魔獣王
【まじゅうおう】
ジャンル
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アクション
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対応機種
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スーパーファミコン
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メディア
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16Mbitロムカセット
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発売元
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KSS
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開発元
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イレブン
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発売日
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初販:1995年8月25日 再販:2018年5月24日
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定価
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初販:10,800円 再販:6,480円(各税別)
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判定
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良作
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ポイント
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初心者お断り バイオレンスな世紀末世界 歯応えのある難易度 モンスター女を貪る(食事的な意味で)
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概要
復活を遂げた魔王により地上は地獄絵図と化した。主人公アベルは娘のイリアを取り戻すべく戦う、2D横スクロールアクションゲーム。
バイオレンスでグロテスク且つ高品質な演出、高い難易度と攻略の自由度で知られる作品である。
特徴
登場人物
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アベル
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本作の主人公。キングオブストリートファイターの称号を持つ。
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武器は拳銃。歩きながら撃つ事は出来ず方向は真横のみだが、連射性、弾数無制限にリロード不要、弾速は見えないなど高性能。
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マリア
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アベルの妻。魔王にさらわれて命を落としてしまう。霊体となった我が身を妖精に変えて、アベルのサポートを行う。
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イリア
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アベルの娘。魔王にさらわれてしまう。彼女を救うのが本作の目的。
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エリア
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飼い猫。回想、オプション画面の背景で登場している。
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ベイヤー
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アベルの大親友だったようだが、悪魔に魂を売り姿まで豹変。
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序盤早々、マリアとイリアをさらい魔王に捧げた事を宣言し牙を剥いて来る。
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魔王
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ベイヤーによって復活を遂げ、地上を凄惨な地獄絵図に変えた。
魔獣変化
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クリスタル
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ステージのボスを倒すとクリスタルが出現。
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赤緑青の3色にゆっくり変化して行き。取得した色に応じて姿が変化する。
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あえて無視する事も出来るし、同じ色を取り続けると強化スタイルにもなれる。
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ゲーム性は勿論、エンディングにも関わって来る事になる。
HARDモード
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NORMALでは物足りないプレーヤーのために用意。
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敵の攻撃が激化している上にアイテムも削減されているので厳しい。
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例えば、妖精復帰アイテムがただのHP回復アイテムに置き換えられていたりする。
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尚、HARDクリアしたからと言ってエンディングには何の影響もない。
マルチエンディング
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通常エンド
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通常エンド(ネタバレ)
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条件を満たさずにラスボスを倒すと強制的に人間に戻り、怪物と化したイリアを自分の娘とは気づかずに撃ち殺すというもの。
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一枚絵も用意されているがアベルの姿のイメージが、プレーヤーが想像していたようなのとはそぐわないという事も相まって評判が悪いとされている。
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真エンド
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真エンド(ネタバレ)
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魔獣変化を3種類すべて行った上で、あるボスを倒すと黒いクリスタルが出現。取得すると最強の形態に。
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その形態でラスボスを倒すと、怪物と化した娘と魔界を治めることを決意する結末となる(人間界を守る事にも繋がる)。ここに至ってようやく『魔獣王』のタイトルの意味が明かされるのである。
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評価点
総合
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全体的に操作性、グラフィック、音楽などが高い品質で仕上がっている。
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操作については攻撃とジャンプという基本動作は勿論、人間状態の時点で溜め撃ちや二段ジャンプにオプションである妖精を飛ばして攻撃する等出来る事が豊富。加えて魔獣変化するとスライディングや
敵の死体を食べて
体力を回復出来たりとプレイヤーが出来る事が更に増加する。しかも死体を食べる事が出来る敵は全て女性型。
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グラフィックについてはプレイヤー等の通常キャラクターの方は問題点で述べられる通り小さいが、ボスキャラについては全体的にデカく描かれているので迫力満点。
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音楽の方は基本的にゲームのストーリーや物語の舞台である崩壊した世界をイメージしたダークな物が中心だが、5面溶岩地帯などでは明るくノリの良い楽曲が登場している事から、全体的にステージの雰囲気に合わせる方針になっている。
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アベルの銃を取っても、弾丸なんて見えない、撃った直後に着弾というリアルさ。
演出
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SFCでも指折りのバイオレンスな演出、グロテスクなグラフィックも特徴。攻撃が当たれば血が噴き出し、ステージ1の背景では人間が檻に閉じ込められていたり、ステージ3では若い女性が拷問で嬲り殺される演出があったりと、とにかく過激。
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敵もおぞましいものが多く、ステージ1からして巨大な幼虫のようなボスが登場する。他にも眼球や肉塊など生理的嫌悪感を催す敵が少なくない。
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勿論、気持ち悪い敵ばかりではなく、悪魔的なモンスターや小さいながら美しさすら感じる
そして喰える女性型の敵も多数登場する。
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これら演出により、「地獄絵図と化した地上」という世界観が存分に表現されている。
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MODE7の活用
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SFCの回転拡大機能を最大限に活用しており、特に多くのボス戦で実装されておりゲーム性の評価点にも当てはまる。
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例を挙げると2面中ボスであるビッグアイは最初の状態では巨大だが、ダメージを与える度に縮んでいき、最終的に第二形態に移行したりしている。
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そちらの方は小ささを活かして猛スピードで跳ね回るという戦い方をしてくる。
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一枚絵も多数用意されていたり、道中ではエフェクトが併用されており品質を更に向上させている。
魔獣形態の使い分けによる自由度の高さ
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ステージの構成は基本的に一本道であるが、形態毎に個性が違う為、同じステージでも戦い方・攻略が変わって来る。
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例えば、ステージ2(植物地帯)は起伏のある地形や空中敵の多さから通常攻撃の範囲が広い赤が非常に有利だが、それ以外の形態の場合は相性が悪く攻撃範囲をカバーしてくれる妖精を手放せず死ぬ事を許されない…といった具合。
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もちろん、魔獣変化を選択せず人間状態のままゲームを進める事も可能。
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この場合は全体的な攻撃力の低下や敵の死体を食べる事が出来なくなる事による回復手段の減少等々、様々な行動に制約が課される事から難易度が上昇する為、本作をやり込んだプレイヤー向けとも言える。
かなりタフなプレイヤーキャラ
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ゲーム開始時のプレイヤーの体力ゲージは低いが、スコアを稼ぐ事によって体力の最大値を伸ばす事が出来る。これに加えて敵の死体を食べる事や妖精といった豊富な体力回復手段の存在もあってか、総合的に見ると本作のプレイヤーは横スクロールアクションゲームにしてはかなりタフな部類に属すると言えよう。
音声
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一部ではあるが音声が使われており臨場感がある。特に魔王戦での演出はかなりのインパクトがある。
賛否両論点
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過激な要素
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本作は世界観も難易度も非常に過激であり、友人に裏切られたり目の前で人が殺される場面まである。
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真エンドルートについて
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本作の真のエンドを目指す際には魔獣変化を3種類全て行う必要があるが、その場合は強化形態や人間状態でのプレーが不可能になるため、本作の醍醐味の変身の自由度が損なわれてしまうという意見がある。
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とはいえ、各種形態の変身順については特に定められていないので、形態の強化や人間縛りを選択しない限りはそこまで気にならない点ではある。
問題点
難易度の高さ
本作は内容を見ての通りアクションゲーム初心者お断り仕様な事に加えて、以下の点が難易度を引き上げている。
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ステージクリア時の体力全回復が無い。
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ステージクリア時の体力回復というのはアクションゲームでも常識的なシステムだが、本作では一切存在せず、体力の回復はステージ道中で行うのみになっている。
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ステージ内の制限時間は基本的に回復しない
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一般的なアクションゲームのステージに設けられた制限時間は特定のポイントを過ぎると最大まで回復するのだが、その様な事は1面までで、以降は制限時間の回復すら無く、ゲーム内の大半のステージをタイムの回復無しで攻略していかなければならない。
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このシステムの為か、本作はゆっくりとステージ内や各種ボスを攻略している暇なんて殆ど無いと言っても過言では無いだろう。
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コンティニューからの立て直しの難しさ
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本作にはコンティニューも用意されてはいるが、スコアリセットによるHPの初期化、妖精は復帰しないなどリカバリーが難しい。
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とはいえ、比較的敵の耐久力・攻撃力が控えめな前半ステージではまだマシ。だが、後半ステージになると敵の体力や攻撃力が上昇する事から、スコアを稼ぎにくくなるどころか敵の猛攻から生き残るのも困難になってしまい、結果ゲームオーバー後は最初からやり直す事を強いられてしまう。
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妖精について
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アベルを助けてくれる存在であるが一度失うと復帰は難しい。
アベルのHPが尽きた際にHPを全回復して消失する仕様、これを拒否する事は出来ないため自ら落下死するなどの選択もありうる。
一応、アイテムで復帰できるが数が少ない。しかもHARDモードではそれがただのHP回復アイテムに置き換わっている。
おまけにアイテムが初登場するのが3面と遅く、妖精を有効に活用しながらプレーするには序盤戦では死なずに進まなければならない。
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ミスからの復帰後の状態では、妖精が存在しない為か攻撃範囲が狭まったり自動回復能力も失われる為か不利になりがち。
人間態縛りプレーの場合は特に顕著で、只でさえ全体的な火力に劣る状態の中で更に火力が低くなる為、一度のミスが命取りになると言っても過言では無い。
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また妖精がいる状態でエンディングまで行っても、特に触れられる事はない。
その他の問題点
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キャラの小ささ
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本作に登場するボスキャラの多くは巨大でグロテスクな事から迫力が満点の反面、プレイヤーや雑魚敵と言った他のキャラクターは全体的にサイズが小さく、こぢんまりとしている印象がある。
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回復アイテム
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見た目が青い円形の物質で分かりづらい。これをスライムだと思って無視するプレーヤーもいた。
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会話シーンのスキップが出来ない
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会話シーンがあるのは序盤と終盤の2回のみでどちらもさほど長いわけではないのが、さっさと先に進めたい時には煩わしく感じてしまう。
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逆に宿敵であるベイヤーと再会した際は、何の会話も無く戦いが起こるが、カタルシスがないどころか知らなければベイヤーだとすら気がつけない。
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姿が大きく違っているのも分かりづらさにつながってしまっている。
総評
バイオレンス&グロテスクな世界観、ハードなアクションは人を選ぶものの、魅了されたファンも少なくない。
知名度こそ高いとは言えないが、SFC後期の知る人ぞ知る名作とされている。
余談
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ゲームの描写、難易度…色々な要素が過激にFIREしており、プレミアまで付いて長らく入手ハードルが高かったのだが、コロンバスサークルから2018年5月24日にSFC/SFC互換機用ソフトとして再販された。定価は6,480円(参考)
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ゲームセンターCXでは、スーパーポテトのプレミア品(何と6万円)を借りて収録している。奇しくも再販品の良い宣伝になっている。
最終更新:2024年08月11日 16:36