英雄伝説 閃の軌跡II

【えいゆうでんせつ せんのきせきつー】

ジャンル ストーリーRPG


対応機種 プレイステーション3
プレイステーション・ヴィータ
発売・開発元 日本ファルコム
発売日 【PS3/PSV】2014年9月25日
【PS4】2018年4月26日
定価(税込) 【PS3/PSV】
通常版:8,190円/7,140円
限定ドラマCD同梱版:9,240円/8,190円
ダウンロード版:6,800円/6,200円
【PS4】4,298円
レーティング CERO:B(12才以上対象)
判定 なし
ポイント 粗の目立ったシステムを改善
やりこみ要素が豊富になった
メインシナリオの構成に賛否あり
ドラゴンスレイヤー&英雄伝説シリーズ


概要

前作『閃の軌跡』の続編であり、軌跡シリーズ10周年作品。大きく取りざたされたのが、前作では一回限りのものだった騎神戦。
ビジュアルやシステム等に大きな変化がないのはこれまでのシリーズと同様。
ただし、いくつか変更点や改善点も見られる。
前作を未プレイの人のためにメインシナリオや設定を復習できるプレストーリー機能がついている。前作のドラマCDの内容も含まれる。
また修正パッチ1.03をあてた状態でクリアすることで、絆イベントなどを鑑賞できるメモリーモードが追加される。

追加・変更点

  • 騎神戦
    • 各章の終盤で挿入される戦闘システム。リィンが『灰の騎神ヴァリマール』を呼び寄せて戦うロボバトル。
      操作キャラは自機であるヴァリマールとパートナー。パートナーは特有のスキル、EPを回復する『チャージ』、HPとCPを回復させる『神気』を使ってサポートする。パートナーは戦闘中、自由に交代可能。初期状態では最も絆の強いキャラクターが選ばれる。
      崩しポイントが部位毎に決まっているのは前作と同じ。今回は連撃ポイントをためて消費することで、協力技という強力な技が使えるようになった。
      また、通常戦でも場所が許されるなら一回だけヴァリマールを召喚することも可能(要シナリオ攻略)。
  • 戦闘関連
    • 「崩し」による追撃全般をスキップ出来るようになった。
    • 戦闘による行動で増えるゲージを消費して、リンクを組んだキャラと3ターンだけ自由に行動できる「オーバーライズ」が追加。碧の軌跡でいうところの「バースト」*1である。
      リィン以外のキャラがオーバーライズを発動させるには、各地に点在する「試練の箱」の中のモンスターを対応キャラだけで倒す必要がある。
    • 崩しが発生した際の効果音が変更された。また、戦闘やその他アクション関係のボイスは多数再録となった。
    • リンクレベルの上限が5から7に増えたことで、その効果に有用なものが増えた。
      それに伴い、試練の箱や夢幻回廊(後述)などリィン以外の仲間同士のリンク経験値を稼ぐ手段も増えている。
    • 大型魔獣がレベル差関係なく逃げなくなった。恐らくはアクティブボイスに合わせた結果と思われる。
    • ロストアーツの実装。幻獣を倒すことで得られるクオーツをセットして使う、強力無比なアーツ。味方の特定属性に対応したものだけセット可能。
      どれもゲームバランスを崩すほどの効果があるが、使えるのは一戦闘中一回のみ。またZERO ARTS*2でなければ、そのキャラの最大量のEPが必要になる。
      それ以外のアーツの威力も軒並み強化され、クラフト担当とアーツ担当で明確に差別化出来るようになった。
      全体的に敵の回避率が高くなっていることもあって、命中を強化するアクセサリやクオーツが揃うまではアーツの有用性が増している。
    • 複数のモンスターが密着しているときにエンカウントすると、連続戦闘と見なされ二回バトルが続くチェインバトルが復活。
    • クオーツの属性が一部変更になった(逆鱗が風→炎 など)。
    • パーティを組むと、自動的にキャラ同士でリンクを結ぶようになった。
    • サラやフィーは遠距離からカウンターできるようになった。
  • ミニゲーム・ミニシステム
    • スノーボード。ユミルで試遊可。時間内にノルマのフラッグを取得することでアイテムがもらえる。
    • ブレードII。前作にもあったブレードの発展形。新たにフォースカードやブラストカードが追加され、遊びの幅が広がった。作中でもそのことが強調されている。
    • 導力バイク。街道などならいつでも乗れる上、カラーリングなどを変更可能。碧の軌跡の車と似てるが、瞬間移動は出来ない。
    • 馬。ノルドでの限定的な乗り物だったが、条件を満たすことで使用可能。ただしバイクよりも癖が強い。キャラの掛け声が聞けるという利点(?)はある。また乗馬ができないキャラはできるキャラとの相乗りになる。
    • 戦闘訓練。前作でも章の区切りにあった、人形兵器との実戦形式による模擬戦。クリアすると賞品がもらえる。
    • 高速巡洋艦カレイジャス。シナリオの約半分の期間であるが、舞台となる帝国東部で移動可能な地域に移動できる。また、トールズ士官学院の生徒たちを仲間にすることで各施設が使用可能になる(後述)。
  • 神気合一
    • シナリオでも大きな役割を持つ、リィンの『鬼の力』。100CPを消費するが使用後3ターン能力値が上昇し、各種クラフトが強化される。しかもロイドのバーニングハートのように、デメリットがない*3
  • 零の軌跡、碧の軌跡のキャラがプレイアブル化
    • 過去作のプレイアブルキャラクターであるロイドとリーシャが別視点で進行する外伝にて使用出来るようになった。3D化したことで、リーシャの特徴が惜しげも無く発揮されている。
      舞台も当然クロスベルなので、ダンジョン、戦闘BGMは碧の軌跡…ではなく零の軌跡のもの(ちなみにEVO版ではなくPSP版)が使われている。
  • モーションの作り直し
    • 全て作り直されただけあって、いくつか改善され、自然な動きになっている。
      特にフィールドアクションは連撃が実装されたためか、前作のような単純な繰り返し動作ではなくなっている。
    • HPが0になった時の演出も微妙に変わり、前作はやられモーション→停止→倒れモーションという流れだったが、本作はやられモーション→待機モーション→倒れモーションに変わった。
    • 例:リィンの「蒼焔ノ太刀」は髪や服が揺れるようになっている等。

評価点

  • 豊富な掛け合い
    • シナリオパートでは、第1部はVII組メンバー3名+協力者1名、第2部では1キャラが固定、他は任意なのだが、どのような構成でもちゃんと会話が成り立っているように進むため違和感がない。
      前作よりボイスパートも増量し、既存キャラにも新たに声がついたものも評価が高い。
      前作でも旧校舎探索など選んだキャラによって会話内容が変わる場面はあったが、ほとんどはボイス無しだったため、2周目以降で違った組み合わせを選んでみるのも面白い。
  • 憎めそうで憎めない敵キャラクター
    • 本作においては、シリーズお馴染みの『身喰らう蛇』と、何度か語られてきた『西風の旅団』が大きな壁となって立ちはだかる。ただの障害というわけではなく個々人の思惑も描かれ、中でも『身喰らう蛇』に属している執行者№1(つまり、シリーズ最強クラス)のマクバーンは多くの敵キャラクターが見せる非常識ぶりと反するキャラクター性から、プレイヤー間で人気を獲得した(自分の力の大きさを把握しており、なるべく人里に被害が出ないように配慮したり、問いかけには答えられる範囲で全部答えてくれるなど。とはいえヒートアップすると、それこそ作中の内戦を単独で終結せんばかりの非常識ぶりを見せる)。
  • やりこみ要素が豊富で、長く遊べる
    • カレイジャス搭乗生徒の確保。終盤まで利用できる高速巡洋艦カレイジャスに、各地に点在している士官学院生を招待することにより、施設を充実させることができる。
      シナリオ攻略をスムーズにするものから、施設としては必須といえるものまで多様。招待するまでのシナリオも十分楽しめる。
  • 後日譚シナリオに登場するダンジョン『夢幻回廊』
    • 出入りする度に構造が変化し、何度でも攻略可能な特殊ダンジョン。高レベルの敵・豪華な拾得アイテム*4・戦闘によるリンク経験値増加3倍と周回プレイを見据えた育成にもってこい。
      また、ver1.03で実装した新アイテムで、本来有り得ないキャラ同士の掛け合いも実現。5種で資金100万が必要だが。
      これにより、プレイヤーが使用できるキャラクターは『空3rd』を上回る23人となった。
      ただし、途中の区切りではVII組メンバーが4人必要なので、1回目攻略中の自由度はそれほど高くない。
  • NPCのシナリオ
    • 第2部に入ると1パートごとに行ける場所が増える上に、NPCのセリフもその都度更新されるためテキスト量は非常に豊富。
      前作同様に何気ないNPCにもしっかりとしたシナリオが用意されており、進捗のたびに確認する楽しさがある。
      士官学院生のカレイジャス搭乗のためのシナリオも、個性の強い生徒を意識したもので、なかなかに見応えもあって面白い。
    + ネタバレ注意
    • 特に大きな見所は、中盤発生するある都市の焼き討ち事件。襲撃イベント自体は過去作でも存在していたが、本作では襲撃に遭った後の町の住民の様子が生々しく描かれている。
      パーティメンバーの中には首謀者の親族もおり、彼の悲痛な胸中や、普段明るかった住民が恐怖に怯えるといった様子もあり、重厚さを感じさせるものとなっている。
  • 高クオリティの楽曲
    • 通常戦闘曲では異質と言える悲壮なメロディ*5の「Heated Mind」や、執行者戦の戦闘曲として今なお人気を誇る「Fateful confrontation」の流れを組んだイベント戦闘曲「SevereBlow」、ヴァリマール起動の際に流れる「Awakening」などを中心に、「軌跡シリーズ」ならではの安定した質の高さで好評を博している。
      OP曲は今作でクローズアップされているリィンとクロウの関係について歌ったもので、シナリオとの相乗効果で非常に人気が高い。
      また、ラストダンジョンも熱い曲になっていて、クライマックスを盛り上げるのに相応しい出来。
    • とある重要な局面や最終決戦において流れる戦闘曲「Blue Destination」は本作におけるテーマ曲のような扱いをされており、ピアノを中心とした悲壮的な曲調と、それと見事にマッチした使用シーンから本作のBGMの中でも特に評価が高い。
    • ただし、前作の新曲が多かったこともあり、本作のサントラディスクは2枚組と少な目で、使い回されている曲が結構ある。元が良好なのでそれほど問題になっていないが。
  • 絆イベント
    • 弊害が問題点に記載されているが、イベント自体の出来は良好。キャラクター各々の背景が丁寧に描写されており、様々な紆余曲折を経て成長したVII組の結束力がきちんと描かれている。
      それだけに、メインシナリオに絡むべき部分をこちらに分配してしまったのが非常に残念である。
  • アクティブボイスの仕様の変更
    • オプションモードで、アクティブボイス再生中でもボタンによる行動が可能になった。
  • UIの改善
    • 食材を購入する際、△ボタンで対応するレシピを参照できるようになった。
    • 絆ポイントが存在するキャラに「!」マークが出るようになり、ミニマップでも表示されるようになった(前作では移動画面のみの表示だった)。
    • 売買可能なNPCに「SHOP」アイコンが表示されるようになった。
    • 一度発見した釣りポイントにアイコンが表示されるようになった。
    • クオーツメニューにレア度別のフィルターが設けられ、お目当てのクオーツを探しやすくなった。
    • ボタン配置オプションが少しだけ増えた。
    • カレイジャス運用中は、パーティーメンバー変更が拠点に戻らなくても可能になった。
    • クリア後の引継ぎは前作では引き継ぐ項目がまとめられていたが、本作ではバラされ、引き継ぐ要素を細かく指定できるようになった。
  • フィールドアクションの強化
    • モーション一新に伴い、いくつか改善され、自然な動きになっている。また、連続でボタン入力することで連撃が可能。
    • マキアスなど範囲攻撃を持つキャラは一度のアクションで複数のオブジェクトを破壊できる。
    • フィーやサラはターゲットが遠距離だと銃撃するようになり大幅に使い勝手が向上。
    • 反面、踏み込む動作が追加されたキャラ、特にリィンは前作の感覚で扱おうとすると敵シンボルに接触しやすくなり、非常に危険である。

賛否両論点

  • 意外性のない展開と明かされない伏線
    • スケールそのものは過去作以上なのだが、前々作『碧の軌跡』である程度先の展開が(クロスベル視点で)明かされてしまっているため、言ってしまえば「予想通り」の展開で「意外な黒幕」も存在しない。一応今作で初めて明らかになる黒幕(の一人)はいるのだが。
      また、本作は大まかに言うと1部・2部・終章・外伝・後日譚に分かれているが、1部を仲間との合流と敵キャラの紹介に割いてしまっているため、結果的にお使いクエストが多くシナリオ展開が遅くなり気味である。
  • クオーツセット仕様の変更
    • クオーツをセットさせたVII組キャラを次のVII組合流イベントでパーティに加えないと、そのクオーツが自動で外れないようになり、しばらく対応したクオーツを使えない。長期離脱する協力キャラ(VII組以外のプレイアブルキャラ)の場合はしっかり外れる。
      ただ、これは前作での別班のクオーツの取り扱いに関した指摘を受けたことによる可能性もあるので、人によっては気にならないかもしれない。
  • メインビジュアル(パッケージ)
    • 担当絵師が前作と違う。別に本作に限ったことでなく、空の軌跡3rdや碧の軌跡でも同様であるが、何故か続編とは思えない絵柄の違い*6から、発表当初は多くの話題を呼んだ。しかも奥にいるアリサとミリアムの表情がほとんど同じ*7
      メインビジュアルが発表されるまでは、前作の絵師によるイメージビジュアルが何枚も発表されており、そちらをパッケージにして欲しかったという意見が多数である。(参考1参考2
      アリサ(ミリアム)の表情がコラ素材に使われたことがあり、一部では話題になった。
      なお、PS4の移植では無事(?)パッケージが上記にあるものに差し替えられた。
  • 強力すぎるアーツ
    • 前作では補助系のみ実用性があったアーツ勢が大幅に強化された。敵側も同様なので、駆動解除が非常に重要になっている。
      あろうことかアーツ版の覇道*8である「冥皇」が登場し、先述のロストアーツと組み合わせると10万超えのダメージを簡単に叩き出すことができ、ボスの体力を数割、条件さえ揃えば10割削れる。
      前作のクロノバーストによるハメ戦法の問題は消費EPの大幅増である程度改善されたものの、それとは別にダメージ量のインフレという新しい問題点が浮上する結果となってしまった。
  • 騎神戦で使用するEXアーツ
    • 騎神による戦闘は前作から色々改善されたのだが、パートナーキャラがサラ教官一強。それもサラ教官以外使う必要はないレベルで強い*9
      • 具体的には、騎神戦では能力低下に耐性を持つ敵がいないのに、サラ教官のみ敵のSTR(攻撃力)とSPD(素早さ)を低下させるスキルを使える。それも一発で25%、最大で50%まで、重ね掛けすると効果ターンはリセットされるという鬼畜仕様。
    • サラばかり注目されがちだが、ガイウスも時折話題に上がる。
      • そちらはCPが120も回復するため、クラフトが使い放題に。HPを20%消費するものの、封技付き&100%クリティカルの天衝剣と組み合わせると…
    • 騎神戦は前作ラストが運ゲーと化したことと、今作でもナイトメアで詰みになりかねない箇所がある。従って救済措置とも取れるので問題点と言い難いが、味方キャラ間のバランス調整を望む声は多い。
+ ネタバレ注意(結末について)
  • 報われない結末
    • 本作はリィンが「内戦を終結させた英雄」として黒幕の宣伝に利用されるという報われない結末のまま物語が終了する。クロウが死亡し、VII組メンバーはそれぞれの道を進むために学院を去ったため*10、仮にリィンが次回作以降で登場することがあっても「トールズ士官学院特科クラスVII組」が自力でハッピーエンドを掴む可能性はほぼ完全に失われてしまっている。
      • 「進む道が分かれても繋がっている」という一種の悲壮感と未来への希望を感じさせるエンディングは、「仲間と共に成長し進んでいく」という本作のテーマに沿うものなのは確かである。この点を評価する意見と、最後はやはり幸せな結末が見たかったという意見の両方がある。
    • 内戦の終結という一つの区切りをつけられた点においてはしっかり完結はしているが、その実態は黒幕の一人勝ちである。
      • 尚且つ、前作主人公組が所属するクロスベル自治州と立場的に対立していることで、今後更に後味の悪い展開が待っているのではないか、と不安視する声もある。
  • 伏線回収が不十分
    • 帝国に伝わる「魔女」の伝承、「灰と蒼の戦い」が何故結社の「幻焔計画」に必要なのか、そして終章ラストでの黒幕関連の描写、などそういった今作で登場した重要な謎は、今作でも明かされない。
    • 伏線回収と共に新たな謎が出てくるというのは最早軌跡シリーズの常であるとはいえ、今作については、煮え切らない終わり方だった『閃』から待たせたにもかかわらず、またしても煮え切らない終わり方をしたため、いくら何でも消化不良すぎるとの批判が出た。
    • 一方で、続編へ期待できる要素として楽しみにしているユーザーもいた。

問題点

+ ネタバレ注意(終盤のダンジョン)
  • 終章で行くことになる事実上のラストダンジョンでは、「待ち構える敵と戦闘」→「一応勝利するが敵が本気を出して逆転」→「第三者の介入により難を逃れる」という流れを3回ほど繰り返す。
    • この展開に関してはある謎が存在する上*11、このような展開の多いシリーズである事を知っているファンからも、流石にくどすぎるとよく指摘される。シナリオ上の助っ人達の役割が戦闘力で敵を足止めしてそのまま出番が終わりというのもワンパターンさに拍車をかける*12
    • そもそも、語られる敵勢力の目的を考えると道行を邪魔される理由がない。三戦目の相手は自身の目的をもって戦闘を仕掛けてくるが、他の相手は主人公のエスコートをしてもいいくらいなのに。
    • また、3戦目の相手に勝てないのは設定や実力的に仕方が無いが、主人公は中盤に1戦目の相手と1対2で互角に戦っており2戦目の相手も1戦目の相手とそこまで大きな差があるとは考えづらいため、1戦目、2戦目の相手に7対2でも勝てないというのは明らかに不自然である。
      • システムも違っている為に単純な比較は出来ないのだが、空の軌跡や碧の軌跡においてこの時のリィン達と同水準の強さ(戦う時期もこちらのレベルが120前後と数値的にはほぼ同じ時期)であろう状態のエステルやロイド達は真正面から複数の強敵を打ち破り明確な勝利を得ているので、*13その時も敵味方の全員が本気で戦ってたはずなのにあの弱さ(逆にこっちの強さも)は何だったんだ?となってしまう。 せめてラストダンジョンに充満している瘴気に侵され戦闘力が強化されて立ち上がってくるなどの理由でもあれば問題はなかったのだが。
        特に2戦目に戦う相手は戦闘を生業にした者達なので、むしろそういう設定で強化復活する方がしっくり来るだろう。実際、彼等と同じ生業のキャラクター*14は戦闘が激化したり追い詰められたりすると、ウォークライと呼ばれる強化クラフトを使ってより戦意を高揚させて身体能力を強化するシーンがストーリー中でも度々描写されている。
  • なお、これらの理由については、続編である程度描かれている。
+ 微ネタバレ注意(二周目の隠しイベント)
  • 二周目以降限定の隠しイベントとしてある人物に関する重要な秘密が発覚するのだが、プレイヤー目線のみで判るのではなくリィン自身が相手から秘密を知らされる流れになっている。またイベント発生条件として歴史の裏側について記された奇妙な書物を読むことになる。
    続編が前提のシリーズで、キャラクターが知ることで今後のシナリオに関わりかねないほどの内容のイベントがここまで見難いのはいかがなものか。
    • 軌跡シリーズの一貫した敵である「結社」との抗争に関わる内容でもあるだけに、一周目で見られる、あるいは隠し条件なしで見られるようにするべきとの意見が多い。
  • シナリオの中心をVII組からリィンとクロウに変更した事による弊害
    • VII組キャラのエピソードが相対的に少なくなり、ほとんどリィンとクロウ中心でシナリオが進んでしまっている。
      前作では味方のシナリオには章ごとに割り振って力を入れていたことでそれほど問題にはならなかったが、今回は絆イベントだけで不足分を補完しているので、それ以外での出番が乏しい。感覚的に前作と繋げてみればなんとかバランスが取れる、といったところか。
      2周目以降は引継ぎ要素の「絆行動ポイントMAX」を取れば一応解消できる。
    • 本編でしっかり目立ってるVII組メンバーがユーシス、エマなど一部である反面、トヴァル・アンゼリカ・アルフィンなどのサブキャラクターはきっちり見せ場があったりする。
  • とあるキャラは、終盤のダンジョンに幽閉される役どころゆえ出番が少なく、最後の絆イベントにも出番がない。
  • 精霊窟巡り
    • 本作のシナリオの最大の問題点とも言える部分であり、ゲーム中盤に精霊窟と呼ばれる似た様なダンジョンを4つ順番に巡る単調な展開が続く。
      • 空の軌跡SCにも似た様な塔を4連続で巡りその全てで敵に出し抜かれる四輪の塔巡りが批判される事もあったが、それでも4つの塔全てでイベントがあった。しかし本作の精霊窟巡りは4つめのダンジョン以外イベントすら無いため残りの3つが完全なシナリオの水増しとなっており、空の軌跡SCの四輪の塔巡りをより悪化させたものであると言える。
  • シナリオと日数経過がズレるシーンがいくつかある。
    • 具体的な例を挙げると「12/1」から一夜明けたら「12/4」になる…といった日付が多く経過しているというもの。
      この場合だとゲーム上で「12/1」とされているのはシナリオ的には「12/1~12/3」の出来事だったということなのだろうが、「12/1」の日付は移動画面に常に表示されており、むしろ日数が経過していないと強調しているかのよう。
    • 前作『閃』では宿泊施設から離れたシチュエーションがなかったためか、こういったことはなかった。
  • ゲストキャラクターとして登場する、ロイド・バニングスの声
    • 熱血漢であることを十分に表すストレートな演技だった原作のそれに比べ、かなり灰汁の強い演技となっており不評の声が多い。担当した声優は同じ人だが、原作と『碧Evo』以降では演技の仕方が変わっているため、演技力ではなく演技指導に問題があると言われている。
  • 一部状況が過去作である『碧の軌跡』とかみ合わない。
    • 碧の軌跡には最終盤で寄り道をすると帝国から伝わってきた「情報」を聞ける会話イベントがあったのだが、閃IIの描写・時系列と合わせると内容がずれている。
      • 話の流れから閃II終章の後で「情報」の通りになりそうではあるが、シリーズとしての展開を意識したと思われる碧のイベントを「誤報を信じて安堵している」という滑稽なものにしてしまった。

総評

前作より遊べる要素を複数点追加して遊び易さを改善し、やりこみ度も伸ばしてはいる。単純に楽しむ分には問題ない。
ただし、余談で指摘されているように短期開発で世に送り出されたゲームなので、細かいところで粗が目立つ。
特に主要登場人物間の交流を選択式の「絆イベント」に託した脚本構成上の問題、IとIIの幕切れで主人公の少年が苦い体験を連続して迎える爽快感なき結末には批判が集中した。
Iよりボリュームが増した分、この点では苦痛度が強化されてしまったと言える。
この結果を受けてか、IIIの発売までは3年の期間が空くこととなった。

余談

  • 発売後に行われたトークイベントでは、日本ファルコムの近藤社長によって今作の開発期間は10か月しかなかったということが語られた。
    • ファルコム社の楽曲を演奏するバンドグループであるjdkバンドのリーダーである岡島氏も同席していたのだが、これには驚きの表情を隠せなかった様子。
  • 予約数特典で、リィンの専用衣装として「 多感な時期に発症した病の残滓 (原文ママ)」の配布が決定。元中二病という新たな一面が垣間見れる。衣装なので攻略には全く関係ないが。
    • その衣装を含め、無料DLCはそこそこ多め。全体的に「攻略に役立つアイテムは無料、お遊びアイテムは基本有料」である。他衣装DLCも豊富にあり、よくわからない部分(どこなのかはご想像に任せる)に力を入れている。
    • もう一つ予告されていたアリサの衣装である「人に言えない恥ずかしい衣装」は予約数が規定に足りず未配信だったが、2015年1月8日に配信された。
    • なお、これらの衣装は後に発売されたゲーム『東亰ザナドゥ』にて再利用されている。
  • 2014年日本ゲーム大賞のフューチャー賞、PS Awards2014ユーザーズチョイス賞を受賞している。
  • 修正パッチである1.01が発売日、1.02が10/22に、1.03が11/28にそれぞれ配布されている。細やかな修正から致命的なバグ対応までされており、必ず当てておきたい。
    1.03は某RPGにおける「なりきり」グッズや、少々面倒だった「外伝」のシナリオをスキップできたりと、遊びやすさを重視している。
  • 10/14より月刊ファルコムマガジンにてコミカライズされている。
    • 作画はクイーンズブレイドのコミカライズも担当したさがら梨々氏。
  • 本作でフィッシュバーガーを食べるシーンは人気を得て、本作をプレイして始めてフィッシュバーガーを食べたという人もいる(拘る人はオニポテとメロンソーダorオレンジジュースを付ける事も)。
    • そのため一部ではフィッシュバーガーが食べたくなるRPGと言われている。
  • コナミの音ゲー『BeatStream』に、IIのOPテーマ「閃光の行方」と、EDテーマ「I’ll remember you」が期間限定でプレイ楽曲として収録されていた。
  • 2018年4月26日、PS4版『英雄伝説 閃の軌跡II:改 -The Erebonian Civil War-』が発売。
    • PS3/PS Vita版で販売されたDLC計102種が収録されている他、クロスセーブ機能でPS3/PS Vita版のセーブデータ・トロフィーを共有できる。
    • 閃の軌跡IIIのセーブデータを読み込むと最初から周回特典が解放される。また閃の軌跡IVにクリアデータ引継ぎができる。
最終更新:2022年07月27日 21:06

*1 ちなみに、本作のバーストは零・碧の一斉攻撃に相当する。ややこしい。

*2 詠唱ディレイも消費EPも0になるATボーナス

*3 ただしバーニングハートは5ターン継続の上、消費CPも軽く、重ね掛けも可能

*4 ロストアーツ以外ならシナリオ上1つしか入手できないレアクオーツなども確率で手に入る。

*5 ただし、『碧の軌跡』の『Seize the truth!!』も似たようなコンセプトである

*6 空の軌跡も当初は違和感が強かったが、完全にスピンオフであったためそこまで物議を醸したわけではなかった。碧の軌跡はちゃんと前作と似せているので違和感はない。

*7 今あるのは修正版で、初稿ではトレスしたかのような全く同じ表情だった

*8 最初の攻撃だけ威力が2倍になるクオーツ。

*9 他のメンバーが弱いわけではなく、教官が強すぎる

*10 作中では「卒業」と言われるが実情は中途退学。会話内容を組み合わせていけば事情は判るとはいえ、作中の時間経過などから混乱するプレイヤーもいた。

*11 最強武器を装備した上でフルパワー状態の騎神でないと破れないほど強固で、しかもすぐに復活する結界が張ってあるのだが、助っ人の面々はそれほどの結界を一体どうやって破ってきたのかというもの。一応本作最強の敵は騎神に匹敵する強さだと推測できる描写もあり、助っ人の内一人はその敵と互角に戦っているためそのキャラなら結界を破る事が出来た可能性もある。ただし、それ以外の助っ人はどう考えても結界を破る事が出来るとは考えられず、仮にそのキャラと一緒にラストダンジョンに入ったのならば、なぜバラバラに助っ人に現れたのか、そもそも入り口に待機していたメンバーと遭遇しなかったのかという謎もある。

*12 スタッフ曰く『白き魔女』を意識したとのこと。確かにあちらでもラストダンジョンで多くの助っ人が来るが、旅の中で結ばれた縁をあらわす趣が強く、知恵や特技を活かす場面があったり、ラスダンからそのままつながるエンディングでキャラの個性が描かれている。

*13 空の軌跡SCではエステル達が1戦目の相手を、更には続編の3rdで本物と同じ実力を持つ同格3人をまとめて真っ向から倒しているし、碧の軌跡ではロイド達が2戦目の相手と同格以上の存在を2人倒している

*14 零の軌跡ではランディ、碧の軌跡ではシグムントなど