ソロモンの鍵2 クールミン島救出作戦
【そろもんのかぎつー くーるみんとうきゅうしゅつさくせん】
| ジャンル | パズル |  | 
| 対応機種 | ファミリーコンピュータ | 
| メディア | 2MbitROMカートリッジ | 
| 発売・開発元 | テクモ | 
| 発売日 | 1992年1月24日 | 
| 定価 | 6,200円(税別) | 
| 判定 | 良作 | 
| ポイント | 前作とゲーム性や雰囲気は全くの別物 パズル初心者から上級者まで楽しめる
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| ソロモンの鍵シリーズ ソロモンの鍵 / 王女リヒタの涙 / ソロモンズ倶楽部 / ソロモンの鍵2
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概要
『ソロモンの鍵』の続編。それまでは『王女リヒタの涙』『ソロモンズ倶楽部』など1作目をベースとしたアレンジ移植のようなタイトルが複数あったが、こちらは完全新作である。
アクション要素が高かった前作とは大きく異なり、ほぼ純粋なパズルゲームとなっている。
ストーリー
雪の降る夜、暖炉のそばで、おばあちゃんが子供たちに語る昔話。
はるか北にあるという、冬の妖精たちが平和に暮らす氷の島「クールミン島」。
ところがある日、邪悪な魔法使いドルイドルが島に現れ、
炎の魔物を放ってしまいました。
さあ大変。このままでは島が溶けてしまいます。
妖精の女王は、当時まだ新米魔法使いだったダーナを呼び出し、
邪悪な炎を打ち消す氷の魔法を授けたのでした。
ダーナの知恵と勇気が平和を取り戻してくれることを願って…。
特徴
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一画面固定型・サイドビュー方式のパズルゲーム。
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一部ボス面に多少のアクション要素はあるものの、それ以外は詰将棋のような沈思黙考型の純粋なパズル面。
 
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主人公ダーナは「氷の魔法」を使える。
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自らの立っている足場につながる形で前方の足元に1ブロックの氷を出現させる。同じ手順で消すこともできる。
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1ブロックの氷を横から押すことで、障害物にぶつかるか足場の切れ目から落ちるまで滑るように移動させられる。2ブロック以上の氷は押せない。
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足場につながっている長い氷の根元を切るように消せば、切った先の氷は下に落ちていく。
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終盤に登場する石は通常1ブロック分しか進まないが、氷の上で押すと氷でない足場まで滑って行く。
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ダーナはジャンプできないが1ブロック分の段差は登れる。またステージ上のギミックである土管を通ることでも移動できる。ただし出口が氷や魔物で塞がっていないことが条件。
 
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ステージ上にいる炎の魔物に氷か石を上から落とす、あるいは横からぶつけると倒すことができ、画面上の炎の魔物をすべて退治できればステージクリア。
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ステージは全部で100面。10のワールドに分かれ、各ワールドはそれぞれ10のラウンドを内包する。
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各ワールドの10ラウンド目はボス面。少しずつ上に強制スクロールしていく(取り残されるとミス扱いになる)面と、炎の魔物が上下あるいは左右に往復する面が交互に出現する。
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ほとんどの面には順不同で自由に挑戦できるが、ボス面はそのワールドの1~9ラウンドと、それまでのワールドのボス面すべてをクリアしなければ挑めない。またワールド10は、ワールド9のボス面をクリアすると出現する。
 
評価点
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骨太のステージの数々
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全100ステージという、前作の2倍に増えた良質なパズルが待ち受ける。
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すべてクリアすれば、エンディングでさらに50ステージの裏面を遊ぶ方法を教えてもらえる。
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方法さえ知っていればクリアしていなくても裏面へ行くことはできる。
 
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難易度も序盤は簡単なステージから始まり、徐々に新たなギミックを増やしつつ難しくなっていく。終盤や裏面には一筋縄ではいかないステージも多い。
 
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パズルに特化した多数の親切設計
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残機制度無し、制限時間も無し、無制限にコンティニュー可能、まきもどし(アンドゥ)機能付き。
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更にはポーズをかけても画面表示はそのままなので、じっくりと腰を据えて試行錯誤を繰り返しつつ考えることができる。
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ボス面のみ若干のアクション性が混じる都合上、まきもどしは不可。
 
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進化した演出面
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ファミコン末期の作品だけあって、グラフィックも美しく仕上がっている。
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個性的なBGMも秀逸、かつ思考の邪魔にならない。
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おまけ程度ではあるが、ストーリーも日本語(ひらがな)で表示されるためわかりやすい。
 
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エディット機能搭載
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オリジナルの面を自由に作ることができ、最大22個までセーブしておける。
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本編・裏面あわせて150ステージを遊び尽くした後も、これにより更なる難問を追求できる。
 
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バグの少なさ
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目立つバグは特に無く、安心して遊ぶことができる。エディット機能で変な面を作ると挙動がおかしくなることはあるが、そこまでいくとさすがに自己責任の範疇だろう。
 
問題点
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前作『ソロモンの鍵』との関連性が薄い
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共通点は「一画面固定型のサイドビュー形式」「主人公がダーナである」「足元に石(氷)を出す様子が似ている」程度。
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雰囲気も一新されている。前作のストイックさと比べ、ファンシー性が大幅に増した。
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ここまで差異が大きいと、もはやタイトルが似ているだけの別物と言っても過言ではあるまい。
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これらのせいもあってか、北米NES版では『Fire'n Ice』という全く異なるタイトルで発売された。
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一方、欧州NES版の方では日本FC版タイトルを英訳した『Solomon's Key 2』として発売。実は北米版も当初はこのタイトルでローカライズする予定だったが、最終的に発売時に上記のように北米版のみタイトル名が変更された。
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後述のように、元々本作自体が当初全く別の作品として企画・開発されていた経緯からすれば北米版タイトルのほうが適切という意見もある。
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なお、欧米版ではバックアップ機能が削除されており、ゲームの進行具合がパスワードコンティニューとなり、エディット面が保存できない。
 
 
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時間計測機能が空気。
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画面右下に経過時間が表示されているのだが、上述通りポーズによりタイマーを止めたままじっくり考えられるので、時間を測る意義が薄い。「最短手順でクリア」というやり込みは一応可能。
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ベストタイムをセーブデータに記録できないどころか、面クリアしてステージ選択画面に移った時点で確認不可能になるため、録画でもしておかない限りタイムを証明する手段が無い。
 
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中途半端なラスボス戦
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攻撃を当てる手順がわかればあとはほぼ作業。
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パズルとアクション、どちらの要素もあるラスボス戦だがなんとも中途半端な出来。
 
総評
前作からゲーム性・イメージは様変わりしたものの、パズルゲームとしての完成度は高い。
機能面は親切で、ステージごとに難易度も幅広く、パズル初心者から上級者まで楽しめる事請け合い。
高難易度のパズルゲームに慣れたプレイヤーなら終盤のステージもそれほど苦戦しないだろうが、それでもエディット機能があるため、とことんまで道を究めることが可能。
余談
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株式会社ハムスターがYouTubeにて配信している「アーケードアーカイバー」の第387回において、コーエーテクモゲームスの原尾宏次氏によって当時の企画書の一部が公開された。(ソース)
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当初のタイトルは『ICE KID』。前作のデザイナーの鶴田道孝氏がテクモ退社後に持ちこんだ企画である。
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タイトルが『ソロモンの鍵2』になった理由は当時のテクモのコンシューマ販売部門の要望によるもので、オリジナルタイトルで売るよりも『ソロモンの鍵』の知名度を利用することが得策と考えたようである。
 
最終更新:2024年06月01日 20:32