要がなくなった。
  • 自機が最初に装備しているショットの種類や、出現するアイテムを選択できるようになった。
    • アイテム出現テーブルは7番目までのローテーションで、1周する以外にも1ミスでも1番目に戻る仕様。
      • これによって前作で問題になっていたホーミングレーザー(ゴリ押しされるのが嫌ならミサイルやボム)も排除可能。
    • ただしシールドを出現させるようにした場合、アイテムを7つ出すごとに出現するので、シールドが8番目に出て16番目まであるローテーションだった前作よりも、無敵時間の長い、ゴリ押ししやすい作品になる。
  • 音源の新規サンプリングを行い、音質が向上。
  • セーブ媒体がメモリーカードになった。
    • これによりバックアップや他者への作品の配布も可能になった。
  • 前作のコンテスト受賞作をサンプルゲームとして10本も収録している。
    • 硬派な作品から演出を重視した作品、ほのぼの系からバカゲーなど多彩なジャンルが収録されておりお得感が高い。
      • おまけとして映像のみ収録のタイトルも存在する。カセット2本*1を使った大作「けじめ」はある意味必見。
    • もちろん『DAIOH GALE』も収録。ただし、ステージ数の減少などで調整が加えられたバージョンになっている。

問題点(プラス)

  • 製作できるステージ数が最大5ステージに減少している。
  • 音質が変わり、SFC版とは全く違う音色になっている音が多数のため、既存のBGMはSFC版で鳴らした時とはニュアンスが全く異なり、違和感も大きい。
    • 加えてBGMの再生スピードがSFC版より若干遅くなっている。
  • メモリーカードへのセーブとなったため、セーブ周りの問題点をある程度解消したが、新たな問題が生まれた。
    • ゲームを1つ保存するのにメモリーカード1枚丸ごと使用し、セーブやロードにも長い時間がかかるようになった。
      • SFC版でも若干のロードはあったが、光学メディアになったため読み込みも遅くなっている。
  • ボスの弾の発射位置をボスの中心から離れた場所に設定した場合、離れた分だけ自機狙い弾の狙いがズレる仕様に変更された。
    • 説明書では一切説明されておらず、DAIOH GALE Ver.2のボスも多くはVer.1の時の設定のままなので、修正しきれなかったバグの可能性もある。
      • この仕様によって収録されたコンテスト受賞作の多くはオリジナル通りの内容ではなくなってしまった。
      • 因みにアイテムの出現順もSFC版と違うため、ステージの最初にスピードUPを最低1つは取れるようにしておいた作品が、高速スクロールステージで難易度が理不尽に上がってしまっている。
    • この仕様を知らないユーザーによって作成された作品もまた、自機狙い弾の狙いがおかしい作品となってしまっている。
  • ステージをクリアすると次のステージ開始時にランクが初期値にリセットされるようになった。
    • 時間経過でじきに選択した難易度やショットのレベルや今居るステージに応じたランクになるのだが、悪い事にゲームオーバーになってもランクはリセットされず、高くなったランクのまま所定の位置に戻される。
      • 戻り復活のステージならまだしも、その場復活のステージはステージの最初に戻されるため、実質的な難易度アップとなる。
    • これによってコンティニューしなくてもクリアできる上級者とそうでないプレイヤーとの間で難易度の格差が生まれる結果となり、特に高難易度の作品はノーコンクリアが当たり前なプレイヤーにとっては丁度良いさじ加減でも、コンティニューを駆使しなければクリアできないプレイヤーにとってはこれの影響で余計に高い難易度で挑むハメになり、ドツボにハマりやすいという二極化を生み出してしまった。
      • この弱い者虐めとも言えるシステムへの配慮に欠けた、非常に難易度の高い作品も数多く作成された。
  • ザコキャラクターはマス目一杯に当たり判定が存在する仕様。
    • SFC版でもこの仕様で、ザコキャラクターの当たり判定が大きく、画像をマス目より小さく描くほど真空判定が大きくなってしまう問題点を抱えていたのだが、この問題が拡大・回転機能によってより大きくなっている。
      • 特に丸くて小さい追尾弾を拡大・回転させた場合に顕著。
  • 背景のスクロール設定によっては、ポーズをかけたタイミングによって、ボスを含めた配置した敵が消えてしまうバグが存在する。

総評(プラス)

ステージ数の減少など残念な点もあるが、消えやすかったセーブの改善や新たな演出の追加でより作りやすくなっている良移植。
SFC版の完成度の高さはそのまま引き継いでいるので、安心してプレイできるタイトルである。


デザエモン2(DEZA2)

【でざえもん つー】

ジャンル シューティングゲーム作成ソフト
対応機種 セガサターン
発売・開発元 アテナ
発売日 1997年10月9日
判定 良作

概要(DEZA2)

『デザエモン+』の機能を更に強化したSSの作品。

特徴・評価点(DEZA2)

プラスと同様、基本的なメイキング内容に違いはないが、様々な機能が大きく拡充されている。

  • 様々な要素が拡充。
    • 横スクロールのシューティングが作成可能に。ある意味でようやく作れるようになったとも言える。様々なエフェクトなどは収録サンプルゲームの1つ『Biometal Gust』で遺憾無く発揮されており、デモらしく参考になる作りが沢山。
    • 最大10ステージまで作成可能に。10ステージをフルに作る事もできるし、1ステージごとに演出用ステージを挟んでも5ステージ分作れる。これによりデモシーンを充実させた作品も数多く作られた。
    • パレットとキャンバスの拡充。256色パレットに加えユーザーパレットやグラデーションなども充実。
    • ポリゴンレンダリング。ポリゴンから2Dに変換してドット絵で調整できる。ただしポリゴンそのものをゲーム内で使える訳ではない。
    • 作曲の強化。使用可能な小節数が32、同時演奏できるパートが4つと大幅にパワーアップ。これは後のkidsなどと比べても圧倒的な自由度である。このうちパート3と4はそれぞれパンを右・左に振ったチャンネルとなっており、従来ではできなかった演出も可能になった。音色数も増加。
  • サンプルゲームは3つ+隠し2つ。(パッケージ裏面で隠しが2つある事が明記されている)
    • 『Biometal Gust』前述した正統派横スクロールシューティング。同社が1993年に発売したSFC用STG『バイオメタル』がモチーフ。
    • 『Ramsie』縦スクロール。蝶をモチーフにした妖しい雰囲気が特徴。
    • 『DAIOH P!』DAIOH GALEを音楽など基本的な構成は変わらぬままポリゴン化したようなコミカルタッチの縦STG。
    • 『Vexsarsion 雅』隠し。シュールギャグと悪ノリをちりばめた作品かつ、各ステージ前のデモやエンディングデモなど作り手の視点でも参考になるテクニック満載の横STG。
    • 『ELFIN』隠し2。ここまでの(差はあれ)硬派なシューティングとは打って変わってファンシーなグラフィックの縦STG。

問題点(DEZA2)

  • 音楽系の処理落ちが酷い。
    • 特に顕著なのがバルカン系のメインショットとサブショット、2人同時プレイなどが組み合わさると処理落ちしやすい点。ゲーム進行だけならちょっとした処理落ちで済むのだが、BGMに顕著に影響が出るのが非常にまずく、テンポがのろくなる、一部の音が鳴りっぱなしになって耳障りという事態が常態化している。気にしなければそれまでであるが、折角作曲部分がパワーアップしているのに勿体ないと言わざるを得ない。
    • 鳴りっぱなしの音は一旦ポーズをかけて解除する事でリセットされるが、稀にこれでも鳴りっぱなしの状態が続く事も…。
  • セガサターン本体の内蔵バックアップメモリでは容量がまったく足りずセーブ不可。
    • パワーメモリはセーブスロット1つだけなら余裕だが、2つ目以降は不足しやすい。パワーメモリは耐久性に難がありデータが消えやすいという難点もある。
    • このため機能をフルに使いこなすにはサターン周辺機器のFDDが欠かせない。
  • その他
    • デザエモンとしては大幅に拡充されている一方、抜本的な構成や自由度に関しては『プラス』からさほど変化していない。アイテムや武器の挙動などの基本システムも従来通り。従来のプレイヤーには使い易いまま強化されたとも言えるが。
    • 効果音も3つのプリセットが用意されているとはいえ、もう少し細かくカスタイマイズできたら…と惜しまれる。

総評(DEZA2)

「これまでのデザエモンを遥かに上回る」というキャッチコピーの通り、機能拡大が魅力的なデザエモンの集大成である。
一方で音にまで影響した処理落ちという問題点や、復刻が望みにくいプラットフォームであるためにマニア向けとなってしまっており、現在では目にする事はほとんどない。
知名度の関係で、知る人ぞ知る存在となっているのが惜しい作品と言える。

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SFC 1994年 アテナ STG
最終更新:2024年08月27日 10:06

*1 一本はゲーム本編を作る為、もう一本にステージ間のデモシーンを作る為。