東京トワイライトバスターズ ~禁断の生贄帝都地獄変~
【とうきょうとわいらいとばすたーず きんだんのいけにえていとじごくへん】
ジャンル
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大正怪奇冒険譚
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対応機種
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ニンテンドーDS
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発売・開発元
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スターフィッシュ・エスディ
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発売日
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2010年10月14日
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定価
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4,800円(税別)
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セーブデータ
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2個
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レーティング
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CERO:C (15歳以上対象)
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判定
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なし
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ポイント
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リアルタイムの制限時間内に探索せよ
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概要
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1995年にPC-9800シリーズ向けに発売されたウルフチーム(日本テレネット)の『東京トワイライトバスターズ』のDS移植作品。
ストーリー
相次グ謎ノ失踪 今年五人目の被害者
- 大正一二年八月一日
今や、並みいる欧米列強にも劣らぬ大国となった我が「大日本帝国」。しかし、その象徴である帝都「東京」で奇怪な失踪事件が相次いでいる。
その被害者の一人が、帝国大学教授であり、考古学者の第一人者「草薙 琢磨」氏である。
英国留学中のご子息「草薙 祥」君も急遽帰国されたが、その行方は一向に知れず、帝都民は恐怖と不安の中で生活せざるを得ない状態が続いている。
(公式HPより引用。)
システム
ADVパートを進めることでイベントが発生し、章によってはリアルタイムパートに移行する。
ADVパート
MAP移動を伴うコマンド選択式ADVである。
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時間が経過する
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移動や会話により規定時間が経過する。移動距離によって経過時間は増減する。
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パーティーを組む
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パーティーは主人公とヒロインを含む4人まで。2章以降は残り2枠へ力を貸してくれるという人達の中から選ぶこととなる。
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イベント発生時にパーティーを組んでいた仲間でそのままリアルタイムパートに突入するため、ADVパート中はまずパーティーを組むことが必要。
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章によっては特定のメンバーで挑むことを強制されることもある。
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ADVパートで特定の人物をパーティーに入れていないと発生しないイベントがある。なお、その章ではその後にパーティーを組み直せる。
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イベント発生
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発生したイベントによりそのイベントに紐付くリアルタイムパートへ移行する。
このため、2~4章の順序はプレーヤー次第で異なることとなる。
リアルタイムパート
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パラメーター
いずれも時間経過で自然回復する。理由は説明されないが、回復量の多い地点が存在する。ただし、回復量の多いポイントが安全地帯とは限らず、敵がやって来る地点であることもある。
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HP
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戦闘などで攻撃を受けると減る。0になると行動不能となる。
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精神力
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探索などを行うと減る。暗い所を歩いても減る。精神への攻撃を行う敵もいる。
0になると錯乱し、一定時間錯乱すると治るが、他のキャラが正気のラッパを持っていれば治せる。
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移動
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タッチした所へ移動する。キャラごとに移動速度が異なるため、移動速度の早いキャラをリーダーにすると素早く移動できる。
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探索
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一度「調べる」コマンドを行った場所でアイテムを探すコマンド。
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探索力の高いキャラほど色々なアイテムを早く見つける。
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暗い場所での探索は精神力が減りやすいため、ろうそくやカンテラなどを灯した方が良いが、それらのアイテムも探索で見つける必要がある。また、ろうそくはゲーム内時間で1時間、カンテラは2時間で消える。
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見つけたアイテムによってはADVパートの東大の考古学研究室で一度鑑定してもらわないと使用できないものがある。
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精神の回復薬と毒薬のCGは見分けがつかないため鑑定してもらった方が良い。
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リアルタイムパート終了後に持ち越したアイテムは自宅の倉庫に保管できる。
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戦闘
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敵とエンカウントすると戦闘となる。
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敵が現れる場所と数は決まっているため、規定数以上の戦闘は発生しない。
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和製RPGのようなコマンド選択式の戦闘である。
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経験値はないため、レベル上げの必要もない。
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弱点となるアイテムを使うだけで勝てる敵もいる。
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武器は装備という概念はなく「アイテムを使う」で使う。
武器もリアルタイム中に探索で入手しておかなければならない。ただし、某警部だけは最初から拳銃を持っている。また、既に幾つかのリアルタイムパートをクリアしている場合、持ち越したアイテムを使用出来る。
武器は使用回数が決まっており、使い切るとなくなる。ただし、銃火器類は銃弾を詰めれば再利用できる。
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中盤以降はADVパートでも戦闘があるため武器や回復アイテムをストックしておくに越したことはない。
評価点
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異様な世界観をシナリオやCG、BGMでなんとか支えきっている
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ゲーム開始直後は違和感があるものの、ゲームを進めるに従って徐々にその世界観に染まってしまう。
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「新聞」は当時の実際の記事を載せているようで、そこに混じってゲーム内の事件が載るという凝りよう。
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ボリュームは十分
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原作はフロッピーディスク10枚組みという超大作であることと、リアルタイムパートの仕様により、総プレイ時間はDSのADVとしてはかなり長い部類となる。
賛否両論点
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おどろおどろしい世界観
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グロ表現もあり、倫理観も現在とは異なっているため敵が人を殺すことに躊躇なく、死体がゴロゴロしているなど、人によって不快に感じる要素は多々ある。
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リアルタイムパートはやや難しい
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アイテムの探索に時間が掛かるため、最終的には必要なアイテムだけを見極めて入手しなければ制限時間内に収まらない。このための試行錯誤で幾度も同じ章をやり直すことになる。
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難易度曲線的にもやや歪で、
チュートリアル的な「序章」を抜けた次の「第一話」が全編でも屈指の高難易度
だったりする。攻略情報を見ながらのプレイ以外では、おそらく何度もゲームオーバーになるだろうし、必要なものがなかなか見つからずにイライラすること請け合いである。全編でも3本の指に入るほど長いシナリオなのも拍車をかけている。
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最終章クリアのプレイ時間(ゲーム内の時間)が8時間未満ならGood End, それ以上ではNormal Endとなるため、このことからもリアルタイムパートの最適化は推奨される。
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罠やバッドイベントも多く、中にはひっかかると非常に不利になったり、問答無用でゲームオーバーになるものも存在するため、この点からも何度もリトライしないとクリアすらおぼつかないだろう。
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リアルタイムパート中の上画面のマップ表示が勝手に回転する。
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リアルタイムパート中の下画面は『theresia(テレジア)』のように1枚絵で表現され、かつ勝手に方向が変わる。
『theresia』の場合はマップは回転せず、さらにどっちの方向を向いているかが丁寧に表現されていたが、本作はマップまで回転するため方向感感覚が狂いやすい。
問題点
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一部の戦闘が難しい
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主人公一人で戦闘となることがあるのだが、主人公は銃や火炎瓶、手榴弾、刀すら扱えないため攻撃力が足りず、かなり苦戦することとなる。
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ADVパートの移動が難しい
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地名が当時のものとなっているため「麹町區」「本所區」など現存しない区分を目印に移動先を探さなければならない。
特に新吉原は「浅草區」のアイコンから直接移動できないこともあり、東京の地理に詳しくないと迷うだろう。
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背景CGの使い回しが多い
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警視庁殺人課と新聞社の編集部のCGが同じであるなど、唖然とするレベルの使い回しまである。
総評
夜な夜な少女を誘拐するという怪人と正義感の強い少年の対決。シナリオは大正怪奇冒険譚の王道、と思わせておいて中盤からは本格的に伝奇化しての超展開。
ADVパートとリアルタイムパートの難易度の差が激しく、ADVパートはほとんど推理が不要であるのに対し、リアルタイムパートのクリアには手順を最適化する必要があり、それなりの回数のリトライが不可避となっている。
想像の斜め上を行くシナリオ展開と原作から20年間模倣されなかったゲームシステムによる、やや取っつきにくい作品ではある。
余談
原作をリリースしていた日本テレネットが倒産した翌年に本作のリリースが発表されたことから、スターフィッシュ・エスディが日本テレネット作品の版権を入手したのではないかという憶測が強まったが、直後に実際にはサン電子が日本テレネット作品の版権を取得していたことが公表された。
最終更新:2023年03月28日 16:27