原作はフリーゲームですが、本Wikiの執筆ルール上、本項ではデジカから発売されたSteamリメイク版についてのみ記載しています。
OneShot
【わんしょっと】
| ジャンル | RPG |   | 
| 対応機種 | Windows Vista以降 | 
| 発売元 | デジカ | 
| 開発元 | Little Cat Feet | 
| 発売日 | 2016年12月9日 | 
| 定価 | 通常版 | 980円 | 
| サントラ付属 | 1,868円 | 
| プレイ人数 | 1人 | 
| 判定 | 良作 | 
| ポイント | 主人公との第四の壁を超えたコミュニケーション 他に類を見ない演出や謎解き
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概要
mathewとNightMarginによって作られた2DRPG式のアドベンチャー。
元は2014年に公開された『RPGツクール2003』製のフリーゲーム(英語)であったが、海外のインディーゲームコンテストで受賞したことをきっかけに『RPGツクールXP』でリメイクされ、デジカからSteamでリリースされた。
2017年9月7日より正式に日本語対応となった。
以下、参考として比較する場合はRPGツクール2003版を「原作」、本項で解説するRPGツクールXP版を「リメイク版」と記載する。
プレイヤーは主人公のニコを導き、太陽が失われ崩壊しかけた世界を救う旅に出る。
ゲーム内容
ニコとの第四の壁を超えたコミュニケーション
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作中の舞台でニコは「救世主」、プレイヤーは「神様」とされており、ニコだけが神様の声を聞けるという設定。
 このため、ニコは度々プレイヤーを神様と認識して語りかけてくる。
一癖あるが愛嬌のあるキャラクター達
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主人公のニコは猫のような大きい目で猫耳のフードを被った子供。愛らしい仕草や会話でこちらを和ませてくれる。性別は明言されていない。
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プログラムに従い住民の居ない住居区を守り続けるロボットや、プレイする度にサイコロの目に沿って性格が変わるジョージ(女性)など、様々な住民が登場する。
 
アプリケーション/ゲームソフトの枠を超えた演出や謎解き
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謎解きの答えがPCに生成されたファイルにあったり、ゲームウィンドウを動かす必要があったりするなど、まずもってゲーム機用のソフトでは体験し得ないマニアックなギミックたちがプレイヤーを迎える。
リメイク版ではいつでも中断可能
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基本的に執拗なまでのオートセーブが存在する本作において、原作ではゲーム中断もできなかったのだが、
 リメイク版はベッドでニコを寝かせる、またはウィンドウを閉じるなどでゲーム再開用のデータ保存がされるようになった。
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終了手段によって、ちょっとしたイベントが発生する。また、原作のようにノーセーブぶっ通しクリアした場合の実績も存在する。
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タスクマネージャーなどによるタスクキルでは保存されない。
 
評価点
魅力的なキャラクターや世界観
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ニコはもちろん、他のキャラクター達も魅力的に描かれており、終盤や裏ルートの展開に活かされている。
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キャラクターを操るのではなく、他ならぬプレイヤー自身がPC内に隠された答えを探すため、プレイ時間は短いながらもニコと二人で冒険をしている感覚が得られる。
 
良質な翻訳
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多少の違いはあれど、ほとんど違和感の無い翻訳がされている。
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ニコの性別を明らかにしていないこともあり、日本語版でのニコの一人称は「ミー」となっている。
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元の英語版でのニコは語彙の少ない幼い口調で話すが、日本語版だと語彙が結構はっきりした口調になっているため、やや大人びたと感じるかもしれない。
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英語版における言葉遊びを再現しきれなかった箇所もいくつかあるため、気になる場合は英語版と比べて見るのもいいだろう
 
賛否両論点
基本的に謎解きで進めていくのみ
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一般的なRPGにあるような戦闘は一切存在せず、あちこちにあるアイテムを見つけ、場面に応じて使用もしくは組み合わせて進んでいくことになる。
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アイテムやそれを使える場所を求めてマップを隅々まで探すことを要求されることが多いため、進行に手間取ることも多い。
 
一部謎解きがわかりにくい
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PC媒体に依存するものなどこれまでにない謎解きが多いため、プレイヤーの柔軟な発想が求められる。
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一応フルスクリーンにはできるものの、ウィンドウモードでのプレイが推奨されており、ゲーム中でも警告される。また、他のソフトを一緒に起動しているなどでデスクトップが隠れていたり、PC内のファイルが乱雑になっているプレイヤーは謎解きの障害になる可能性がある。
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マップ内のみで完結する謎解きに限ってもヒントが少なくやや難しいものが多いため、プレイヤーによっては詰まりやすい要素となっている。
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時計のある扉へ行こうと指示されるのだが、これは発売日から100日後までカウントダウンを行っていたイベントと連動したものであった。日本語版が出た頃には既にイベントが終わっていたため、時計の存在に気づきにくい。
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一応近くに時計頭のキャラクターがいるため、それでわからなくも無い。
 
 
「一度きり(OneShot)」であること
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この影響でレビューがことごとくネタバレになる可能性が高く、プレイ前の情報遮断が推奨される作品の一つとなっている。
    
    
        | + | ネタバレ注意 | 
エンディングを迎えた後、ゲームを普通に起動してもそこから一切進めなくなり、そのままでは再度プレイすることができない。これは原作通りなのだが、リメイク版では2017年3月20日の「Solstice」アップデート以降、ここであることをするともう一度遊べるようになり、裏ルートへの道が拓ける。
 
当時ゲーム内でもアップデートまでのカウントダウンを行っていただけあり、裏ルートで初めて明かされる真相は本作の真髄と言っても過言ではない。
しかし、この際のギミックはヒントがほぼ皆無であり、その手順も多少厄介なものであるため、裏ルートの存在そのものに気付かない人も少なくない。一応、表ルートをクリアする際に使ったあるものを再利用することで入るための手がかりが明らかになるため、全くのノーヒントというわけではない。
裏ルートはあくまでリメイク版から追加された隠し要素であり、本来はタイトル通り「一度きり」で終了することを考えると見付けづらいのも納得と言える。
通常は原作同様に表ルートの一度きりで終わってしまうが、上記の裏ルートの発見後、表ルートは多少の違いはあれど何度でも繰り返しプレイすることができるようになる。しかし、裏ルートはそのストーリー展開上、一度見てしまうとセーブデータを消さない限り二度と見られない、本当の「一度きり」となっている。
 
裏ルート自体の内容も考慮すると、プレイヤーの感情的にセーブデータを消してもう一度プレイすることが躊躇われるため、何らかの形でのリプレイの実装を望む声は少なくない。
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問題点
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一部環境での不具合
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Win7でプレイするとメッセージの端が切れてしまうことがある。
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ウィンドウの色とデザインからメッセージボックスのフォントをMS UI Gothicに変更することで直る。
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この不具合はストアページにも対策が記載されているが、修正はされていない。
 
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滅多に起こらないが特定の環境で強制終了したり、進行不可能になったりする不具合があるらしい。
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ゲームの特性上、バグか仕様か区別が付きにくいため発生した場合の対処に困る。
 
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ベッド(中断セーブ)の仕様
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リメイク版では中断セーブが実装されたものの、ベッドを使ったセーブについては使用タイミングに制約がある。
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使用できるのはシナリオの進行状況に応じた一定のタイミングのみであり、それ以外のタイミングでベッドに入ろうとしてもニコに「もう寝たくない」と拒否されてしまうためセーブできない。そのためベッドは所謂チェックポイント的な扱いとなっている。
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通しでクリアした実績を得るためには、ウィンドウ閉じによる中断セーブは使えないため、ゲームを起動してから次のセーブポイントが使用可能になるまで長時間のプレイを強いられる事になる。そのためプレイするのは時間に余裕のある時が望ましい。
 
 
総評
原作がパソコンゲームであることを活かした演出やギミックは、意外と単純な仕組みで構築されたものであることもさることながら、発想の転換と言う観点で見ても新たなプレイヤーに対しての体験を提供。そうした意味でも唯一無二と言えるほどの特筆に値する内容は、是非とも一度は手に取るべきものと言える。
ただしゲームのタイトル通り
というメタ構造が徹底されていることだけは、人によっては抵抗感を覚えるかもしれない。
だからこそ、本作は人生の一部分として鮮烈に刻まれるような経験をもたらすと言えるだろう。プレイヤー(神様)の健闘を祈る。
原作について
原作は『RPGツクール2003』で制作されたフリーゲームであるため、当wikiの規定に基づきこちらで内容を触れるのみとする。
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原作のRPGツクール2003版は、ストーリー展開自体は同様だが、現行のリメイク版とは異なる点がいくつかある。
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いくつかの謎解きが異なっており、マップやイベントもリメイク版よりやや少ない。
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原作ではダッシュするアイテムとしてブーツがあったが、リメイク版では不要で最初からダッシュ可能。
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原作ではいくつかのアイテムを装備して使い分ける必要があったが、リメイク版では廃止され、装備系のアイテムは場面に応じてオート使用されるようになった。
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原作では途中でゲームを中断した際のペナルティとなるバッドエンドが存在したが、リメイク版では廃止されている。
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リメイク版では中断機能の実装に伴い「ゲームを途中で終了する行為」の意味も変更されたため、ユーザビリティ面からも妥当といえるだろう。ただし、中断の仕方によっては実績取得に影響するため要注意。
 
 
    
    
        | + | 廃止された原作バッドエンド・ネタバレ注意 | 
ゲーム中にウィンドウを閉じようとすると現れる「If you quit now, Niko will die. Continue? (今終了するとニコが死にます。終了しますか?)」
の警告メッセージに同意して終了した後、ゲームを再起動するとタイトル画面の電球は壊れ真っ暗になり、あるのはニコの帽子とスカーフだけに。BGMもただならぬ不気味な物になりゲームを始めても部屋には誰もいない。
極めつけにゲームを終了しようとすると、メッセージウィンドウで
 
「You killed Niko.」
 ( お 前 が ニ コ を 殺 し た 。 )
 
と表示される。ニコがプレイヤーの手で死に、世界も滅びるというあまりにも陰惨かつ唐突な終わりを迎える。
 
オートセーブ機能が追加されたリメイク版の場合、ゲームを再起動した直後、世界が一瞬真っ暗になりプレイヤーとも連絡がつかなくなったとニコが心配そうに報告する演出に変更されている。勿論何度やろうがどのタイミングでやろうがニコが死んでしまう事はないのでご安心を。
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余談
その後
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長らくパソコンのインターフェースに依存したゲーム仕様的に、コンシューマ機への移植が不可能とされており、仮に移植するとなった場合「一から作り直さなければならない」として、開発サイドから当初は移植を検討していないとアナウンスされていた。
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ところがSteam版の発売以降、コンシューマ機、特にSwitchへの移植を熱望する声が世界中で殺到することとなり、移植をする運びへとなった。結果、日本語版配信5周年記念も兼ねて2022年9月22日に『OneShot: World Machine Edition』として「Nintendo Switch」「Play Station4」「Xbox One」向けに移植される運びとなった。総じて、パソコンのデスクトップを模した仮想OSが展開されるゲーム内容となっている。
 
その他
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2017/9/29から10/30まで日本語圏限定のイラストコンテストが開催されていた
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入賞者にはサイン入りポスターやステッカーがプレゼントされた
 
OneShot: World Machine Edition
【わんしょっと わーるど ましん えでぃしょん】
| ジャンル | アドベンチャー |   | 
| 対応機種 | Windows(Steam) Mac(Steam)
 Linux(Steam)
 Nintendo Switch
 PlayStation 4
 Xbox One
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| 発売元 | KOMODO(Steam) DANGEN Entertainment (家庭用版)
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| 開発元 | Little Cat Feet | 
| 発売日 | 2022年9月22日(家庭用版) 2024年10月1日(Steam)
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| 定価 | 998円(Steam) 1,650円(家庭用版)
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| プレイ人数 | 1人 | 
| 判定 | 良作 | 
| ポイント | PCでしかできない演出をCS機で再現 壁紙やサウンドテスト等の充実
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概要(World Machine Edition)
デスクトップPCのインターフェイスを最大限に活かした演出が特徴であるOneShotの、まさかのコンシューマー機への移植が実現。
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ゲームを起動すると「The World Machine」という仮想インターフェイスが起動し、PCのデスクトップを模した画面の中で『OneShot』のゲームがウィンドウ表示される仕様となっている。
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(Switch版では)各種ボタンと左スティックでゲーム内のニコを操作しつつ、右スティックでデスクトップ上のポインタを操作しZRボタンでクリックやドラッグが行える。
 
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新規コンテンツとして、『OneShot』の画面上に特定のアイコンが出現することがあり、ニコには触れることができないが、ポインタを合わせてクリックすることで取得できる。これらはゲーム内の『フレンド』や『壁紙』フォルダ内に格納され、ニコがゲーム内で知り合った各種キャラクターのプロフィールを閲覧したり、デスクトップ背景を変更したりすることが可能である。
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これと別に『ギャラリー』や『ミュージックボックス』の項目もあり、こちらもニコの冒険の進行に応じてコンテンツが自動的に追加されていく。
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『バッジ』には原作リメイク版に準じた実績に加え、上記のフレンドや壁紙などを全部集める実績が追加されている。どのようにプレイしても達成が不可能になることはないのでご安心を。
 
評価点(World Machine Edition)
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PC以外の環境でプレイ可能に
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最大の評価点は、やはり「PCでしか実現できない」と長年言われていた本作をコンシューマー機に落とし込むことができたという事実そのものであろう。
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スティック2本でニコとマウスカーソルを個別に操作することができ、直感的なプレイができる。
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Switch版なら携帯機としてもプレイ可能で、タッチスクリーン操作もできる。
 
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充実したギャラリー要素
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追加要素である『壁紙』は秀逸なイラストが揃っており、入手すればいつでも閲覧可能となる。ゲームプレイ中でも壁紙は自由に変更可能。
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『フレンド』では原作のストーリー中では語られなかったキャラクターの背景が一部追加で確認可能。キャラの全身像のイラストに加え、アイコンやドット立ち絵も閲覧できる。
 
賛否両論点(World Machine Edition)
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「仮想インターフェイスであること」の意味合い
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詳細はネタバレなので伏せるが、「デスクトップを模したインターフェイスをコンシューマー機のコントローラーで操作する」という一つのレイヤーが存在していることは、本作のゲーム体験に少なからず影響を及ぼす可能性がある。
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PC版(Steam)がプレイできる環境があるなら、できれば先にそちらでプレイして欲しい、と勧めているユーザーも散見される。
 
 
問題点(World Machine Edition)
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コンシューマー機のゲームとしてはボリューム不足
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『OneShot』部分の内容は2016年の原作リメイク版とほとんど同一であり、ストーリー面の追加要素は特にない。
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元がフリーゲームであることも考えると、CS機で遊べるアドベンチャーゲームとしては総プレイ時間が少々短く感じられるかもしれない。
 
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あるキャラクターの『フレンド』項目について
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上記の原作リメイク版の項目でも触れられているジョージというキャラはプレイするたびに顔のサイコロの目によって性格が変化するのだが、実は貰える『フレンド』のプロフィールも6種類存在しており、1周につき1種類しか入手できない。
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困ったことにジョージが登場するのはストーリーのかなり終盤であり、フレンド欄をコンプリートしようとするとジョージのためだけにストーリーを何周もプレイさせられる。しかも出目は完全ランダムなので被りも発生する。
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幸い、フレンドをコンプリートする実績の入手だけならジョージの登録は1種類だけで済むので、ジョージ全種を揃えるのは自己満足の域に収まることではある。
 
 
総評(World Machine Edition)
PCのインターフェイスをフルに活用したアドベンチャーゲームがコンシューマー機で再現された。
ゲームをコンシューマー機でしかプレイしないユーザーであっても、名作を自身の環境で追体験できる。
また新規に追加されたギャラリー機能も豪華であり、こちら目当てに入手するのも一考。
しかしながらあくまで「再現」であり、得られるゲーム体験はPCでプレイするのとは僅かながら明確に異なるものとなるだろう。
PCでプレイ可能な環境があるのなら、1周目はそちらでプレイして欲しいという意見も聞かれる。
この点は「PCでしかプレイできない」と言われた原作のユニークさ故か。
余談(World Machine Edition)
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2024年10月1日、この『OneShot: World Machine Edition』がSteamでもリリースされ、PC環境の上に仮想インターフェイスを立ち上げてプレイできるようになった。もちろん原作リメイク版も引き続き発売中。
最終更新:2025年09月28日 11:20