BLEACH ソウル・イグニッション
【ぶりーち そうる・いぐにっしょん】
| ジャンル | 乱撃アクション |  
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| 対応機種 | プレイステーション3 | 
| メディア | BD-ROM 1枚 | 
| 発売元 | Sony Computer Entertainment | 
| 開発元 | ラクジン | 
| 発売日 | 2011年6月23日 | 
| 定価 | 5,595円(税別) | 
| 廉価版 | PlayStation 3 the Best 2013年1月24日/2,667円(税別)
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| プレイ人数 | 1人 | 
| レーティング | CERO:A(全年齢対象) | 
| 判定 | なし | 
| ポイント | BLEACH無双 キャラ・雰囲気再現度は微妙
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| BLEACHシリーズ | 
 
概要
久保帯人氏によるジャンプ連載漫画『BLEACH』を素材としたアクションゲーム。
原作からは井上織姫救出から藍染討伐までの破面滅亡編(アニメ266~310話)の範囲のシナリオが再現されており、また『劇場版BLEACH 地獄篇』のオリジナルキャラ「コクトー」も操作できる。
    
    
        | + | 設定 | 
設定
主人公
黒崎一護はとても霊感の強い高校生だったが、出会った死神の朽木ルキアが虚に襲われ窮地に陥っているところを救うべく、彼女から死神の力を譲り受け「死神代行」としての生活をすることになった。
 
死神
本作の死神は死に瀕した生き物の魂を刈り取っていく存在ではなく、死んで現世をさまよっている状態の
魂魄
を善良なものなら魂葬界へ導き、悪いものなら滅して地獄へ送る役割を持つ。
霊力のある魂魄が基本として死神になることができる。
修業を重ねると自らの魂が反映された
斬魄刀
を実現することができ、さらに強くなることで始解、卍解の2段階の変化をすることができる。
 
虚
負の感情や意志を持ち化け物のようになった魂魄。他の魂魄を食らい強化していく。
姿は獣や魚など様々なものがいるが、皆ドクロのような仮面がありそこが弱点となっている。
ゲーム中は雑魚敵としてワラワラ湧いてくる。
 
尸魂界
死神によって導かれた善良な魂魄が集まる場所。
中央にある
瀞霊廷
には死神と生前は高貴な身分だった魂魄が暮らし、それを取り囲むように位置する
流魂街
に一般の魂魄が生活をしている。
 
護廷十三隊
瀞霊廷を守ることを任務に置いた死神で組織される、十三からなる機動部隊。
五番隊隊長の藍染惣右介が三番隊の市丸ギン、九番隊の東仙要を引き連れて謀反を行っている。
本シナリオでは現世の空座町に侵攻してきた藍染たちと部下の破面を隊長・副隊長が出迎える形で決戦となっている。
 
虚圏
虚のみが生息する異界。常に夜で殺伐とした砂漠だけが続く。
藍染たちはここで築いた建物を拠点にしながら、兵力の拡大を図っていた。また井上織姫もここに囚われている。
 
破面
藍染が編み出した特殊な技法で、虚の仮面を剥ぎ取り強化されたもの。
姿や能力は様々、死神と同様斬魄刀のようなものを持ち歩いているが、これは彼らの能力を結晶化したようなものであり、
帰刃
することで別の形態に変化して強くなる。
藍染が作り上げた破面のうち、現状で殺傷能力が最も高い10人を
十刃
と呼んで直属の部下として連れ従えている。
十刃自身も、十刃以外であれば破面の部下を
従属官
として何人か選んで連れて行くことができる。本作にはあまり関係がないが、過去に十刃だったが強さで後釜に追い抜かれてしまった者を
十刃落ち
と呼ぶ。
 
仮面の軍勢
藍染の実験により、虚の力を植え付けられてしまった死神たち。かつては護廷十三隊に所属していた。
ゲーム中には直接登場しないが、一護の虚化の強化修業に立ち会ったのは彼らである。
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ゲームモード
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ストーリー
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概要で述べたストーリーをダイジェスト気味に体験できるモード。全12ステージであり、操作キャラはその都度変化する。
 
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ミッション
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ストーリーや設定のほとんどを無視して、ひたすら迫りくる敵やボスと戦うモード。霊圧ゲージが回復しない、サドンデスなどの縛リプレイを要求するものもあり内容は様々。コンプリートにはかなりの時間を要する。
 
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レベルアップ
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獲得した経験値で基礎能力は自動に強化されるが、ここのオプションで経験値を振り分けてキャラの能力値を調整しながら鍛えたり、キャラ固有のスキルをつけることが可能。
 
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ソウルアタック
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ネットで通信し、制限時間で敵の討伐数や獲得経験値数を競うもの、ステージ内の敵を全滅できたタイムを競うモード。
 
    
    
        | + | 操作 | 
操作
 
基本(一部省略)
□△○で攻撃、R1or方向キーで注目、攻撃の挙動や性能はキャラごとにかなり異なる。
×を押すことで2段までのジャンプ及び吹き飛ばされた時の空中受け身が可能。
R2を長押しすることでダッシュ移動する。ダッシュ移動中にぶつかった障害物は破壊できる。
移動速度はスティックの倒し方やボタンの押す強さで調節可能。
黄色いゲージが体力を示しており、0になるとやり直し。青いゲージは霊圧ゲージであり、基本的に弱攻撃以外の攻撃を使うと減少するが、放置しておくと基本は自然回復する。またステージ中に回復アイテムが落ちていることもある。
 
SLASH
ダメージを食らわず、途切れることなく敵や障害物に攻撃を当てつづけていると「SLASH」数が蓄積し、蓄積数に応じて獲得経験値に倍率が上乗せされるようになる。
敵が出ない移動中は、ダッシュしながらの障害物破壊でSLASHのチェイン数維持が可能になっている。
イグニッションモード
左のイグニッションゲージが満タンになった時にL2を押すと、霊圧ゲージが全回復したのちにキャラの攻撃力や耐久力が一定時間だけ強化される。
L2を押すことで必殺技を使う、もしくは制限時間が到達することで解除される。
 
敵を倒した数やイグニッション時の必殺技を使った回数の多さ、ステージをどれだけ早くクリアしたかに応じて、ステージの評価をS、A~Cまでつけてくれる。
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評価点
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キャラデザと基本的なモーション
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キャラクターとステージとなる街や虚界などの設置物・背景は、どの角度から眺めても漫画やアニメのキャラタッチが崩れないようなポリゴン再現がなされている。
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口の動き、被ダメージ蓄積によって負傷、衣服の損傷があるなどリアル。
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全キャラではないのだが、使用する技性能から挙動までアニメに対して引けを取らない再現度のキャラがいる。
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全編フルボイスであり、3Dのキャラクターがアニメのシーンを再現してくれる例もある。
 
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無双ゲーとして
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大勢の敵が次々と押し寄せてくるので無双アクションとしての楽しみ方は十分に可能。特に、ミッションのステージ11は場所を移すことなく100人抜きするという内容なので非常に戦闘のテンポが良い。
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ミッションモードでは原作では実現しなかった戦いも組むことができ、それに応じたキャラの掛け合いもしてくれる。
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(後述のレベリングに多少難はあるが)レベルやキャラ強化でごり押し攻略を可能としながらも、多少はプレイヤーにアクションの腕を要求してくる内容でもある。
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アクションゲーに慣れない人にとってはハードルになるかもしれないが、使用できるキャラの性能が上手に差別化されている。
 
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原作特有のグロ描写が全年齢対象に応じて極力抑えられているので、その点ではBLEACHを知らない人でも足を踏み入れやすいかもしれない。
 
賛否両論点
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イグニッションモード
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原作には始解・卍解や刀剣解放といった、いわゆるフォームチェンジ&強化できる設定があるのだが、短時間で操作キャラを大幅強化+必殺技の使用が可能になるイグニッションモードとあまり噛み合えず、最初から卍解したり刀剣解放しているキャラや不自然な必殺技を持ったキャラが多い。
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卍解はともかく破面の帰刃は作中で意図的に解除できる描写がなく、破面は基本的に最初から解放後の姿でプレイすることに。帰刃を期待した層からは残念がられるだろう。
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逆に本システムは、原作中でも一時的な攻撃にしか卍解を使えない砕蜂や、好きなタイミングで卍解して不意打ちしている市丸ギンとは演出的にこの上ない相性だったりする。
 
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黒崎一護の使い回し
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「通常の卍解状態」「完全虚化」「無間での修業後」の3ver.が事実上の別キャラ枠で使い分けることになる。
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この3つの状態はもちろん自由に行き来できる状態ではないので、後でも触れるソウルイグニッションでまとめることは不可能。また作中で披露した能力も全くもって異なりないと逆に違和感もあるので、難しいところではある。
 
問題点
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ステージごとの難易度差・レベリング
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ひとつ前のステージとの難易度の落差がかなり激しい例が存在する。
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キャラはいつでも戦闘経験値で強化できるので詰むことはないが、最高難易度ステージクリアのためにはこうした単調な稼ぎプレイを比較的長時間行う必要があったりする。
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無双ゲーとしての魅力は確かにあるのだが、敵がちょこまかと動いて中々近づいてこないことも多く、遠距離攻撃が苦手なキャラだと戦いが長期化しやすい。
 
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トロフィーについて
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トロフィーのランクと獲得難易度(及びかかる時間)が一致しておらず、中には非常に面倒なものもあるのでコンプを狙う人には本ゲームは難関。
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ここまでくると蛇足かもしれないが、トロフィーのタイトルは作中のセリフからの引用。これが解放条件に反映されているものも一部あるが大半は無関係。また発話者がシナリオ範囲外だったり、登場していなかったり、セリフそのものがマイナーだったりと出所がわかりにくい。
 
 
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キャラとイベントのカット
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井上織姫の奪還を目的として黒崎一護がウルキオラと戦っているにもかかわらず、作中には彼女の名前しか登場しない。彼女は非戦闘員であるにしてもイベント用のポリゴンモデルがあってもよかったのではないか。また、戦いに同行しているはずの茶渡泰虎も戦闘中のログでのみ登場。
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原作でのキャラ同士の掛け合いもとりわけ名シーンでもない限り、戦闘中のログ会話として済まされるケースが多い。
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物語の根幹にかかわらないとはいえ、仮面の軍勢や副隊長・十刃の従属官クラスはおろかそれなりに本章の重役であったはずの東仙要が登場しないので一部の名シーンが大幅カットされている。そのため空座町での戦いがとてつもなく殺伐としたものに。
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四楓院夜一は破面特攻武器を身に着けた状態で登場するが、浦原喜助は登場しない。
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さすがに登場しないキャラの大半にはプレイアブルにしてしまうとパワーバランスがおかしくなる、挙動が独特すぎるといった問題点はあるのだが、井上同様、イベント専用のポリゴンモデルぐらいは作ってくれてもよかったのではないか。
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浦原は参戦できる条件をそれなりに見たしてはいるので、今回はただただ残念ではある。
 
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本当に重要なところだけはカットされずに残っているので、原作を知らなくても超展開に思える個所は少ないのが救い。またカットされたキャラの殆どは原作では基本的に容赦なく藍染の噛ませ犬にされているので、いたらいたでゲームのテンポの悪化につながっていたかもしれない。
 
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技や能力の再現度
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画像処理自体はきれいなのだが、朽木白哉の千本桜や朽木ルキアの袖白雪といった、RPGで言うところの魔法じみた攻撃方法のエフェクトが原作のイメージとだいぶ異なる。
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イグニッションモード終了間際に簡単なコマンドを入力することで、キャラ固有の必殺技が打てるのだが、原作を知っている層が期待した技でなかったり再現度が微妙だったりする。
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ウルキオラとハリベルの挙動は、あれだけ猛威を示したアニメとは異なり妙にもっさりとしている。
 
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BLEACHを知らない層への配慮が足りない
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漫画原作とするゲームの宿命ではあるが、本作の設定は複雑なので途中から漫画を読んだりアニメを見始めた時と同様、このゲームも予備知識なしでプレイするとお話についていけない。
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用語説明のコーナーは最低限欲しかったという意見がある。
 
総評
システム・雰囲気ともにどこか残念な作品。
『BLEACH』独特のテンポをアクションゲーとして取り込んでいるので、設定の齟齬や再現度がかなり犠牲になってはいるが、雰囲気の再現に関しては一概に悪いとは言い切れず、努力が十分に認められる面も一部ある。
突き詰めたプレイをする際には努力が必要だが、軽い気持ちでプレイするなら無双ゲーとしての価値もある。
最終更新:2024年07月07日 14:14