セガラリー2
【せがらりーつー】
| ジャンル | レース | 
| 対応機種 | アーケード(MODEL3 Step 2.0) | 
| 発売・開発元 | セガ・エンタープライゼス | 
| 稼動開始日 | 1998年2月 | 
| 備考 | 移植版に関する記事はこちら (良作判定)
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| 判定 | 良作 | 
| セガラリーシリーズ | 
 
概要
『セガラリーチャンピオンシップ』の続編として、水口哲也氏率いるセガAM分室が1997年に開発、98年にリリースした3Dラリーレースゲーム。
98年当時最高峰の3D性能を持つ「MODEL3」基板を使用し、グラフィックだけでなく前作で高く評価されたゲーム内容が圧倒的に進化した。
システム
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モードは前作同様、4コースを原則1周ずつ走る「チャンピオンシップ」と1コースを数周走るタイムアタックモード「プラクティス」の2つ。
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「チャンピオンシップ」はスタートとなる最後尾が16位に、4コース目は3コース目での順位に関わらず走行・タイムも記録される様に変更された。
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「プラクティス」でも4コース目が隠しコマンドを入力せずとも、常時選択可能となっている。
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残り時間はチェックポイント通過やゴールで加算されていく。残り時間が0になるとその時点でゲームオーバーになる点も前作同様。
 
 
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登場車種は実在メーカーから許諾を受けて精巧に再現された5台のWRC参戦車+初代登場車のセリカ・デルタ・ストラトスの計8台。
 車種選択後はオートマティック・4速H型マニュアルミッションの選択となり、最後に英語3文字のネームエントリーを行う。
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この内セリカ・デルタは最初は選択不可のタイムリリースによる隠しカーで、一つの基板上において、約1ヶ月分の稼働・もしくは累計で100クレジット投入が行われることで解禁される。
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条件を満たした筐体の場合、「SNOWY」でストラトスとカローラが走るアドバタイズデモでその旨と選択方法が画面上部に表示される。
 その筐体での車選択画面でサイドブレーキと視点切替ボタンを同時入力すると画面が左へスライドし、セリカ・デルタが選択可能。
 
 
    
    
        | + | 登場車種一覧 | 
選択画面ではピラミッドのように表示される。掲載順序は各攻略本に順ずる、画面上での右側から。
 
| 通常車種 |  
| メーカー・車名 | 駆動方式 | 説明 |  
| ランチア・ストラトス HF 1977年型 | MR | 白いボディに緑/赤の「アリタリアカラー」を纏った小型クーペ。前作移植版での隠し車から、通常車として継続登場。 小型なMR車故に旋回力が全車中最高だが、その分安定性は最悪。諸性能強化済と言えど旧車の為、旋回中の失速もしやすい。
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| 三菱・ランサー RS エボリューション V
 | 4WD | 白いボディに赤いデカールを纏った4ドアセダン。4WD車中ではセリカに次いで曲がりにくいが、その分安定性に秀でる。 前作のセリカと同様、本作稼働開始時はまだ市販車の発表直後だった為、市販車に97年仕様風のデザインを纏っている。
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| スバル・インプレッサ WRC | 紺のボディに黄色いデカールを纏った中型クーペ。4WD車中では若干曲がりにくいが、良くも悪くも癖の無い平均的な性能。 |  
| フォード・エスコート WRC | 白いボディに青いデカールを纏った大型ハッチバック。4WD車中ではデルタに次いで曲がりやすいが、旧式な為性能は平凡。 |  
| トヨタ・カローラ WRC | 白/赤/緑の「カストロールカラー」を纏った小型ハッチバック。4WD車中では最も曲がるが、その分安定性が若干劣っている。 |  
| プジョー・306 MAXI F2キットカー | FF | 白いボディに青/赤のデカールを纏った中型ハッチバック。前輪駆動故に舗装路での安定性が高いが、未舗装路では曲がらない。 本来F2キットカーは4WD車より格下なのだが、何故か本作では最高速が約10km/h高く、結果として最速車となっている。
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| 隠し車種 |  
| トヨタ・セリカ GT-FOUR | 4WD | 「カストロールカラー」を纏った大型クーペ。前作と異なり306に似た癖のある性能となり、4WD車で最も曲げづらくなった。 デザインは前作での94年テストカー仕様から、今シリーズのゲーム監修を勤めている藤本吉郎選手のTEIN仕様となっている。
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| ランチア・デルタ HF インテグラーレ 1992年型
 | 青/赤の「マルティニカラー」を纏った小型ハッチバック。カローラに次ぐ旋回力の高さを持つが、その分安定性に欠ける。 前作同様、アルコール広告規制が厳しくなかった時代の為、酒類製造会社のマルティニのロゴは規制無しで再現されている。
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コースは前作同様の4種類が存在。
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DESERT(初級・1コース目・プラクティス3周)
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前作同様、サファリラリーをモデルとした高速コース。今作ではスタート地点が舗装されているが、それ以外はダートで構成されている。
 レイアウトは見通し良好で道幅も広く、最終手前コーナー以外に急カーブ無しと前作より優しくなった。誰でもアクセル全開&爽快に走れるだろう。
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タイムアタックにおいては、コースの所々にある泥だまりに入ると減速してしまうので、各コーナーのライン取り・ジャンプ取りが重要となる。
 
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MOUNTAIN(中級・2コース目・プラクティス3周)
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前作のFORESTを髣髴とさせる山間コース。ダートからスタートし、舗装路の村落・一瞬のダートを挟みヘアピン・緩急ある複合コーナーを走る。
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中級と言いつつ、序盤の村落内の複合直角コーナー・中盤以降の連続コーナーを速く走れなければ優勝への道は絶たれてしまう難関コース。
 
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SNOWY(上級・3コース目・プラクティス3周)
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全区間雪で構成されたスウェーデンの森林コース。雪の厚さで滑りやすさとハンドルの重さが変わる・複合コーナーだらけと事実上の超上級コース。
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完走・タイム向上にはコーナーの先々を見据えた、素早いハンドル&ペダル操作とライン取りが必須。誰にでも立ちはだかる大きな壁となるだろう。
 
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RIVIERA(超上級・4コース目・プラクティス5周)
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F1でも有名なモナコの港をデフォルメして再現した夜間コース。全区間舗装路だが道幅が狭く、主要コーナーは全て急コーナーと難度は上級レベル。
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全長が短い為、チャンピオンシップモードでも最低2周は走り、順位関係なく完走できるとエンディングが見られる。
 
 
評価点
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「MODEL3 Step 2.0」による、前作から圧倒的に進化したグラフィック
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本作の2年前にリリースされた『スカッドレース』の「Step 1.5」から更に性能が強化され、同じレースゲームでも3D・光源描写が目に見えて進化。
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本作では新たに走行時のモクモクとした煙が半透明ポリゴンで描写され、車のグリル・マフラー等のボディ細部、コース内に立ち入るギャラリーもポリゴンで再現。
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「MOUNTAIN」を除く3コースでは車のライト類が点灯、アドバタイズデモや各リプレイではフロントライトの猛烈な光量を第三者視点から見せてくれる。
 
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当然フレームレートも60fpsと滑らかな動きを実現しており、スピード感溢れるドライビングも相変わらず堪能できる。
 
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進化したリアルかつ適度にデフォルメされた挙動
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前作での「タイヤの側面で砂利を押し分ける」感覚の再現はもちろん、今作ではハンドルの反動機構が進化し、新たに「路面毎の手応えの違い」が再現された。
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更にデラックス筐体では「DRMS(ダイレクト・ローラー・モータライズド・システム)」により、シートの前後可動と路面毎の振動を実現している。
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筐体のシート右下にタイヤロック用のサイドブレーキが追加され、ヘアピン攻略時に「片手でサイドブレーキ・片手でハンドル」というリアルな操作が必要となった。
 
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感覚に訴える挙動を邪魔する要素は前作同様取り除かれており、泥だまりや雪面を走ると車が汚れるようになったが、それによって性能が変わる事は無い。
 
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ゲーム内外で追加されたWRCや車ファンには堪らない小ネタ要素
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ゲーム筐体上部には有名ライトメーカー「シビエ」製の実物ライトカバーが設置されており、アトラクトデモ時にはビカビカと光ってインパクトは抜群。
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更にデラックス筐体では赤いロールバーに黒いシートと、まるでラリーカーの車内を彷彿とさせるデザインとなっている。
 
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ゲーム内の車も、貼られたネーム表示・「DESERT」でのサファリ用装備・車種毎に異なる計器・赤く光るブレーキ・アクセルオフで爆炎を出すマフラーと拘っている。
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更にエスコートとカローラのデザインは稼働当時発表されたばかりだった98年仕様、ランサーエボリューションは発売直後のVが登場する等、新鮮味も高かった。
 
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アドバイザーとして当時現役のラリードライバーの協力を得た事もあり、各コースの雰囲気やレイアウトはリアルっぽく、かつ非常に練られたものとなっている。
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上述の走行してくるマシンを間近で見ようとコース内に侵入したり、カメラのフラッシュを盛大に炊いたり等、ギャラリーに関する演出すら強化されている。
 
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進行方向を指示するコ・ドライバー(同乗者)も、本作では新たに指示地点からの距離・路面状況の変化も伝えてくれるようになり、よりリアルさが増している。
 
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評価の高いBGM
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当時avex所属だった冬野竜彦をメインに、セガの瀬上純・ワープの飯野賢治・他avexから2組と様々なジャンルから作曲家を起用。
 ロック・ユーロビート・ボーカル曲と何れも各場面に非常にマッチしたアップテンポなBGMで、前作以上にラリー気分を高めてくれる。
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特にOP&超上級の「Go Go! SEGA RALLY」、初級の「Soul On Desert」、中級の「Euro Fight!!」が印象に残っているプレイヤーも多いはず。
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前作移植版で誕生した、光吉猛修氏の歌唱によるヤケにノリの良いゲームオーバーBGMも健在。
 
 
賛否両論点
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全体的に重くなったハンドルと挙動
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路面の手応えを再現したのは良いのだが、その反動と振動の強さが良くも悪くもリアル。子供や非力な人にはハンドルを回しづらい。
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車自体の挙動もよりリアル風な重いものに変更、なおかつサイドブレーキ使用が推奨されるヘアピンも増えた為、プレイには一定の体力も必要。
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これらは「ラリー要素の再現」と言えば確かにそうであり、同時期のセガ製レースゲーム共通のデザイン・設計でもある。
 基本的には賛成意見の方が多いものの、単なる「レースゲーム」としては非力な人がプレイしづらい事は明らかであろう。
 
 
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壁に激突した際の挙動変更
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前作では進行方向へ弾き飛ばされていたが、本作では跳ね上げられる→直後は壁から離れづらくなり、外壁を使った「壁ターン」が不可能となった。
 一方で初心者にとっては速やかな復帰が不可能となった為、よりリアル風に重くなった挙動も相まって、完走への難度が上がってしまっている。
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そんな割に上記の「接触した壁から離れづらくなる」効果を逆手にとった「内壁を使った壁ターン」が発見されており、リアルさが犠牲になっている。
 
 
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やはり短めなチャンピオンシップの制限時間
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今作では「MOUNTAIN」を走りきれるかどうかが第一の関門となるだろう。もっとも、その後のコースはコース形状・時間共により厳しくなっているのだが。
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前作よりは初期時間・チェックポイントでの加算時間共に若干マシになった点と、「プラクティス」モードで全コースが練習できる点が救いだろうか。
 
 
問題点
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相変わらず「一人称視点」と「三人称の後方視点」のみの視点切り替え
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同じ「MODEL3」基板シリーズを採用している『スカッドレース』では車内視点が導入されていただけに、本作にもそれを要望するファンもいた。
 
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相変わらず「チャンピオンシップ」と「プラクティス」モード間のBGM切替が不可能
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モード毎に各コースのBGMが違うという要素は前作にもあった要素だが、今作ではBGMのマッチ度や迫力がアップした為、ファンには惜しい点となっている。
 
総評
他車併走システムやリアル風な挙動、コ・ドライバー等、適度に織り交ぜられたレースゲームとラリー要素を正当継承しつつ、グラフィック・サウンド等の各内容を大幅に進化させた傑作。
前作以上に「ラリー」を理解した開発陣によるその「本物」的な作りは、もちろん全世界で大ヒットし、題材のWRC(世界ラリー選手権)が人気である欧州でもスマッシュヒットを記録した。
99年には最新ハードのドリームキャストの初期タイトルとして新要素を多数追加し移植されヒットする等、今シリーズの進化・人気はここで頂点を迎えたと言っても過言ではないだろう。
余談
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正式稼働前のロケテスト版や、稼働開始時のデラックス筐体版では、それぞれ車のデザインや挙動が最終版と異なっていた。
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ロケテスト版ではエスコートとカローラも97年仕様で、それぞれオレンジの「レプソルカラー」、セリカと似た「カストロールカラー」を纏っていた。
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雑誌記事によると、車の挙動は98年4月頃にツイン筐体と同時にリリースされたROMで全体的にマイルド化、4WD車の動力性能向上が行われている。
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公式攻略本のインタビューによると、セリカ・デルタの解禁要素もこの更新版ROMで追加されたものだったとか。
 
 
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セリカ・デルタが解禁済みの筐体では、1人プレイ時のみ「RIVIERA」にてある行為を行うとパイロン倒しのミニゲームがプレイできる。
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最終コーナーのパイロン2本を進行方向から順に倒すとコーナーの左手前にあるトンネルが開き、通ると狭小のオーバルコースに出てミニゲームが始まる。
 開始時にミニゲーム専用の30秒が追加され、その間に3列に並べられたパイロンを倒してポイントを競う。連続して倒すと色が変わり、ポイントが上がる。
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トップスコアを出したプレイヤーネームは画面表示の他、オーバルコース横に車と共に展示される。
 
 
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筐体のシビエ製ライトカバーの件は、当時アシスタントプロデューサーだった新井健二氏が当時の雑誌インタビューや自身のTwitterで証言しているものである。
最終更新:2025年08月29日 09:57