L.A.マシンガンズ
【えるえーましんがんず】
ジャンル
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ガンシューティング
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対応機種
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アーケード(MODEL3 Step 2.1)
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販売元
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セガ・エンタープライゼス
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開発元
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セガAM第3研究開発部
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稼働開始日
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1998年12月24日
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プレイ人数
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1人~2人
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判定
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ゲームバランスが不安定
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ポイント
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今度はアメリカ西海岸 迫力と爽快感の高さは健在 ゲームバランスの悪さも健在 敵や自機視点の動きは若干まともに
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概要
3Dガンシューティングゲームで、2年前に稼動した同社の『ガンブレードN.Y.』の続編。ストーリーの繋がりこそないがゲームの基本的な部分はほぼそのまま踏襲している。
本作では2025年のアメリカ西海岸を舞台に、アンドロイド兵を引き連れて襲撃を開始したテロ組織「R.O.M」と合衆国の最新飛行遊撃部隊「S.I.F.A.T」との戦いが描かれる。
使用基板は「MODEL3 Step2.1」を採用し、グラフィック面等で前作から格段に進化を遂げた。
特徴・ゲームシステム
前作同様に筐体に固定された巨大なマシンガン型のガントローラーを使い、画面上の敵を撃って倒していくのが目的。
敵の攻撃を受けてライフを全て失うとゲームオーバー。前作からの変更点は以下の通り。
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ステージ構成の変更。「LOS ANGELES」「ALCATRAZ」「LAS VEGAS」「YOSEMITE」の4つのステージを好きな順番で攻略し、全てクリアすると最終ステージの「VALLEY OF FIRE」へ進行する。
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後に選ぶ程、内部ランクが上がり難易度が上昇するため、難しいステージをランクが低い内に攻略するといった戦略性が生まれた。
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敵からの攻撃は一部を除きこちらのショットで相殺可能。攻撃前にはその敵へ攻撃を知らせるサイトがつく。
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敵からのミサイルの弾頭に新たに色がつけられるようになった。色は赤、青、緑の3種類で「
青
>
緑
>
赤
」の順で弾速等といった危険度が上昇する。
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スコア稼ぎ用のシステムとして新しく「コンボ」が追加された。
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撃ち込み判定がある物体を撃つと照準の周りにコンボゲージが表示される。ゲージは時間経過で減少していくが、全てなくなる前に再び撃ち込み判定がある物体を撃つ事で全回復する。
コンボが繋がっている状態で敵を倒すと照準右下のコンボ数が上昇し、通常よりも多くのスコアを得る事が出来る。コンボゲージが0になる・「民間人」への誤射(後述)・または敵の攻撃でダメージを受けることによりコンボが途切れ、その時点で繋げたコンボ数により評価が表示される。
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なお、ランキングの記録対象は本作ではスコアのみとなり、一人プレイ、二人同時プレイ、各ステージ別に集計されるようになった。
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各ステージには遅延プレイ防止対策として制限時間が設けられている。ステージ攻略中に時間切れになると作戦失敗と表示され、強制的に次のステージへ進む。
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前半4ステージではクリアボーナスが得られなくなる以外のペナルティーはないが、「VALLEY OF FIRE」で時間切れになるとエンディングへ進むことなくゲームオーバーとなってしまう。
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前作では「撃ってはいけないキャラ」はいなかったが、本作ではステージ内に逃げ遅れた市民や警官、作戦での救出や確保対象等といった「民間人」が紛れている事がある。
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「民間人」をこちらのショットで誤射してしまうと1回につき-5000点の減点ペナルティーを受け、コンボが繋がっている場合はその時点で途切れてしまう。
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誤射による減点でスコアが0点を下回った場合、マイナススコアになり、スコア表示が
赤色に
変化する。
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筐体は前作と同じく、29インチCRTモニターのSD筐体と、大型50インチプロジェクターのDX筐体の2種類。
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SD筐体は前作のものを流用しているが、DX筐体は一新。筐体デザインが新規のものになった他、新たに振動機構内蔵のお立ち台「ベースシェイカー」が増設された。
ステージ
+
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Shoot a window to Select a mission!
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LEVEL:01 LOS ANGELES - DOWNTOWN
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突如「R.O.M」からの襲撃を受けたロサンゼルス市街の高層ビル街が舞台のステージ。
「R.O.M」のアンドロイド兵を相手に懸命に応戦する警官を援護した後、拉致された大統領の探索、救出へ向かう。
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ボスはティルトローター型の巨大戦闘ヘリ「Black Judge」。小型ミサイル以外に、6発の小型ミサイルを内蔵した大型ミサイルも撃ってくる。また機体からジェットパック兵が出撃し、攻撃を行う。
攻撃自体は比較的穏やかだが、大型ミサイルを分裂させてしまうと対処が難しくなる。左右のエンジン部は破壊することが可能。
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LEVEL:02 ALCATRAZ - MILITARY PRISON
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アルカトラズ刑務所に収監された「R.O.M」幹部の救出を試みる「R.O.M」を撃破するステージ。
前作では見られなかった水中対応型の敵が登場する等、水上での戦闘がメインとなる。ステージ開始時の濃霧の演出が印象的で、クレーンデッキには看守がいる。
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ボスは巨大人型兵器「Xenophobia」。高速で移動したり、海に潜った後飛び出しながら大量のミサイルを乱射する強敵。
撃破寸前になると巨大なビームランチャーを装備して最後の攻撃を仕掛けてくるが、この攻撃は発射と同時にダメージとなるため、撃たれる前にボスを倒さなければならない。
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LEVEL:03 LAS VEGAS - THE STRIP
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現金輸送車を襲撃し、夜のラスベガス市街地を占拠した「R.O.M」を殲滅するステージ。
ステージ内には逃げ遅れたりパニック状態の市民が多数存在し、誤射が起きやすい。道中ではミサイルで攻撃するタイプの敵の他、目の前に張り付いた後、鉤爪で引っかきにくるタイプの敵や何発も連射しないと倒せない敵も登場する。
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ボスは5台の機動砲台「Out flankers」。フォーメーションを組み連携攻撃を行う。演出として時折砲台同士で連携用のレーザーが展開される。
台数が少なくなる度に移動速度が上昇。攻撃も激化する。
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LEVEL:04 YOSEMITE - UNDERGROUND BASE
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カリフォルニア州中部・ヨセミテ国立公園内に建造された「R.O.M」の地下基地へ攻撃を仕掛けるステージ。
前半4ステージの中では最も攻撃が激しいステージであり、ステージ開幕の時点で対処を誤るとあっさりとダメージを受けてしまったりと終始気が抜けない。
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ボスは機動兵器「Triskelion」。始めは機体に付けられた作業用アームで攻撃を行い、アームが破壊されるとドリルミサイル6連ランチャーを二基を追加搭載する。
更にランチャーを破壊するとコクピットが開き、中の搭乗者が攻撃を仕掛けてくる。この搭乗者を倒すとボス撃破となる。
特徴で触れた通り、以上の4つのステージを全てクリアすると最終ステージへ進む。
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FINAL MISSION VALLEY OF FIRE - 6000 FEET ABOVE
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西海岸一帯を再襲撃しようと、ネバダ州バレーオブファイヤー州立公園上空を飛行する「R.O.M」の超弩級空中空母「Load of the Pit」を迎撃するステージ。
オープニングデモで登場した「R.O.M」の首謀者がここで姿を現す。なお、このステージのみ「民間人」が登場しない。
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ステージ全体がボス戦となっており、空母に設置された砲台や搭乗した兵士、空母を守るジェットパック兵等が相手。最終ステージだけあってその攻撃は熾烈そのもの。
ある程度敵を殲滅させると空母コクピット前方へ回り込み、エリート部隊「フェルタグリフ隊」からの猛攻を凌ぎつつも空母撃破を試みる。
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ちなみにコクピットへの攻撃の際、コクピットの様子を覗くことができる。中では首謀者が威勢よく指図をしているが、空母の耐久値が少なくなると怯える演出がある。
空母を撃墜するとボス撃破となり、エンディングになる。
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評価点
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「MODEL3 Step 2.1」による格段に進化したグラフィック。
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前作から一目で分かる進化点。当時のセガの最新基板だった「MODEL3 Step 2.1」の性能をフルに活用したグラフィックは現在の視点から見ても華麗の一言。
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全体的に角ばったものが多かったキャラクターのモデリングは丸みを多用した自然なものになり、敵撃破後の爆発やショット着弾時の火花といった演出はより派手に強化された。
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舞台が現代から近未来になった関係で、実在のニューヨークを忠実に再現した前作とは異なり、あくまでモチーフの形になったものの、各ステージの元となった場所の雰囲気は高いレベルで再現されている。
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特に実在のアルカトラズ刑務所が舞台となる「ALCATRAZ」ステージでの同施設の再現度は極めて高い。
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フレームレートも60fpsと滑らかに動作。二人同時プレイでは多少の処理落ちが発生する事もあるが、テンポを損なう程のものではない。
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前作譲りの爽快感の高さ
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リロードやサブウェポンの概念はなく、とにかくトリガーを引いて撃ちまくればOKというシンプルさ。前作経験者はもちろんのこと、そうでない人でも問題なくプレイする事が出来る。
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前作と同じく敵は主にアンドロイドであり、倒すと派手な爆発を起こしながら爆散する。また、ステージ上には破壊可能オブジェクトが配置されており、爽快感の高さに一役買っている。
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ドラム缶等の一部の破壊可能オブジェクトは破壊時の爆風で敵を巻き込んで倒すことができ、これを利用して敵を一掃するといった使い方も可能。
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作曲は前作から引き続き小山健太郎氏が担当。近未来が舞台ということもあって曲調がテクノ寄りにはなったものの、前作同様に爽やかさと熱さを両立した曲が多く、評価は高い。
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ネームエントリーのBGMが前作のもののアレンジとなっている他、本作のサウンドトラックでは未使用曲として前作のエンディングBGMのアレンジも収録されている。
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BGMの雰囲気はやはり同じく氏が担当した『電脳戦機バーチャロンシリーズ』を彷彿とさせるものが多い。前作とは異なり後にシリーズへ流用された曲こそないものの、シリーズを知った上で聴くとニヤリとなること必至。
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大迫力の演出面
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自機の視点はこちらの照準移動で若干の制御は可能だが、基本的には自動で行われる。
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前作同様に「近くの敵を追いかけるように動く」「敵の目の前、もしくは敵が集まっている所に近寄る」ように動くため、プレイ画面の迫力と臨場感の高さはガンシューティングの中でも屈指の高さを誇る。
なお、前作で見られた「敵が建物の中にめり込もうがお構いなしに追跡する」ヤケクソ気味な挙動は本作ではほぼ行わなくなった
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敵には人工知能を搭載。前作よりは多少マイルドになったものの、こちらの行動に合わせて敵も動きを変えてくるため、繰り返しプレイをしても新鮮な気分を味わいながらプレイできる。
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自機側が使用する乗り物が攻撃ヘリからホバーバイクに変わったことで高速で動きながらの戦闘が増加し、スピード感が上昇。
同時に前作では地上攻撃がメインだったが、本作では空中を飛行する敵が多くなったことで、空中戦が大幅に増加している。
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戦闘のシチュエーションも「お互い乗り物で移動しながらの高速機動戦」「多数の逃げ遅れた市民が居る中での戦闘」「列車を追跡して地下基地へ突入」等と実に多彩。先の展開を見たいという意欲を湧かせてくれる。
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一方で前作で存在した、敵の攻撃で建造物等が破壊される演出(「ビルに大穴が空く」「敵の攻撃でパトカーが吹っ飛ばされる」等)はほぼなくなった。
賛否両論点
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ボリューム面
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前作は全8ステージ、ゲーム開始時に3つのコースから選択できたのに対して本作はコース選択なしの全5ステージであり、単純なステージ数で言えば前作よりもボリュームは若干少なくなった。
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その代わりか各ステージの長さは全体的に前作よりも長めで、ステージの密度は上昇。クリアにかかる時間も1コース10分程度でクリアできた前作に対し、本作はコース制ではなくなったこともあり、25~30分近くかかる。
問題点
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相変わらずの凶悪な難易度
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前作の長所だった迫力・爽快感の高さを引き継ぎ、強化した一方でゲームバランスの悪さも残念ながら前作譲りとなってしまっている。
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前作で問題となったカメラワークや敵の動き等の仕様によって起きる「視点が変わった瞬間に撃たれる」「相殺できない至近距離から撃たれる」「画面外へ逸れそうな敵弾へ突っ込みに行って被弾」といった展開が本作でも頻発。
本作で発生するダメージの要因はこちらの技術云々ではどうすることのできない事故によるものが多く、かなり理不尽。
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その上、電源投入時間の増加やノーコンティニューの状態を維持すると内部ランクがみるみる上昇し、敵ミサイルの速度や物量、誘導性が強化。唯でさえ難しい難易度が更に凶悪になる。
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ミサイルの物量が前作よりも全体的に増えており、こちらのフルオートの連射速度では捌くのが厳しい状況が増えた。
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特に「ALCATRAZ」ステージのボス「Xenophobia」の6連同時ミサイルや「YOSEMITE」開始直後の猛攻は少しでも対応が遅れるとダメージが確定する非常にシビアな難所となっている。
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最終ステージ「VALLEY OF FIRE」の敵空中空母に設置された砲台群は一見ただの破壊可能物(カメラでも無視され、警告マーカーも出ない。)に見えるが、プレイヤーの視界に入っていれば容赦なくミサイルを撃ってくる。大量の敵を相手にしていたら視界の端からノーヒントでミサイルが突っ込んできて対処が間に合わない……なんてことがザラにある。余裕があれば砲台を撃ち、砲台からミサイルが来ても対処しやすいように敵の頭を撃って素早く始末できればかなり楽にはなる。
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前作同様にゲーム中にライフを増やす手段や発動後一定時間無敵になるサブウェポンは存在しない。にもかかわらず1つのステージの長さが前作よりも長くなった上でクリアしなければいけないステージ数が更に1つ増えている。
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今回は手連射にリミッターがかかっており、トリガー引きっぱなしでの連射速度が最速である。前作では手連射や連射装置で火力を底上げできたが(特に連射装置は威力絶大だった。)、そのアプローチも本作では通用しない。
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ザコ敵は頭部を撃てば前作同様に一撃で倒せるのでうまく活用したい。後半ステージほど攻撃が激しくなり、より硬い敵が多くなるので恩恵が大きくなる。素早く敵の数を減らすことで理不尽な被弾を受ける可能性を減らせるのだ。ゲーム後半で精密射撃できるほどのコンディションを維持できるかはまた別の話だが。
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前作では激辛難易度ながらもテクニックと努力次第ではワンコインクリアも可能であったが、本作では上記の仕様に伴う全体的な難易度の上昇やクリア時間の長さもあって
シングルプレイでは理論上ワンコインクリアは不可能
とされており、稼働から20年以上が経過した2022年7月現在もワンコインクリア達成の報告は無い。
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新要素が本作のゲームデザインと噛み合ってるとは言いがたい
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スコアシステムの「コンボ」はランダム性が強いゲームデザインを考慮してか、撃ち込み判定がある物体に1度でもショットを当てればゲージが全快する仕様になってるものの、自機側も敵側も高速で動き回る本作ではコンボを維持する事自体が難しい。カメラワークと敵の動きが噛み合わないと撃ち込み判定のある物体がなかなか画面に映らずコンボ切れ、という事態もしばしば。その対処としてか、破壊可能な背景以外にも多くの物体に撃ち込み判定が設けられているものの、なおコンボ継続は至難の業である。
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コンボが長く繋がった時のスコアの上がり様は見ててとても気持ちいいが、ランカークラスの超上級者でも獲得できるスコアが大きく変わってしまう事が珍しくないため、評価は微妙であった。
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前作では存在しなかった「民間人」は展開にメリハリをつける事にはある程度成功しているものの、誤射の回避にはやはり運が絡んでしまう上に「前作の撃ってはいけないものがないシンプルさがよかった」という声も多い。
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ライフ減少といったゲーム進行に影響するペナルティーはないため、誤射をしてもお構いなしに撃ちまくるという手もあるが、稼ぎプレイでは減点とコンボ終了のペナルティーがバカにならないため、無視できなくなってしまう。
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そもそも上記の通り、敵の攻撃が激しい本作では敵からの猛攻を捌くのに精一杯で「民間人」への誤射の回避に手が回らない状況に陥る事が多く、本末転倒となってしまっている。
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筐体の仕様
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前作のガンコントローラーをそのまま使っている関係上ガンコントローラーの振動が大きく、これによって精密狙撃が難しくなっている。長時間のプレイ後には手が痺れることも。
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更にDX筐体ではマシンガンの振動に加えてベースシェイカーからの振動(ボディソニック)もあるため、プレイ中の体への負担が大きい。
総評
『ガンブレードN.Y.』のゲームシステム等を踏襲した作品というだけあって爽快感と迫力面は折り紙つき。
一度巨大なガンコントローラーを握ってトリガーを引けば、掃射と破壊のカタルシスを存分に味わうことが出来る。
演出面での完成度の高さと細かい事を抜きにして撃ちまくってもOKなシンプルさから前作同様に本作を好むファンが多く、長期に渡りインカムを稼いだ他、稼動から20年以上が経過した現在でも設置されている所が見られる。
一方で、前作で指摘されていたゲームバランスの悪さは、改善しようとしてる部分は見られるものの残念ながら根本的な解決には至らなかった。
「コンボ」システムや「民間人」等の新要素もランダム性が強い本作のゲームデザインとの相性が悪く、受け入れられたとはとても言いがたい。
前作の時点でゲームデザインの事で開発者が「かなり無謀な事をしてしまった」とインタビューで語っており、調整しようにも限界があったものと思われる。
結局『ガンブレードN.Y.』そして本作のゲームデザインを採用した作品はこれを最後に登場しなくなる。アイデアそのものは悪くなかっただけに惜しい作品と言えるだろう。
移植
2010年に海外で『Gunblade NY & LA Machineguns Arcade Pack』のタイトルで『ガンブレードN.Y.』と共にWiiへ移植された。残念ながら日本未発売。
一部演出が変更・削除された前作とは異なり、作中でビルの破壊といった演出がほぼ無いためか、演出上の変更点はライフ表示の変更だけとなっている。
その後
セガが新たな固定式ガンコントローラーを採用したガンシューティングゲームのリリースは、2006年稼働の『レッツゴージャングル』までブランクが生じることとなった。
最終更新:2024年06月10日 07:12