獣王記
【じゅうおうき】
ジャンル
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アクション
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対応機種
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アーケード(SYSTEM16)
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発売・開発元
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セガ・エンタープライゼス
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稼動開始日
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1988年6月
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プレイ人数
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1~2人
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判定
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なし
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ポイント
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強烈かつ爽快な獣化変身アクション 予想外のエンディング POWER UP!!(パゥワ アァップ!!)
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概要
セガが発売した強制スクロール、獣人に変身といった要素が特徴の横スクロールアクション。
ゲームとしての評価は凡作レベルだが、多数の移植もあってか知名度はそれなりに高い。
海外ではGenesis版が本体にバンドルされていたため、約140万本という売り上げを記録している。
ストーリー
「目覚めよ、古に眠りし獣戦士たちよ! 我のもとに再び現れ、我に従い、我が娘を助けよ!」
地上界の主神ゼウスによって強大な力を危険視された獣人族が封印されてから千年余り。地底界が正体不明の怪物によって攻撃を受けた。
地底界を統べる神ハデスに助けを乞われたゼウスは、自らの娘である女神アテナを司令官として援軍を送る。
だがアテナは敵の軍勢を率いる謎の魔神に拉致されてしまうのであった。
ゼウスはアテナを救うべく、伝説の獣戦士を蘇らせることを決意する。
特徴
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操作はレバー+3ボタン。Aでパンチ、Bでキック、Cでジャンプが出来る。
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しゃがみ状態でBを押すと上に向かって攻撃が可能。レバー上を入れながらジャンプするとハイジャンプが出来る。
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特定の敵(点滅する白いラスケルトウルフ)を倒した際に出現する「スピリットボール」を獲得するとプレイヤーキャラクターがパワーアップする。
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一段階目では服が破れて筋肉が大きくなり、攻撃に闘気のようなエフェクトが付いて攻撃力・リーチが上昇。
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二段階目ではさらにマッチョになり、体も大きくなって小手と靴も弾け飛び、パンツ一丁状態となる。
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そして三段階目になると演出と共に獣人に変身。特殊攻撃が可能となり、圧倒的な強さを得る。
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1面目:ウェアウルフ 動きが俊敏。パンチボタンで火の玉を発射、キックボタンで全身を炎に包んで突進する。
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2面目:ウェアドラゴン 常に飛行しておりレバーで8方向に動ける。パンチボタンで前方に長射程の電撃を発射、キックボタンで全身の周囲に電撃のバリアを放つ。
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3面目:ウェアベア パンチボタンで射程の短い石化ブレスを吐き、キックボタンで大きく山なりに跳ぶローリングアタックを放つ。
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4面目:ウェアタイガー パンチボタンで蛇行する弾を発射、キックボタンで頭上と足元に鋭い蹴りおろし攻撃。
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5面目:ゴールドウェアウルフ 全身が金色に輝く。性能は1面と同じだが、攻撃の炎が青色になる。
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半強制スクロール。次々襲ってくる敵を倒しながらステージ奥のボスを倒すことが目的となる。
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たまに特定の敵を倒すまでスクロールが停止する場面もある。
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ステージ奥に魔神(稲妻を帯びた禿頭の男)がおり、しばらくすると変身して巨大な怪物となりボス戦がはじまる。
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ただしこちらが獣人に変身していないと魔神は立ち去り、道中をもう一周繰り返すことになる。3周めのラストは変身していなくても強制的にボス戦に突入する。
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全5面。ライフ+残機制で、3点のライフが尽きると残機が1つ減る。
評価点
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多彩な変身による爽快感。
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獣人への変身はステージごとに異なり、それぞれで特殊能力も異なる多彩さ。
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獣人化すると遠距離攻撃が出来たり、高速で移動しながら攻撃したりと圧倒的な強さを得られ、爽快感がある。
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パワーアップの際には文字通り「POWER UP!」というボイスが鳴り、非常に耳に残る。その際にBGMが止まり音声だけが聞こえ、さらにプレイヤーキャラも少しの間動きが止まり、なぜかこちらを向いて筋肉が増大する。これらの演出が相まって、非常にアクが強く印象に残る。
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獣人への変身シーンでは主人公の顔がアップとなり、獣人に変身する姿が描かれる。これも印象的。
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BGMも暗い雰囲気のものから一変してアップテンポな曲調になり、優勢に立った状況を効果的に演出している。
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セガらしいネタ要素。
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基本的に凛々しい姿の多い獣人だが、ステージ3の「ウェアベア(熊)」はテディベアのような見た目でむしろかわいい。
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パッケージ等でメインを張っているのは「ウェアウルフ(狼)」の方なのだが、このウェアベアの絵面のインパクトのせいで「獣王記=熊」という認識が広まっている。
実際公式でもTシャツの絵柄がウェアベアだったり、『セガ 3D復刻アーカイブス2』の表紙でウェアベアが登場していたりする。
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ステージ4の「ウェアタイガー(虎)」はどこからどう見ても某覆面レスラーにしか見えない。
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ステージ5の前景には人間の屍らしきものが積もっているが、その中に考える人やムンクの叫びなどが入っている。気付くとクスリとさせられる。
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そしてEDは…(ネタバレにつき格納)
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実はすべては映画の撮影であったという楽屋オチが待っている。
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衣装を脱ぐ主人公、空飛ぶ敵はピアノ線で吊られ、敵は着ぐるみというオチ。
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締めは本作製作スタッフの集合写真(目線入り)。どこまでも脱力させられる。
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賛否両論点
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ボリュームが少ない。
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全部で5面しかないので、順調にプレイできた場合、クリアまでの総時間は短め。
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1プレイが短時間で終わるので、気軽に楽しめるタイトルとも言える。
問題点
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全体的に難しく、パターン構築が必須。
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獣人に変身していない状態では、自機の動きが非常に遅く攻撃範囲も狭い。そのため何かが起こってからアドリブで対処することが難しい。敵配置を完全に覚えてパターンを構築することが求められる。
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敵の動きにも癖があるものが多い(ゆっくりと歩いてきて、いきなり高速で飛びかかるなど)。ボスも攻撃が激しい上に当たり判定がわかりづらく、あらかじめ攻略法を知っておかないと何をしていいのかわからないままやられるという事態に陥りやすい。
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ダメージを喰らったあとの無敵時間が非常に短い(あるいは無い?)。そのため連続してダメージを受けて即死という事態が頻繁に起こり、ライフ制であることが救いになっていない。
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前述の通り、ボス出現地点で獣人に変身していないともう1周させられるのだが、この2周目以降は1周目よりも更に難易度が上がっており新たな敵などが出現する。序盤ステージならまだしも、後半ステージではそのままゲームオーバーとなる可能性が高い。つまり、実質的にスピリットボールを1つでも取り漏らすとオシマイという状態になっている。
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ライフの回復手段がなく、コンティニューが無いのも高難易度に拍車をかけている。一応難易度やライフ変更、ラウンドセレクトは可能だが、タイトル画面で特定のコマンドを入力する必要があり、裏技同然の扱いである。
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獣人に変身するまでは非常に地味な人間状態。
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パンチとキックしかなく、数段パワーアップしてもせいぜい拳や脚に闘気をまとう程度のため派手さに欠ける。正直ここだけ見るとあまり面白そうには見えない。
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実際のプレイでは操作性が微妙に悪く、攻撃のリーチも短いため間合いをはかる事に終始してしまい、やはり地味になりがち。
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大味なゲームバランス。
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獣人化することで圧倒的な強さを得られるが、逆にそれが大味さを強調してしまっている。
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特にBボタンで繰り出せる特殊攻撃が非常に強力で、雑魚はこれだけで一掃できてしまうほど強い。それが爽快感にも繋がっているのだが。
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慣れるとラスボスが一番弱く、突進を避けながら攻撃するだけで勝ててしまう。
総評
豪快かつ単純明快な第一印象に反して、反復練習と慎重な立ち回りが要求され、ストレスが溜まりやすい作品。
加えて、強烈なインパクトを誇る変身シーンをはじめとする演出からネタにされがちな一面もある。
しかし人間時のじれったい弱さと、そこから一転して圧倒的な強さを実感できる獣人状態とのギャップが良いメリハリになっており、その独特な爽快感に魅せられたプレイヤーも少なくない。
移植が多く今でも入手しやすいタイトルなので、気が向いたら遊んでみると良いだろう。
移植
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メガドライブ版(1988年11月27日、セガ・エンタープライゼス)
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最初の移植版かつMDのローンチタイトル・・・になるはずだったが実際は開発の遅れにより延期されての発売となった。移植度は良好で難易度は全体的に抑えられている。
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エンディングの演出が差し替えられ、表示されるスタッフ名を攻撃できるミニゲーム的なものになった。
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AC版にはない多重スクロールが追加されている。
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PCエンジン CD-ROM2版(1989年9月22日、NECアベニュー/ノバ)
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追加要素としてストーリーモードを収録。MD版で削除されたステージ間演出も復活しているなど、見た目の移植度は高い。
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ボタン数の関係でジャンプが方向キー上に変更されており操作性がさらに悪くなっている上、難易度も無駄に上昇している。
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システムカードver1.0以外でプレイするとステージ1の序盤でスクロールしなくなり進行不能になる。修正版は郵送による交換で対応された。
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PCエンジン Huカード版(1989年9月29日、NECアベニュー/ノバ)
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上記からストーリーモードや音声、難易度設定が削除されている。2人同時プレイ可能だったりロードなどは改善されている。
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ファミリーコンピュータ版(1990年7月20日、アスミック/インターリンク)
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プレイヤーキャラクターや雑魚キャラクターが小さいなど劣化が激しいが、ウェアライオンなどAC版にない新変身の追加などもあるアレンジ移植。
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ただし1人プレイ専用の上にボスキャラクターがAC版より巨体になっているので、難易度は上昇している。
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Wii版(VC:2006年12月2日/VCA:2009年6月2日、セガ)
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Xbox360、プレイステーション3版(360:2009年6月10日/PS3:2011年8月31日、セガ)
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『セガ ビンテージコレクション』の一作。AC版の移植。
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ニンテンドー3DS版(2013年5月29日、セガ/M2)
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MD版ベースの移植。立体視への対応ときまぐれ変身モードが追加されている。
日本未発売
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MSX版(1988年、アクティビジョン)
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マスターシステム版(1989年1月1日、セガ・エンタープライゼス)
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PC版(1989年、アクティビジョン)
余談
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本作の続編的な作品としてプレイステーション2で『獣王記 -PROJECT ALTERED BEAST-』が発売されている(セガ、2005年1月27日、CERO:D)。
獣人に変身しながら戦う3Dアクションという本作のエッセンスを引き継いだゲームだが、舞台は現代~近未来・獣人への変身を「遺伝子変異」と位置付けているなど世界観はSF寄りのものとなっている。
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ゲームを題材にして実際のゲームキャラクターが多数登場する映画『シュガー・ラッシュ』に本作の最終ボス「セガ・バン・ベイダー」が出演している。クマほどでは無いにせよサイの獣人という見た目は愛嬌があるとの声も多い。
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敵キャラクター「チキンレッグ」の初登場作品でもある。本作以降の作品では、『ゴールデンアックス』シリーズは乗り物モンスターとして登場している。その他にも『ダイナマイト刑事2』は海賊のアジト内で檻の中に「チキンレッグ」がいたり、多くのセガ作品でもカメオ出演するほど人気が高い。
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メガドライブの米国仕様である『GENESIS』の初期出荷分には本ソフトがバンドルされていた。
最終更新:2025年01月05日 11:02