ラクガキ王国2 魔王城の戦い
【らくがきおうこくつー まおうじょうのたたかい】
ジャンル
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ラクガキ変身アクションゲーム
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対応機種
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プレイステーション2
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発売元
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タイトー
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開発元
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タイトー(ガラクタスタジオ)
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発売日
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2004年9月22日
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定価
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6,800円(税抜)
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レーティング
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CERO:全年齢対象
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廉価版
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TAITO BEST 2006年4月20日/2,800円(税抜)
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判定
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良作
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ラクガキ王国シリーズ ガラクタ名作劇場 ラクガキ王国 / 天才ビットくん グラモンバトル ラクガキ王国2 魔王城の戦い
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概要
「ガラクタ名作劇場 ラクガキ王国」の続編。
キャラクターを自分で描けることは同一だが、前作とはゲームジャンルが異なり、今回は3Dのアクションになっている。
ゲーム内容
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ラクガキに変身するアクションゲーム
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主人公は生身の状態に加え、3つまで「ラクガキ」をセットし、状況に応じて変身・切り替えができる。
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回数と時間に制限はあるものの、「ラクガキの杖」の「キャプチャー」機能で敵ラクガキ「ワルガキ」に変身することができ、未取得の技も獲得できる。
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ラクガキの状態では各キャラに設定された技を使って戦うことができる。
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描いたラクガキはボタンごとにワザを設定することができる。
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格闘ワザのコンボ中にショットを撃つ、フィニッシュに大技を仕込むなど、様々なコンボが作成できる。
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保持できるラクガキの数には限りがあるが、メモリーカードにも多数保管できるので、後で過去作品を掘り返すこともできる。
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敵は「ワルガキカード」をドロップすることがあり、入手するとその敵を変身や編集に利用できるようになる。
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敵の情報はサイズ以外はほぼ完全に再現されているため、魔改造するもよし、作り方の勉強をするもよし。
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さらに、いくつかのエリアにはランダムでレア敵が出現するため、カード集めがやりこみ要素にもなっている。
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倒した敵が落とす「メダル」を獲得すると経験値が溜まり、主人公がレベルアップしていく。
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レベルアップするとステータス以外にもワザのコンボ数やパーツの「やくわり」が増加する。
評価点
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基本的には前作と同一。描く腕と根気さえあればオリジナルから二次創作までなんでもアリ。
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前作の不満点を多く解消しており、よりイメージに合わせてキャラを作成することができる。
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描いたパーツの厚みを指定できるようになったり、コピーペーストが可能になったりと、描くための機能が大幅に強化された。
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色を自由に調整できるようになり、透明度まで調整できるようになった。透明/半透明が使えるようになった事については特に高い評価を得ている。
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ジャンルがアクションに変わったため、自分の作ったキャラを自由に操作できるのが前作より優れているポイント。
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基本に忠実なアクション性
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本作はアクションとしては変わったシステムも無く平凡である。
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逆に言うと操作系統で不快な要素もあまり見当たらず、平凡ではあるが安定した内容である。
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一方でマップギミックはプレイヤーの期待にきちんと応える部分があり、それを考えてワザを編成するのも面白い。
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例えれば、水場で氷ワザを行うと水面が凍って足場になったり雷ワザを使うと水場全域に攻撃が行き渡る、油に炎ワザを使うと燃えるなど。
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他にも敵味方問わずダメージを与えるトラップ類や攻撃すると虫系の敵が落ちてくる木といった、攻略に利用できるものからちょっとしたネタまでちょくちょく存在する。
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おもちゃ箱のような世界観
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魔王の力によって変えられたという設定のマップは背景が段ボールだったり、レゴブロックのようなデザインになっている。
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いくつかのマップは小人になったような感覚で散策できたりと、冒険心をくすぐる構造にもなっている。
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敵のデザインもある程度マップの景色に沿ったものになっており、なかなか作りこまれている。
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魅力的なキャラクターたち
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極端に性格の悪いキャラはおらず、ステージの合間に挟まれるイベントシーンもあまり緊張感は無い。
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誘拐されたはずの仲間が敵と呑気にお茶してたり、ライバルが主人公に恥ずかしい一面を見られたりとノリもゆるい。
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ボスもそれぞれキャラ付けが濃く、戦闘モードの見た目もそれを踏襲した印象的なものになっている。
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上記の通りザコ敵のデザインも妙なものから普通にカッコいいもの・可愛いものまで幅広く取り揃えられている。
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前作に登場したZUN氏のラクガキ「ハクレイのミコ」もデザインを変えて続投している。
賛否両論点
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ジャンルが変わってしまったこと
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前作がRPGだったため、アクションゲームが苦手だと多少苦労する場面がある。
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もちろん、アクションが好きであればこれはむしろプラスの要素になる。
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前作の戦闘システムが好きだった人からは否定的意見が強め。
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ひねりのないストーリー
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低年齢層を意識した作りだからなのか、話の展開が王道で軽く、大きな変化も無く終わってしまう。
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肝心の魔王も人間を捕らえただけで誰一人傷つけておらず、封印する必要があるほど邪悪かと言われるとかなり微妙。
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オチも敵味方が全員生存して共存エンドという締まりの無さだが、ゆるい世界観にはむしろ合っているかもしれない。
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長さもそれほどなく、創作にのめりこまずに進めてしまうと短い時間でラストに到達してしまう。
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主人公のピクセルはいわゆる「クソガキ」キャラで賛否が分かれる。
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王子という立場や年齢を考えれば妥当と言えるかもしれないが……。
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限界を感じてしまうラクガキ機能
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これは仕方ないことではあるが、自由度が高すぎるために発想に機能が追いついていないことがある。
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例を挙げると、色を発光させる機能や二点間をつなぐパーツ、腕などと動きを同期できる服のようなパーツが無い。
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きれいな円形やチューブ、錐体などの形状が作りにくい。
候補として提示される形状に無かったり、あったとしても大抵は先端が歪む、端が膨らむなどの問題がある。
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あまり拡張するともはやただの3Dモデリングソフトと化してしまうが、創作意欲旺盛なファンが中心のためこういった部分への要望は多かった。
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ワザの種類も自由度に対して少なめで、基本的に単発型中心で派生も単なる属性違いが大半。
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同時に何発も発射したり二刀流で同時攻撃などといったことはできない。
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モーションも大体決まっており、凝ろうとするとある程度は妥協することになる。
問題点
ゲームバランス・ゲームデザイン
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ワザの優劣関係が廃止され、近接攻撃を繰り出した側に短くない隙を生じさせる「ぼうぎょ」を破る手段が存在しない。
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敵側は防御された際の隙を狙ってくることは無いとはいえ、予備動作も無く、動作も速いワザに対しても超反応で「ぼうぎょ」してしまう。
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ボス「テレピン」がストーリー進行度に対して非常に強い。
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ボスエリアが狭く攻撃がよけにくい上、マップギミックも定期的に爆発を起こす(ボスには当たらない)ものと凶悪。
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楽な倒し方はあるが、知らないと詰むほどの難関に。
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状況次第で獲得できなくなるワルガキカードが存在する。
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ボス戦のザコはクリア後に再戦できるので回収できるが、イベント戦は再戦できないため取り逃すと入手不可になる。
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特に「デメグレイ」と「デメグレイS」は壁のない円形のエリアで戦うのだが、場外に落としてしまうとカードが入手できない。同エリアには当たると大きく吹っ飛ぶ振り子のギミック(敵にも作用する)まで設置されている為、特に初見では取り逃がしてしまいがち。
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マップギミックを利用して勝ったと思ったら、実は回収できなくなる罠だったというのは悪質。
ラクガキ
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描いたラクガキが想定外の判定を受ける。
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特定のメガ系(最高ランク)のワザを使わせたいのにタイプが想定どおりにならないことがある。
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ある程度はコントロールできるが、売り文句の「思いのカタチが強さに」なりにくいのがもどかしい。
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描いた手足もパンチやキックだけでなく、移動させる、ただ立たせるだけでも伸縮してしまう。
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小さいパーツは強制的に三角形に省略されてしまうため、「極小の車輪や球体」が描けない。
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少しでも描き替えるとモーションタイプとワザ構成が勝手に変わって(初期化されて)しまう。
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前作と比較して劣化した点
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カメラの角度を表示する機能が無くなり、ある意味精密に描きづらくなった。
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描きながらの動作チェックが出来なくなった。動作チェックするにはその都度「描き終える」必要がある。
総評
前作で高評価だった非常に自由度の高い「ラクガキ」要素をアクションゲームに落とし込んだ意欲作。
相変わらず粗はあるものの、その奥深さに心を奪われたプレイヤーも多く、様々な作品が生まれている。
アクションゲームとしても、3D空間を使った王道なギミックや隠し要素があり、やりこむ楽しさもある。
プレイヤー次第でラクガキの品質がどうしても左右されるのは難点だが、ハマる人はとことんハマる名作といえる。
余談
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インターネット上では本シリーズで作成された非常にレベルの高いラクガキが公開されている。
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仕様の裏を突いた意外なテクニックや驚愕の完成度を誇るものが多いので、製作の参考にするといいかもしれない。
最終更新:2024年05月27日 15:00