キングダム 一騎闘千の剣

【きんぐだむ いっきとうせんのつるぎ】

ジャンル 中国歴史大アクション
対応機種 プレイステーション・ポータブル
メディア UMD
発売・開発元 コナミ
発売日 2010年11月25日
定価 5,000円(税別)
プレイ人数 1~3人(ローカル通信プレイ)
レーティング CERO:B(12歳以上対象)
備考 メディアインストール対応
判定 良作
バカゲー
ポイント 爽快感の強いゲームシステム
偏った原作再現
組体操バトル


概要

原泰久による漫画『キングダム』を原作としたアクションゲーム。 プレイヤーは主人公「信」を始めとする原作キャラを操作して敵兵の大軍を薙ぎ倒し、自軍の勝利を目指す。
題材が古代中国における戦争ということもあってか、 システム的にはコーエーテクモゲームスの真・三國無双シリーズに大きく影響を受けているが、 独自の見どころも多い意欲的な作品となっている。
なお、原作は既に50巻を超えているが、2010年に発売された本作は、原作1巻から16巻までの内容だけを扱っている。


システム

  • 基本操作
    • ほぼ無双シリーズと同じで、□ボタン連打で素早い「弱攻撃」が、弱攻撃中に△ボタンで大ぶりの「強攻撃」が出る。
    • ○ボタンでジャンプ、×ボタンで前転回避(押しっぱなしで継続的なダッシュ移動)、Rボタンでガード、Lボタンで視点リセット(押しっぱなしでロックオン)。
      • ガードはかなり固く、広い角度をカバー出来るため、一部のボス戦などで大いに役立つ。
    • 待機中の馬の近くで○ボタンで騎乗。
      • 無双シリーズでは大抵騎乗中より徒歩の方が戦い易いが、このゲームでは落馬しない敵武将と戦う際などに馬が頼りになることも多い。
      • 他方、×ボタンのダッシュ移動がかなり早いので、移動用としてはほぼ必要無い。
    • 無双乱舞のような個人の必殺技は無いが、後述の陣形技が存在する。
    • マップやミッションによっては特定のポイントで○ボタンを押すことで崖の上に大ジャンプで移動するといった、基本操作以外の大きなアクションを起こせる。
    • プレイヤーは操作キャラの他に4人のメンバーを付けた、5人一組のチームで動く。これを「伍」と言う。
      • 伍は特に原作初期に強調されていた概念であり、原作の再現を図っている要素である。
    • 操作キャラ以外の伍の隊員にもそれぞれ装備やスキルの概念が有り、RPGのようなパーティ編成が楽しめる。
    • 伍の隊員にはHPの概念は無く、操作キャラが生きている限りは不死身である。
    • プレイヤーの強攻撃に呼応して隊員が追撃してくれるといった要素も。
    • ステージによっては最大で5部隊まで同時出撃可能だが、プレイヤー操作の伍以外はNPCとして戦い、ステージの途中で操作する伍を変更することは出来ない。
  • 陣形技
    • 弱攻撃ないし強攻撃のボタンを長押しすることでゲージを溜め、伍の全員で一丸となって繰り出す必殺技である。
    • 陣形技は無制限に使えるが、使う度に「士気」の値が下がり、溜め速度が急激に遅くなってしまう。
      • 士気は普通に敵を攻撃すると回復するので、雑兵の集団を殴って士気を溜めつつ、陣形技で強敵を一気に倒すといった使い方がセオリーである。

ゲームモード

  • ストーリーモード
    • 原作1巻から16巻までのストーリーを駆け足気味に追ったモード。
    • 操作キャラは主人公の信で固定されており、レベルや装備なども変更不可能。
  • アナザーモード
    • このゲームのメインモードと言える部分。
    • キャラを育成し、伍を編成しつつ、原作からは独立したシチュエーションで数十個のステージに挑戦していく。
    • ローカル通信で協力プレイも可能。

評価点

  • 爽快感の有るアクション
    • 基本操作は本家無双シリーズとほぼ同じだが、キャラによって攻撃の最大段数などは異なっており、リーチは短いが素早く無限に弱攻撃をコンボ出来る羌瘣のアクションなどは特に爽快感が高い。
    • 陣形技はスーパーアーマーと攻撃範囲と破壊力を兼ね備えた大技で、派手な見た目も痛快である。 
  • 集団で行動する軍隊
    • 味方だけでなく、敵も陣形を組んで行動する。乱戦が多い無双型ゲームにおいて、綺麗に隊列を組んで現れる敵の存在は新鮮さが有る。
    • 整列して大盾を構えることで1枚の壁の如き陣を敷く重装歩兵部隊や、一直線に並んで蛇のようにウネウネした軌道で突進してくる槍兵部隊など、集団で一つの存在のように動く敵が多く、ダイナミックな戦場を体験させてくれる。
    • また、こうした敵隊形に陣形技を叩き込むと、敵兵士が隊形を崩壊させて散り散りに吹き飛んでいくという痛快な場面が見られる。
  • 原作再現度の(部分的な)高さ
    • ストーリーモードは原作のストーリーをなぞっており、ゲームの都合上ディテールは若干異なるが、主人公信の活躍を追体験出来る。
    • アナザーモードでは、原作のストーリーとはかけ離れているが、単行本巻末のオマケ漫画などのネタを拾っており、ファンならニヤリとする部分が多い。
  • 処理落ちが殆ど無い。
    • PSPのゲームにしては画面に表示される兵数が多く、大軍を薙ぎ倒す爽快感が有り、その割に驚くほど処理落ちが少ない。
      • ただし処理落ち回避のためにごく近距離の敵以外はなかなか表示されず、特に攻撃目標である敵の隊長がすぐ非表示になって戦いづらさを感じる面も。
  • 登場キャラ数がそこそこ多い。
    • プレイアブルキャラは総数20人。積み重ねの無い単発タイトルとしては悪くない数字と言えるだろう。
    • 直接操作可能なキャラ以外にも、敵味方のNPCや伍の隊員として固有の容姿を持った原作キャラが相当数登場している。

賛否両論点・バカ要素

  • あまりにも荒唐無稽な陣形が多い。「組体操」と揶揄されることも。
    • 原作もなかなか大げさなアクションが多いが、本作の「何十人もの敵兵士が積み重なり、巨大な手首の姿を作って襲ってくる」といったシーンは、流石に原作の世界観からかけ離れている。
    • 味方の陣形技も伍のメンバーを人間ミサイルとして投げまくるといったふざけた技が多い。(しかも強い。)
  • アナザーモードでは原作の(おふざけの)オマケ漫画のネタを拾っているため、本編の世界観にそぐわない語句やメタ的なセリフが多い。

問題点

  • 薄味なストーリーモード
    • 単行本16巻分の物語をたった10ステージに詰め込んでいるため、話が飛び飛びになっており、原作ファンでないと感情移入し難い。
    • 操作キャラも主人公の信一人で常に固定な上、装備や伍編成などの基本システムすら封印されているなど、物足りなさが否めない。
    • また、ストーリーモードは装備やレベルの強化が出来ないため、攻略にかなり根気を要する場合も有る。
  • 使用可能なキャラの人選がおかしい。
    • 原作16巻までの主だったキャラは概ねゲーム中に登場しているが、壁や昌文君といった秦の主要キャラや魏の大将軍呉慶らがNPC専用キャラに留まっている一方、徐完、ムタ、左慈といった原作最初期のマイナーな敵キャラがプレイアブルとなっている。
  • 護衛ステージの難易度がやや理不尽。
    • 本作にも無双シリーズのように特定の味方キャラクターが倒されるとゲームオーバーになるステージが存在するが、敵増援のワープ出現による護衛対象の瞬殺など、何度かプレイして先の展開を把握していないと攻略困難な箇所が散見される。
      • ストーリーモードの最終面や、アナザーモード序盤の丸城防衛戦などが該当する。

総評

総合的に見ると、無双シリーズの模倣作の中でも手堅い出来栄えであり、陣形技などの独自の面白みも有る作品となっている。
無双シリーズのファンや原作漫画のファンなら一度手に取ってみるのも良いだろう。

余談

原作者の原泰久氏も単行本の20巻や21巻の後書きページで本作をプレイした感想を書いている。
漫画のスタッフとマルチプレイをしてキャラのレベルを99まで育てるなど、かなりハマっていたようだ。

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最終更新:2022年04月01日 17:39