007 ナイトファイア
【だぶるおーせぶん ないとふぁいあ】
ジャンル
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FPS
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対応機種
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プレイステーション
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発売元
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エレクトロニック・アーツ
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開発元
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Eurocomr
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発売日
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2003年1月30日
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定価
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6,800円(税別)
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判定
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良作
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ポイント
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完全オリジナルストーリー 充実した対戦モード
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007シリーズ
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概要
小説及びそれを原作とした映画シリーズ『007』を基にしたゲーム。シナリオはオリジナルであり映画シリーズとは関連はほとんど無い。
キャストに関してはピアース・ブロスナン期を基準にしているが、後述するように吹き替え声優は「Q」を除き全く異なっている。
当時、日本では公開2か月前であった「ダイ・アナザー・デイ」のトレーラーが収録されている。
特徴
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難易度は「オペレイティブ(イージー)」「エージェント(ノーマル)」「00エージェント(ハード)」の3つに分かれており、難易度が高い程クリア時の『サブトータル』に倍率をかけたものが『エージェントボーナス』として加算される
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クリアした際の称号はブロンズからプラチナまで存在するが、プラチナを獲得するには、一度ゴールドの称号を獲得してから再度挑戦しなければならない。
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次作「エブリシング・オア・ナッシング」とは違い、純粋にスコアでプラチナが獲得可能。だが、その分スコア要求量は高く綿密な攻略ルートの確立が必要となっている。
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いわゆる「ボンドらしい行動」を起こすと獲得できる『ボンドスタイル』や、ミッションステージ内の特定の位置に複数配置されている『007ボーナス』を取得することも、ハイスコア達成には必要不可欠な要素である。
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前者はノーヒントであるが、後者は大抵遠回りになる道に配置されている。
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メインはFPS視点の白兵戦や潜入任務だが、一部ではヴァンキッシュや飛行機に乗るなどの乗り物系ミッションが存在する。
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アーマーは『ゴールデンアイ007』とは異なり、全てがアーマー値を全回復させるものとなっている。
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高所から落ちた際にはアーマー値ではなく、直接体力が削られてしまう。
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個々のセーブデータはゲーム内でコードネームを登録してプレイ内容、レコード、解放した隠し要素を保存できる。
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コードネームはマルチプレイにおいて他プレイヤーとの使い回しが可能。解放されたキャラなどを共有できる。
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シークレットコードを入力すると、本来の隠し要素を解禁することが可能。どうしても解禁が出来ない人や手っ取り早く対戦がしたい人向け。
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血の表現は相当抑えられており、あるとすればこちらが死んだ際に画面に血がなされるような表現程度しかない。
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セーブデータが無い状態で始めると、自動的に最初のミッションが始まる。
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対戦モード
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クイックゲーム
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シナリオでの敵である、ドレイク&ルーク&マキコを相手にバトルをするモード。
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1体3…というわけではなく、敵側も同士討ちをするので理不尽な難易度ではない。
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アリーナ
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ルールやステージを自由に設定できるバトルモード。
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プレイヤーがMI6側のキャラを選択した場合はフェニックス側を対戦相手として選択可能。逆も然り。
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チームアリーナ
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文字通り、チームで行われるバトルモード。
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MI6側とフェニックス側で分かれ、対決することになる。
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キャプチャー・フラッグ
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各陣地に置かれたフラッグを奪取し、自分の陣地に持ち帰ることで点数を稼ぐモード。
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アップリンク
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ステージ内に設置されたアンテナを過半数分、先に触れたチームの勝ちになるバトルモード。
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トップエージェント
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決められたライフ数(残機)内で、最後に残ったキャラの勝敗を決めるモード。
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デモリッション
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MI6側が、フェニックス陣地に位置するコンテナ装置を、所持しているサチェル・チャージで破壊するモード。
フェニックス側は制限時間内に守り切るのが役目。
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プロテクション
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上記のプロテクションで、破壊する側がフェニックス、防御する側がMI6となる。
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インダストリアル・スパイ
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ランダムで配置されているディスクを取得し、自分らの陣地にあるコンピューターに入れることで点数を稼ぐモード。
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ディスクは所持していると非常に大きくなるため、かなり目立つ。
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ゴールデン・ストライク
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映画にも存在する「ゴールデンアイ」のキーを半分ずつ集めてポイントを稼ぐモード。
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アサシン
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名前にマークがついたキャラを倒してポイントを稼ぐモード。
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キング・オブ・ヒル
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ステージのどこかに配置されている光るサークルに入っている間、ポイントが増加していくモード。
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評価点
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充実したマルチプレイ
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本作ではCPU4人とプレイヤー4人での8人同時対戦が可能。1人でも十分に対戦が楽しめる内容になっている。
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ボンド及び今作オリジナルキャラ達含め「ゴールドフィンガー」から「トゥモロー・ネバー・ダイ」までの映画シリーズ登場キャラも選ぶことができる。
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ボンドと今作オリジナルキャラのみだが、行動パターン、命中率や体力等の各ステータスを弄って調整することが可能。
映画シリーズ登場キャラは、固定ではあるが各キャラの特徴を尊重した調整となっている。
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キャラステータス以外でも「リスポーン地点とキャラの距離」「登場する武器の種類の制限」「所持できる武器数」等、細かい部分でのルール決めが可能。
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対戦ルールも前述の通り非常に多い。
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上記の対戦モード及びキャラクターは、シングルプレイでゴールドやプラチナを取得するたびに解放できる。シングルプレイはマルチプレイのために存在するといっていい。
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FPSでも体験できるスパイアクション
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007は殺しのライセンスこそあれど、一般人を巻き込んではいけない立場にある。当然傷つけた時点で任務失敗となる。
低難易度ならともかく、多勢を相手にすると非常に不利であり、基本的にボンドスタイルを決めたりガジェットを駆使して有利に進めていくのがセオリーとなる。
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また、スコアとしてもこれらは加点される要素でもあるため、ゲームの内容を理解していく=上達するということになる。
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気づかれずに警備兵を後ろから銃で突きつけると、敵が降伏する。この時には敵は一撃で倒れるほか『降伏ボーナス』として加算される。
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ただし、戦闘状態であったり終盤になると降伏できないこともある。
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豪華声優陣による吹き替え
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映画シリーズとは殆ど異なるキャストであるが、ジェームズ・ボンドは堀内賢雄、ドレイクは小川真司など、揃ってベテランなので演技面に関して違和感を抱くようなことはない。
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今作の悪女であるマキコを演じているのは女優の小池栄子。
流石に本業でないため演技がややぎこちないが、次作の伊東美咲と比べれば安定している。
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場面転換に合わせたBGM
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戦闘しているか否か、シナリオの進行具合によってBGMが転調し、ゲームを盛り上げてくれる。
問題点
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ボンドスタイルとボンドコレクトのヒントの少なさ
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どちらも最低難易度のオペレイティブでないとヒントが表示されない。それ以外の難易度ではノーヒントとなる。適当に進めても獲得できるものから、手順を踏まないと獲得できないものまで、難易度は千差万別である。
そのため、初回プレイもしくはボンドスタイル等の把握はオペレイティブが推奨される。
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次作では、ポーズ画面でヒントが表示されるようになった。
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シングルプレイのミッション数が少なめ
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全部で12つと、1人用としては物足りないボリューム。この物足りなさが、余計に本作を「マルチプレイが本番」と評価することになっている。
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MI6側のキャラが少ない
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フェニックス側は本作オリジナルキャラや歴代映画シリーズの敵役も含めて21人なのに対し、MI6側は6人。その内ボンドのコスチュームチェンジが3人と、かなりアンバランス。
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元々、ボンド以外のメイン出演となる味方キャラで戦闘向きなキャラはまず少ないため、仕方ないといえば仕方ないが…
とはいえ戦闘が出来るのか微妙なクリスマス・ジョーンズが入っていると、人選でも一部変な部分がある。
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1つ1つキーコンフィグ設定することが出来ない
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「ゴールデンアイ007」を意識したコンフィグなど、多くのコンフィグ設定はあるものの、1つずつボタン設定は出来ない。
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CPUのAIが弱い
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一定の距離だと撃たれても反応しない場合があり、一定のルートしか通らないため予測射撃が容易。
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更に、稀にではあるが壁に向かって走り続けることがある。こうなると死なない限りそのまま。
総評
『007』かつFPSということで『ゴールデンアイ007』とは比べられがちであるが、こちらでも原作の雰囲気を損なわないストーリー、多彩で盛り上がる対戦と負けず劣らずのクオリティを誇る。
こちらはお遊びモードといったようなものは無いものの多くの面で007ゲーとして高水準といっていいだろう。
特に多人数での対戦ではオススメしていい作品である。
余談
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「チェーンリアクション」開始前のムービーでは、舞台となる東京近郊の停止された原子力発電所が映されるのだが、ズーム前は高知県、ズーム後は和歌山県になっている。
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元の文でも東京であるため、誤訳ではない。色々とツッコミどころが多いムービーである。
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海外ではGC/GBA/Xb/Win/Mac版も発売されている。
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特にCS版と比べて最も違うのはWin/Mac版。大筋のストーリーは同じだが乗り物系ミッションは全て廃止、代わりに幕間を繋げるミッションが追加されていたり、ステージのグラフィックや一部キャラの末路が変更されているなど、変更点を見るとほぼ別ゲーと言っていい程。
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もっともWin/Mac版の開発は『Borderlands』シリーズや『Brothers In Arms』シリーズ、『Battleborn』などのFPS/TPS作品を数多く手がけているGearbox Softwareが担当しており、むしろPC向けの仕様に手直しをしたとも考えられる。また、Win/Mac版のゲームエンジンには『Half-Life』で使われていたGold Sourceエンジンを改造したものが使われている。
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「007は二度死ぬ」以来の日本が舞台となるステージが幾つか存在するが、日本観が怪しい。
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「ダブルクロス」ではヤクザや使用人が皆日本人なのだが、やはりというべきか女性使用人はチャイナドレスかタオル1枚、ヤクザはリーダー格がスキンヘッドの頭にネクタイを巻いている、いわゆる「酔っ払いのサラリーマン」スタイル。
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海外版では、ヤクザは「奴はここにいるぞぉ」「奴を仕留めたぞぉん(仕留めてなくても言う)」など、胡散臭い日本語になっている。
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ニンジャ(ボス)は全身ラバースーツで目の機械的なレッドアイが非常に怪しい。
しかし、この手の忍者としてはちゃんと忍者っぽくしている。
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庭園内の小屋に「西条ステ 愛媛県…」と書かれた貼り紙があるが、愛媛県に実在する西条ステーションホテルの事だと思われる。このゲームとの繋がりは無いと思われるが真相は不明。
最終更新:2024年07月13日 22:56