超回転 寿司ストライカー The Way of Sushido
【ちょうかいてん すしすとらいかー ざ うぇい おぶ すしどー】
ジャンル
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アクションパズル
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対応機種
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Nintendo Switch ニンテンドー3DS
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発売元
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任天堂
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開発元
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インディーズゼロ
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発売日
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2018年6月8日
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定価
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5,378円
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プレイ人数
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1~2人
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レーティング
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CERO:A(全年齢対象)
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判定
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バカゲー
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ポイント
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寿司を食べて戦う異色の対戦パズル 変化球ながらも筋の通った世界観とゲームシステム 対人戦のハードルは高め 高難易度のストーリーモード
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概要
回転寿司をテーマにした対戦型アクションパズル。
「スシ」が至高の食べ物、ひいては貴重な資源として扱われている独特な世界観で、スシを食べまくり、食べ終わった皿をぶつけて戦う「スシバトル」が繰り広げられる。
ストーリー
そこは、魚がいない世界。
地上で最も高い価値をもつ資源であったスシを巡り「第一次スシ大戦」が勃発。
勝利した帝国軍によってスシは独占され、戦争に敗れた共和国ではスシを口にすることはできなくなっていた。
両親と生き別れ、孤児院で暮らしていた共和国の少年「ムサシ」は、自分にスシの素晴らしさを伝えてくれた旅人「ユキチ」が帝国軍に連れ去られたことを受け、「スシライカー」となって戦いに身を投じることになる。
特徴
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スシバトルの基本
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スシバトルは、スシが流れる各3本のレーン+共通レーンを挟んで互いに向かい合った状態で行われる。
隣り合う同じ色の皿に乗ったスシをタッチorボタン操作で繋ぎ、離すと自動的にスシを食べ、皿がテーブルの上に積み上がっていく。
この皿を相手に投げつけて(シュート)攻撃していき、先に相手の体力を0にした方が勝利。
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一度に皿を繋ぐことができる制限時間は7秒。これを過ぎる前にタッチ(またはボタン)を離さないと、スシは食べられずに消失してしまう。
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たくさんの皿を繋げるほど一撃のダメージが大きくなる。
さらに、全て同じネタで繋げると「同ネタボーナス」で威力1.3倍となる。
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また、同じ色の皿を連続してシュートすると「コンボ」となって威力がだんだん上がっていく。
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皿のグレード
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実際の回転寿司のように皿にはグレードがあり、「かっぱ巻き」や「たまご」はグレードの低い水色、「かに」や「うなぎ」はグレードの高い銀色などと分かれている。
グレードが高いほど攻撃力が高いが、レーンに流れる数が少ない。
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普段は高級皿を取るより安い皿を大量に繋いだ方が強力になる一方、「スシまつり」(いわゆるフィーバー)中は高級皿が多く流れるため、一気にダメージを稼ぐチャンスとなる。
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レーンに流れるスシネタは後述の「スシガミ」によって異なり、レベルを上げると高級皿の割合が上がるといった育成要素にもなっている。
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スシガミとスキル
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魚のいない本作の世界において、スシは「スシガミ」と呼ばれる生き物が生み出す存在である。
スシガミは50種類以上存在し、それぞれ出やすいネタの傾向が異なるほか、固有のスキルを持っている。
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スシバトルの際は、契約したスシガミの中から3体のチームを編成する。
スシを食べるごとに(一度に食べた皿数は関係ない)スキルゲージが溜まり、満タンになるとスキルが使えるようになる。
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スキルは、レーン上の皿の色を統一する「百連皿」、取るとしばらく動けなくなるワサビを相手レーンに紛れ込ませる「ワサビ大サービス」、相手レーンを急加速させて皿をつなぎにくくする「暴走特急レーン」など、それぞれ個性的。
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スキルは組み合わせることによって相乗効果を発揮することもあり、威力を上げる「電撃シュート」と与えたダメージの分だけ回復する「ライフハンター」を同時に使って一気に体力を回復するといった芸当も可能。
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スシガミの中にはレベルを上げると覚醒し、姿が変わるものもいる。
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その他のカスタマイズ
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レーンドライブギア
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短時間でより多くの皿をつなぐために、自分のレーンを加速させる道具。皿を繋がずにタッチしっ放しにすると自動的に発動し、タッチを離すと解除される。
速くなればなるほど多くの皿を繋ぐチャンスが生まれるが、制御も効かなくなりやすい。
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レーンドライブギアには種類があり、あまり速くならない初心者向けの「リトルギア」、かなり速くなる「ハイパーギア」といったものから、加速は緩やかだが、一旦速くなればなかなか減速しない「ストリームギア」といったテクニカルなものもある。
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こうぶつ
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それぞれのスシを通算で一定量食べると、該当するスシネタの「スシパワー」を獲得できる。
スシパワーを獲得したネタは「こうぶつ」として宣言できるようになり、ネタに応じた能力アップ効果を得られる。
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カプセル
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ステージによってはカプセルがレーンに出現し、バトルの行方を左右する。
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例えば「ボム」は、取ると相手に飛んでいってダメージを与えるが、取らないまま流れ去った場合は自分がダメージを受ける。
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皿の脇に数字が書かれており、その数字よりも多く皿を繋いだ状態でないと取ることはできない。
モタモタしていると流れ去ってしまうため、先を読んで皿を繋げるコースを考える必要がある。
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ゲームモード
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ストーリー
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ステージを順番にクリアしていき、帝国の打倒を目指す。
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帝国軍は4人で1小隊となっていることが多いため、おおむね4ステージごとにイベントが入ってストーリーが進んでいく。
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要所で特殊ルールで勝負を仕掛けてくる謎の男や、ライバル「コジロー」のステージもあり、ほぼ一本道ながら変化を感じられる構造になっている。
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闘技場
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オンライン対戦が可能。主人公とスシガミのレベルは30に統一され、出てくるネタもレベル30に準じたものになる。
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カプセルありで勝ち数のみ記録される「バラエティバトル」と、カプセルが出ず勝敗でレートが上下する「ガチレーティングバトル」の2種類。
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パズル道場
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止まっているスシを全て取ることができた回数を競うモード。時間がなくなったり、取る順番を間違えてスシが余ってしまうと即ゲームオーバー。
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一回のミスすら許されないが、出てくるスシの配列パターンは少ないので、繰り返し挑戦して覚えることが重要。
評価点
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ぶっ飛んでいるが説得力のある世界観
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「魚のいない世界」「スシにはなんの罪もねえんだ」と、序盤からパワーワードの連続。しかしながら声優陣の熱演も相まって、不思議なリアリティがある。
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物語のジャンルはコメディだが、スシが原因の戦争で実際に犠牲者が出ていたりと、根底の世界観は結構重い。そんな中で純粋にスシを愛する主人公が、スシバトルを通じてさまざまな人と心を通わせていく姿は必見。
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テーマは「食の大切さ」「みんなで食べることの楽しさ」で一貫しており、「寿司屋でネタだけ食べてシャリを捨てる」といった、実在する問題への風刺も含まれている。
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ラスボスに至っては、回転寿司に行ったことがある人なら誰もが経験しているであろう「あるある」が人格形成に大きく関わっているという設定。戦闘で使用する技も色んな意味で"掟破り"であり、満を持しての登場に相応しい存在感を放つ。
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高い戦略性
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ダメージを増やす方法だけとっても「一度に大量の皿を取る」「コンボを繋げる」「高級皿で攻める」「単純に手数を増やす」と複数あり、それぞれの作戦を補助するスキルやスシガミ編成、レーンドライブギアが存在する。
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工夫すれば上記の作戦を組み合わせたり、状況に応じて切り替えることも可能。
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防御・妨害系のスキルは攻撃系よりも発動に必要なスシが多かったり、使いどころが難しいものが多い。しかし、ダメージ1.5倍、かつ高級皿が流れやすくなるフィーバータイム「スシまつり」を狙うことで妨害の効果が高くなり、相手の戦略を崩しやすいようになっている。
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それを見越してあえて攻撃を前倒しする、さらにそれを予想して対策する…などといった駆け引きがスシバトルの大きな魅力。
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流れる皿のランダム性が強いため、ただパズルを頑張っているだけではどうしても運ゲーになってしまう。相手の状況を観察し、効果的にスキルを使っていくことで初めて安定した勝利を得られるというゲームバランスになっており、奥が深い。
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『ゼノブレイド』のように、スキル発動時や戦況が変わった時などにはキャラがよく喋る。このセリフに耳を傾けることで、パズルに集中しつつ状況を把握するテクニックもある。
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ストーリーを通してスキルの使い方に気づく構成
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ストーリー中の相手が新しいスキルを使用する際は、大抵バトル前のイベントで簡単に説明してくれるため対策を立てやすい。
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自分がそのスキルを使えるようになるのは少し後であることが多いが、敵に使われた経験を活かして有効な発動タイミングが自然とわかる。
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ストーリーが進み、苦戦しがちになる頃には手持ちのスシガミ(スキル)が増えているため、試行錯誤することで大抵の相手はレベル上げせずとも太刀打ちできる。
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終盤になると複数のスキルの相乗効果を狙った相手も出てくるため、対人戦向きの編成を考える上でとても役立つ。
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豊富なやりこみ要素
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各ステージに3つあるお題をクリアして「スター」を集めると隠しステージに挑戦することができる。さらに隠しステージで手に入るアイテムを集めるとさらなる新マップがオープンし、その先で強敵と戦ったり、新たなレーンドライブギアを入手することが可能。ステージは全部で200以上。
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各ステージで、スコアに応じてランクがつく。最高ランクのSを普通に取るのは困難を極めるが、自分の体力が半分になる代わりにスコアが1.5倍になる「しゅぎょうのおび」を装備すると難易度が下がる。1周目ではまず勝てない体力差になってしまうため、実質的な2周目要素と言える。
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4人で1小隊の帝国軍は、1人ずつルールが異なっている。同じような戦いを連続ですることがないため、作業感を感じにくい。
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1ゲームが短い
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先述したように防御系のスキルの方が発動条件が厳しいので、長期戦に持ち込むより短期決戦が有効な状況が多い。
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レベル30統一ルールなら長くても3分程度で決着がつき、サクサク次の対戦へ行ける。これはパズルゲームとしては珍しい特長。
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ストーリーモードも、一度見たイベントを飛ばしてバトルに進めたりとテンポが良い。
賛否両論点
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1人用モードの難易度がやや高い
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主人公のレベルアップに対して相手ステータスの上昇が急激で、終盤になるとこちらの倍近い初期HPの相手とのバトルが普通になる。
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スキルレベルについてはもっとインフレが激しく、さらに一部は開幕でスキル発動というこちらにできないことをやってくるため、理不尽さを感じることも。
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相手の使用スキルは先に見えているので、「相手の戦略を見極め、その弱点を突く編成で戦う」ことを前提とした難易度設計であると思われる。うまく編成がはまり、相手を封殺することができればかなりの爽快感。
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反面、好きなスシガミでずっと戦っていくといった遊び方は難しい。
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どうしても勝てない場合は、じゅんびアイテム「ふっかつのまめ」という救済措置がある。が、これは確実に入手できる機会が限られているため、考えなしに使っていると本当に難しいステージで使えないということになりうるので注意が必要。
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謎の残るストーリー
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終盤のネタバレ
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「世界から魚がいなくなった理由」は説明されるものの、ムサシの母やラスボスが飛び込んで行方不明になった「スシゲート」や本当に謎のまま終わってしまった謎の人物「チャラオ」の正体など、依然として決着がついていない部分がいくつかある。続編での補完に期待したい。
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ただし、後者に関しては謎で終わること自体が一種のネタになっているので、一概に悪いとは言えない。
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問題点
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対人戦と同じルールで遊べる一人用モードがない
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ポケモンシリーズの「バトル施設」のように、公平な条件で対戦が楽しめる一人用モードが用意されていない。そのため、対人戦を想定した検証や練習が非常に困難。
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スシガミは各種1体しか入手できず、一度上げたレベルや使用した強化アイテムをリセットする方法もないため、対戦時に流れるスシのメニューや正確なステータスを知ることが難しい。
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2022年現在はオンラインの過疎化が進んでおり、ランダム対戦で誰かとマッチングすることはほぼ絶望的。せっかくの対戦の奥深さを十分に楽しむ機会が限られているのは極めて口惜しい。
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特殊レーンの説明不足
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通常、スシバトルの3つのレーンの進行方向は互い違いになっているが、一部のステージでは3つのレーンが全て同じ方向に流れる特殊なレーンになる。
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このレーンでは一度に多くの皿を繋ぐのが非常に難しい。
そのため、別の色の皿を挟んで繋げるようになる「マイウェイ食い」や、つみ皿を増やせる「いつの間に追加皿」、少ない皿数で威力を叩き出すための「高級ライカー」など対策スキルを用意しないと不利になるのだが…
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その辺りの説明が全くないので、対策に気づかないまま「皿をなかなか繋げられない、単にイライラするステージ」になってしまいやすい。
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スシガミ強化に手間がかかる
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スシガミの育成要素の中で特に重要なスキルレベルは通常のレベルアップでは上がらず、ドロップアイテムの「スキルのおふだ」を使うか入手スシガミが被ったときにしか上がらない。
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スキルにもよるが、中には最大まで育てるために大量の「スキルのおふだ」を要するものもあり、対人戦のハードルを上げている。
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経験値は同時に5体まで(セットしたスシガミ3体+育成枠2体)与えられるのに対し、スキルレベルは1体ずつ地道に上げるしかない。なんらかの緩和策が欲しかったところ。
総評
「回転寿司」というテーマを取り入れることによって、今までに無い戦略性と爽快感を生み出す対戦パズルの新ジャンルを切り拓いた。
とにかくスシへの愛に溢れている
ことを除けば王道を行くストーリーも魅力で、最初から最後まで楽しめる。
実際のところ、プレイヤー人口が少ないためゲームバランスや対戦周りの仕様の良し悪しは未知数。しかし、豊富なカスタマイズ要素をはじめとした対戦を盛り上げる要素を数多く備えているこのゲームは、さらなる発展に期待する価値がある一作といえる。
余談
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当初は3DS版のみの発売が予定されていたが、Nintendo Direct 2018.3.9でSwitch版も発売されることが発表された。
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Switch版は、任天堂タイトルのダウンロード版2本を9,980円で買える「2本でお得 ニンテンドーカタログチケット」の対象作品である。
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ただ、7,000円台のソフトもある中、本作は『1-2-Switch』と同じく最も安いので割引率は低くあまりお得感はない。
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有名寿司チェーン店「スシロー」とのコラボレーションが2018年6月8日より行われた。風変わりなプロモーションにより一部では注目を集めたが、Switch版は初週5,235本、3DS版は初週2,392本と振るわない形で幕を降りた。
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Switch版はタッチ操作だけでなく、ボタン操作に対応している。
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ボタン操作の場合、テレビ画面で遊べる、スティックを適当に回すだけで皿が繋がりやすいといった利点があるが、皿を繋ぐ起点を選んだり、シュートする皿を選ぶ操作は難しい。どちらが有利というほどでもないので、お好みで。
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本作より後に発売されたSwitch用タッチペンを使用するとタッチの操作性の向上が見込める。この場合タッチがやや有利になるため、一考の余地はあるかもしれない。少なくとも「パズルバトル」モードは、ボタン操作での攻略は不可能に近く、タッチペンが必要と考えた方がいい。
最終更新:2023年11月08日 12:55