ガンブレードN.Y.

【がんぶれーどえぬわい】

ジャンル ガンシューティング
対応機種 アーケード(MODEL2B)
販売・開発元 セガ・エンタープライゼス
稼働開始日 1996年
判定 ゲームバランスが不安定
ポイント ニューヨークの名所でドンパチ
迫力と爽快感はハイレベル
ゲームバランスは色々と難あり
ツッコミどころ満載な自ヘリの挙動
思わず感心するほど攻撃を避けまくる敵


概要

特殊攻撃ヘリコプター・ガンブレードに乗り込み、ヘリに搭載された機関銃でニューヨークを占拠したテロリスト組織を壊滅させるのが目的のガンシューティングゲーム。本作はセガのMODEL2B基板で制作された。 筐体は当時の自社製大型筐体作品と同じく50インチのプロジェクターを使用した大型の「デラックス筐体」とCRTモニターを使った小型の「スタンダード筐体」の2種類存在する。

ゲーム内容

  • ゲーム開始時に「EASY(国連ビル解放)コース」、「HARD(マンハッタン解放)コース」、「スコアアタックリミックス」の内どちらか一方を選択。
    • いずれのコースは4エリアに分かれており、全てのエリアをクリアするとゲーム終了となる。エリアの最後にはボス敵がいる場合もある。
      • 「スコアアタックリミックス」はエリア1~3では1分間、エリア4では2分間のスコアアタックを行い、エリアの成績次第で次のエリアが分岐するようになっている。他のコースとは異なり一人プレイ専用でコンティニュー及び途中参加はできない。*1
        「EASYコース」「HARDコース」については一人プレイでは全ステージクリアまでにかかったタイムがランキングの記録対象になる。二人プレイはランキングの対象外となる代わりに、ステージクリア時に各プレイヤーの敵撃破数が表示され、全ステージクリア時に敵撃破数が多い方が勝ちとなる競争要素が存在する。
  • 本作の特徴は筐体に固定されている巨大なマシンガン型のガンコントローラー*2である。
    • 射撃はフルオートで、トリガーを引きっぱなしで自動的に連射される。こちらの武器は機関銃のみでサブウェポンは存在しない。
      • 敵キャラは主にアンドロイドで、弾が命中するたびに「チュインチュイン」と音を立てて跳ね回り、数回当てると爆発する。普通に倒す場合は数発の撃ち込みが必要だが、ボス以外の敵は頭部へショット当てると一撃で倒すことが出来る。また、後述の敵の行動により敵が水中へ落下した場合でも即死する。
        敵の攻撃は全てこちらの攻撃で相殺可能。こちらへ攻撃を行おうとしている敵には効果音と共にその敵へサイトが表示されるため、複数の敵が入り乱れる混戦状況でもどの敵が危険か分かりやすくなっている。
        敵の移動にはAIが用いられており、撃ちながら銃身を動かした場合、その軌道を回避するような行動を取ろうとする。また敵キャラ以外にも破壊できるオブジェクトがある、地面に弾を当てると穴が空く、といった演出も当時としてはかなり派手でレベルが高い。


評価点

  • 上空から機関銃をフルオートでぶっ放す爽快感は抜群。
    • リロードや他作品に見られるボムの概念は存在しないシンプルさ。ひたすら撃って撃って撃ちまくればよい。
    • 敵を倒したり、ステージ上に設置された破壊可能オブジェクトを撃って破壊するたびに派手な爆発を起こし、ボスキャラ撃破時には巨大なキノコ状の大爆発を起こしながら爆散する。
      これらの派手な爆発演出は一枚絵のスプライトキャラではなく、ポリゴンを駆使して立体的に表現されるので視覚的なインパクトは絶大で、現在でも十分通用するレベル。
    • 撃つとペナルティーになるキャラが存在しないため、遠慮なく撃って壊しまくれるのも美点。
  • やはりというべきか使用基板「MODEL2B」から生み出される美麗なグラフィックによる画質のハイクオリティさは当時としては逸品モノ。
    • 実際のニューヨークにてロケを行い撮影した写真をもとに作られた当時のニューヨーク市街地のポリゴン&テクスチャマッピングによる再現度は非常に高い。
      • エリアの舞台も「タイムズスクエア」「ニューヨーク国連本部」「ブルックリン橋」「バッテリー・パーク」等とニューヨークの名所揃い。これらの場所でド派手な撃ち合いを楽しむことが出来る。
    • フレームレートももちろん60fpsと滑らかに動く。派手な演出が多いにもかかわらず処理落ちも殆ど見られない。
  • 当時セガAM3研のサウンドクリエイターを務めていた小山健太郎氏が手掛けたBGMは爽やかかつ燃える曲が多く、爽快感をウリにしていた本作の雰囲気にマッチしている。
  • ガンシューティング屈指の大迫力なカメラワーク
    • プレイヤーは機銃士担当であり、ヘリの移動は基本的には近くにいる敵を追いかける形で自動で行われる。
      • その挙動も「敵の目の前、もしくは敵が集まっている所に近寄る」ように目まぐるしく動くため、プレイ画面の迫力と臨場感はガンシューでも屈指の高さを誇る。時々「地中にメリ込もうが、建物にメリ込もうが、果ては狙っている敵そのものにメリ込もうが一切お構いなし」と半ばヤケクソな挙動を行うこともあるが。
      • また「エリア開始時の視点」や「敵の出現タイミング、攻撃方向」が毎回変わるため、繰り返しプレイをしてもマンネリを感じさせにくい作りとなっている。
      • このカメラワークについては後に開発スタッフが「せっかく3Dで空からの攻撃を生かすなら毎回視点が変わったら面白いのでは?」ということで実装したと語っている。
    • ただ、この点については本作の評価点であると同時に決して無視することのできない大きな問題点にもなっている。(後述)

問題点

  • お世辞にも良いとはいえないゲームバランス
    • 上述の通り、ガンシュー屈指の大迫力を生み出すことに成功している本作のカメラワークだが、ゲームバランスの観点から見るとこれがかなり問題のある代物となってしまっている。
      • 自ヘリが行う「近くの敵を追いかける」「敵の目の前、もしくは敵が集まっている所に近寄る」挙動は、それぞれ「視点が変わった瞬間に撃たれる」「ゼロ距離射撃・または一斉射撃される」リスクと常に隣り合わせということになる。
        そのため運が悪いと「相殺できない位置や距離から敵弾を撃たれて、回避不能なダメージを受ける」「画面外へ逸れそうな敵弾へ突っ込みに行ってダメージ」等とこちら側の操作ではどうすることもできない理不尽極まりない展開が起こることがしばしばある。
      • これらに加えて「AIを搭載した敵がこちらの攻撃に反応して回避行動をとる=敵の動きをパターン化できない」「カメラワークと敵の行動が噛み合わないと延々と敵を捕捉できない、逆に複数の敵と一度に向き合ってしまい一斉砲撃に遭う」「カメラが障害物に引っかかり続けて大幅タイムロス」「何故かボスからものすごく遠ざかり機銃が届かなくなる」等のランダム要素により、攻略において運任せになってしまっている所が多い。
        当然ながらハイスコアを狙う稼ぎプレイでも運が大いに絡んでしまうため、スコアラーからの評価もあまりよくなかった。とあるトッププレイヤーは「ありゃぁガンブレードNYじゃなくてガンブレードKYだ」と漏らすほど。
      • また、ゲーム中は視点が目まぐるしく動きまくるため、3D酔いに弱い人にはプレイそのものがかなり厳しいものとなっている。
      • この点については開発スタッフも「かなり無謀なことをやってしまった」とゲーム誌のインタビューで語っており、事実このカメラワークは『L.A.マシンガンズ』を最後に採用されなくなった。
    • カメラワークの仕様やランダム要素の多さ以外にも「ゲーム中ライフを回復させる手段が存在しない」「緊急回避用のサブウェポンが存在せず、敵の猛攻を機関銃だけで捌かないといけない」ことも難易度の高さに拍車をかけている。
  • 機関銃の連射速度の低さ
    • 機関銃の「フルオート」の連射速度が速いとはいえず、「複数の敵から一斉射撃をされると敵弾を全て相殺しきれない」といったことが起こりがち。
      • こちらのショットの連射速度の制限はかなり緩めに設定されており、トリガー連打の得意の有無にもよるが、手動で連射すると「フルオート」よりも遥かに速い連射が可能になる。そのため、上級者は手動で連射するのが常となっていた。
        それと同時に外部連射装置を使用した場合、難易度の高さが大幅に改善されるが、特殊なコントローラーを使う大型筐体ということもあってか、導入していた店舗は少なかったようだ*3。また、超連射したとしても敵の超反応と空気の読めないカメラは変わらないので、どうしても難しい部分は残ってしまう。
  • ガンコントローラーの仕様
    • マシンガンをぶっ放す感覚を再現しようとしたためか、コントローラーがかなり重い上、撃った時の振動がやたらと激しく、長時間プレイしていると腕が痺れる。振動が激しい分ブレも大きく、敵の狙撃に支障が出るほどである。
      • ゲームを有利に進めるために上述のザコ敵に頭部への精密射撃を行ったり、手動による高速連射を行うのだが、これらを実践する上でコントローラーの激しい振動が邪魔になるため、中にはワザと振動機能を切っている店舗も存在した。
      • 後の本作のシステムをほぼ踏襲した続編の『L.A.マシンガンズ』等のこの銃がそのまま「使いまわされた」ゲームでもこの問題は解決しなかった。

総評

爽快感と迫力は抜群なのに、ゲームバランスに問題がありすぎる惜しい作品である…という点は、『レールチェイス』シリーズを彷彿とさせる。
人工知能を搭載した敵や敵を追うように動くカメラワーク等は「毎回同じ展開で次第にマンネリを感じてくる」欠点に一石を投じるという意味では着目点はよかったが、調整を一歩誤るとゲームバランスが破綻しかねないゲームシステムの実装の難しさを改めて認識させる結果となった。

とはいえ、大迫力で爽快感の高い演出面と「小難しい事を考えずに撃ちまくって破壊しまくれる」シンプルさから「たまに思い出したようにプレイしたくなる」魅力を持っているのは確かであり、大ヒットこそしなかったが、長い期間に渡ってインカムを稼いでくれるゲームセンターにとってはありがたい存在となっていた。流石に当時と比べると数は少なくなったが、現在でも現役で稼動している所が見られる。
もし、運よく動いている筐体を見つけたら試しにコインを入れてみるのもいいだろう。ゲームバランスの悪さに目を瞑れば、大迫力の戦闘シーンと極上の破壊の爽快感を味わえるはずだ。


移植

  • 長らく家庭用ハードへの移植はされなかったが、2010年に海外で『Gunblade NY & LA Machineguns Arcade Pack』のタイトルで『L.A.マシンガンズ』とのカップリングでWiiへ移植された。残念ながら日本では発売されていない。
    • なお、日本未発売ではあるもののゲーム内に日本語字幕のデータは入っている事が確認されている。
    • 一部の演出が変更された以外は完全移植。演出面での変更としては「タイムズスクエアの看板が実在企業から自社製ゲームのものへ差し替え」「WTCビルの削除」「パトカーが吹っ飛ばされる場面でパトカーから他の車へ差し替え」「EASYコース3エリア目開始時のビルに大穴が空き、その後パトカーが吹っ飛ばされる演出の削除」が挙げられる。
      1つ目は権利関係。残りの3つについては本作稼動後に起きたアメリカ同時多発テロ事件への配慮と思われる。

余談

  • 本作のゲームバランスの悪さは開発側も痛いほど実感したようで『L.A.マシンガンズ』では自機視点移動や敵の回避行動のマイルド化でバランスの改善しようとした形跡は見られるが、理不尽な被弾が起きやすい点はほぼ変わらず、根本的な解決には至らなかった。
    また、この変更によってあまりに異常な自ヘリの挙動や、プレイしていて感心してしまうほどこちらの攻撃を巧みに回避しまくる敵兵…といった本作の絶大なインパクトが薄れてしまった事を残念がる声も挙がっている。
  • 本作の発売から10年後、発売元の競合会社であるナムコが発売した『タイムクライシス4』の1面後半に本作を髣髴とさせるようなヘリからの機関銃乱射ステージが存在する。
    プレイヤーから好評だったためか、更に9年後に発売した続編の『タイムクライシス5』の2面でも同じシチュエーションのステージとなっている。
  • 2020年現在、実機で遊べるロケーションはかなり稀であるが、東京・池袋にある「池袋ゲーセンミカド in オアシスプラザ」では本作を シンクロ連射付き で遊べる。文字通りゲームが変わってしまうレベルの威力は一見の価値あり。
最終更新:2020年08月12日 22:10