セガラリー2 (DC)

【せがらりーつー】

ジャンル レース
対応機種 ドリームキャスト
発売・開発元 セガ・エンタープライゼス
稼動開始日 1999年1月28日
定価 5,800円(税別)
判定 良作
セガラリーシリーズ


概要

1998年2月にアーケードでリリースされ、たちまち大ヒットした3Dラリーレースゲーム『セガラリー2』の家庭用移植版。
セガの新ハード、ドリームキャストの目玉タイトルの1つとして、AC版開発陣のAM分室の監修の元、AM6研によって開発された。
AC版の移植である「アーケード」モードの他、新コース・新旧WRC参戦車の追加、オンライン機能等の新要素が追加されている。

「アーケード」モード内の「チャンピオンシップ」と「プラクティス」のシステムはAC版の記事を参照。

なお、約半年後の1999年6月には本作をベースとしたWindows版(以下PC版)が発売された。推奨環境はWindows95・98まで。
基本的な内容はDC版と同様だが、収録車種の一部とオープニングBGMに変更があり、厳密にはマイナーチェンジ版となっている。


新システム

  • 追加モードは「10イヤーズチャンピオンシップ」「タイムアタック」「2プレイヤーバトル」「ネットワークバトル」「カープロファイル」「カーセッティング」の6つ。
    • 10イヤーズチャンピオンシップ」は「チャンピオンシップ」をベースに各コース毎に自分で車のセッティングを行う要素を追加したモード。
    • タイムアタック」は制限時間無しの状態で、自車1台(もしくはゴースト)のみで走りこむモード。ラップ数は「3周」と「無限」が選択可能。
    • 2プレイヤーバトル」は画面分割式の2人対戦、「ネットワークバトル」はドリームキャストに接続した電話回線を介し最大4人対戦や観戦を行うモード。
      • 当然ながら現在ではオンラインサービスは終了しており、画面分割式の2人対戦のみがプレイ可能。
    • カープロファイル」は選択した車のデモ走行をバックに、声優の古谷徹氏がその車の設計やWRCでの活躍を解説してくれる観賞用モード。
    • カーセッティング」は前作移植版と同様、車種毎にハンドリングの応答率やサスペンションの硬さ等を設定し好みの挙動を作成できるモード。
      • 作成した車は最大20台まで保存可能で、「アーケード」以外のモードで使用可能。
  • デフォルトの車種はアーケード版の8台のみだが、「10イヤーズチャンピオンシップ」で優勝すると、車種が追加されていく*1
    車種選択後はオートマティック・マニュアルミッションの選択となり、最後に英語7文字のネームエントリーを行う。
    • ギアの段数は「アーケード」のみ4速固定で、他のモードでは実車に即した段数を選択可能。最多段数は306・メガーヌの7速。
    • 一部車種は車種選択時にLトリガー(PC版ではPageUpキー)を入力しながら決定すると、デザインが変わる要素も追加された。
    • PC版においては一部車種の削除・デザインが変更されており、それに伴って別デザインが削除された車種もある。
+ 仕様変更車種一覧
メーカー・車名 駆動方式 説明
ランチア・ストラトス HF 1977年型 MR 別デザインとして白/緑ツートンの75年仕様が追加。同仕様ではリアスポイラーも外される。
三菱・ランサー エボリューション V 4WD AC版での97年仕様風のデザインを纏った市販車から、実車と同デザインに変更された。
別デザインはボディ側面に黄色い「CARISMA」の文字が入った「カリスマGT*2」仕様。
三菱・ランサーエボリューション WRC PC版限定車種。99年登場のランエボVIベースのラリーカーで、「V」を更新する形で登場。
「V」はこの車の別デザインとして残留したが、代わって「カリスマGT」仕様が削除された。
フォード・エスコート WRC 日本DC版限定車種。PC版や海外版では何故か削除されている。
スバル・インプレッサ WRC AC版での97年仕様から、DC版は98年・PC版は99年仕様に変更された*3
トヨタ・カローラ WRC 別デザインとして今シリーズのゲーム監修を勤めている藤本吉郎選手のTEIN仕様が追加。
+ 追加車種一覧
メーカー・車名 駆動方式 説明
ルノー・マキシメガーヌ F2キットカー FF 紺色の大型クーペ。現実ではプジョー・306の同クラス車であり、本作での性能も似通っている。
スバル・インプレッサ 555 4WD 97年以前のWRCに参戦していた4ドア&小型なインプレッサ。小型だが安定性はWRCより良い。
三菱・ランサー エボリューション IV AC版の「ランエボV」とほぼ同じ白/赤デザインの小型セダン。ランサー系で最も曲がりにくい。
トヨタ・セリカ GT-FOUR ST185 205型セリカの前モデル、若干小型で旋回性が高い。通常デザインは「カストロールカラー」。
別デザインでは92年仕様の白/赤の「マルボロ風カラー」*4となる。
三菱・ランサー エボリューション III 黒/赤の「アドバンカラー」を纏った小型セダン。後継車よりパワーは無いが「V」並に曲がる。
プジョー・106 MAXI キットカー FF 日本版限定車種。紺の小型ハッチバック。306の弟分で、FF車中では癖が控えめで扱いやすい。
ランチア・デルタ インテグラーレ 16V 4WD 赤い「マルティニカラー」が目立つ89年仕様のデルタ。違いは動力性能が若干低い程度。
フィアット・131アバルト 1979年型 FR 現実ではストラトスの後継車として参戦した、「アリタリアカラー」が目立つ小型セダン。
本作唯一のFR車だが、挙動制御がMR並にシビア。パワーも低い為に旋回中の失速もしやすい。
プジョー・205 ターボ16
エボリューション2
4WD 白い中型ハッチバック。WRC最狂と称されたグループBの最速車の1台だった450馬力の怪物。
4輪駆動だがエンジンの搭載位置はミッドシップで、ゲーム自体の挙動も相まって意外に滑る。
アルピーヌ・A110 1975年型 RR 水色のボディに赤屋根の小型クーペ。73年の第1回WRCにて総合優勝を成し遂げた伝説的名車。
本作唯一のRR車だが、131以下の低パワーの割に安定性が非常に悪く、常にツルツルと滑る。
ランチア・037ラリー MR 「マルティニカラー」を纏った大型クーペ。83年のグループBでメイクスタイトルを獲得した。
馬力は205より100ps低いが、同じMRのストラトスを更に尖らせたような高い性能を持つ。
  • コースはAC版の「RIVIERA」を除く各シチュエーションでコース(SS)が2つ追加、計3つ用意された。
    原則としてSS1が比較的低難度・SS3が高難度のコースレイアウトとなっている*5。下記の前半2つは特筆すべきコース、後半3つは追加されたシチュエーションを紹介。
    • DESERT SS2
      • 前作の「DESERT」のリメイク版。速度域が明らかに上がった本作では前作より狭い道幅・ジャンプポイントにより姿勢を乱しやすく、難度が上がっている。
      • 特にDC版の「タイムアタック」では夕暮れで妙に暗く、ただでさえ視界が開けていなかったコース中盤の視界が更に悪くなっている。
    • SNOWY SS1
      • 隣接する小山以外には何もない雪原に設けられたコース。全長が若干短く「10イヤーズチャンピオンシップ」では2周走る事になる。
    • MUDDY
      • インドネシアの熱帯森林が舞台の高速コース。スタート区間や橋のみが舗装路で、それ以外はダートよりも滑りやすい泥で構成されている。
      • 道幅は全体的に広いが、泥路面のグリップ力低下とあらゆる所にある激しい起伏と泥だまりにより、思ったようなライン取りが非常にしづらい。
        それでいてSSによっては突然現われるほぼ直角の交差点や、ジェットコースターのような起伏を高速で抜ける必要が生じる為、更に難度が上がる。
    • ISLE
      • ヨーロッパ風な2つの小島を舞台とした舗装路コース。市街地の島は直角か緩めの両極端なコーナー、岩山の島はその中間的なコーナーやトンネルが多い。
      • 小島を繋ぐ道幅の狭い煉瓦橋、距離感が分かりづらい複合コーナー、死角・直角コーナーだらけなSS2の市街地周辺と、SS毎に全く異なった走りが必須。
    • SUPER S.S.(隠しコース
      • ポルトガルのラリーサーキット風のコースで、「10イヤーズチャンピオンシップ」の10年目第4コースを1位で走破すると現われる真の最終コース。
      • 内周・外周がある為、路面は舗装路とダートがほぼ半々、立体交差や急カーブもそれぞれ均等に配置されている。難度も当然ながら超上級。
        ゲーム内での1周は両方を走ってからカウントされる為、走行時間は若干長め。「10イヤーズチャンピオンシップ」では1周少ない2周のみ走る。
      • 「10イヤーズチャンピオンシップ」で当コースを1位で走破(厳密には規定タイムを上回れば良い)すると、オリジナルのエンディングが流れる。
        1度発生条件を満たして走破すれば「タイムアタック」モードでも選択可能となる為、1位になれなくても練習だけは常時可能となる。

評価点

  • 可能な限り再現されたグラフィックとプレイ感覚
    • AC版は当時最高峰の3D性能を誇った「MODEL3 Step 2.0」基板をフル活用していたが、その半分ほどの3D性能であるドリームキャスト版でもそれらが比較的再現されている。
      • 明らかな差異は、走行時の煙演出の大幅な劣化*6、車のモデリングの低ポリゴン&低解像度化*7、コース内に立ち入るポリゴンのギャラリーの人数が大きく減っている程度。
      • プレイ感覚も下記の処理落ちによる若干の差異が感じられるものの、AC版での走行・攻略法はそのまま使用可能で、その逆も然り。当時としては驚異的な再現度である。
  • ラリーの雰囲気を盛り上げる要素が更に増加
    • 「10イヤーズチャンピオンシップ」「タイムアタック」では悪天候の要素が追加、事前のコース情報や車自体の挙動を頼りに車をセッティングする楽しみが生まれた。
      • セッティングが面倒な人はタイヤだけ適切なものに替えれば良い。流石に「10イヤーズ~」の終盤で優勝するには各コース暗記と純粋なやりこみが必須だが…。
    • 車は新たにコースによってホイールが変わり、「SNOWY」ではライトポッドが装着されるようになった他、一部車種の別デザインや追加車種の選定が良い意味でマニアック。
    • 「カープロファイル」は、古谷氏がナレーションを勤める車番組「カーグラフィックTV」そのものな内容で、約1分半程と短いながらもディープな解説を全車種で行っている。
      • 一部車種の仕様が変更されているPC版では、わざわざそれに合わせて一部車種でWRCの98年シーズンの振り返りや99年シーズンの予想を含んだものが新録されている。
  • ゲームの雰囲気にあった各種新BGM
    • 作曲は澤田朋伯、長沼英樹の両氏によるもの。穏やかな「カーセッティング」から、ISLEの「KING OF ISLAND」等のアップテンポなBGMと、何れも場面にマッチしており評価が高い。
      • リプレイ時の次コース読み込み時の「繋ぎ」BGMも、後の『ジェットセットラジオ』を髣髴とさせるディスクスクラッチ音を多用した作りで、違和感なく溶け込んでいる。

問題点

  • DC版の非常に不安定なフレームレート
    • 本作でのデフォルトは可変式の60fps動作なのだが、画面内にCPU車や大量の背景物が出てきたり、雨・霧等の天候が絡むと途端に処理落ちしてしまう。
      30fps以下に落ち込み、描写が若干飛び飛びになってしまう事もある。これにより、AC版での魅力兼攻略の要だった繊細な操作性がだいぶ犠牲になってしまっている。
      • サターン版『セガツーリングカーチャンピオンシップ』のそれに比べればマシなレベルではあるが、プレイ時に鬱陶しい事には変わりない。
      • 幸いな事に、タイトル画面で「十字キー上・A・下・下・左・右・B・B・上」と入力すると30fps固定になる裏技があり、これを使えば処理落ちが目に見えて減る。
  • 各モードのラップ数や「タイムアタック」での天候変更が不可能
    • 例えばチャンピオンシップでは、前作移植版やアーケード版は各コース3周等とする設定があったのだが、何故か本作では1周(「RIVIERA」は2周)に固定。
      AC版+αな家庭用移植である割に、5分で終わってしまう「アーケード」モードすらプレイ時間を延長できなくなったのは明らかに問題点であろう。
      • 因んで言えば制限時間量の設定もアーケード版の5段階から3段階に減っている。
    • 「タイムアタック」では天候も各SS毎に固定されており、折角の天候要素が存分に活かされていない。再プレイへの意識が冷めやすくなっている。
      • PC版では全SSで晴れ固定となったが、天候を変化する機能などの追加は無し*8と、何れの版も痒い所に手が届いていない。
  • 「チャンピオンシップ」のものに統一されたAC版初出コースのBGM
    • AC版では「プラクティス」で異なるBGMが流れていたが、モード毎に固定されていた。別モードBGMへの切り替え機能を望んでいたプレイヤーには痛い変更である。
      • 一応、AC版での「プラクティス」用BGMはリプレイ時のBGMとして流用されている為、完全に聞けないと言うわけではないが…。

総評

AC版のグラフィック・プレイ感覚をおおむね再現しつつ、当時としては非常に多彩な新旧車種・コースにオンライン対戦を追加し、全世界にそのパワーを見せつけたDC最初期のヒット作。
頻発する処理落ち、AC版よりも各設定が減ったシステム類等の明らかな問題点もあるが、何れも単にプレイする分には問題は少なく、現在の基準でも良移植と言って差し支えないだろう。


余談

  • 海外版では日本のDC・PC版とも収録車種が一部異なっている。
    • 基本的には日本のPC版と同じなのだが、何故か106MAXIが削除されており、代わりにプジョー・206WRCとフィアット・セイチェントが収録されている。
      • このうち、206WRCは何故か計器類が一切用意されておらず、オーバーレブを示す赤いランプのみしか表示されない。
  • 本作のAC版・移植版の両方でアシスタントプロデューサーを担当した新井健二氏は、後にセガを代表するレースゲームとなる『頭文字D ARCADE STAGE』の1~8作目を手掛けた。
    • 同シリーズはリアルなグラフィック・ハンドル操作だけでドリフト可能なデフォルメ挙動・BGMはユーロビートと、ゲームデザインの各所で本作との共通点が見受けられる*9
    • 同氏の開発秘話*10によると、原作漫画でセガラリーの名が登場していた為、開発前のライセンス交渉時には氏の所属会社*11がセガラリーを開発した事をアピールしたらしい。

*1 この内、ルノー・マキシメガーヌのみ「アーケード」の「チャンピオンシップ」を順位問わずクリアすると追加される。

*2 当時のランサーエボリューションの欧州名。「カリスマ」自体は小型セダンのランサーとは関係が薄い中型セダンだが、世界中を転戦するWRCを販売に活かすため、ランサーとカリスマGTの2つ名が用いられた。

*3 97年仕様との差異はホイールとテールランプ程度。PC版では98年仕様は別デザインとして使用可能。

*4 「風」と表記しているのはタバコ広告規制により、「マルボロ」ロゴがバーコード状に修正されているため。

*5 アーケード版からあった3コースは、移植版では各シチュエーションでSS1・SS2・SS3と区別された。

*6 半透明ポリゴンで描写される煙の量が非常に少なくなり、タイヤから掻き分けられた細かな破片の描写は削除。

*7 細かい点ではプレイヤーネームの表示機能、ホイール内部のブレーキ描写が削除。

*8 強いて挙げるならば「時間が経つと徐々にコースの時間帯も変わる」という、プレイにはあまり影響しない要素が入った程度。

*9 同シリーズのPS2移植版では、作中のキャラが車のデモ走行をバックにその車の解説を行うという、本作の「カープロファイル」そのものなモードが存在する。

*10 「頭文字D ARCADE STAGE 4」の公式攻略本より。

*11 「セガ・ロッソ」。「頭文字D ARCADE STAGE」の当時、各開発部署はセガの経営戦略でそれぞれ会社として独立していた。