くりきん ナノアイランドストーリー
【くりきん なのあいらんどすとーりー】
ジャンル
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アドベンチャーRPG
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対応機種
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ニンテンドーDS
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発売元
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任天堂
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開発元
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メディアカイト、サザンクリエイト
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発売日
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2007年5月24日
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定価
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4,571円(税別)
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プレイ人数
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1~2人
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セーブデータ
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1個
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レーティング
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CERO:A(全年齢対象)
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判定
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良作
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ポイント
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独特の世界観ながらよく練られたシステム 唯一無二のゲーム性ゆえ、続編を望む声が絶えない
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概要
メディアカイト開発、任天堂発売のニンテンドーDS用ソフト。
いわゆる育成収集タイプの対戦型RPGで、プレイヤーはナノアイランドの外からやってきた転校生として、キンと出会い、キンバトラーとして成長していく。
ストーリー
世界のどこかにある島、
「ナノアイランド」。
そこには「キン」と呼ばれる、
ふしぎな力を持つ小さな生物たちが
たくさん生息している。
あるひ、キンを学ぶ学校「ナノアカデミー」に
1人の転校生がやってきた…
(公式サイトより引用)
特徴
キン
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サイズ
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「S」「M」「L」のサイズがあり、基本的にサイズが大きいほどHP、攻撃力が高くなり、サイズが小さいほど増殖力、移動速度が高くなる傾向がある。
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属性
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「ソリッド」「エッジ」「ヴェール」の属性があり、ソリッドはエッジに、エッジはヴェールに、ヴェールはソリッドに強い三すくみになっている。
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キンの種類
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原生キン
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新種キン
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コユウキン
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主人公に生息する最初に手に入れることになるキン。全滅して失った場合は理科室でチュウシュツしてもらうことで、再度手に入れることができる。
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かくれキン
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適正環境
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℃(温度)とpH(ペーハー)があり、℃は「高温」「中温」「低温」、pHは「酸性」「中性」「アルカリ性」がある。
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シャーレの環境がキンの好みの場合は増殖力が上がり、苦手な環境だと増殖力が下がる。
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なお、好みの℃が中温、もしくは好みのpHが中性のキンの場合、シャーレの環境の影響を受けない。
サイシュ
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サイシュスポイトでいろんな場所からキンをサイシュし、シャーレで培養することでキンを手に入れることができる。
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サイシュモードに切り替えて、任意の場所をタッチすることで、キンをサイシュすることができる。
キンバトル
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キン同士をシャーレ内で戦わせるバトル。
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最初にバトルさせるキンを選ぶ。この段階で、制限時間と勝利条件、シャーレの形と環境を確認できる。
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キンを動かすにはタッチペンを使い円で囲んだ後、行先までスライドさせることで動かすことができる。
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キンは動かさなければ勝手に増殖を始める。増殖するにはある程度のスペースが必要で、またマイクに息を吹きかけることでキンの増殖を促すことができる。
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円で囲んだ後、マイクに息を吹きかけるとキンを散らすことができる。
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キンにはやる気があり、増殖を続けるとやる気が無くなり、攻撃や増殖を行わなくなってしまう。下画面を最大まで拡大して、キンをタッチするか、移動させることでやる気が復活する。
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バトルで相手のキンを全滅させると、全滅させたキンを手に入れることができる。逆にこちらのキンを全滅させられると、そのキンは失われてしまう。
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技玉
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バトルによってはシャーレに「技玉」と呼ばれる玉が出現することがある。技玉を攻撃して壊すと、キンごとにある「必殺技」が発動する。
キンバトルの種類
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ノーマルバトル
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一般的なルール。対戦相手のキンを全滅させるか、制限時間がなくなったときに、相手よりも勢力が強ければ勝利となるルール。
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ゼンメツバトル
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対戦相手のキンを全滅させれば勝利となるルール。相手のキンが1匹でも生き残っていると引き分けとなる。また、上画面には相手のキンの数が表示される。
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ボスバトル
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お互いのキンのうち1匹が「ボス」となり、相手のボスを倒したほうが勝利となるルール。ボスとなったキンの能力に変化はなく、増殖もしない。
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キンサッカー/キンバスケ
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シャーレの端にあるゴールに自分のキンを入れ、入ったキンの数(得点)を競うルール。ゴールに入ったキンは消滅する。
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2キンバトル
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お互いに2種類のキンを使うバトル。中盤以降はこの2キンバトルが基本となっていく。
評価点
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「キン」をテーマとした世界観
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この手の育成収集、対戦ゲームとしては珍しく極小サイズの「菌」や「微生物」を元ネタとして扱っている。
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キンは作中で戦わせるだけではなく、食べ物にいれたり、薬として使ったり、床にかけるワックスとして使ったりと、多種多様な使われ方がしており、その世界観は独特であり、魅力的である。
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最初は学校を舞台にした明るい雰囲気で物語が進んでいくが、次第にキンを悪用する勢力が現れて緊張が高まり、最終的には島全体を巻き込む大事件へと発展していく。この濃密なストーリーの虜となったプレイヤーも多い。
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作中で主人公たちがキンのサイシュや対戦などに使うNDS(ナノデータサンプラー)はDS本体を模っており、ゲームへの没入感の向上に一役買っている。
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個性的なキン
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図書室で見ることができる「キンずかん」では、それぞれのキンの特徴の他に、キンの歴史と現実での花言葉のように「キンことば」がつけられている。
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キンはキンごとに様々な個性を持っており、MサイズでありながらSサイズ並みの増殖力を持つ「ブリゴキン」、Lサイズだが高い移動速度を持つ「スティングラー」など、型にはまらないものも多い。
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キンバトルの面白さ
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DSの特徴であるタッチ操作や、マイクを使った操作を存分に使っており、その完成度は高い。
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キンの塊を2つに分けて、一方を攻撃に、もう一方を増殖に使うなどといった戦略を練る楽しさもある。
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中でもLサイズに関する用兵術は奥が深く、攻略サイトでは専用のページが作られるほど。
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Lサイズのキンの多くは「増殖しにくいが、増えれば他のサイズを圧倒できる」という特徴があり、上級者の対戦では
いかに自分のLサイズを増殖させるか
が鍵となることも多い。その結果、増殖中のLサイズを守ったり、相手の増殖を妨害するためのS、Mサイズが活躍する。
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上画面では常に対戦フィールドが拡大表示されており、自動的に戦闘が激しい場所の様子が映し出される(手動操作も可能)。キンがさまざまに表情を変えながら奮闘している様子は見ていて楽しい。
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ボリューム
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本編では20章以上に渡るストーリーが展開され、それだけでも十分なボリュームだが…
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クリア後について
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エンディングを迎えると「バトルトーナメント編」が始まる。
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メインとなるキンバトル大会とは別にサブシナリオも多数展開され、キャラの一面がより深く掘り下げられる。
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本編中では選択肢次第でスキップできるバトルがかなり多い。とにかく物語を先に進めたい人や、収集育成をメインに遊びたい人に優しい仕様。もちろん、バトルすれば経験値や高レベルのキンが手に入るので、相応のメリットがある。
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音楽
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バトルのBGMは、ミクロの世界での戦いにマッチしたテクノ風の音色と、RPGらしい熱いメロディーが融合した楽曲が多く、人気が高い。
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クリスタルキングの歌うOPテーマ「くるくるくりくり」もなかなかの名曲。エンディングテーマは本編最終章と同じタイトルであり、穏やかながらも元気をくれる曲である。
問題点
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キンのコンプリートが困難
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特にコユウキンは全部で15種類もあり、ストーリーを進める上で2回しか入手チャンスがない。
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期間限定で配信されたかくれキンも、現在では入手が非常に困難。
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とある新種キンはNPCが使わないキンが配合元となってるため、上記のキンを含め通信プレイを活用しなければコンプリートは不可能。
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その通信プレイも、キンの受け渡しをするには、対戦で相手のキンを全滅させて奪い取る必要があるためかなり面倒。
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Wi-Fi対戦や通信交換といった要素が無いのも、痛いところ。
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すれちがい通信にあたる「すれちがい感染」はあるのだが、渡したいキンを選んで渡せるわけではないので、やはり面倒。
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もっとも、キンをコンプリートしたところで称号が手に入るだけであり、何かしらの特典があるわけでもないので、気にならない人は無視してもかまわない。
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新種キンの入手がランダム
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確率はキンごとに違い、高いものだと80%ほどだが、低いものだと10%や5%と低確率なものもいる。
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キンの強さの優劣が激しい。
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本作ではキンを強化する手段がレベル上げしかなく、また防御力、増殖力、移動速度はレベルを上げても変わらないため、素のステータスが弱いキンはいくら育てても弱いままであり、お気に入りのキンを自由に使うといったことが難しい。
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原生キンより新種キンの方が強い傾向がある…というわけでもなく、苦労して作った新種キンが微妙な性能だったということもよくある。
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タッチでキンのやる気を復活させるのが面倒。
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いちいち下画面を最大まで拡大する必要があるタッチよりも、キンを動かしてやる気を復活させる方が遥かに楽であり、タッチを選ぶ理由がない。
総評
知名度は低いながらもDSの特徴をしっかりと生かして作られており、キンにスポットを当てた世界観などゲームとしての魅力は十分。
ゲーム内容はキッズ層向けではあるものの、隠れた「名作」として称されるには申し分ない出来となっている。
余談
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ゲーム雑誌『ファミ通DS+Wii』の別冊付録「ファミ2コミック」に、2007年8月号から2008年2月号までの間、漫画が連載されていた。
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ちなみに漫画版の主人公は男の子でコユウキンは「コアクマニア」。内容はゲーム版の流れを元にしたエピソードもあったが、オリジナルのエピソードも多く、月刊誌での連載ということもあり、最終回もゲーム版と違い転校エンドとなった。
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続編を望む声も少なくないが、開発元のメディアカイトは本作発売後の同年8月に破産宣告を受け倒産している。
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『くりきん』の権利は今も任天堂が持っているらしく『スマブラSP』にスピリッツの一つとして登場している。そのため続編が出る可能性は0ではない……かもしれない。
最終更新:2023年04月19日 15:44