コープスパーティー  BLOOD DRIVE
【こーぷすぱーてぃー ぶらっどどらいぶ】
| ジャンル | 廃校監禁ホラーアドベンチャー |  
 | 
| 対応機種 | プレイステーション・ヴィータ | 
| 発売元 | 5pb.(MAGES.) | 
| 発売日 | 2014年7月24日 | 
| 定価 | 通常版:7,344円 限定版:9,504円(税込)
 | 
| レーティング | CERO:D(17才以上対象) | 
| 判定 | なし | 
| ポイント | 天神小学校編完結 | 
| コープスパーティーシリーズ | 
 
概要
CS版『コープスパーティー』シリーズ4作目。
『コープスパーティー Blood Covered』から始まった「天神小編」の完結作品。
『Book of Shadows』最終話から直接の続きとなっている。
サチコたちの呪詛が次第に現実世界にも影響を与え始めた中、惨劇を切り抜け生還したはずの哲志たちは再び狂気に呑まれた天神小学校へと足を踏み入れる。
システム
- 
全11章、EXCHAPTER10章の充実したボリューム
- 
本作は、チュートリアルも兼ねた0章で天神小とは別の場所をまず探索した後、再び天神小を巡る1章から10章までのストーリーとなっている。また、EXCHAPTERも10章用意されている。ただし…(後述)。
 
- 
再び探索型ADVへ
- 
『ブラッドカバー』と同じく、マップ内を歩き回って探索するスタイルに回帰。
- 
過去作でも校内は常に薄暗かったが、本作ではほとんど光源の無い場所も多いためライトを使って照らしながらの捜索となる。またライトのバッテリーは自然回復せず、落ちている電池を回収しなければならない。
- 
加えて各所に悪意を感じるダメージトラップが置かれ、回復アイテムも重要性を高めている。
- 
また、悪霊に追いかけられる場合にはロッカーに隠れる事も可能になった。
 
- 
主人公の交代と大幅に増えた操作キャラ
- 
本作は持田哲志に代わって主人公に昇格した篠崎あゆみが物語の中心となり、操作する機会も多いが、章ごとに様々なキャラクターの視点に切り替わる。
- 
『ブラッドカバー』で生き残ったあゆみ達5人はもちろん、2Uからのキャラや本作から登場するキャラなど、実に様々な人物が天神小学校へ訪れる。
- 
前作までに死亡したキャラクター達も、天神小内で幽霊や死体など様々な形で登場する。
- 
また、『ブラッドカバー』からの変更点として、複数人で探索している場合、操作するキャラクターを切り替えることが可能になった。特定のキャラクターを操作キャラにしていないと進行できない箇所もある。
 
- 
トラップ
- 
上記の通り各所に仕掛けられており、うかつな行動はダメージによるゲームオーバーを誘発することになる。
- 
朽ちた床:数回上を通過すると音を立てて抜け落ち、動きが止まったうえダメージを受ける。
- 
ガラス片:上を通過するとダメージ。ライトで照らすと光って見えるので多少は分かりやすい。
- 
ワイヤー:廊下などの端から端へと渡されているトラップ。触れるとダメージを受けて消える(=切断されてトラップの用を為さなくなる)。また近づいて解除も可能。だが…(後述)
- 
呪肉:呪いによって作られた、肉色の床トラップ。視認は容易だが、接触すると動けなくなる上これで死亡すると「黒化」する。
 
 
- 
幽霊
- 
天神小学校をウロついている、いわゆる悪霊。視界に入ると何処までも追ってくる。護符を使用するか校内の女神像に祈ると元の場所へと強制的に戻される。
 
評価点
- 
さらに強くなった恐怖へのアプローチ
- 
これまでの作品に比べても恐怖演出は強化されており、特にシリーズ通してのウリだったサウンドに関しては非常に気合が入っている。
- 
序盤に聞こえてくる「おかえりなさい…」という声は、ゲームと知っていても反射的に後ろを振り向いてしまうレベル。
- 
ロッカーに隠れた際の鼓動音なども恐怖をあおり、加えてトラップでボロボロになりながら追い詰められていく感覚はさすがシリーズ完結作といった所。
- 
グラフィックはデフォルメされたものだが、起きている事態は恐ろしく凄惨。ゲーム内では苦悶の声とSEで表現されているシーンが予約特典冊子収録の漫画では、(凄まじい力で身体を折り砕かれ、臓物を撒き散らし血の涙を流して絶命する)というとんでもないシーンになっている。
 
- 
救われなかった登場人物
- 
これまでの死者が助かるルートなど当然無く、これまで生存してきたメンバーも悉く性格が危険な方向に傾き、取り返しがつかない状態へ追い込まれていく。
- 
誰も救われない心折設計でおなじみコープスパーティーのラストを飾るに相応しい、絶望の中で話は進んでいく。
 
問題点
- 
素のままでは難度が高すぎる箇所が幾つか見受けられる
- 
ライトに頼らなければマトモに進めない場所が多いのに、電池が少ない。
- 
トラップはライトで照らさなければ視認が困難。そのため、ライトの残量が少なくなってから慌てて電池を回収しようとすると、道中のトラップで余計なダメージを受けがちになる。
- 
特にワイヤーは解除しようと近づいた際に接触してしまう場合が多く、そもそも照らして尚見えにくいこともあって、アップデートでバッテリー無限モードが追加された。
 
- 
また一部イベント以外での幽霊は、次のイベントを起こしてシナリオを進める他に切り抜けるのが難しい。
- 
相手がこちらを見失っていない状態でロッカーに隠れると、引きずり出されてダメージを受けたうえで追いかけっこを再開する羽目になることも。
- 
幽霊がこちらを追尾する速度はこちらの移動速度に合わせており、走っても振り切れないが歩いても追いつかれないという妙な設計。
- 
上述の通り、道中で拾える護符を持っていれば触れられても元の場所に戻されるが、いずれまたこちらを発見して追い掛けてくるため、こまめにセーブをしているのであれば、出現させた時点でロードしてやり直した方が良い。
 
- 
ただし、ある章では出現させられる全ての幽霊に護符を使用することで取れるトロフィーも存在している。
 
賛否両論点
- 
チャプターごとの濃度の違い
- 
シリーズの伝統というか、それぞれのチャプターはプレイ時間がバラバラ。
- 
佳境に入ってもイベントが少ないチャプターもある一方、障害物走をさせられるアクション多めのチャプターも。
- 
配置されている幽霊の数もそうで、チャプターによっては名札回収がかなり大変。
 
- 
EXチャプターの偏り
- 
全部で10話あるにもかかわらず、半分は十三月愛狩関連となっている上、これで1話分なのか?というボリュームのものも多い。数を増やすために分割したと言われても仕方ない。
- 
大きなネタバレは避けるが、十三月愛狩は本シリーズとかけ離れた雰囲気の服装に加え、本作以前でも漫画や小説版、ドラマCDなどで散々悪事を働いてきたキャラなのだが、作者のお気に入りなのか本作でもやたら出番が多い。
- 
その上EXCHAPTERでも何故か彼女ばかり出てくるため、人によっては不快に感じるだろう。
 
 
- 
触手的要素の増加
- 
起動して最初の画面が「肉壁に呑み込まれようとしている篠崎あゆみ」であり、また天神小学校の中にも触手や呪肉など「そういった」要素が多めになっている。まぁ『コープスパーティ;娘』でも、男の娘が触手に掘られたりしてたけどね。
 
- 
今作は背景・キャラクター等が1作目(『BR』)のようなドット絵ではなく3Dなのだが、その分過激な演出が抑えられたりワンパターン化している面もある。
- 
1作目の場合、ドット絵ならではの粗さを活かして過激な描写を行ったり、WRONG ENDでは文章だけで猟奇的な結末を描いたりしていたのだが、今作ではそういった要素が抑えられている。
- 
特にドット絵の凄惨さと文章の猟奇さが好評だったWRONG ENDは、3D化の弊害により却って物足りないものとなっている。
- 
もちろん3D化による恩恵もあり、廃校舎の質感やライトの明かり、時折落ちる雷などは3D化によってリアルさを増しており、恐怖を煽る目的は充分に果たされているが、ドット絵だからこその良さが3D化によって失われた面があるのも事実である。
 
 
- 
新キャラクター全般について
- 
秘密結社・マルトゥバの墓を始めとして、これまでほとんど出てこなかった設定を当たり前のように使ってくるため、関連作品までチェックしているヘビーユーザーならまだしも、CS版をやっているだけのユーザーにしてみれば唐突感が強い。
- 
新キャラクター達も、冴之木七星を主人公とした漫画や小説版に登場してきたキャラクターはともかく、本作から登場した人物達は殆どがこれまで影も形もない者ばかり。
 
- 
いわゆる悪魔崇拝・黒魔術の存在について
- 
CS版では悪魔や黒魔術といったものは『BR』で校舎のある場所に描かれた魔法陣の存在から匂わされているのみだったが、本作ではブックオブシャドウズの物語から続くため、それらの要素が大きく関わってくる。
- 
一応、リメイク前であるRPGツクール版初代『コープスパーティー』ではラストに「怨霊たちが悪魔を召喚しようとする」という展開があるのが、CS版ではその展開は変更されている。
 
 
- 
完結編として
- 
突然出てきた設定もそうだが、これで天神小学校編完結と銘打った割には未回収の伏線なども幾つか残されたままである。
- 
終盤の展開は「普通の高校生達が異常な心霊現象からの生き残りを図る」という当初のストーリーからかなり趣旨が変わるという点も気になる。
- 
割と早い段階で、「妙な服を着た男と痴女としか言いようのない服を着た女が傘と鎌で切り結ぶ」という、これまでのシリーズの雰囲気とはかけ離れた展開と一枚絵が表示される。勘が良い人はこの辺りで嫌な予感がしたことだろう。
 
 
総評
3Dになったことで格段に雰囲気が上がり、探索する恐怖はシリーズ随一。
探索ADVというスタイルに戻ったことで、ただ読むだけでなく自ら恐怖と狂気の中に歩み寄っていくある意味「ホラーの王道」ともいえる出来に。
しかし、シリーズの総括としてはちょっと疑問が残るのが残念なところである。
その後の展開
- 
2019年10月11日にWin(Steam)版がXSEED Gamesから発売されたが、発売当初は日本語対応されておらず、後々日本語対応された。
- 
2020年8月6日にSwitch移植版が発売された。
続編
- 
原作元であるグラインドハウスは、ストーリー上の続編である『コープスパーティー2 DEAD PATIENT』を発売しているが、2017年にチャプター1が発売されたのを最後に開発が打ち切られてしまい、ストーリーは未完となってしまっている。
- 
その後、2023年8年12日に『リピーティッドフィアー』発売13周年を記念し、新たなナンバリング第2作『コープスパーティーII Darkness Distortion』が発表された。
- 
こちらは廃病院が舞台となっており、キャラクターデザインも一新されている。対応機種はSwitch/PS4で、2025年内に日本・北米・欧州での同時発売が予定されている。
 
最終更新:2025年01月23日 11:51