救急救命 カドゥケウス2
【きゅうきゅうきゅめい かどぅけうすつー】
ジャンル
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医療アクションゲーム
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対応機種
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ニンテンドーDS
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発売・開発元
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アトラス
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発売日
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2008年8月7日
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定価
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5,800円(税別)
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レーティング
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CERO:B(12才以上対象)
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判定
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良作
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ポイント
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3年後の舞台、ダクタァツキモゥリ
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カドゥケウスシリーズ
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概要
医療アクションゲーム『カドゥケウスシリーズ』の第4作目。第1作であるDS版『超執刀カドゥケウス』の正統な続編。
第3作『カドゥケウス NEW BLOOD』は舞台を一新していたのに対し、本作は『1』の3年後を舞台に月森孝介と利根川アンジュの新たな物語が描かれる。
システムは基本的に『1』のリメイクである第2作『カドゥケウスZ 2つの超執刀』を継承している。
主人公の月森に近藤孝行、ヒロインのアンジュに川澄綾子と、キャラの声優は『Z』から引き継がれている。
ハードの性能上、『ニューブラッド』のようなフルボイスではないが、『1』と違って殆どのキャラにボイスが付いている。
キャラクターデザインも『Z』と同様に、土居政之に変更した。
ストーリー
カドゥケウスによるギルス撲滅から3年。
月森孝介と利根川アンジュはアフリカにあるコスティガ共和国にいた。
内戦終結後のこの国には医師の数が絶対的に不足しているためだった。
二人はそこで医療に従事していたが、そこに日本から連絡が入る。かつてギルスに感染した人が深刻な後遺症に苦しめられているというのだ。
特徴・評価点
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ゲームシステムの改良
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『Z』で追加された機能がDS版でも続投した。
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『1』では難易度選択ができなかったが、今作はステージ毎にイージー、ノーマル、ハードの設定が選べるようになった。
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もちろんクリア後のボーナス、Xステージも健在。
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多様な手術
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以前はギルス中心だったが、今作は手術も盲腸、事故、停電中に行うなど手術の種類が同じ術式が全くないほどに増えた。
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特に序盤はギルスは無く、単純な病魔との戦いとなっている。
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スキップ機能
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前作では手術中にオペレーターが話しかけてくると画面右上のCALLをタッチしなければならず、そのために処置が中断される事に対する不満意見があった。
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今作では方向キーの下やAボタンを押すことで会話をページ送りできる他、会話を一気に読み飛ばすスキップ機能が搭載された。
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プレイ中は右手にタッチペンを握っているわけなので、特に左手で会話を送れるようになった。
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手術操作も向上した
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カドゥケウスシリーズのタッチペン操作は前回も相性がよかったが、今回はさらに改良されている。
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縫合やドレーンの反応が良くなり、操作性が格段に向上している。
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エコーも範囲が上がり、『1』のように突きまくる心配も無い。
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DS版『1』の続編として物語を上手く引き継いでいる。『1』のキャラも殆どが続投している。
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『1』終盤で月森に治療された「ツミビト」の一人が成長して登場し、物語上で重要な役割を果たす事になる。
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月森が一時期カドゥケウスを離れ、古巣である北崎医院に戻ると言う展開もある。
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前作でネタになった
超失踪先生
も健在。三年経ってもその辺は変わっていないようだ。というか公式のHPで超失踪のワードが使われている。
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また、月森とアンジュの仲にも遂に変化が…!?
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アデル・チルバ
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コスティガ出身の新米医師として登場する新キャラクター。月森の下で医師としての技術や心構えを学び、成長していくが、ある事を切っ掛けに月森と袂を分かつ事になる。ストーリーに深みを与える、ある意味本作のもう一人の主人公と呼べるキャラである。
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が、それ以上に彼の月森を呼ぶときの「ダクタァツキモゥリ」と何だか癖になりそうな独特な滑舌が人気。恐らく外国人風な発音を意識しているのだろう。一度聞くと耳から離れずファンの中で
ネタにされて愛されている。また、終盤になって正気を失った彼の台詞もインパクトが絶大で、こちらもよくネタになる。
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尚、ディレクターの遠山氏は収録されたボイスを聞いた際、「イメージからは程遠い」、と思ったらしい。
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その為、当初はアデルの音声の全カットすら考えたそうだが、せっかくの新キャラなのだからと現行のまま収録を決意したと言う。
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結果的にそれが話題になった事もあり、発売後にはしっくり来たとの事である。
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BGM
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全体的に好評。手術では緊張感漂う曲のみならず、プレイヤーの医師としての使命感を奮い立たせる熱い曲も多数用意されている。
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ラスボス曲は特に熱いと好評。旧作のラスボスにも劣らぬ強敵だがそれだけに死闘は必至であり、曲も相まって燃え上がる事間違い無し。
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ゲームクリア後はサウンドモードが解禁されるのでじっくり聴くことが出来る。
賛否両論点
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医療ドラマとしては薄味
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前作で壊滅したデルフォイの復活。新医療組織の台頭とその裏の顔、人工的に生み出される超執刀使いなど、展開自体が薄い訳ではないが、医療ドラマとして見ると全体的にあっさりしている。
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敵の目的や人間関係などもあまり掘り下げられず、また敵の思想なども前作ほど壮大なものではなく、前作の敵勢力に比べると小物のように見えてしまう。
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敵対する人間や悪人を治す展開も少なくなく、あまり感情移入できないという意見もある。
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警察との銃撃戦で倒れたテロリスト、追い詰められてギルスを自らに打ち込んだ敵のボスなどを助けろと言われても使命感が湧き辛いと言うものである。最初の患者からして密猟者である。どうせなら、アンジュに打たれて、命懸けで救うという展開の方がよっぽど燃える展開なのだが…
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目の前で苦しんでいる人間がいれば、たとえ悪党でも助ける。という主人公の姿勢は医師としては正しいが、ゲームをプレイしている側がそれに同調し、倒れた敵対者を「助けてみせる!」と思えるかは別である。
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一方、月森が超執刀を失うほどに打ちのめされ、そこから復活を遂げる展開などは熱く王道的だと評価されている。
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今回は前作『1』の流れを汲む月森らしい熱い展開がメインであり、海外ドラマのようなクールさが売りだった『ニューブラッド』とは対照的である。医療ドラマと言うより、あくまでSF外科アクションとして観るべきなのだろう。
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新規の手術内容がギルス関係のみ
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新しい手術内容も増えてはいるが、それらのほとんどが『ニューブラッド』で登場済みのものであり、そちらをプレイしたユーザーにはガッカリしたという意見がある。
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『1』からの正統進化という点では間違いは無いが。
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キャラクターデザイン
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DS版『1』の正統続編なのだが、前作の池端まぐろ氏ではなく『Z』以降のWii版シリーズと同じく土居政之氏が担当している。
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Wii版はともかく、DS版の続編まで変更されてしまい残念に思うユーザーもいる。特に本作は『Z』や『ニューブラッド』ではなく『1』の続編である事も大きい。
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しかし絵柄だけなら好みの問題なのだが、それを差し引いても問題点となる部分が存在する。詳細は後述。
問題点
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皮膚移植
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『ニューブラッド』でも登場した術式であり、皮膚移植は火傷した肌に、患者の健常な皮膚から切り取る4枚をやけどの肌に貼る作業をする。
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本作は一度に切り取れる健康な皮膚が『ニューブラッド』より少なく、時間がかかるようになっている。
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皮膚を貼ってもその患部を完治させるまでは時間経過で出血してはがれてしまうので、迅速が処置がもとめられるのだが、前述の理由により難易度が上がっている。
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立ち絵が少ない
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キャラクターが看護服を着ていない、手術着を着ていないなど不自然な点がある。
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患者も、ストーリーに関わる人物以外は基本的に描かれない。
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その辺りが徹底していた『ニューブラッド』の後に出た事もあり、特にあちらをプレイ済のユーザーには気になってしまうだろう。
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一応、月森とアンジュには私服姿の差分があり、医師の恰好でプライベートを過ごすような不自然過ぎる場面はない。
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この点は第5作『HOSPITAL. 6人の医師』では改善されるどころか更に悪化してしまった。
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キャラクターの表情も全体的に乏しい。
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満面の笑みを見せるアンジュなど感情表現が豊かなキャラはいなくも無いが、多くのキャラは表情の差分や変化が少なく、無表情と印象を受けるユーザーもいるほど。
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前作の池端氏のキャラはかなり感情表現が豊かだった為、同じDS版としてはこの点が際立ってしまうのだろう。
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前作のギルスとの再戦が多い
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今回は「ネオン・ギルス」という新たなギルスが数体登場するのだが、その殆どが終盤になって一斉に初登場する重役出勤ぶり。それまでのギルス戦は前作のギルスとの再戦ばかりである。
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『1』でやったギルス戦をまた、しかも数度に渡ってやることに抵抗を覚えるユーザーもいる。
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各ギルスは前作よりも行動パターンが増えているが、それでも根本的な解決には至らない。
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やたら面倒だった「テタルティ」や鬼畜ラスボスの「サヴァト」などが再登場しないのは救いか。
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尚、『HOSPITAL.』ではギルスや『ニューブラッド』のスティグマのような化け物じみた病原体との戦いはほぼ皆無となっている。
総評
DS版の正式な続編として描かれるゲームシステム、シナリオ、BGMなど正統に進化した。
さすがに据置ハードで出た『ニューブラッド』と比べると色々と劣る所があるものの、DSならではの『カドゥケウス』は今作でほぼ完成されたと言えるだろう。
最終更新:2022年08月21日 00:47