咲かせて!ちびロボ!
【さかせて ちびろぼ】
ジャンル
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花咲かちびアクション
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対応機種
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ニンテンドーDS
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発売元
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任天堂
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開発元
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スキップ
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発売日
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2007年7月5日
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定価
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5,040円(税別)
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プレイ人数
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1人
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セーブデータ
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3つ
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対象年齢
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CERO:A(全年齢対象)
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判定
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なし
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ポイント
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公園作りに特化 薄味になった物語
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ちびロボ!シリーズ ちびロボ! - 咲かせて! - Wiiであそぶ - おかえり - 実写で - ぐるぐる!
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概要
ニンテンドーゲームキューブで発売された任天堂xスキップの作品『ちびロボ!』の第2弾に当たるゲーム。
前作はサンダースン一家を舞台に悩み事を解決していく内容だったが、本作では配属された公園で花をいっぱいに咲かせるのが目的となる。
システム
ちびロボのスペック
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概要
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電気で動く身長10cmの人型ロボ。尻尾のコンセントを差し込むことで充電できる。
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幸せや感謝の気持ちを受け取って電力に変換できる。
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会話
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人だけでなく、おもちゃの考えていることを理解できる。ただし質問に対しては、頭の中にしまってある「○」「×」のパネルにて答えることのみ可能。ちびロボ自体は話すことができない。
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本作では、新たにお花を咲かせるプログラムが組み込まれるようになり、お花から種を出したり水やりが可能となった。
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アイテムの出し入れ
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頭のカプセルは4次元ポケットのようになっており、チビどうぐと呼ばれる専用道具や消費アイテム(4個まで)を持ち歩ける。
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チビどうぐには、乗り物やお花を咲かせるためのラジカセ、ポンプなどがある。
タウン
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ノラおもちゃ
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人間に捨てられてしまったおもちゃが、人目を忍んで活動している。
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彼らに電力を分け与えて動けるようにすると友達になることができ、公園作りを手伝ってもらえる。
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1度に仲良くなれるおもちゃの数は3人まで。
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沢山手伝わせると(2回ほどが目安)彼らの電力が切れてしまうため、再度町を探して彼らに電力を分け与える必要がある。
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特定のおもちゃが仲間にいる状態で、新たに友達として引き込むと、特定のイベントが発生する。その後再度電池切れを起こさせてから充電することで親友にランクアップする。
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猿のおもちゃは公園作りを手伝わすことができないが、新たな踊りを教えてもらったりできる。
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花屋さん
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新規開店したはよいのだが、花が世界的に減っているため商売に困っている人。
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ほしい花の色や虹色の花を届けると感謝の度合いが大きい。
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黒や白の花も届けられるが、あまり喜んではくれない。
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ちびロボは、上述のように感謝から電力を得られるため、公園作りには欠かせない拠点となる。
公園
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構造
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正方形が7行7列に集まった形状をしている。
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ゲーム開始時は、その大半が花が育てない土壌であるため、パークツクールからおもちゃに指令を下して耕していく必要がある。
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土を歩くと電力の消耗が激しいので逐次道路を引く必要あり。
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最初期のちびロボにはは防水性がないため、川を渡るための橋の整備も重要になる。
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お花
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本作のカギとなる存在。とある理由で公園からめっきり姿を消してしまい絶滅の危機に瀕している。
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咲いたときの周囲の環境に応じて、花びらの色が変化する。(水場が近ければ青に、草木があれば緑に、高地であれば橙・黄・紫等)
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白いお花の近くで上手にダンスを踊れば種を吐き出して周囲に芽吹かせることができる。
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上手くダンスをおどるにはラジカセのCDを一定速度で一定時間回し続ける必要がある。
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ある程度種を吐き出すと、赤桃橙黄緑青紫のいずれかに変色し繁殖能力を失う。
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芽吹いたつぼみに一定量の水をかけると開花させられる。下画面に表示されるポンプの取っ手を何度か上に押し上げる。
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砂地に芽吹くこともできるが、いくら水をかけても花にはならない。
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芽吹いたとき、開花したとき(連続で開花させるとコンボにもなる)に感謝のエネルギーをちびロボにくれる。
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乗り物・その他移動拠点
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お花を数多く咲かせると自転車、電気自動車、水上ボートを購入して乗り回すことができる。
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自転車は消耗が少なめで小回りが利くが、悪路や坂道で加速しにくい。
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電気自動車は坂道でも進むことができるが消耗が激しい。
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クロ、デカクロ
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黒い球体に顔と足が生えてきたような不気味な生き物(?)。害虫のような立ち位置。
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花の前でダンスを踊り、黒変させてしまう。黒くなった花は害は無いものの、元の色に戻すこともできずその日のうちに枯死してしまう。
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転んだ状態で一定量の水をかけることで破裂する。倒すことでお花の芽をドロップするほか、破裂したときの水しぶきで周囲の花が成長することもできる。
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一部のクロは公園の土にあいた穴から沸いて出てくることがある。こういった場合は、手際よく穴に水をかけてふさぐことで出現を未然に防げる。
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時折赤く変色しちびロボにむかって体当たりしてくるが、これにぶつかってしまうとかなりの量の電力を失ってしまう。
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クリア後はレインボー花に変化させるピンクロへと変化する。
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クロは電気自動車の体当たりでひき潰すことができる。デカクロは電気自動車で体当たりしないと転んでくれない。
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ダークシーゼン
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クロをあやつり、公園にあるお花の殲滅を試みる存在。
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また雷(通称、ビリビリビーリ)を当てることでおもちゃの動きも止めてしまう。
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ちびゆうぐ
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パークツクール経由で公園に遊具を置くことができる。
時間の流れ
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1日は昼・夕・夜の3つの時間帯に区分される。空の色が変化していく。クロの出現もこの時間区分にしたがう。(夜だけ出現しない等)
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経過日数は1日の開始時に毎回知らされるが、特に時間期限は存在しない。
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クリア後になると、ちびロボの電力が∞になり、公園を一括に工事できる。
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工事の内容は、土地の初期化(花を0にする、荒地にしてしまう)、お花だけ除去する、お花を残して公園の区画を整理する等。
評価点
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戦略性の余地がある公園作り
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ちびロボがとれるアクション自体は少なめだが、公園における施設が非常に多様であるためあまり気にならない。
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移動に関しても、電力消費の大小を考慮しながらゲームを進める等、先を見据えてのプレイングが大切になる。
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土壌よりも舗装された道路を歩いたほうが電力消費が少ない。また電力消費を抑えるために、マンホールと下水管を設置してワープ拠点としたり、坂を滑り降りるといったアクションもある。
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うじゃうじゃと沸くクロを1匹ずつ水をかけるだけでなく、車でいっぺんにひき潰すという選択肢もある。周囲の芽を育てたいなら前者だが、お花の被害をとにかく減らしたいなら後者が良い。
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タウンの裏路地に入れば、無償でちびロボの充電が行える。タウンは公園から真逆の方向なのだが、ハウスの電力消費を抑えたいなら一考の余地あり。特にちびロボの電気容量が大きくなると、この充電でかなりの電力を浮かせることができる。
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クリア後には公園作りに特化したゲームになるが、あえてクロの最大出現数を増やす、ハードモード(クロの1日の最大出現数が多くなる、ちびロボの電池が少ない)があってもよかったか。
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ノラおもちゃの存在
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人間キャラとの絡みがほとんど無くなってしまったが、前作のアーミーといったファンがにやりとするキャラクターはしっかり登場する。大昔に作られた木製操り人形、プラスチックで作られた木のマスコット人形、忘れ去られたアメフトマスコットなど、それぞれに設定があっておもしろい。
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自分の出自やこれからの生き方について悩むサブイベントも用意され、そこではノラおもちゃ同士が掛け合うこともあるため、ただちびロボに使われるだけの存在でもない。
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後述の問題点のように、メインのシナリオはかなりあっさりとしたものだが、サブイベントでの掛け合いにはちびロボの特長がある程度受け継がれている。
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細かいことだが、作中で登場する7体のノラおもちゃに、それぞれテーマ曲が用意されているところも良い。
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独自の操作性
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自転車に乗ればペダルをこぐために下画面に表示されるペダルをスライドタッチで回し続けたり、電気自動車に乗っているときは、下画面に表示されるハンドルの角度をタッチで調節できるので、運転している雰囲気はなかなか高い。
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公園を作る楽しさはある
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たびたびクロの妨害も入るためクリア前は公園の景観などを気にしている場合ではない。しかしゲームクリア後にはちびロボの動力が永久電池になり、クロもお助けキャラに変化するため公園が作り放題になる。公園の景観が気になる人からすれば、むしろクリアしてからが本編なのかもしれない。
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ゲームの快適性の変遷以外にも、ラスボス退治後に、いちどプレイヤーが本編をまでに作ってきた公園を鳥瞰するシーンがあり一種の感慨には浸れる。
賛否両論点
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ややブラック寄りな作風
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本作は、製作当時の世相を反映して、「人間と環境の共存」というメッセージ性がこめられている。
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悪の親玉は退治されて、物語は一応きれいに区切りをつけて終了するのだが、「人間が悔い改めない限り環境の問題は解決しない」というメッセージが残されるため、後味の悪さは若干残る。
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本編で長いこと悪の親玉に操られ悪さをさせられた挙句に戦力外通告されるおもちゃもいるのだが、彼も元はといえば身勝手な人間に捨てられた存在。
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おもちゃと友達になれるのだが、電力が切れた時に「おもちゃ寿命」が尽きたという表現がなされる。今回は彼らに何度も公園作りを依頼することになるので切ない。また彼らの亡骸(?)はちびロボが助けてあげない限りゴミ箱やゴミ袋の中に捨てられている。
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おもちゃの存在はそんなものだ、といわれてしまえばその通りかもしれないが…。
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ダイエットに励む女の子のおもちゃに対し、猿のおもちゃが放送禁止用語で暴言を吐くという、何を狙ったのか分からない不愉快なイベントもある。
問題点
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出来事が少ないシナリオ
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メイン、サブを含めストーリー中の出来事が少なく薄っぺらい印象が否めない。
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花の数をトリガーとするメインシナリオも特にこれといって深い内容ではない。
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悪の親玉にこき使われている可哀想なおもちゃの過去がざっくり述べられる程度である。2回ほど強化もされるが、とりたてて大きな変化は見られないし、名前もだんだんショボくなっていく。子供受けを狙った可能性が高いが、どれだけ受けたかは定かではない。
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つまるところ本作のメインは公園を作るだけなので、これを楽しめないとワンパターンな作業ゲーになりかねない。
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ノラおもちゃとの絡みが前作から大幅に減少
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サブシナリオは「心がほっこりするネタ」、「前作ファンが楽しめそうなネタ」が含まれているのだが、おもちゃを特定の組み合わせで友達にしないと発生しないなどやや癖が強い。1つも見ずにラスボスを倒すということはまずないだろうが、ネット等で調べずに全員分のシナリオを見るのはなかなか難しい。(そもそもゲーム中で、おもちゃ同士の組み合わせがイベントのフラグとなっていることについては説明がない。)
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クロよほうが若干機能していない
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出現数に関しては、「わりと(少)」と「たくさん(多)」となるが、ラスボス戦を除き最大出現数は1日に9体。ゲーム終盤になると「わりと」でも9体出ることもある。かといって計画的に穴を埋めてしまえば出現できなくなるので、「たくさん」出る予報をされても9体出ないこともある。
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イベントで強制的に出現するクロもいるが、彼らは予報に探知されない。
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もっとも穴を埋めて予防ができるという意味では、予報も完全無意味ではない。
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一部心臓に悪い演出
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先述のクロよほうはちびパソの画面いっぱいにクロが拡大表示されると共に警告音が鳴り響くため、人によってはかなり苦手な演出。クロよほうを開いた時の警告音も出現数によって違うというこだわりっぷり。
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ちびパソを起動した際に一定確率で故障してしまうが、その時の爆発音が妙にリアルでデカい。苦手な人にはとことん苦手な演出である。
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タッチペン操作による弊害
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慣れてしまえばたいした問題でもないが、タッチペン操作によってかえって不便になっていると思しき部分もある。
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等速で円を描き続けなくてはならない「ちびダンス」は苦手な人にとってはとことん難しい。
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ちびダンスは成否に関わらずそこそこバッテリーを消費するため、失敗が続くとバッテリーと時間を無駄に消費するだけになってしまう。
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さらに前作と違ってちびロボハウスでの充電は有限のため、特にバッテリーが少ない序盤は厳しいと言える。最悪最初からやり直すのも手。
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他ゲームでは決定ボタンとして定着しているAボタンの扱いが迷走している。会話送りはAボタンで行える。しかし物語上で何かを聞かれるときに、「肯定」の選択肢にカーソルオン:○ボタンorYボタン、「否定」の選択肢にカーソルオン:×ボタンorAボタン、「決定」:下画面タッチとなる。
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イベントスキップ機能が不十分
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発電と充電関連はスキップでとばせるが、パークツクールにカセットを読み込ませるシーンはとばせない。まとめ買いすることもできるが、パークツクールに挿入するときは1つずつなので、かなり時間を食われる。
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ノラおもちゃのペンギン達の押し問答は聞く意味もないのにテキストが細かく裁断されておりこちらからタッチして送らなくてはならない。当然スキップも不可。
総評
会話も楽しみの要素だった前作と異なり、本作は公園作りに特化したものとなっている。
ゲームクリアまでは、ちびロボの電池やクロたちに気をつけながら公園の荒地を耕し花をふやす。そしてクリア後に自由で本格的な公園作りを楽しむという構造である。
ストーリーがかなり薄味なので公園を作る過程を楽しめるかどうかが、本作を楽しめるかどうかにつながるだろう。
最終更新:2023年11月03日 21:44