レイマン オリジン
【れいまん おりじん】
ジャンル
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横スクロールアクション
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対応機種
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Windows XP~7 プレイステーション3 プレイステーション・ヴィータ ニンテンドー3DS
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発売元
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ユービーアイソフト
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開発元
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ユービーアイソフト モンペリエ
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発売日
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【Win】2012年3月30日 【PS3/PSV】2012年4月12日 【3DS】2012年7月19日
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定価
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2,500円(税込) |
プレイ人数
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【Win/PS3】1~4人 【PSV/3DS】1人
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レーティング
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CERO:A(全年齢対象)
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判定
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良作
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ポイント
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王道2D横スクロールアクション 後半は死んで覚えるゲーム
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レイマンシリーズ
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概要
日本での知名度は低いが、海外では一定の評価を得ているアクションゲーム『レイマン』シリーズ中の1作である。
同シリーズは『ASSASSIN'S CREED』や『Rainbow Six』で有名なフランスの会社、ユービーアイソフトの代表作の1つでもあり、1995年に第1作が出てから以降、UBIにとってのマスコット的なポジションも獲得した歴史ある作品でもある。
過去シリーズは何作か日本でもリリースされたが知名度の低さ、当時の海外製ゲームの需要の低さなどの要因で売り上げは芳しくなく、『ラビッツ・パーティー』というタイトル変更がされるも日の目を見ることがなかった。
何かと不遇のシリーズではあるが、発売元であるユービーアイソフトの創業25周年記念作品として今作が発売された。
シンプルな操作と高いアクション性、コンシューマゲームから昨今減りつつある純粋な横スクロールアクションゲームとして日本でも注目された。
評価点
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洗練された2Dグラフィックと上質なBGM
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自キャラと背景が違和感なく溶け込み、カートゥン・アニメーションをそのまま動かしているような滑らかさが楽しめる。走り抜けると揺れる草木、優雅に泳ぐ魚、遠くを飛ぶ鳥など、背景も細かく作り込まれている。BGMもワールドに合わせてノリノリのウエスタン調だったり、ゆったりしたハミングだったり、軽快なバイオリンだったりと様々。
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森・砂漠・海・山・火山・空とワールドが変わるたびに背景に目を凝らしBGMに耳を傾けるのも良いかもしれない。
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アクションの簡潔さ・爽快さ
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基本的には移動(ダッシュ)とジャンプと攻撃のみで複雑さはなく直感的に操作できる。徐々に能力がアンロックされていくが、壁が走れるようになったり泳げるようになったりと基本操作に効果が付随されるものばかりなので、スキルの成長や強化、カスタマイズなども必要ない。
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新たに習得したアクションはすぐに活用機会があり「使わせ方」も丁寧。コミカルな動きや小気味良い効果音、多彩なギミック、ステージ全体を通してスピード感のある作りになっていることも操作の気持ち良さに一役買っている。
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リトライ性の高さ
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ライフ性ではないので敵からの攻撃を一度だけ防ぐ「ハート」がない限り、ミスは即死に繋がるが、残機の概念がなく復帰ポイントも細かく設定されているので気軽にトライ&エラーできる。リトライ時のロード時間がないのもポイント。
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計算されたレベルデザイン&やりこみ要素
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1ステージにつき6個ほどエレクトゥーンという達成度のようなものが設定されている。これはステージ上に散らばるラム(マリオで言うコインのようなもの。音符の形をしている)を規定数集めたり、隠しコインを見つけたり、規定タイム以内でのクリアを達成すると獲得できる。それぞれ独立しているので一度にすべてを達成する必要はない。エレクトゥーンを一定数集めないと解放されない要素もある。
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取得量が2倍になるボーナスタイムを最大限利用して隅々まで取らないといけないラムや、危険を冒してテクニカルなアクションをしないと取れないコインがあり、エレクトゥーン全獲得を目指すとかなり根気が必要。特に規定タイムクリアがなかなかに絶妙で、「あと一歩で達成できた」「ギリギリで間に合った」という状況が頻発する。開発スタッフが自分たちの作ったゲームを深く理解している証拠であろう。
賛否両論点
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好みが分かれるキャラクターデザイン
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まず何と言っても日本人にとっては「バタ臭い」と一蹴されてしまいそうなキャラクターが目に止まってしまう。
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操作キャラで限定しても、手足が分離して浮いている「レイマン」、ウツボカヅラのような体型の「グロボックス」、鼻なのか顔なのかわからない「ティーンシー」となかなかアクが強い。愛嬌がないわけではないのだが、キャラ背景が分かり難く、好みに合わない人にとっては愛着がわきにくい。
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後半からグッと上がる難易度&初見殺し
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誰でも簡単にクリアできるステージばかりだったものがプレイヤーの上達と共に次第に様相を変えていく。先述した「ハート」の存在や、ミスを繰り返していると次のステージまでスキップ可能な救済要素などもあるので、エンディング到達を諦めてしまうことはないだろうが、本編には関わりのない独立したステージだとスキップ機能が使えないので注意。
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後半のトリッキートレジャーチェスト(走る宝箱)を追いかける強制スクロールステージは何度も死んでまず地形を覚えなければ話にならない。特定のタイミングでジャンプ、特定の足場をダッシュするなどぴったり決められた行動を要求されるのでもはやリズムゲーに近いとさえ言える。エンディング到達にこそ関わりはないが、コンプリートを目指すならクリア必須である。
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1つのワールドに必ず1つはあるモスキートステージ(シューティング)はクリアだけなら簡単だが、どれも強制スクロールなのでラム集めを目指すと極端に難易度が跳ね上がる。
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オーソドックス&シンプルゆえに目新しさや斬新さはない
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良くも悪くもシンプルな王道2Dアクションゲームであり、本作独自のシステムというものは存在しない。
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シンプルさを突き詰めて無駄を省き、力を入れるところに最大限の力を入れているということなのでゲームとしては正しい姿勢である。
問題点
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ストーリーが説明不足
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悪夢の世界から来た魔物を退けるためにレイマンと仲間たちが立ち上がる…というのが大まかなストーリーの始まりであるのだが、台詞も少なく、イベントらしいイベントもないので、展開がいまひとつ把握できない。エンディングムービーも1分弱で終わり、エレクトゥーンをコンプリートしたところで何かムービーに変化が起こるわけでもなく、何がどうなって問題が解決したのかわかりにくい。道中でシナリオの薄さには勘付くだろうが、エンディングに達成感を求めてしまうとがっかりするだろう。
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マルチプレイはWin版、PS3版のみ
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PSV/3DS版ではマルチプレイ不可。実装されているWin/PS3版もオフライン限定である。
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マルチプレイではダメージを負っても即死せず、風船化し、味方に触れてもらえれば復帰できる。
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それによってクリア難易度が少し下がるが、マルチプレイ限定のステージやモードがあるわけでもなく、旨味はあまりない。
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解放キャラが色違いのみ
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エレクトゥーン獲得数によって使用可能なキャラクターも増えるのだが、どれもこれも主要3キャラクターのカラーチェンジバージョンでしかない。なにか強力な性能差があるわけでもないので、解放の楽しさが薄い。
総評
見た目のバタ臭さがどうしても引っかかってしまうだろうが操作性・BGM・グラフィック、どこをとっても開発の徹底したこだわりがうかがえる作品である。パッケージ裏の「ユービーアイソフトが本気で創った」との紹介文は伊達ではない。
「重厚なストーリーや煩雑なシステムはいらない。とにかく昔ながらの横スクロールアクションゲームがしたい」というオールドゲーマーには特にオススメ。定価2500円でなかなかボリュームがあるので買って損ということはないだろう。
余談
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『レイマン』は元々はユービーアイソフト モンペリエスタジオのデザイナーであるマイケル・アンセル氏によって1992年に創作された。
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日本では1994年9月号の雑誌では1995年1月発売予定だったが、後に何度も延期され、最終的に1995年9月22日にシリーズ1作目が発売された。
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その後もシリーズ展開が続いたが、日本での売り上げが悪かったためか2001年を最後に日本では発売されなくなった。その後、2006年に再展開したそうだ。
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本作はユービーアイソフト・モンペリエスタジオが開発したゲームエンジンである「UBIArt Framework」が初採用となった作品でもあり、以降も『Child of Light』『JUST DANCE』シリーズ、『Valiant Hearts:The Great War』と言ったUBI作品に使われている。
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2016年のユービーアイソフト設立30周年記念を祝し、同年8月中旬~9月中旬までWin版が無料配布された。同イベントで配布された中では数少ない日本語収録タイトルであった。
最終更新:2022年04月21日 08:18